財政(予算・公共事業), 金融(銀行・保険・証券), 景気回復 (大型公共事業・再開発)
2002年04月17日 第154回 通常国会 財務金融委員会≪日銀報告質疑≫ 【167】 - 質問
日銀の金融緩和、公共事業の長期計画について質問
金融緩和のもとでも銀行の貸出は減少 国民の立場から需要拡大策を
2002年4月17日、財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、歴史に例のない日銀の金融緩和政策のもとで、日銀から銀行には大量の資金が供給されているにも関わらず銀行の貸し渋りが横行している問題を取り上げました。
佐々木議員は、国内銀行が96年3月以降、今年2月までに、国債保有を28兆円から66.6兆円へと約39兆円増やす一方で、貸出残高を483兆円から443兆円へと約40億円減らしていることを明らかにし、金融緩和をしているにも関わらず資金が貸出にまわらず、国債の大量購入に充てられている実態を指摘しました。
このような現状に対する認識を問われた速水日銀総裁は、「金融機関が信用力の低い先に対して貸出を慎重化させているのは事実」だと認めました。
佐々木氏は、実体経済に需要がないなかで、金融政策だけでは限界があるとして、家計消費を温めるなど国民の立場から需要を拡大するよう求めました。
公共事業費の8割が長期計画にしばられている 計画の抜本的見直しを要求
次に、佐々木議員は、公共事業を硬直化させる原因となっている公共事業長期計画の見直しを求めました。
佐々木議員は、今年度政府予算で全省庁の公共事業関係費の9割を占める農水省と国土交通省との公共事業費のうち、農水省分の98.7%、国土交通省分の79.8%が長期計画にもとづくものだと指摘し「これを根本的に変えるのかが問われている」と塩川財務相の対応を求めました。
塩川財務大臣は、「法律で金額をしばるから硬直化してしまう」と述べる一方で、「ビジョンとしての計画はやっていただいて結構だ」と長期計画を容認しました。
佐々木議員は、塩川財務大臣が今年度予算での長期計画の見直しに言及していたにもかかわらず、実態は従来型を継承したものだと述べ、財政再建に向けて長期計画を抜本的に見直すよう求めました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。
最初に、日銀報告について御質問したいと思いますが、先ほどの総裁の概要説明の中でも、それまで金利政策というのがオーソドックスな形でとられてきたけれども、コールレートがほぼゼロに達して、金融政策による緩和余地がなくなった、オーソドックスな政策の余地がなくなったという中で、昨年の3月に、日銀当座預金という資金の量を目標とする金融政策運営の枠組みを採用した、それ以来、内外の中央銀行の歴史に例のない思い切った金融緩和を実施している、こういう説明がありました。
日銀当座預金の残高は、1年前の4兆円程度から、現在20兆円程度、五倍に大きくふえているわけであります。言ってみれば、日銀から銀行に対しては、じゃぶじゃぶというような表現を使っていいほど大量の資金が供給されているわけですが、問題は、銀行から先に行っていない。実体経済の低迷、あるいは銀行の資金の貸し出し姿勢が非常に厳しい、あるいは資金回収に走る、そういう中で、銀行から先の供給は大幅に減少しているわけであります。
では、じゃぶじゃぶ供給されている資金は一体どこに行っているのか。これは、どのように考えたらよろしいんでしょうか。総裁の御意見を伺いたいと思います。
○速水参考人(日本銀行総裁) 私どもの方から出ていきますマネタリーベースの金は、御承知のように、前年比でいきますと、ちょっと3割アップぐらいになっているわけです。過去5年を見ても8%近い増加を毎年しておるわけで、それがそのまま金融市場に出ておるわけですけれども、銀行に必ずしも入っているというわけではありません。
銀行のマネーサプライを見ますと、4%前後の増加でございますから、それはほかの、金利が安いものですから現金で持つといったようなことも多いし、日銀当座預金といったようなものもふえているのも自然な流れかというふうに思います。金融機関に入った金が、御承知のように銀行は今貸し出し前年比まだマイナスです。貸し出しは減少させるもとで、国債を中心とした債券投資を銀行は増加させていることは事実でございます。
金融緩和効果が銀行貸し出しを通じて実体経済に浸透していくことを制約している要因として挙げるならば、一つは、不良債権問題を背景にした信用仲介システムの機能が低下していったということ、第二には、企業の投資意欲が低下しているということ、第三には、家計が将来に対する不安を持っていて現金で持とうとしているといったようなこと、こういったようなことが挙げられると思います。
