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金融(銀行・保険・証券)

2009年03月13日 第171回 通常国会 財務金融委員会≪日銀報告質疑≫ 【499】 - 質問

日銀報告への質問「国際金融危機は日本にも責任」

 2009年3月13日、財務金融委員会で日本銀行報告にたいする質疑が行われ、佐々木憲昭議員も質問しました。

 国際金融危機の原因のひとつとして、金融における規制緩和を背景に投機的体質に変容を遂げた金融機関の行動に大きな問題があると指摘しました。
 G20(20カ国・地域による金融サミット)でも、具体化が議論される見通しである国際的に活動する金融機関に対する監視強化という流れにそった対応を求めました。
 白川方明日銀総裁は「金融機関が適切な経営をおこなっていくためには、規制・監督が必要だ」と答えました。 
 佐々木議員は、日米の金利差を利用し、円を調達してドルで運用するという「円キャリトレード」が、アメリカに対して大量の資金を供給したことを紹介し「日本の低金利政策が、世界的な金融危機の大きな原因になったのではないか」と迫りました。
 白川総裁は「(世界的な低金利という状況の中に)日本の低金利を含むのはその通り」と述べ、「日本の政策も影響があった」と認めました。
 また佐々木議員は、日銀が銀行に潤沢な資金を供給しているにもかかわらず、中小企業に対する金融機関の貸し出しが低迷している実態を指摘し「雇用や生産など、日本経済の土台である中小企業を直接的に支える日銀としての手だてはあるのか」とただしました。
 白川総裁は「日銀としては流動性の供給、政府は金融機関に対する資本注入という枠組みで対応している」と従来の政策を繰り返すにとどまりました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まずは、国際金融危機への対応についてお聞きをしたいと思います。
 きょうからG20財務大臣・中央銀行総裁会議というのが始まろうとしているわけですけれども、前回のG20では、金融危機がこれ以上深刻化しないようにという観点から、各国の協調等が合意された。同時に、新しい特徴として、国際的に活動している金融機関に対する監視を強めるという方向が出された。これは、今までにない新しい方向だと私は思ったわけでございます。
 その具体化が、4月のG20でいろいろな合意が図られようとしている。ですから、今回のG20というのは、それに向けた一つの中間的な議論が行われるんだろうというふうに思いますけれども、このG20に向けて、日銀として、どのような姿勢で何を提案するつもりであるのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
○白川参考人(日本銀行総裁) お答えいたします。
 まず、今回のG20では、昨年11月サンパウロで開かれました前回の会合に引き続きまして、緊張が続く国際金融資本市場と大幅に悪化している世界経済の現状と先行きをめぐって、活発な議論が行われるというふうに思います。また、各国が実施、検討している政策対応や国際的な金融システムの安定に向けた規制、監督のあり方についても率直な意見交換がなされるというふうに考えています。
 日本銀行からは西村副総裁が出席し、最近の我が国の金融経済情勢と、これを踏まえた日本銀行の政策対応について説明することになります。その上で、各国の政策対応について相互理解を深めつつ、世界経済の安定確保に向けた議論に積極的に貢献してもらいたいというふうに思っています。
 今委員が御質問の点の中で、監視を強めていくという話がございました。日本銀行自身はいわゆる規制当局ではございませんけれども、しかし、日本銀行は金融機関に対する考査を行っていますし、それから金融市場を現実に毎日見ております。それから、決済システムを運営しているという立場で、この金融システムの問題は、日本銀行にとっても非常に関係の深い問題というふうに受けとめております。
 したがいまして、このG20の場ももちろん重要なんですけれども、それに向かっていろいろなワーキンググループが実は進行しておりまして、そうした場で、新しい規制、監督のあり方について、積極的に議論に参加をしているというふうに自負をしておりますし、今後もそういうふうにやっていきたいと思っています。
○佐々木(憲)委員 今回の金融危機を発生させた原因をどのように見るかという点についてはさまざまな議論があると思うんですが、私、金融機関のこの10年来の変質という問題が大変大きな要因としてあるのではないかと思っております。
 従来、金融機関というのは、釈迦に説法になりますけれども、本来なら、貸し出して利子を受け取っていくというのが基本の活動でありまして、そこで利益を上げていく、貸出先も、企業が安定して発展していく、相互のそういう関係が基本だったと思うんですね。
