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金権・腐敗政治 (閣僚等の疑惑, 鈴木宗男議員疑惑, 政治資金規正法の改定)

2003年06月23日 第156回 通常国会 予算委員会≪構造改革問題等集中審議≫ 【212】 - 質問

「政治とカネ」問題で小泉首相と論戦 与党の法改正案は“献金隠し”の改悪案

 2003年6月23日、予算委員会で、NHKの中継入りで「構造改革問題等集中質疑」が行われ、佐々木憲昭議員が、小泉総理大臣らと「政治とカネ」問題で論戦をしました。

 与党3党は、6月18日、政治資金規正法改正案を取りまとめ、衆議院に提出しました。この出発点になったのは、昨年の鈴木宗男衆院議員の事件をはじめ、「政治とカネ」の問題があいつぐなかで、公共事業受注企業からの与党への政治献金が、「税金の環流」として問題になったことでした。
 ところが、今回の与党案には、公共事業受注企業からの献金規制は、まったく盛り込まれていません。佐々木議員は、小泉総理が昨年来、公共事業受注企業からの政治献金を禁止することについて、「そういう問題も含めて検討したい」、「一歩でも前進するような措置を講じたい」と答弁していたことを指摘し、小泉総理の対応をただしました。
 小泉総理は、「特定の事業者に限定することなく、一律に規制をかけることがいいだろうということで規制を設けた」と答弁しました。これを受けて佐々木議員は、一律に規制をかけたという与党案の内容が、これまでの政治献金の公開基準を後退させていることを独自の分析にもとづき、明らかにしました。

 与党案の柱のひとつは、政党支部への献金の公開基準を、現行の5万円以上から24万円以上(毎月2万円以上で年24万円以上)に引き上げることです。
 佐々木議員は、松浪健四郎議員の場合、阪南市の暴力団関連会社から2000年に18万円受け取っており、2001年に6万円受け取っていることを指摘し、「与党案のように公開基準を24万円以上にすると、毎月2万円以下の会費のような形で振り込むようにしたら、まったく見えなくなってしまう」と述べ、公開基準の引き上げを批判しました。
 これに対し、小泉総理は、「何でも制限すればいいというものじゃない」「政党の努力、政治家の努力を奨励するようなことも考えていい」と述べました。
 現行の公開基準は、企業団体献金の規制を強化し個人献金中心に変えていくために1994年の改正で100万円から引き下げ、5万円以上としたものです。佐々木議員は、「公開基準を5万円にしたことによって、違法献金を防ぐことができる」として、森前総理が、補助金の決定を受けいてる複数の医療法人から政治献金を受け取っていたことが国会で指摘され、政治資金法違反と認めて返却している例や、鈴木宗男衆院議員の北方四島とアフリカ支援事業をめぐる献金の実態を示し、「これが24万円以下にすれば全部隠れてしまう。いままでの規制の方向とまったく逆行して、逆流をつくるものだ」と小泉総理の姿勢を批判しました。

 さらに佐々木議員は、今回の与党案に合意し、法案を自民党などと共同提案している公明党が、最近まで24万円への引き上げに反対し、「非公開基準の引き上げは時代に逆行する」(4月5日付「公明新聞」主張)などと述べていた事実を指摘。「時代に逆行することをどうして認めるのか」と公明党から入閣している坂口厚生労働大臣の考えをただしました。
 坂口大臣は「それは党のほうに聞いてもらいたい」「全体としてみればこれはひとつの進歩ではないかという結論であったというふうに私は聞いている」などと答弁。佐々木議員は、「支離滅裂な答弁だ」と述べ、朝日新聞が「自民党と一緒に長く与党暮らしを続けるうちに、自民党のあしき文化に染まってしまったのだろうか」と社説で書いていることを指摘し、「企業献金をヤミに隠すような法案を公明党が推進するという。これは異常な事態だ」と公明党の対応を批判しました。
 あわせて佐々木議員は、小泉内閣の閣僚の2001年分の企業献金のうち、24万円以下の分を月別会費として振り込むようにすれば、民間人出身を除く15人の閣僚の企業団体献金件数が、現行の5割から9割が見えなくなってしまうことをグラフで示し、「ほとんど国民の目から隠してしまう」と与党案の内容を批判しました。

 与党案のもうひとつの柱は、政党支部に対する献金の上限を年150万円としたことです。これは、政党本部への献金は対象にならないため、自民党の資金管理団体である国民政治協会への献金は、何の新たな規制も受けません。