ゼロ金利というのは、私どもの体験からいっても、これは必ずしも正常なものであるとは思っておりません。事態がよくなって、先ほど申し上げたように、いい循環を来すことを願ってやまない次第でございます。
○佐々木(憲)委員 では、数字を具体的に確認したいと思います。
国内銀行の統計で貸し出しは幾ら減少しているかということなんですが、96年の3月を基準にしまして、直近の統計で、実数とそれから減少率、これを示していただきたいと思います。
○増渕参考人(日本銀行理事) 96年3月時点での国内銀行の貸し出しの残高は483兆円でございました。本年2月時点の、これが判明する直近の時点でございますが、その貸出残高は443兆円でござます。したがいまして、金額で40兆円の減少、率にしますと、8%強、8・3%の減少ということになります。
○佐々木(憲)委員 相当な額の貸し出しが減少しておりまして、貸し出しの減少率も大変高いわけであります。とりわけ中小企業向けの減少が大変大きくて、この報告書を見ましても、36ページを見ますと、中小企業向けの貸し出しスタンスというのは、主要銀行のアンケート調査で28という数字であります。中堅企業は16、大企業向けは12ということで、とりわけ中小零細企業に対する貸し出しは非常に厳しい態度で臨んでいるということがわかるわけであります。このようにして、いわば大量に供給された資金はむしろ中小企業には渡らず、逆に回収が進んでいるというのが現状だと思います。
では、その反面で、先ほども御紹介ありましたように、国債を中心とした債券投資に回っているということですけれども、この同じ時期で国債保有額というのは幾らふえているでしょうか。あるいは、そのふえた率、これを示していただきたいと思います。
○増渕参考人 96年3月におきます国内銀行の国債保有残高は28兆円でございました。本年2月時点の保有残高は66・6兆円でございます。したがいまして、金額で約39兆円の増加、率にしますと137%の増加、約2・4倍ということでございます。
○佐々木(憲)委員 つまり、国債のふえ方は、同じ時期で、つまり貸し出しがマイナス約40兆円、国債保有がプラス約40兆円、ですから、貸し出しが減った分と同じ金額が国債はふえている、こういう状況なんですね。ですから、結局、金融を緩和したけれども、銀行から先には流れずに大量の国債購入に充てられた、こういう状況ですね。
この現状について日銀総裁はどのような評価をされているのか、お伺いしたいと思います。
○速水参考人 御指摘のように、今、貸し出しが減ったほとんど同額、国債の保有額がふえておるわけです。金融機関が不良債権問題への取り組みを強めていく中で、信用力の低い先に対して貸し出し姿勢を慎重化させている面があることは事実だと思います。加えて、景気の低迷が続くもとで資金需要が減退していることも貸し出し減少の大きな要因であると思います。
日本銀行の思い切った金融緩和の効果が企業や家計にまで及んでいきますためには、一つは、迅速な不良債権処理などを通じて銀行の信用仲介機能が強化されていくこと、もう一つは、税制改革とか規制の緩和を含めて経済、産業面の構造改革を進めて、企業や家計の前向きな活動を引き出していく、この二つではなかろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 私は今の実体経済の低迷というのが最大の問題だと思っておりまして、しかも、その実体経済を支えるGDPの6割を占める家計消費、これが非常に大きく低迷している。その家計消費を低迷させている要因としては、国の政策の将来不安というのがある、あるいは企業のリストラ、雇用不安というものがある。つまり、そういうところをどういうふうに改善するかという政策に大きく転換をしていかないと、これはなかなか根本的には直っていかないのではないか。つまり、金融政策だけで幾ら金利を下げ幾ら量的緩和をやっても、実体経済に需要がない、そういう状態であれば、これはなかなか改善しないのは当たり前であります。
しかも、同時に、今不良債権処理とおっしゃいましたけれども、不良債権処理の持つデフレ的要素というものもよく見ていかなければならないと思うのです。つまり、不良債権処理をすればするほど中小企業が倒産し、そして失業者がふえる。そうすれば、同時にそのことによって家計消費が冷え込む。つまり、デフレスパイラルの引き金を引くような形になっているのではないか、そういう感じを私は持っておりまして、そういう点では、大変重大な局面に現在あるのではないか、抜本的な転換というのが求められているのではないかというふうに思っております。