 ところが、この間の規制緩和で、例えば証券と金融の垣根が非常に低くなる。アメリカではグラス・スティーガル法というのが緩和されて、そして、銀行と証券が融合し一体となるような複合巨大金融機関というものが生まれる。そういうのが国際的にも非常に大きな力を持って新しい金融商品を開発し、それがさらに組み合わさって派生的な商品が次々と生まれる。これは大規模に取引が行われて、価格がつり上げられて、世界じゅうから資金が吸収されていく、こういう状況が生まれたのではないか。つまり、銀行は、利子をもとにした収入ではなく、それはもちろん基本ですけれども、手数料ですとかトレーディング収入とか、そういうものに頼るような状況になった。それから、ヘッジファンドなどは、この巨大金融機関からの資金を大規模に取り入れる、そういうことも可能になって、ますます投機的な市場というものがつくられていった。
 やはりこういう変化というものを見据えて、それに対してどう対応するのかということをやらないと、なかなか新しい今の状況に対応できないのではないかというふうに私は思うわけですけれども、総裁はどのようにお考えでしょうか。
○白川参考人(日本銀行総裁) 今回の金融危機の発生の原因について、現在いろいろな議論がなされております。もちろん、今コンセンサスが得られているわけではございませんけれども、しかし、だんだん浮かび上がってきた議論の多数説を組み上げていきますと、私は、高成長、低インフレ、低金利という良好な環境が長く続く中で、サブプライムローン問題に代表されるような金融経済活動の行き過ぎが生じ、さまざまな不均衡が積み上がってしまったということが背景にあると。今、その積み上がった不均衡が逆の巻き戻し、修正の過程に入っているということでございます。
 それでは、こうした不均衡がなぜ蓄積したのかということでございますけれども、これはマクロの面とミクロの面、両方に分けて考える必要があると思います。
 今佐々木委員が御指摘のとおり、さまざまな金融機関のいろいろな活動が行き過ぎたということがあると思いますけれども、その背景には、一つは、金融機関がどういう経済環境のもとで仕事をやっていたかということを考えてみますと、やはり経済の実態に比べて低い金利が長期間続いたということが、そういう環境を生み出す一つの要因になったということだと思います。
 一方、どのような環境のもとでも、金融機関は適切な経営を行っていく必要がございます。そういう適切な経営を行っていくためには、金融についてはやや金融の特殊な性格を反映して、やはり規制それから監督というものは大事だというふうに思っております。
 その点では、近年、規制緩和などを背景に金融のグローバル化やイノベーションが急速に進む一方で、市場参加者による金融商品の価値とリスクの適切な評価、ディスクロージャー、それからリスク管理などがやはり十分に機能しなかったという事情があるように思います。この点で大事なことは、金融市場や金融機関が資金の効率的な配分を安定的に行うことができるよう、規制、監督も含め適切な枠組みを再構築していくということが大事だと思っています。
 細かい話は省略いたしますけれども、その際には、個々の金融機関に対する規制、監督の話ももちろん大事ですし、それから金融システム全体として、どこにどういうふうなリスクがあるのかということについて適切に把握するアプローチ、これはよくマクロプルーデンス政策というふうに呼んでおりますけれども、そうしたことが大事だと思っています。
 現在、各国の当局は真剣に議論を行っています。非常に大きな難しい問題であるために、今直ちにすべての問題について答えが出ているわけではありませんけれども、しかし、今回のG20でもある程度の方向性が出てくるということを期待しております。
○佐々木(憲)委員 日本の場合はよく、アメリカ発金融危機の影響を受けたというふうに今の危機の原因を説明される場合があるんですけれども、私は、単に金融危機のいわば被害者のような関係だったのではなくて、実は日本も、この金融危機の大変大きな要因をつくったのではないか、こういう観点も必要だと思っております。
 といいますのは、ゼロ金利政策のような低金利政策、日本が国際的に見て相対的に非常に低い水準を長期にわたって維持した、そのことが、円を調達してドルで運用するといういわゆる円キャリートレードというような状況を大量に発生させて、その資金がアメリカに大規模に供給される。
 その規模がどのくらいかというのは、なかなか計算は難しいと思いますけれども、例えば昨年の日経の7月3日付のコラムには、過去4年間で日本の海外への資金供給は60兆円以上になった、こういうふうに書かれてもおりまして、そういう意味では、あのバブルを発生させた大変大きな要素として、日本の責任は大きいのではないか、こういう指摘もあるわけです。私もそういうふうに思うわけです。
 日本の中央銀行としての低金利政策、これは必要だった、以前そういう御答弁もいただいたことがあると思うんですけれども、しかし、その反面として、このようなアメリカの金融バブルを発生させていった要因をつくったという面もあるんだ、やはり両面をよく見て対応することが必要ではなかったのかと私は思うわけですけれども、この点でのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○白川参考人(日本銀行総裁) 現在の世界的な金融危機の発生の原因につきまして、先ほど申し上げましたとおり、これに先立つ4年あるいは5年の間に世界経済が非常に良好な環境を続けたということが挙げられます。高い成長、低いインフレ、そのもとで低い金利が長期間にわたって続いたということが原因だと思います。