 しかも、政党支部にたいする献金実態に照らせば、政党支部に対する献金規制としても、何の実効性もありません。佐々木議員は、小泉内閣の各閣僚が代表を務める政党支部について献金の実態を調査した表を示し、2001年分で150万円以上の献金を受けているのが、15人中、片山総務大臣が4件、坂口厚労大臣が1件、鴻池構造改革担当大臣が3件のたった3人であることを指摘。「大臣でさえ、ほとんど引っかからない。痛くもかゆくもない。総理もひっかからない。これでは、ほとんど効果がないではないか」とただしました。
 これに対し、小泉総理は、「手続きも簡略化しよう、わかりやすくしようということでいいんだと思う」と述べました。
 佐々木議員は、野党4党が共同で、「公共事業受注企業の政治献金禁止」法案を国会に提出していることを示し、公共事業受注企業からの寄付を常時禁止すること、企業・団体献金を受けられる政党支部を制限し届け出制にすることなど、野党案に盛り込まれている内容を実現するよう、小泉総理に求めました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 政官業癒着の構造をどう改革するか、これも重要な改革の課題でございます。私は、昨年2月にムネオハウスを取り上げました。あれから1年半近く経過をいたしました。鈴木宗男議員が逮捕されて、6月19日でちょうど1年であります。しかし、政治と金をめぐる事件というのは後を絶ちません。昨年は、公共事業の口きき疑惑に関連して加藤紘一元自民党幹事長、井上裕前参議院議長が議員を辞職しました。ことしに入っても、自民党の坂井隆憲議員の巨額やみ献金事件、自民党長崎県連の違法献金事件、松浪健四郎議員の暴力団系企業からの秘書給与肩がわり問題などが相次いでおります。
 小泉総理にお伺いしますけれども、与党自民党の金権体質というのは全く変わっていないんじゃないでしょうか。その責任についてどのようにお感じなのか、まずお伺いしたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 これから、選挙もいずれ1年以内に行われる段階に入ってまいりました。それぞれ、政党にしても候補者にしても、資金づくりに苦労しているのはわかりますが、これは、選挙に金がかかり過ぎるんじゃないか、政党活動に金がかかり過ぎるんじゃないか、これに対して、どのような規制と、同時に、どのように浄財を国民からいただくかということを、両面から考えなきゃならないと思っています。
 そういう面において、今までの不祥事、こういうことが起きないように、今、各党で政治資金の使い方、集め方、両方考えなきゃならないということで、各政党それぞれなされていると思いますが、私は、今国会中に政治資金のあり方についても、一歩でも二歩でも前進するような措置を講じたいということでやっておりますし、現在でも、与党で法案を詰めて、既に提案、今提案の準備を進めていると思います。そこで御議論をいただきまして、資金の規制のあり方と、それから国民から資金の拠出をいただく方法について、どういうあり方がいいかということについて議論を進めていきたい、また必要な措置を講じていきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 昨年の通常国会で、私は、公共事業受注企業からの与党への政治献金というのは税金の還流であり、税金の横流しだというふうに指摘をしまして、総理に、せめて公共事業受注企業からの政治献金を禁止すべきではないかというふうに提案をいたしました。それに対して総理は、そういう問題も含めて検討したいと述べられました。
 ことしの本会議で、これは2月4日の本会議ですけれども、総理はこういうふうに答弁をされておられます。「公共事業受注企業等からの献金については、野党四党から改正法案が既に国会に提出されている一方、現在、自民党においても検討を進めているところであり、一歩でも前進するような措置を講じたいと考えております。」このように答弁をされているわけですが、この公共事業受注企業からの献金の規制、これはどうなったんでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 今、政治資金の法案につきましては提出されております。その中でまた議論が始まると思いますが、私がこの公共工事の規制に対しまして言ったのは、規制の対象となる公共工事の定義、あるいは受注事業者の範囲についていろいろあいまいな点が残るということで、今回、特定の事業者に限定することなく、一律に規制をかけることがいいだろうということで、規制を設けたわけであります。
