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その他 (国有財産, 刀剣協会の不正問題)

2009年04月14日 第171回 通常国会 財務金融委員会 【508】 - 質問

国有財産に関連して刀剣類について質問

 2009年4月14日、佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で、財団法人・日本美術刀剣保存協会(佐々淳行会長)の収蔵庫で、大量の刀剣が発見された問題を取り上げ、文化庁の責任で調査することを求めました。

 2月に発見された391本の刀剣は、銃刀法による登録がされているか不明のもの。国有財産となるべき赤羽刀(戦後、米軍が接収し、返還された刀剣類)の一部と見られています。文化庁の高杉重夫文化財部長はこの日の質疑で、このほかにも新たに200本の刀剣が発見されたことを認めました。

 佐々木議員は「届け出、登録して所有しなければ銃刀法違反に問われかねないものだ」と強調。警察庁の園田一裕長官官房審議官は、「警察へ届け出ず、所持し続けていた場合には、不法所持になる場合がある」と、銃刀法違反を認めました。
 「協会による無届けの刀剣の放置は、あってはならない」と指摘した佐々木議員に、園田長官官房審議官は「現在、警視庁で事実関係を確認している」と答弁。高杉文化財部長は「調査し報告するよう協会に求めている」と述べました。
 佐々木議員は、まともな調査をしていない警察と文化庁の対応を批判し、「独自調査をすべきだ」と迫りました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 提案されている二つの法案のうち、まず金融商品取引法改正案についてお聞きをしたいと思います。
 前提として与謝野大臣の認識を確かめたいのですが、昨年、原油ですとか穀物がどんと高騰いたしました。その原因は、投機資金が金融市場から商品市場に流入したというのが大変大きな原因だと私は思いますが、大臣はどういう御認識でしょうか。
○与謝野財務・金融担当大臣 昨年夏まで、原油、穀物が急騰した。これについては幾つかの説明がなされております。一つは、中国など高度成長国における原油あるいは穀物等の需要の高まり、それから世界的な景気変動等の循環的要因、それから戦争、内乱等の地政学的リスク、あるいは、商品先物市場への投資資金、あるいは投機資金と呼んでもいいんですけれども、これが流入した、こういうさまざまな理由で説明されております。
 例えば、ニューヨークの原油市場の規模というのは、あそこに一気に投機資金が流れ込んだんですけれども、その当時は8兆円か9兆円の非常に小さい市場だったわけでして、そこに何兆とか何十兆のお金が一気に流れ込んだという、いわばニューヨークの原油市場は賭博場と化したと言われていることで、やはり、そういう投機資金というものが暴れ回ったということは事実だと思っております。
○佐々木(憲)委員 私も非常に似たような認識を持っておりまして、金融市場というのは非常に規模が大きいわけでありまして、世界じゅうに資金が瞬時に移動するような状況であります。商品市場というのは特定の、原油だけではない、穀物もいろいろありますが、規模としては非常に小さいわけであります。そこに一気に金融資金のごく一部でもどんと入っていけば、ひとたまりもない。どんと高騰する。その結果、日常生活品が大変暴騰するという形になって、いわば庶民が打撃を受けるわけであります。
 そういう意味では、この反省の上に立って、今、市場のあり方をどうするかというのが国際的に議論されているというふうに私は思います。
 そこで、具体的に聞きたいんですけれども、日本政府として、例えば国際会議、さまざまな金融の会議があります、そこで投機に対する具体的な規制策、これを提起したことがあるのかどうか、あるいは国内で具体的な措置をとったことがあるか、これについてお聞きしたいと思います。
○与謝野財務・金融担当大臣 佐々木先生の御指摘の点につきましては、先般のロンドン・サミットでも、ヘッジファンド等への登録制導入が合意されるなど、規制、監督の範囲の拡大について前向きな成果があったと我々は考えております。