さて、そこで、次に財務大臣にお聞きしますけれども、結局、この金融緩和した分、国債の大量購入という形で資金が使われている。逆に言いますと、国が大量に国債を発行する、それが資金を吸い上げているといいますか、そういう状況にあるのではないかと思います。2002年度末、つまり来年3月の予想では、国で528兆円の長期債務残高、国、地方を合わせると693兆円、約700兆に近い大変な債務残高が予想されるわけで、政府が予想しているわけですけれども、そういうときに、財政赤字が引き続きこの大量の国債発行を続けていく大変重要な要素になっているわけです。
一昨日は、アメリカの有力な格付機関スタンダード・アンド・プアーズが長期国債の格付を下げた、そういう報道もあります。イタリアの格付よりも日本の格付の方が下回ってしまった、先進国中最低である、こういう状態があるわけですね。評価は別としまして、国際的にもそのようなランクづけが行われているという状態であります。
G7に金曜日から出かけるということなんですけれども、国際的に見て日本の財政状況、これは大変深刻な事態だというふうに私は思うわけですけれども、財務大臣は、このような日本の財政赤字、大量国債の発行、その問題が国際的に見て日本の国債の格付を引き下げているという状態をもたらしていると思うんですけれども、その点についてどのような認識をお持ちか、お聞きをしたいと思います。
○塩川財務大臣 国債の格付は、これは民間の会社がやっておって、営業目的とかいろいろあって、それは評価はいろいろな要素でつけておるんだと思うのでございますけれども、私はかねてから、この格付会社三社の格付をずっと見ておりまして、明確な基準が示されていないんですね。コメントはしております、財政赤字がどうであるとか、不良債権の整理がこうだとコメントしておりますが、そのコメントは、日本の新聞に書いてあるのをそのまま写していますね。
ですから、本当に調査しておるんだろうか、私はそう思うんです。日本の新聞が自虐的にどんどんと悪い悪いと書いていますから、それを基準にして格付しておるような感じがしてならぬのです。ですから、これを見てごらんなさい、スペインやとかポルトガルより下になってしまって、ボツワナなんかと日本は同じなんですね、これは。そういうことを、ちょっと佐々木さん、これは考えられるでしょうか。
そこらを見まして、私は、この格付のことに余りこだわる必要はない、けれども、こういう格付があるんだということは意識しておかなきゃいかぬとこれは思っております。
○佐々木(憲)委員 格付会社の論評はいろいろあると思うんですけれども。
ただ、実態的に言いまして、先ほど申し上げましたように、日本の赤字財政、長期債務残高のふえ方というのは、これは極めて大変なものでありまして、大量に国債を発行し、資金を吸収しているという状況。これは、金融緩和があるからそれが今微妙なバランスの上に成り立っているわけですね。しかし、一たん景気が底を打って回復を始めていく、それで市中の資金需要がふえる、そういうときにさらに大量の国債発行という形で続けていきますと、これは逆に長期金利の急上昇あるいは国債価格の暴落ということにつながるわけであります。
その辺の見通しを政府としてどのように考えていくか、ここが大変重要だと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
○塩川財務大臣 この延長線で今後の中長期の財政を考えているわけじゃございません。それがために、できるだけ早くプライマリーバランスが黒字に転換するように我々努めていきたいと思うて、一つの目標を2010年ということにしております。そうであるとするならば、かなりなやはり税の増収ですね、増収を図っていかなければならないのではないか。その増収を図っていこうとするならば、何としても景気をよくしなきゃならぬと思っております。景気をよくするためには、景気刺激策を講じなきゃならない。
この景気刺激策に対しまして、財政出動であるとかあるいは税制でとかいうていろいろと御議論がございます。我々としては、もうこれを財政出動だけでできるものじゃない。先ほどもお話しのように、国債はこれ以上発行して圧迫を加えるわけにまいりませんし、そうすると、どうしても税制に頼らざるを得ないというのが一般の考えでございますけれども、私は、税制ばかりじゃない、やはり政府が民間の経済に今後向かうべき方向性をしっかりと示して、民間経済の活力をそちらの方で、つまり、政府が産業政策を明確に示して、それによって活性化への道を歩んでもらう、それに対して税制上のインセンティブをつけていく、そういう構想で臨んでいきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 今、2010年までに税の増収を図っていくという一つの考え方があるとおっしゃいましたが、これは具体的に言いますと何を増税するんですか。消費税を上げるのか、あるいは所得税の課税最低限の引き下げをやるということを念頭に置いておられるんですか。