 私は、こういう点について、やはり多くの献金する側、受ける側、この規制がはめられましたけれども、規制の趣旨にのっとって、この範囲内で資金を提供していただく。また、受ける側もこの趣旨をよく理解して受け取り、そして法律違反のないように、この趣旨に沿った形で政治活動が行われるように今後一層理解と協力を得なきゃならぬと思っております。
○佐々木(憲)委員 小泉総理は当初、国民の税金を使って仕事をする会社からの献金を規制する何らかの方策を打ち出そうとしていたかに見えました。自民党内に有識者懇談会を設置しまして、議論が行われたと聞いております。政官業癒着をどう断ち切るか、あれだけ大問題になったわけでありますが、しかも国民の多くは、税金を使って仕事をする会社からの献金はやめるのは当たり前じゃないか、こういうふうに言っているわけであります。にもかかわらず、公共事業受注企業からの献金規制という肝心かなめの問題については、どうも具体的な方策が出てこない。
 一律というふうに言いますけれども、それ自体も、後で具体的に検討しますけれども、全く大きな穴があいたままで、ほとんど規制がないんですよ。結局、総理が公共事業受注企業からの献金を何とかしようという話をされたんだけれども、結果としては出てこなかった、具体策が出てこないというのが現状でございます。
 与党が提案している、政治資金規正法の改正案が提案されていると言いましたが、どんな内容が盛り込まれているかというのを次に問題にしたいと思うんですが、一つは、政党支部への献金の公開基準、これを引き上げたという問題であります。
 これまでは公開基準は5万円以上になっておりました、5万円以上ですね。今度の提案では、政党支部への献金の公開基準を5万円から24万円に引き上げる、こういうふうにされているわけであります。こうなると、今まで見えていたものが逆に見えなくなってしまう、隠れてしまうということになるわけです。
 具体的に、ではどういう影響が出てくるのかということでありますけれども、例えば松浪健四郎議員の場合、阪南市の暴力団関連会社から2000年に18万円受け取った、2001年に6万円受け取っております。こういうことを知ることができるというのは、公開基準が5万円以上だからであります。これを与党案のように24万円以上ということにしますと、毎月2万円以下の会費のような形で振り込むようにすれば、全く見えなくなってしまうんです。
 松浪議員は議員をやめておりません。まことに私は問題だと思いますけれども、この法案の、法案がここにありますけれども、この賛成者の中に松浪健四郎という形で、この法案の賛成者になっている。自分を守るための法案なのかと言わざるを得ないですよ。このような問題献金まで、公開基準を24万に引き上げるとそういう結果をもたらす、これはそういうふうになるんじゃないでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 これは見解の相違でして、1年間に5万円一挙に献金しようということになると、5万円以上は名前を出さなきゃいけない。しかし、こつこつこつこつ1月、毎月、会費制で、定期的に会員になっている、この政党を応援したい、この政治家を応援したいという人もいるわけです。
 そういう人に対して、月2万円程度だったらば、別に特別の利益を期待して、見返りを期待してやっているんじゃないだろうと。やはり自分の応援している人、あの人に応援している、この政党に応援しているのがわかると、いろいろまた個人の問題で、あの人に献金してどうしておれに献金しないのかとか、あの政党に献金してどうしてこっちの政党に献金しないのかということがわかるのが嫌だという人は結構いるんです。そうして、それだったらば、一挙に5万円以上だったら名前を出してもらいますよ、1年間ですよ、しかし、毎月2万円、これはむしろ献金を奨励しているという形でならばいいのではないかと。何でも制限すればいいというものじゃないですから、私はそう思いますよ。