 サミットに至る準備過程では、日本としては、ヘッジファンドの規制、監督のあり方について、一つは透明性の向上、一つは規制の実効性の向上、一つは国際協調の強化を主張するなど、金融危機再発の防止や金融システムの強化に向けた議論に積極的に参画してきたつもりでございます。
○佐々木(憲)委員 積極的に参画されたということなんですけれども、日本政府としてもっと前向きに積極的な規制策の提起というものをすべきだと私は思うんですが、どうもそこが余り見えないような感じがいたします。
 この法案に即してお聞きしたいと思いますが、金融商品取引所と商品取引所、この垣根を取り払って一体で経営ができるようにする。そうなると、投資家が一つの取引所に加盟するだけで、金融商品の取引も商品取引も両方可能になる。そういう意味では、こういう取引をしたい、両方やりたいという方にとっては、あるいはそういう基金なり企業にとっては、利便性は高まるかもしれない。しかし、この部分は規制緩和の方向だと私は思うわけです。
 やはりこれまでの教訓から考えますと、金融と商品というものがきちっと分離されていなければならないわけでありまして、これがこの法案では、投機を規制するよりも、両方、垣根を取り払って、金融と商品に資金が自由に出入りできる。こうなると逆ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○谷本金融担当副大臣 お答えいたします。
 取引所の相互乗り入れにつきましては、取引所の取扱商品の多様化を図り、公正で利便性の高い市場基盤を整備するものであり、取引所の市場規模の拡大や取扱商品の多様化による収益基盤の安定を通じて、取引所の経営基盤の強化に資するものと考えております。
 なお、相互乗り入れに当たっては、監督当局間の一層の連携を通じて、両市場の適切な監視、監督に努めることとしており、両市場をまたいだ不公正取引の監視強化にも資するものと考えております。
 また、今通常国会に提出されている商品取引所法の改正法案においては、商品市場における透明、公正な取引を確保するための規制を強化する等の措置を行うものと承知しております。
○佐々木(憲)委員 収益基盤の強化とか利便性の強化ということが先行されて、規制がおろそかになっているんじゃないかという疑問を持っておりますので、この問題については、具体的な法の中身に即して引き続き議論をしていきたいと思っておりまして、あすもこの委員会が開かれますので、そこで具体的に質疑をさせていただきたいというふうに思います。
 さてそこで、きょうは、残された時間、少し話題をかえまして、国有財産の管理の問題についてお聞きをしたいと思っております。
 財政赤字が非常に拡大していく中で、国有財産の売却というものがこの間進められてきました。私は、国民の共有財産であるべきこの国有財産を安易に民間に売り渡していいのかというのをずっと前から疑問に思っておりまして、やはり国有財産は、国民の共有財産として公共的な役割を果たすように活用すべきだ。ただ売ればいい、一時的に資金が入るかもしれないけれども、しかしそれは、将来、国民にとってマイナスになるのではないかというふうに思っております。
 まず与謝野大臣に、こういう国有財産の売り渡しというのをどんどんやっていくことについてどのようなお考えをお持ちか、お聞きしたいと思います。
○与謝野財務・金融担当大臣 何か、あるものをみんな売って売り食いしろという感じがあって、これは宮沢喜一先生に言わせるとタケノコ生活だ、こういう表現もあるわけでして、私は、国有財産、不用なものは売却するということはあり得ても、財政のために国民の貴重な財産を売るということは必ずしも賢明なやり方ではない、そういうふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 具体例として、接収貴金属等の処理に関する法律というのがありまして、この点についてお聞きしたいんですが、戦後、占領軍によって接収された貴金属が日本政府に引き渡されるということがありました。この法律によって、それまで、この貴金属は私のものですということで申し出をして、本人のものであると確定した場合には本人に返す、しかし、それがはっきりしないものは国に帰属させる、つまり国有財産とする、こういうことを規定した法律であります。