○塩川財務大臣 これは、はっきりした数字的なことの説明はまだ私は御勘弁願いたいと思って、まだそこまで数字で詰めたわけじゃございませんけれども、増収でございますから、税の、いわゆる経済の活性化に伴うところの経済成長、それに伴うところの増収ということも一つ増収でございますし、あるいは、税制を変えて、多少は増税によって賄っていくということがございます。けれども、現在のところ、消費税を上げるとか、そういうことは考えておりません。
○佐々木(憲)委員 庶民増税はぜひやめていただきたいというふうに思います。
これまで、税収が減ってきた要因というのは二つありまして、一つは、景気の低迷で法人税、所得税が落ち込んでいる、それからもう一つは、これまで、法人税の減税、量的にいいますといわば大企業向け減税が非常に多かったんですね、あるいは、所得税ですと高額所得者のところを下げてきたというところに非常に大きな問題があったわけでありまして、逆に言うと、庶民にとっては税負担が非常に重いという実感が広がっているわけであります。そういうときにさらに増税なんという話になりますと、これはもう消費拡大どころか水を差すような話になりますので、その辺はぜひよく考えて対応をしていただきたいというふうに思います。
そこで、次に財政問題ですが、先ほど財政の再建という方向をおっしゃいましたが、やはりむだを削るということが大変重要だと思うんです。例えば大型公共事業のむだ、例えば、飛行機が余り来ない空港をたくさんつくるとか、あるいは船が入らない港をつくるとか、そういうむだ遣いというのが大変全国にこれまでもあったと思うんですが、公共事業についてどういう点を見直すおつもりなのか。あるいは今年度予算、もう執行の段階ですけれども、今年度予算について大臣がおっしゃっていたのは、新しい考え方を導入した、従来型ではないものだ、こういう説明をされていたと思うんですが、公共事業についてどういう考えでやっておられるのか。この点についてお伺いしたいと思います。
○塩川財務大臣 ここ10年余り、十数年の間、政府が景気刺激対策として講じました公共事業というのは、いわば一つは、国が定めておりましたそれぞれの長期計画の前倒しで公共事業の景気刺激をやっておりました。この中身を見てまいりますと、要するに公共事業的素材ですね、素材の在庫調整に重点を置いて、思い切り人をたくさん使う公共事業というのに重点は置かれていなかったように思います。小泉政権になりまして公共事業の重点を、資材をたくさん使う公共事業よりも人、人間をたくさん使う公共事業というものに切りかえていったということでございまして、そのことは、大型の公共事業をセーブして、小さい、地域開発の、本当に生活に密着したそういう公共事業に切りかえていったということが一つ。
それからもう一つは、公共事業と、それから公共的施設とございますね、その施設との区別をしておりましたけれども、公共的施設の方に十分な公共的財源を振り向けていってそれを整備したいということでございまして、その一つとして、病院であるとか保育所であるとかそういう福祉関係のもの及び教育関係の研究所、そういうようなものに重点を置いた、それを新しい公共事業への切り口として使っておる、こういうことであります。
○佐々木(憲)委員 塩川財務大臣は、予算委員会の1月25日の答弁で、従来型公共事業からの転換ということをおっしゃっていまして、「従来型の公共事業というものは一体何なのかといいますと、よく言われております長期計画でございますね、今、公共事業として16本の長期計画がございますが、その長期計画に入っておらない公共事業、これを重点に今回配分したということでございます」、こういう答弁をされていますし、財務金融委員会では、1月28日に、従来型公共投資を重点にやらないと言っておるんです、従来型公共事業というのは長期計画につけて行っておる公共事業であって、16本ほどございます、今回は、それで、その範囲ではないものを重点的にやる、こういうふうにおっしゃっていましたけれども、これはそのとおりですね。
○塩川財務大臣 それは先ほど申したことであります。