 やはり献金する側、奇特な方ですよ、企業にしても、地元の、お金何にも要らないというお金持ちならいいですよ、そうじゃないんだから。みんな票をお願いしながら、頭を下げながら、またお金を出してください、足りませんと、みんな努力しているじゃないですか。そういう人に対して、果たして月2万円が過大なのかどうか。月2万円出してくれる人はありがたいですよ。しかし、中には、一人のだけに応援するんじゃなくて複数の人に応援したい人もいる、そういう立場の人も考えてあげるというのが、私は、政党政治を育てるのは国民しかいませんから、税金で全部やれといったらこれは大変ですよ。そういうことも、政党の努力、政治家の努力、そういうことをやはり奨励するようなことも考えていいんじゃないでしょうか。
○佐々木(憲)委員 まあ、とんでもない答弁をしたものだと思いますね。
 細川内閣のときに、1994年ですが、それまでの100万円から5万円に企業献金の公開基準を引き下げたんです。なぜそういうことをやったかといいますと、企業・団体献金の透明度を高めるということでやったわけですね。全体として企業・団体献金の規制を強化して個人献金中心に変えていこう、これが5万円にした趣旨だったわけであります。それをまた見えなくして企業献金をどんどんふやしていく、献金しやすいようにしよう、これは全く流れに逆行する態度だと言わざるを得ないと思います。
 もう一つ、この5万円にした効果というのは、違法な献金を防ぐという役割があるわけですね。現行の政治資金規正法では、国からの補助金等の交付の決定を受けた会社等は、1年間、政治活動に関する寄附をしてはならないとされております。これに違反していた事例がこの国会でも何度となく指摘をされて、現実に是正をされてまいりました。それができるのは、5万円以上の公開基準があるからなんです。
 例えば、森前総理は、3年前に、補助金の決定を受けている複数の医療法人から政治献金を受け取っていたことが国会で指摘されました。法に触れるということになるということで、本人も認めまして、これは返却したわけです。その金額は、毎月5千円ずつ年間6万円とか、あるいは1万ずつ12万円。5万円以上の公開基準があるから、法に触れるような問題もこのように明らかになって是正されていくわけであります。これが24万円以上になると見えなくなってしまう、つまり違法献金が見えなくなってしまうというのが、これが実際の効果なんですよ。
 例えば、ここにパネルを持ってまいりましたし、同じ資料を配っていただきたいんですけれども、昨年、鈴木宗男議員に対する北方四島あるいはアフリカ支援事業の公的な受注企業、これがどういう献金の仕方をしていたか。例えば犬飼工務店、96年、97年、98年、99年、全部12万円です。あるいは、その下に書いてある会社は24万円、これは会費制でこういう形になっているというのは十分想定されるわけです。しかも、アフリカ向けのこの関係会社から、経済援助関係会社から鈴木議員に対して献金が行われる、これは全部12万円、24万円ですよ。会費制という形はとって、こういう形で鈴木議員にお金が入っている。これが、24万円以下が全部見えなくなる、全部隠れてしまう。これは改革ではなくて、完全に逆行している。しかも、奨励するためだ、企業献金はどんどん奨励するんだと。これは、幾ら何でも、総理大臣の今までの規制の方向ということと全く逆行して、これは逆流をつくるものだと言わざるを得ません。
 そこで、坂口大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、あなたは公明党から出ている大臣ですけれども、公明党は、公開基準を5万円から24万円に引き上げるということに反対していたんじゃないんでしょうか。
○坂口厚生労働大臣 150万というふうに上限ができたということは、私は、一つの今までよりもこれは成長したことだというふうに思いますし、それから、月々2万円ずつという、これは振り込み制度にするわけでありますから、ちゃんとそれだけの足跡を残すということになるわけでありますので、それはそれなりに私は意味のあることだというふうに思っている次第であります。
○佐々木(憲)委員 いや、私が聞いたのは、今までは反対してきたのではないかと聞いているんですよ。
 例えば、ここに公明新聞のコピーがありますが、「政治献金 公開基準引上げ反対」、はっきりこれは述べているわけであります。「政治資金の透明性を高めるというのも、政治資金規正法改革の柱の一つだから、公開基準を引き上げることは反対だ」、はっきりこういうふうに書かれているわけであります。しかも、今紹介したのは5月29日でありますが、例えば5月28日では「企業献金公開基準 引き上げに反対 公明が主張 政治資金改革に逆行」、それから、ほかの日付の新聞を見ますと、公明新聞ですけれども、「企業献金 公明、公開基準の緩和反対」と、ずうっと今まで反対論を展開してきているわけです。そのことを、事実を聞いているわけです。