 確認したいんですけれども、国庫に帰属させた金額、これは幾らになるのか、その後売却された金額は幾らか、現在、残高はどうなっているか、お聞きをしたいと思います。
○中村政府参考人(財務省理財局次長) お答え申し上げます。
 占領軍により引き渡されました貴金属等のうち、先生がおっしゃいました接収貴金属等の処理に関する法律施行の際、同法第11条の規定に基づきまして、同法に基づく返還ができず国に帰属されたものは、金地金約7トン、銀地金約1053トン等でございます。
 これらについての金額につきましては、当時の法令上、台帳に記載する必要がないとされていましたことから、現存する帳簿には金額が記載されておらず、現時点では、大変申しわけございませんけれども、金額はわからない状況でございます。
 なお、この接収貴金属等につきましては、昭和35年度から平成12年度までの間の売却等によりすべての処理が完了しておりまして、現在、国が接収貴金属として保管しているものはございません。
 なお、売却等の金額は約250億円でございます。
○佐々木(憲)委員 接収されたものは全部売却されて何も残っていない、タケノコが全部むかれてしまって何もないということであります。
 もう一度聞きますが、接収されたものの一部が何らかの理由で後で発見されたという場合は、その貴金属というのはどういうふうに扱いを受けるわけですか。
○中村政府参考人(財務省理財局次長) お答え申し上げます。
 占領軍に接収されました貴金属等につきましては、政府が連合国占領軍から引き渡しを受け、先生がおっしゃいました接収貴金属等の処理に関する法律に基づいてこれを被接収者等に返還し、残余のものについては国が処理してきたところでございます。
 これらの接収貴金属等は、占領軍に管理されている間に、溶解あるいは混合される等により形状、数量の変動を生じたものがあるものの、結果的に、平和条約の発効後にすべて返還されたものと理解しておりまして、御指摘のような事態は想定はしておりません。
 したがって、御指摘のような事態は、民法の特別法として制定されました接収貴金属等の処理に関する法律のいわば射程外の問題であるというふうに理解しております。
 したがいまして、具体的にそういう話が仮にあったとすれば、それは、具体的な事実関係に即し、民法等の一般の民事関係法令に照らして処理されるべきものであると考えております。
○佐々木(憲)委員 平成7年に、接収刀剣類の処理に関する法律という、これも似たような名前の法律がつくられました。これは自民党の山中貞則議員を中心に議員立法として提案をされまして、全会一致で、我々も賛成してこれが国会を通りました。この法律に基づきまして、戦後占領軍に接収された経緯のある刀剣類、刀、やり、なぎなた、そういうものでありますが、これが国有化されたわけです。
 まず、当時、何本国有化されたのか、これを文化庁に確認したいと思います。
○高杉政府参考人(文化庁文化財部長) 先生御指摘の接収刀剣類の処理に関する法律の規定によりまして、これは施行が平成8年の2月1日でございます、そして、この法律の対象となった刀剣類は4576本でございます。そして、同法第四条の規定に基づきまして、最終的に旧所有者へ返還した七本を除く4569本、これが国に帰属するということになりました。
○佐々木(憲)委員 第二次大戦後、占領軍が日本の武装解除の一環として、一般国民が持っていた数十万本の刀剣類を接収したわけです。その大部分は破棄されたり海外に流出したりしたと言われておりますが、それを免れた刀剣類は、東京都北区赤羽にありました米軍第8軍兵器補給廠に集積されておりました。そこに集積された刀が赤羽刀と呼ばれているわけです。
 昭和22年に、そのうち美術的価値があるものについては日本側に引き渡されたわけであります。その引き渡された先は一体どこなのか、それが国有化される以前に管理していたのはどこが管理していたのか、これを示していただきたい。
○高杉政府参考人(文化庁文化財部長) 昭和22年に返還された刀剣類、これは、当時の国立博物館、現在は独立行政法人の東京国立博物館になっておりますけれども、そこに引き渡されまして管理がなされておったものでございます。
