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その他 (同意人事)

2009年03月18日 第171回 通常国会 議院運営委員会≪聴聞会≫ 【500】 - 質問

人事院・人事官候補と会計検査員・検査官候補の聴聞会で質問

 2009年3月18日、議院運営委員会で人事院・人事官候補と会計検査員・検査官候補から所信を聞くとともに、候補者にたいする各党の質疑が行われ、佐々木憲昭議員も質問しました。

 今回、内閣から提案された人事官候補は、日本司法支援センター理事の篠塚英子氏、検査官候補は会計検査院事務総長の重松博之氏です。
 佐々木議員は、篠塚氏に、公務員の労働基本権制約の代償機能としての人事院の役割が十分に発揮できるかどうか、公務員の争議権、労働契約締結権などを保障する國際労働基準に従った改革を進めるべきだとするILOの勧告についてどう対応するか、などについて聞きました。

 また重松氏には、会計検査院法は内閣に対して独立の地位を有し「常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る」とされているが、実際に是正を図った金額はいくらか、とききました。
 また、ダムや港などの大型公共事業のムダづかいの指摘がほとんどないのはなぜか、人員が足りないのか、姿勢に問題があるのかとききました。
 それぞれの答弁は、前向きの内容が多かったと思います。しかし、具体的な数字などはあげませんでした。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、人事院の位置づけについてでございますが、人事院の最も重要な課題というのは、公務員の労働基本権制約の代償機能としての役割を十分に発揮できるかどうかということであると思います。
 憲法28条が保障する労働基本権、すなわち、団結権、団体交渉権、争議権、これは本来公務員にも保障されるべきものでありますが、現行の国家公務員法は、公務員の地位の特殊性ということを理由にそれを制限しているわけであります。
 したがって、代償機能としての役割を人事院が担い、その上で、政府から独立し、中立の立場で国家公務員の身分、任免、職務、さらに賃金、労働時間などの労働条件を定める役割を担っているわけです。そういう意味で、非常に重要な役割を果たさなければならないわけであります。その立場を踏まえて任に当たられるかどうか、まずお聞きをしたい。
 その上で、具体的なことですけれども、2002年の6月の骨太方針で総人件費抑制というのが打ち出されまして、そのもとで、公務員の定員の一律削減、総人件費抑制政策というのが閣議決定をされまして、人事院がこの政府の方向に沿ったマイナス勧告を行ったということがございました
 本来、中立公平な機関であるべき人事院が、私どもから見ると、政府の圧力に屈したのではないかと思わざるを得なかったわけであります。この点についてどのような評価をなさっているか、お聞きしたいと思います。
 最後に、ILOなどが、日本政府が進めている公務員制度改革にかかわって、監獄職員の団結権ですとか、一般の公務員についての争議権、労働契約締結権を保障することなど、国際労働基準に従った改革を進めるべきだという勧告を繰り返し行っております。
 ところが、今問題になっている国家公務員制度改革では、その点が先送りされたままで、特に労働基本権の回復の問題については先送りということでありますので、私どもは、こういう点はしっかりとした対応が求められていると思いますけれども、その点についての御見解を伺いたいと思います。
 以上です。
○篠塚参考人 佐々木先生、ありがとうございました。
 三点、御質問をいただきました。
 まず最初に、労働基本権に対する代償機能を果たす役割を人事院としては持っている、そのことについてどのように理解しているかという御質問でございました。
 確かに、公務員というものは全体の奉仕者であるというふうに憲法に定められております。一部の省とかあるいは産業とか人々とか、一部の人ではなくて全体の奉仕をするということでありますので、そのためにはさまざまな制約が当然出てまいります。そして、その制約として、もちろん労働基本権そのものは公務員にも付与されておりますけれども、全体のために、全部のためにやらなくてはならないということになりますと、民間の企業のように利潤原理で動いているような形でさまざまな人事の条件をクリアすることはできません。そういう形で、それらの制約がある労働基本権に関する代償の役割を果たすとして人事院は設置されたというふうに理解しております。
 ですから、内閣の下に位置づけられますけれども、独立して中立的な第三者機関、ある意味では、準司法的な機関というふうに言ってもいいかと思います。そのように位置づけられておりますゆえに、ある省あるいはある関係機関のところのために公務員が働くことはないというふうな独立性だと思っております。中立的な形で機能を果たすという形では、やはり人事院というものはどうしてもなくてはならない存在だろうと思います。
 そして、そのような公務員の、国全体のサービスをするサーバントである人材の人事管理をしたような指標、目標、数値などは、関係した組織についても利用されます。私自身がおりました日本銀行などにおきましても、やはり人事院の勧告によればというふうでありましたし、国立大学法人お茶の水女子大学におきましても、さまざまな決定をする場合には、人事院の決定によりますとこのようになっておりますということで、やはり参考にいたします。
 そのようにして、国をつかさどる日本全体の大事な仕事をする公務員の人事管理などを保障し、そしてそれを守る組織としての人事院という組織は非常に大事なものであり、そこで仕事をする人たちも身を律して働かなければならないというふうに理解しております。
 二番目の御質問であります、2002年6月に総人件費の抑制が閣議で決まり、そしてこれがすべてのスタートでありますけれども、公務員も長らくマイナスの給与の勧告がなされておりましたけれども、それに対しては、人事院は中立という立場であるならば、必ずしも政府の言ったことどおりでなくてもいいのではないかというように承りましたけれども、それについてどう思うかというふうな御質問でございました。
 もとより、2002年というのは、小泉内閣になって、そして経済が一番厳しいときでした。財政ももう目いっぱい出しておりましたし、金融政策も、ほとんどもうゼロ金利から量的緩和に打ったときでございました。民間は既にリストラをし、そして職員の解雇までいっておりました。その過程で、派遣、非正規雇用がふえたというプロセスがあります。