○坂口厚生労働大臣 共産党と違いまして公明党にもいろいろ意見がありまして、それはさまざまな意見がありますから、そうした反対意見もあったことも事実でありますから、そういう意見がそこに出されたんだというふうに思います。しかし、最終的な結論としては、与党三党で合意をするということになったわけであります。
○佐々木(憲)委員 いろいろな意見ではないんです。公明党が公式に、代表である神崎代表がはっきりと記者会見をして、「公開基準引上げ反対 記者会見で神崎代表」と、これははっきりとした、個人の意見じゃありませんよ、党としての正式の見解じゃありませんか。しかも、冬柴幹事長も、公開基準の緩和反対とはっきりと記者会見でもこのように述べているわけであります。
 つまり、公明党の例えば「主張」を見ますと、4月5日ですけれども、「非公開基準の引き上げは時代に逆行する。」と。時代に逆行するということをどうして認めるんですか。
○坂口厚生労働大臣 それは党の方に聞いてもらいたいと思いますけれども、先ほど申しましたとおり、いろいろの意見があることは事実でございますが、総合的に判断をして150万という上限ができたことは一つの進歩、そして、そうしたことと一つセットにして、月2万円までの振り込みということを条件にして24万という数字が出てきたわけでありますから、そうしたことを全体として見れば、これは一つの進歩ではないかという結論であったというふうに私は聞いております。
○佐々木(憲)委員 まあ、本当に支離滅裂な答弁で、振り込み制にしたら、どうしてそれがオーケーになるんですか。振り込み制にすることによって公表しなくていいわけですから、不透明にするという制度をつくったということに賛成をしたということになるわけで、本当におかしいと思いますね。
 坂口さんにお聞きしますが、大体、この5万円以上という公開基準は細川内閣のときにつくったんですよ。坂口さんと神崎代表は、二人が閣僚に入っていたんですよ。自分で決めたわけです。今度は、自民党とくっついたから、それを平気でひっくり返す。これはおかしいじゃないか。
 だから、朝日新聞はこういうふうに書いているんです。「理由はどうあれ、今回の妥協はあの頃の公明党の姿とは結びつかない。考えたくないことだが、自民党と一緒に長く与党暮らしを続けるうちに、自民党のあしき文化に染まってしまったのだろうか。」こういうふうに皮肉られておるわけです。
 だから、私は、企業献金をいわばやみに隠すような法案を公明党が推進するという、これはまことに異常な事態だというふうに言わざるを得ないと思います。このやり方をしますと、ますます企業献金が国民の目から隠されてしまうということになるわけであります。
 先ほどから、大体、これをやると透明度がどのくらい隠れてしまうのかというので、ちょっと試算をしてみたんですが、例えば小泉内閣の閣僚の皆さんが、これを実際に適用すると、例えば24万以下を月別会費として振り込むというようになったと想定をすれば、2001年の企業献金というものが、このように赤い部分が隠れてしまうわけです。5割から大体9割以上隠れる形になるわけです。このようにして、ほとんど国民の目から隠してしまうという形になる。
 先ほどから、150万円で規制があると言いましたけれども、この150万という規制は、確認をしますけれども、党の本部に対する献金というものは150万の対象になるんでしょうか。
○片山総務大臣 それはならないと思います。
○佐々木(憲)委員 つまり、本部に対する献金は今までどおりで、資本規模に応じて、750万から1億、それはそのままなんですよ。何の規制もないんですよ。150万というから、党本部に対する規制まであるかのような印象を受けますけれども、実際は、完全にこれは抜け穴なんですよ。幾らでもできる。しかも、150万に実際になった場合にどういう効果があるか。ほとんど規制がないんです。
 小泉総理に聞きますけれども、総理は、政党支部に対する、神奈川県第11支部ですが、この1年間で150万を超えた献金はありますか。
○小泉内閣総理大臣 私、一々調べたことがないからわからないです。
○佐々木(憲)委員 私が調べましたら、ありません。150万以上はありません。
 それから、福田官房長官はいかがでしょうか。150万以上、ありますか。
○福田内閣官房長官 それほどたくさん集めていないと思いますので、ないと思います。
○佐々木(憲)委員 福田官房長官も、これ以上のものは政党支部としてはないと。