○佐々木(憲)委員 まず、この赤羽刀の数字を確認したいんですけれども、昭和24年4月に国家地方警察本部がつくった、進駐軍より返還させられた刀剣類作者別分類目録というのがあるそうなんですね。この目録に記載されたのは何本でしょうか。警察庁、お答えいただきたい。
○園田政府参考人(警察庁長官官房審議官) 議員御指摘の目録でございますけれども、これにつきましては確認できない状況でございますので、お尋ねの内容についてはお答えすることができない状況でございます。
○佐々木(憲)委員 これは極めて奇妙なことでありまして、私が専門家に聞いたところによりますと、この目録に掲載されている刀剣の数は4460本と聞いております。
 それでは、「赤羽刀」というこういうリーフ、これは文化庁がつくったわけですけれども、平成12年につくられました。ここには何本と書いてあるんですか。
○高杉政府参考人(文化庁文化財部長) 平成12年につくりました「赤羽刀」というリーフレット、ここには、「集積されていた数十万本の中から約5500本が選定され、旧所有者に返還するまでの間、国立博物館を保管場所と定め、昭和22年12月1日に搬入された。」と書いてあります。
○佐々木(憲)委員 5500ということが書かれているわけです。
 平成7年にできた、先ほど言った接収刀剣類の処理に関する法律に基づいて平成8年8月29日付の官報に掲示された赤羽刀の数、これは何本ですか。
○高杉政府参考人(文化庁文化財部長) 平成8年8月29日、文化庁名で、接収刀剣類の種類、形状及び作者名及び接収刀剣類返還請求書及び提出先に関する官報告示を行いました。この官報告示によって示した本数というのは、4576本でございます。
○佐々木(憲)委員 全然数字が合わないんですよ。これは、文化庁が5500と言っているんですね。官報は4576本なんですよ。どうしてこんなに差があるのか。
 なぜ私がこんな数字を問題にするかといえば、これは、国有財産として一体どれだけ国に帰属するかどうか、そこにかかわる大変重要な数字だから聞いているわけであります。こんなに数字が違うのは非常におかしいというふうに私は思います。
 それで、3月24日、先月ですけれども、朝日新聞の夕刊に、財団法人日本美術刀剣保存協会の収蔵庫から、銃刀法で義務づけられている登録がなされているかどうか不明の391本の刀が見つかったと報道されました。これはどういうものなんでしょうか。本来国に帰属するはずだった赤羽刀の一部ではないかと言われておりますが、その可能性は否定できないんじゃありませんか。
○高杉政府参考人(文化庁文化財部長) このたび、日本美術刀剣保存協会で発見されました刀剣につきまして、当該法人に対して、これがどのような由来であるのかということについて調査をして私どもの方に知らせるようにということでお願いをして、現在調査をしていただいているというところでございます。
 なお、先ほど数字が合わないというお話がありましたけれども、実は、約5700本のうちから、所有者が判明をして返したという記録のあるものが1132本ございます。そうしますと、おおよそ5700本と、1132本を引きますと4500本余に数字としてはなってくるというようなことを考えております。
○佐々木(憲)委員 数字の問題は、まずそこからいきますと、5500本というふうに文化庁は書いたわけですから、今5700本というのは、どうして700になるんですか。それが一つと、それから、この数字というのはいろいろな数字が出てくるわけですよ。余りにもばらばらで、何が本当なのかがよくわからない。まあ、その問題はもういいです。
 それで、3月に発見されたこの新たな391本という刀、一体これは何なんだろうと。本来なら、こういうものは届け出て登録して、じゃないとこれは所有できないものですよ。銃刀法違反ということにもなりかねない。
 無届け、無登録で刀剣類を所持していれば、これはどのような法律の違反になるのか、罰則はあるのか、警察庁、お答えいただきたい。
○園田政府参考人(警察庁長官官房審議官) お答え申し上げます。
