2009年04月22日 第171回 通常国会 財務金融委員会 【513】 - 討論
金融商品取引法改定案等について討論
2009年4月22日、金融商品取引所と商品取引所の相互乗り入れなどを盛り込んだ金融商品取引法改定案が財務金融委員会で、自民、公明、民主などの各党の賛成で可決しました。日本共産党は反対しました。
佐々木憲昭議員は採決に先立つ反対討論で、「(取引所間の)相互乗り入れが可能になれば、事実上、金融資本市場と商品先物市場の垣根はなくなる」と指摘。「商品先物市場に大量の投機マネーが流入しやすくなり、原油や穀物価格が多大な影響を受けることが懸念される」と主張しました。
佐々木議員は、これらの規制緩和が「ヘッジファンドなど内外の機関投資家らにとって、投機的活動を広げることになる」と指摘。「投機マネーの規制強化を促進する国際的な潮流にも反する」と強調しました。
また、この日の委員会では、電子マネーなどの資金決済手段に利用者保護制度を設ける資金決済法案が全会一致で可決されました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党を代表して、議題となりました金融商品取引法改正案の修正案に賛成、修正部分を除く原案に反対、資金決済法案について賛成の討論を行います。
まず、金融商品取引法案についてです。
この法案により、金融商品取引所と商品取引所の相互乗り入れが可能になれば、事実上、金融資本市場と商品先物市場の垣根はなくなります。金融資本市場に比べて極めて規模の小さい商品先物市場に大量の投機マネーが流入しやすくなり、原油や穀物価格が多大な影響を受けることが懸念されます。
商品取引所を通じて商品先物市場に大量の投機マネーが流入したことが、2007年から2008年夏に原油、穀物などの高騰を招き、世界の経済や国民生活に多大な被害と混乱をもたらしました。商品取引所は現物の需給を踏まえた価格形成が目的であり、多額の投機マネーの流入は、こういった商品取引所の機能を損ねることになります。
金融商品から多様な商品デリバティブまでワンストップサービス化を進める本規制緩和は、ヘッジファンドなど内外の機関投資家らにとって投機的活動を広げる利便性の向上となるだけで、投機マネーの規制強化を促進する国際的な潮流に反するものとなります。
法案には、金融ADR制度の創設など前進面もあり、それをさらに充実させる修正部分もあります。その部分については賛成です。しかし、部分的に修正、改善されたとしても、以上述べた基本部分が変わっておりませんので、法案全体については反対します。
次は、資金決済に関する法律案についてです。
本法案は、急速に普及し始めた決済手段を規制するための法整備を目的としています。現行の前払式証票規制法、プリペイドカード法で規制の対象としている前払い式手段にサーバー型を新たに加えることや、銀行以外にも為替取引を認めるかわりに、登録制の資金移動業者を新設することなどを考慮して規制の網をかける内容となっています。
利用者、消費者保護の観点から、規制外で拡大する資金決済システムに規制をかける本法案には賛成です。
ただし、金融審議会等で、運送業界やコンビニ業界から強烈な反対論が主張され、運送会社の代引きやコンビニの収納代行などの資金決済手段の適用については結論が出されず、法案は一部骨抜きとなりました。利用者の安全性、利便性にもかかわることであり、今後、法の実効性ある運用が求められることを指摘しておきます。
以上で、討論を終わります。