2009年04月23日 第171回 通常国会 議院運営委員会 【514】 - 発言
自民・公明が憲法審査会の規程案を提出、日本共産党を代表して反対意見を表明
2009年4月23日、自民・公明の与党は議院運営委員会で、憲法改定原案の審査権限を持つ憲法審査会の規程案を提案し、趣旨説明を行いました。
規程案が議決されれば、改憲案づくりをすすめる舞台が国会で動き出す重大な事態になります。
規程案は、審査会の委員数を50人、表決は出席委員の過半数とし、閉会中も審査できるとしています。改憲原案の審査では公聴会の開催を義務付けています。規程案が正式に提案されたのは初めてです。
佐々木憲昭議員は各党の意見表明で、2007年5月に改憲手続き法を強行した安倍内閣は、その直後の参院選挙で国民から「改憲ノー」の審判を下されたと指摘。「(改憲手続き)法に定める『審査会規程』が未整備であるというなら、手続き法そのものを廃止すべきだ」と主張しました。
自民党は、「国会での憲法論議が停止状態に陥り、立法府の不作為がこれ以上続くのは看過できない」などと主張。「憲法審査会は民主党も認めていたのに規程を認めないのは不可解」とのべました。公明党は「国民投票法の施行まであと一年だ。憲法記念日までに不正常な状態だけは解消すべきだ」とのべました。
民主党は、「与党の態度はあえて憲法を政争の具にするパフォーマンスだ」とのべ、「憲法審査会の規程制定に反対したことは一度もない」とくりかえし強調しました。
小坂憲次議運委員長は、規程案の議決に関しては引き続き協議するとし、27日には中山太郎前衆院憲法調査特別委員長(自民党憲法審議会長)を呼び、説明を受けるという日程を職権で決めました。
議事録
○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、自民、公明両党から提案された憲法審査会規程案についての動議に反対の意見を表明します。
今、国民は憲法改正を求めておりません。したがって、改憲手続を整備する必要は全くありません。改正国会法には、憲法審査会は、改憲を目的とした憲法の調査を行い、憲法改正原案を審査し提出する機関であると定めています。一方、3年間施行が凍結されていた国民投票法の解除が1年後に迫っています。
このもとで与党が審査会を一刻でも早く始動させ、改憲原案づくりに着手し、国民投票法施行後には改憲原案の国会提出がいつでもできる仕組みをつくり上げることをねらったものであり、断じて容認できません。
提案者は、改憲手続法が成立して2年たつのに憲法審査会が発足していないことを問題だと言いますが、そもそも、改憲手続法は、当時の安倍政権のもとで自民党などが目指す9条改憲の政治スケジュールに沿って強行成立させられたものであります。慎重審議を求める圧倒的多数の国民の声を無視し、審議も不十分なまま、数の力で強行採決を行い、憲政史上に重大な汚点を残したものであります。
しかも、その内容は、国の最高法規である憲法改正は主権者である国民の意思が最大限に酌み尽くされることが不可欠であるにもかかわらず、投票率がどんなに低くても国民投票が成立し、有権者の2割台の賛成でも改憲案が通る仕組みとなっているなど、徹頭徹尾、改憲推進勢力に都合よくできているのであります。こうした安倍政権に対して、国民は07年参議院選挙で、改憲ノーの審判を下したのであります。
このような法律に定められた審査会規程が未整備であることを問題にするのなら、むしろ、手続法そのものを廃止すべきだと言わなければなりません。
2年前、安倍総理は、時代にそぐわない条文の典型は九条であると公言しました。改憲手続の整備を主張する側の一貫したねらいが、憲法九条を変えて日本を海外で戦争をする国につくり変えようとする点にあることは、明々白々であります。
しかし、どの世論調査を見ても、憲法九条を変えよという声は少数であり、九条を守れという声が多数なのであります。
ところが、自民党などの改憲勢力は、一方で9条改憲を主張しながら、現実には、イラク、インド洋などに米軍戦争支援の自衛隊派兵を次々行い、今、海賊対処を口実に新たな海外派兵を進めているのであります。9条違反の実態を積み重ねていることは、全く許しがたいことであります。
さらに、憲法の上から看過できない重大問題が発生していることに注意を向けるべきであります。拡大する貧困のもとで、憲法25条の生存権が保障されない人々が急増している現実です。政治に求められているのは、貧困と格差の拡大に対して、雇用を確保し、働く権利を保障し、社会保障の充実を図り、すべての人々が健康で文化的な生活ができるようにすることであります。そのためには、憲法を変えるのではなく、九条、25条を初め平和と人権の保障を目指す日本国憲法を生かすことこそ求められているのであります。
このことを強調し、意見表明を終わります。