 お尋ねのような場合が銃刀法に違反するかどうかということにつきましては、個々の事案の事実関係に基づいて個別に判断する必要がございますけれども、一般論として申しますれば、銃刀法の規定に基づく登録または許可を受けていない刀剣を発見したにもかかわらず、警察への届け出をすることなく所持し続けていた場合には、不法所持になる場合があると考えられております。
○佐々木(憲)委員 不法所持ということは銃刀法違反であり、罰則はどういうふうになっていますか。
○園田政府参考人(警察庁長官官房審議官) 許可なく所持した場合の不法所持の罰則につきましては、3年以下の懲役または50万円以下の罰金ということになってございます。
○佐々木(憲)委員 この美術刀剣保存協会というのは、刀剣類を専門に扱う公益法人なんですよ。無届けの刀剣が長い間放置されていたことは事実でありまして、登録されていたかどうかもまだわかりません。調査中です。
 こういうものがそこにあるということ自体、これはあってはならないものだと思いますが、文化庁はどう考えていますか。
○高杉政府参考人(文化庁文化財部長) 議員御指摘のこのたび発見されました刀剣について、今、その来歴とか詳細について、事実関係の調査と報告を求めております。
 私ども、その内容を踏まえまして、今後とも適切に指導してまいりたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 聞いたことに答えていない。あってはならないものかどうかということを聞いたわけです。
 それでは、この391本以外に、一切ほかにこういうものがないと断言できますか。
○高杉政府参考人(文化庁文化財部長) それにつきましては、それも含めて調査をするようにお願いをしたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 では、これ以外にも可能性はあるということですね。
○高杉政府参考人(文化庁文化財部長) こういうものが出てきたわけでございますから、きちっと調査をするようにお願いをしておるということでございます。
○佐々木(憲)委員 これ以外にもある可能性があるということを認めているわけですが、こういう大量の、要するに刀ですよ、こういうものがいつからこの収蔵庫の中にあったのか。
 収蔵庫が建てられたのはいつですか。
○高杉政府参考人(文化庁文化財部長) この新しい博物館の収蔵庫になりますけれども、これは昭和43年に建てられたと承知しております。
○佐々木(憲)委員 昭和43年に建てられたわけですね。つまり、昭和43年、1968年以降に何者かがそこに持ち込んだ、運び込んだということしか考えられないわけです。刀は、自分で歩いてはきませんから。
 つまり、これはだれでも自由に入れるところじゃないはずです。そういう貴重な刀剣類が保存されている場所、収蔵されている場所ですから。したがいまして、それができるのは、権限のある者じゃないと出入りできない。
 出入りできるのはどのようなレベルの人ですか。
○高杉政府参考人(文化庁文化財部長) それにつきましては、私もつまびらかに聞いているわけではございませんけれども、関係の財団の職員等であろうかと思っております。
○佐々木(憲)委員 財団の職員が自由に出入りできるはずないじゃないですか。そこをあけたり閉めたりする権限を持っている人というのは、特定の、ごく一部の幹部以外いないじゃないですか。
○高杉政府参考人(文化庁文化財部長) 基本的にだれがそこをあける権限を持っているのかということについては、現在の段階では、私どもは承知しておらないところでございます。
○佐々木(憲)委員 こんなことさえ調べていないのはおかしいですよ。文化庁としてまともに管理監督をやっているのかという問題ですよ。
 こんな重大なものが1カ月前に出てきて、一体それはなぜそこにあったのか今調べていただいていると。だれが調べているんですか。協会の中で調べているんでしょう。まず第一、みずからそこに乗り込んで実態を調査する姿勢がない。しかも、性格もよくわからない。だれが管理しているかもわからない。そんなことで監督ができるんですか。
 まず警察庁に伺いますけれども、そういうものがあったということが発見されて、通報を受けて協会に出向いて現場を確認したのは何人の警察官ですか。