それで、やらないという理由は、そこをちょっと間違うたらいかぬので、前倒しをして、公共事業を積極的に補正予算で組んでやるということはいたしませんということでございまして、年次計画にきちっとありますものは、これは国民との約束でございますし法律で裏づけされておりますのでそれはやりますけれども、従来の補正予算は公共事業の前倒しで、それで賄っていた、そういうことはやらない、こういうことでございますから、意味を間違わないようにしていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 ということは、従来型の長期計画に基づく事業はそのままやるということですか。
○塩川財務大臣 年次計画が終わるまではそのとおりやります。年次計画が大体14年度で、ことしで終わりますので、新しい長期計画については、計画はしていただきます。ビジョンとしての計画は、中長期のものをしてもらっても結構ですけれども、それに対する、従来のように予算の裏づけをした法律化にしてもらうということは、これはお断りします。
○佐々木(憲)委員 つまり、長期計画に基づく公共事業というのは従来型の公共事業であるとおっしゃったわけですよね。それで、長期計画に基づく公共事業は、それはそれとしてやるんだということになりますと、何も従来と変わらないんじゃありませんか。それで長期計画に基づく公共事業というのは、では全体の、今回予算にどのぐらいの比率あるんでしょうか。
○塩川財務大臣 正確な予算上の比率は、私は今ちょっと資料を持っておりませんのでわかりませんが、公共事業全体で年間、今39兆、38兆でございましょうか、そのうちの相当数、3分の1ぐらいは計画による公共事業ではないかと思っております。計画で公共事業というのは全部で16本ございますけれども、このうちほとんどが全部、計画と同時に年次の予算の割り当てをきちっとしてしまっておる。これが財政硬直化の原因になったし、またこれを使って補正予算の前倒しをやるということを、これはやらないということを言っておるのでございますから、そこは理解していただきたい。
○佐々木(憲)委員 政府予算の今年度予算を見ますと、全省庁の公共投資関係費、これが9兆2525億4200万円、(塩川国務大臣「国だけでしょう」と呼ぶ)これは国だけですね。国直轄ですね。それで、この中で国土交通省と農水省というのは87%、約9割ですよね。この農水省、国土交通省、つまり政府が直接予算の権限を持っているこの部分で、長期計画に基づいて組まれている部分は、農水省は98・7%、ほぼ100%近いのですよ。それから国土交通省は8割ですね。ですから、合わせまして、全体としていいますと83・36%が、今資料をお配りしましたが、長期計画に基づく公共事業なんです。
ですから、これを根本的に変えるのか変えないのかというのが今問われているわけでありまして、塩川財務大臣が、従来型公共事業ではなくて、もっと別な方向に転換するんだとおっしゃいましたが、そうしますと、この長期計画そのものをこういう縛りをなくしていく、もっと柔軟に考えなきゃならぬ、そうしないと、これはどうにもならぬわけです。この点は、大臣、どのようになされるおつもりでしょうか。
○塩川財務大臣 今、佐々木さんのおっしゃるとおりですよ。それを、法律で財源を縛ってしまうから、金額を縛ってしまうから硬直化してしまうので、縛らない。けれども、いろいろな公共事業が、将来に向かってやはり国土の整備あるいは地域の開発ということに、地域の住民の関係がございますし、また国土の均衡ある発展という意味からいって実行していかなきゃなりませんので、そういうビジョンとしての計画はそれぞれやっていただいたら結構ですけれども、そのビジョンに基づいて予算の裏づけまで法律化してしまうのは困る。それは従来のような公共事業ではやらない、こういうことを言っております。
○佐々木(憲)委員 今年度予算を組む場合も大臣は同じようなことをおっしゃって、結果的には呼び方を多少変えた程度で、全く同じような8割、9割が長期計画に基づく予算になっております。ですから、そういう点でいいますと、どうもいろいろなことをおっしゃるんだけれども、実際にやっていることは余り従来と変わらないばかりか、従来型をちょっと味つけを変えて継承しているという程度のものにしかすぎないというのが、実態の数字、これを見ますとはっきりしているわけです。
そういう点で、我々が、こういうことではなくて、本当にこの長期計画そのものをやはり抜本的に見直して、そして国民の生活に関連のあるところに重点的に配分し、全体として公共事業予算の圧縮を図っていく、そういうことをやらないと、財政の再建にも国民生活の再建にもつながらないんだという点を申し上げまして、時間が参りましたので、以上で終わりたいと思います。
関連ファイル
- 【配付資料1】公共事業一覧(一般会計分)(pdf)