 それから、石原行革担当大臣は、2001年、これ、いかがでしょうか。
○石原規制改革担当大臣 詳細なデータを持ち合わせておりませんので、わかりません。
○佐々木(憲)委員 石原大臣はありません。
 鴻池大臣、構造改革担当大臣、鴻池さん、それから片山総務大臣、いかがでしょう。
○鴻池構造改革特区担当大臣 共産党の資料のとおりではないかと、私、詳しいことはわかりません。
○片山総務大臣 何か私には通告があったようでございますので、平成13年ですか、2001年、私は、4社、1136万円であります。
○佐々木(憲)委員 今このように、政党支部、各大臣が代表を務めておられる政党支部について調べてみましても、この黄色い部分は全然ひっかからないわけであります。大臣でひっかかるのは、片山総務大臣が4件、坂口大臣が1件、鴻池構造改革担当大臣が3件、たった3人です。大臣でさえほとんどひっかからないわけですから、これは痛くもかゆくもない。総理もひっかからない。こういう状態であります。
 これは、150万にしたからといってほとんど効果がないんじゃありませんか、総理。
○小泉内閣総理大臣 750万円から1億の資本金によって選別するよりもわかりやすく、どんな資本金があっても150万に制限しようということで、むしろ手続も簡単にしよう、わかりやすくしようということでいいんだと思います。
 150万円あったから、その額に動かされて、左右されるような政治家、政党じゃないと思います。
○佐々木(憲)委員 750万から1億は政党本部に対しては何の規制もないんですから、これは規制はかからないんですよ。しかも、政治家の政党支部の規制150万にしても、ほとんどかからないんです。
 ですから、自民党の中からも、これは参議院議員の世耕弘成議員ですけれども、こう言っているんですね。今や150万もの多額の献金をしてくれる企業はめったにないので、上限は余り意味がないという趣旨のことをおっしゃっている。今回の与党案については、こういうふうに自民党の中からも効果がないと言っている。
 東京新聞の社説を見ますと、「自民党の場合は事実上、政治家一人ごとに政党支部がつくられている状態だ。政党支部をさらに増やすことも可能で、これに公開基準の緩和が加われば、特定の企業と政治家の癒着が進む恐れがある。」こういうふうにはっきり書いているわけであります。
 私は、これは非常に重大だと思うんですね。改革が進まないだけではなくて、逆に、国民の目から企業献金が見えなくなる。
 これに対して、今、野党四党共同してこの国会に、公共事業受注企業の政治献金禁止法案を出しております。ところが、与党はまともに審議しないで、全然審議の対象にしない。これは本当に私は問題だと思う。直ちに、これは真っ先に、野党が先に出したんですから、野党案から審議すべきだと思うわけであります。
 野党案の内容は、現在選挙では禁止されている公共事業受注企業からの寄附を常時禁止する、それから、企業・団体献金を受けられる政党支部を制限し、届け出制にする、こういうことをはっきり盛り込んでいるわけであります。ですから、改革と言うなら、こういう内容にすべきものだと私は思うわけであります。
 本来ならば、こういう方向で改革を進めなければならないんだけれども、どうも今の総理の御発言をお聞きしておりますと、昨年来、新しい方向に規制を強化する、国民から見て、鈴木宗男議員のような事件が二度と起こらないようにしたい、だから制度的に改善したいということは、口ではおっしゃっているんだけれども、しかし、丸投げをして、実際に出てきた案というのはどんどん後退をしていく、これが今の実態だと言わざるを得ないんです。
 今回のやり方というのは非常に異常でありまして、本来、6月18日で通常国会は終了するはずでありました。ところが、これを40日間延長する。イラクの占領米軍に自衛隊を派遣するという憲法違反の法律を通すためだ。本当にひどいものであります。どさくさに紛れて企業・団体献金の規制を骨抜きにする、こういうとんでもない法案を出して、これをやるんだということですから、私は、こういうやり方は絶対に容認できないということを申し上げておきたいと思います。
 総理は、こういう点について真摯に耳を傾けて、やはり、これが今の限界だとすれば、もう小泉総理にもおやめになっていただかなければならないということを最後に申し上げまして、質問を終わります。

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