○園田政府参考人(警察庁長官官房審議官) お答え申し上げます。
 3月3日に通報を受けまして、本件刀剣類が収蔵されているとされる財団法人日本美術刀剣保存協会に赴いたのは、代々木警察署署員3人との報告を受けております。
○佐々木(憲)委員 最初から3人ですか。一番最初に入ったのは1人じゃないんですか。
○園田政府参考人(警察庁長官官房審議官) 警視庁からは3人という報告を受けております。
○佐々木(憲)委員 私が聞いているところによりますと、最初は1人です。名前も知っております。
 こういう問題を発見し、通報があった場合、通常は複数で行くんですよ。しかし、この場合は一人で行った。現場に行った警察官はどういう確認作業をしたのか。収蔵庫に入って、対象となるものを封印したというんです。
 封印したのは何カ所ありますか。
○園田政府参考人(警察庁長官官房審議官) お答え申し上げます。
 刀剣類を封印したということでございますけれども、これにつきましては、3月3日に代々木警察署員が協会から帰る際に、刀剣類を保管している棚の扉を閉めて、協会関係者がみだりにあけることのないようガムテープを張りつけたものでありまして、警察が3月20日に本件刀剣類を運び出すまでの措置であったという報告を受けております。
○佐々木(憲)委員 3月6日に3人が行った。その前に、今言われたのは3月3日ですね、代々木警察署から、これは1人ですよ、警察官が行って、そして封印をした、みだりに持ち出さないようにということで。
 それを封印したのは、3カ所封印したと聞いております。それは、この協会の幹部であります田野辺氏のコーナー、小林氏のコーナー、それぞれ管理している担当のコーナーなんでしょうね、そこを封印した。もう一カ所は、新しく発見された、つまり隣にある392本の刀剣のコーナー、この3カ所を封印した。そうじゃないんですか。
○園田政府参考人(警察庁長官官房審議官) お答え申し上げます。
 3月3日の通報を受けまして、代々木警察署員が同協会で確認いたしましたのは、この協会の3階の収蔵庫、ここは全国から刀剣審査のために寄せられた刀剣類を保管するスペースと、それからもう一つは協会の刀剣類を保管するスペース、これに仕切られておりまして、本件刀剣類は、同協会の刀剣類を保管するスペースにあるたんすなどの中で発見されたとの申し出でございましたけれども、実際に署員が行きましたときには、協会関係者によりまして、それら最初にあったたんすなどから既に取り出されておりまして、同じスペース内の刀剣類の保管棚に並べられたというような報告を受けております。
○佐々木(憲)委員 警察官が行く前にその協会の関係者がそれをいわば取り出して並べていた、こういう状況ですね。
 封印は3カ所と聞いておりますが、そうなんですか。
○園田政府参考人(警察庁長官官房審議官) 保管棚の扉にガムテープを張ったというふうに聞いておりますけれども、保管棚は幾つあったか、2つについては承知しておりますけれども、3カ所ということは私は報告を受けておりません。
○佐々木(憲)委員 封印には名前が刻印されていなかったですか。
○園田政府参考人(警察庁長官官房審議官) お答えします。
 封印といいますけれども、そこにあったガムテープで棚の扉を張りつけたということでございますので、名前等については承知いたしておりません。
○佐々木(憲)委員 それは、具体的に聞いていないからそういう答弁しかできないんです。
 問題は、その田野辺氏それから小林氏のコーナーがあって、その隣にこの新しく発見された392の、刀剣類という意味では非常に重大なものがそこで発見された。隣ですから、当然、田野辺氏とか小林さんという人はそれを知っていなければおかしいですね。その事情は聞かれたんでしょうか。つまり、前からそこにあったということを当然知っていなきゃおかしいですよ。
 一体、そういうことがきちっと調査されたんでしょうか。
○園田政府参考人(警察庁長官官房審議官) お答えいたします。
 この事案につきましては、現在、警視庁において、発見時の状況あるいは入手経緯等につきまして事実関係を確認しているところでございまして、その結果を踏まえて適切に対処するものと考えております。