 公務員が何もしないわけにはまいりません。それは、先ほど所信表明でも申しましたように、人事院のあり方、人事院というのはどういうものかといったときに、組織としては、やはり外部の動きを見て、そしてそれらも参考にしながら政策をとっていく組織であるというふうに申し上げましたけれども、世の中全体がそのような厳しい中で対応しているとき、民間が既にそのようにやっているときに、国が何もしないわけにはいかない。公務員であったとしても当然でありましたし、この選択は私はやむを得なかったんではないかと思っています。
 そうであるから、例えば民間が本当に景気がよくなり、そして給与水準も上げられるような状況になったならば、それらを反映して、速やかに人事院はそれらのデータも集めて、そしてしかるべく中立的な、民間と平衡感覚を持って勧告をするような動きになるのではないかというふうに私自身は認識しております。
○小坂委員長 少し簡潔にお願いします。
○篠塚参考人 済みませんでした。
 三番目に関しましては、現在、確かに公務員法の改革の中では先送りになっておりますが、この問題に関しましては、私自身はまだ勉強している最中でございまして、今現在はやむを得ないかなと思っております。
 いずれにいたしましても、これに取り組んでいくということについては、人事院の中からは御説明を伺っております。
 以上です。
…中略…
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 会計検査院の役割というのは非常に大きなものがありまして、憲法第90条で「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。」と規定されているわけです。
 会計検査院法は、この憲法上の規定に基づきましてつくられており、「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」と。そして、「常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。」というところまで書かれているわけであります。
 先ほど、指摘した総額が1250億円という話でございましたが、このうち、実際に是正を図った金額というのはどのぐらいあるのか、あるいは件数、もしおわかりになりましたら教えていただきたいと思います。
 それから、検査院法の中には、「検査を受けるものに帳簿、書類その他の資料若しくは報告の提出を求め、又は関係者に質問し若しくは出頭を求めることができる。」大変大きな権限が与えられているわけでありますし、「検査の結果国の会計事務を処理する職員に職務上の犯罪があると認めたときは、その事件を検察庁に通告しなければならない。」こういう権限が与えられているわけであります。
 振り返ってみますと、今まで、ゼネコン汚職ですとか、あるいは最近では防衛省の官製談合の問題ですとか、こういう問題が繰り返されてまいりましたけれども、会計検査院として摘発したのは、こういうものの中にはなかったのではないかと思うわけです。
 それから、無駄遣いという点でいいますと、大きなダムですとか、港ですとか、橋ですとか、なかなかそういうもののチェックというものがしっかり行われてきたとは言いがたいと思うわけです。
 そこで、こういう問題について、なぜ、いわば大きな課題にこの役割が発揮できなかったのか。人手が足りないのか。あるいは、検査のやり方も、肩越し検査を改めるというようなことも言われていますけれども、果たして姿勢に問題があったのか。あるいは、例えば抜き打ち検査というようなことをやる、そういう姿勢があったのかないのか。
 こういう今までの検査院のあり方ですね、その点をしっかりと今の時点で洗い直す必要があるのではないか。そういう姿勢がおありかどうか、お聞きをしたいと思います。
○重松参考人 質問ありがとうございます。
 まず第一点目の御質問でございますが、1250億、これは指摘額ということで総称されておりますが、その中にはさまざまな要素がございます。税金がちゃんと取れなかった問題でありますとか、まさしく無駄遣いというのもございます。
 無駄遣いという中にも、これは無駄な工事をしてしまったというのもあるわけでございます。つまり、劣悪な工事をしてしまったというのもあるわけで、それも金額に入っているわけです。これは、もちろん工事の是正をするというようなことでございます。
 したがって、取れなかった税金については改めて取りますし、払い過ぎたものについては戻してもらう、不十分な工事については手直し工事をしてもらうというようなことでやっております。
 あと、例えば財産の管理ということで、財産の管理が不十分だったというような場合には、これは、きちっとした管理をやってもらうという形で、管理体制を整えてもらうという金額も入っているわけでございます。
 したがいまして、まことに申しわけありませんが、その区分をきちっとした上で御説明をすればいいと思いますが、私ども、指摘をした場合はフォローアップをきっちりやっていくということにしております。
 例えば、補助金でございますれば、きちっとこれは調書をとりまして、年度末までにどういう処置がとられたかということを集計しながら、ウオッチをしております。もちろん、100%毎年やられるわけではございませんで、いろいろな事情があるということで、100%には年度末では完結はしないわけでございますが、完結するまでしっかりフォローアップするという体制でやっておるつもりでございます。
 数字についてお示しできないのは残念でございます。またこれは改めて御説明をさせていただければありがたいと存じます。
 それから、第二点目の問題でございます。
 告発については、先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、これまで、そちらまでなかなか手が回らないというようなこともございましたし、限られた人員の中で難しかったという問題もありますけれども、それはそれでいいというわけでは決してございませんので、厳しい環境の中ではございますが、さまざまな工夫をしながら、あるいは司法当局とも、そこら辺、どういったやり方があるのか、意見交換しながら改善をしてまいりたいと考えております。
 さらに、ダムとか巨大な事業、これについても、これまで検査報告で、重要な問題があるものについては積極的に指摘をしてきたつもりでございます。もちろん、先生御指摘のようにまだまだ不十分だということであろうかと思いますが、その点は、これからも工夫しながら積極的に取り組んでまいりたいと思いますので、ひとつ御理解のほどをお願い申し上げたいと思います。

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