○佐々木(憲)委員 そこにあった刀剣類を、今度は警察署に搬送したんですか。事実関係を確認しないうちに何で警察が搬送するんでしょうか。
 現場にどういう状態で置かれているのかというのをきちんと確認して、その原因を突きとめる。それはどういう性格のものであるのか。例えば、そこに新聞紙にくるまれていれば、その新聞紙の日付ですとか、確認するのは当たり前なんですが、どこまでやったのか。
 それから、何で搬送して持ち出すんですか。そういう必要は私はないと思う。登録されているかどうかの確認作業というのは、その場で、これは東京都教育委員会のやる仕事です。極めて不思議な行為だと私は思います。
 これは、こういう指示をしてやらせたんですか。
○園田政府参考人(警察庁長官官房審議官) 刀剣類を運び出した理由についてでございますけれども、これにつきましては、これらの刀剣類につきまして、協会側も入手の経緯がわからないということでございましたために、警視庁におきまして、所有者が明らかでないものについては協会に保管させるのは適当でないというふうに判断いたしまして、警察において保管することとしたものとの報告を受けております。
 これにつきましては、本件については、警察が通報を受けて、先ほど申し上げましたとおり協会に出向いた時点では、既に本件刀剣類が、もともと保管されていた収蔵庫内のたんすなどとは別の棚に保管されていたものでございまして、もともとの保管状況を保全できる状況にはなかったものでございます。
○佐々木(憲)委員 大体、発見された後、協会の関係者がそこから外に、外にといいますか移動させて、もとの状態はどうだったのかということもわからない状況になっていたということ自体、私は非常に問題があると思います。
 それから、経緯がわからないと言っていたと。協会の関係者が何でそこにあるのかわからない、それをうのみにしたんですか。わからないと言ったので、では持っていきましょう、そんなやり方はおかしいですよ。わからないと言っても、例えば、昭和43年以降しかそこは持ち込めないわけですから、その当時、一体どういう経緯だったのか、だれがその収蔵庫を管理していたのか、持ち込むことができる人物というのはどういう人なのか、そんなのはいろいろ調べようがあるじゃないですか。
 私は、この警察の対応の仕方というのは非常に問題があると思います。協会の言うことを何かうのみにして、まともな調査もやらない。これは、銃刀法違反で重大な案件ですよ。そうなりかねないような事態ですよ。それについて、そんな対応をしていいのかという問題がある。
 最後に文化庁に聞きたいけれども、これは警察任せにしないで、文化庁として、一体なぜそういう大量の刀剣があったのか、ほかにもあるかもしれない、本当に責任ある調査を文化庁としてやるべきだ。いかがですか。
○高杉政府参考人(文化庁文化財部長) 私どもも、協会にきちっと調査をして報告するようにしておりますので、それを受けましてきちっと対応していきたいと思っております。
 それと、先ほど議員の方から、ほかにまだないのかというお話がございました。
 実はその後、一部、雑品倉庫から発見されているのがございます。これにつきましては、警察に御相談をしたところ、もう刀剣類としての形状をなしていないので廃棄してくれというようなことでございました。そういうものもあるということについては、一言つけ加えさせていただきます。
○佐々木(憲)委員 文化庁として独自の調査をやるべきですよ。何か、報告を待つとか、調べて報告くださいみたいな官僚的な、まあ官僚だからそうかもしらぬけれども、そんなやり方で実態がわかるわけないですよ。みずから調査をする、調査権限はあるわけです。現に、今までもやったことがある。
 どうですか。当然、乗り込んで調査すべきじゃないですか。最後にそれを答えてください。
○高杉政府参考人(文化庁文化財部長) 必要な指導というのはやってまいりたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 終わります。

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