 今御質問の金融政策という面でいきますと、これは世界全体として、そういうふうな金融の行き過ぎが生じた背景に世界的な低金利の持続があったということは、現在、比較的多くの人の同意を得つつある見解だというふうに思います。その世界全体の金利水準の中に日本の低金利も含むということは、それはそのとおりでございます。
 そういう意味で、日本銀行の金融政策も世界全体の金融に影響がなかったかというと、日本の政策も影響はあったと。ただ、これは日本銀行だけではなくて、世界全体がそのような低金利政策を長期にわたって続けたということでございます。
 日本について申し上げますと、日本が低金利といいますかゼロ金利を長く続けたということは、当時の日本経済のことを思い起こしてみますと、企業の過剰債務、過剰設備の解消あるいは不良債権問題、金融システム不安の克服ということが大変大きな課題で、厳しい調整過程にありました。そうした中で、ゼロ金利あるいは量的緩和というものは必要であったというふうに思っています。ただ、そうした政策が長く続くと、またさまざまな弊害を生み出すということは十分に認識しないといけないと思います。
 その点、現在これは世界的に、例えば、改めて2003年以降のマクロ経済を振り返って、あのころは政策当局者あるいは学者の方、マスコミの方もデフレの危険を非常に懸念して、低金利を続けた方がいいという議論が世界的な規模で展開されたわけでありますけれども、しかし、今日こういう事態を迎えたこともまたもう一つの事実でございます。
 そうしたことも含めて、先ほど佐々木委員がおっしゃった、両方の要素を常に考えながらしっかり政策をやっていくべきであるということはそのとおりだというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 世界的な低金利が発生していたことは、発生といいますかそういう状況がつくられたということはそうだと思いますが、日米関係でいいますと、その間、金利差というものがあったと思うんです。そのために、円で調達してドルにかえてドルで運用するというやり方が非常に膨らんでしまったということなので、そういう意味で私は、日本の低金利政策というものがアメリカとの関係でどうだったのかということを、もう一度再検討する必要があるのではないかという問題提起をさせていただいたわけでございます。
 さて次に、中小企業に対する金融の問題について伺いたいと思います。
 先ほどの概要説明をお聞きしておりましたら、中小企業を中心に資金繰りや金融機関の貸し出し態度が厳しいとする先が依然増加するなど、厳しい状況が続いています、こういうふうに説明をされました。
 お配りした資料の一枚目は、日銀短観の最新の資料を載せてあります。昨年の9月の段階では、資金繰り判断、大企業はプラスの15、中堅企業が3。これに対して中小企業は、昨年9月の時点でマイナス11。12月になりますと中小企業はマイナス15というふうに、ますます資金繰りが厳しい、こういうことであります。マイナスがずっと続いているわけですね。
 それから次は、下の方にありますのが金融機関の貸し出し態度ですね。これも9月の時点では、大企業が13、中堅企業が七に対して、中小企業はマイナス3というふうにマイナスになっております。それから12月では、全体としてマイナスが広がっておりますが、中小企業の場合はマイナス9。ますます、中小企業に対して金融機関の貸し出しが厳しくなっているというのが日銀の調査でもはっきり出ているわけであります。
 次のページを見ていただきますと、企業向け貸し出し前年比ですけれども、これも中小企業の場合は、2007年の末ぐらいからマイナスがずっと続いているわけであります。大企業の方はそれに反してプラスが続いている、急速に貸し出しがふえている、こういう状況であります。
 このように見ますと、全体として、大企業向けの銀行の貸し出しというものは比較的順調に行われている、もちろん、最近の厳しい状況というのは多少あるんでしょうけれども。しかし、中小企業は、これに比べますと非常に厳しい状況にある、ますます深刻な事態になっているというのが日銀の統計からも明らかになっていると思います。
 そこで問題は、先ほど来、資金供給は潤沢な状況が続いている、しかもそれをいろいろな角度で、いろいろな手段で補強してきた、こういうことでありますが、肝心の銀行から先、これがうまく回転しない、資金が供給されていないというのが今の実態だと思うんです。
 日銀としては、CPとか社債の買い入れということで、これは異例中の異例という説明をされています。しかし、CP、社債というものは比較的大きな会社が発行するものでございまして、しかも日銀は優良なものを購入する、つまり、日銀の資産を毀損しないようにできるだけ優良なものを買い入れるんだ、こういうふうなことが基本原理だというふうに説明を受けました。
 そうなりますと、銀行から先の貸出先は、中小企業は非常に厳しいんだけれども、大手企業に対しては銀行は一定の貸し出しはやっている、しかも日銀はそこに異例中の異例の支援も開始した、しかし中小企業は一体どうするのか、これが残るわけです。しかも、日本経済にとって一番肝心なのは、雇用にしても生産にしても、中小企業の部分が一番の土台になっているわけでありまして、この中小企業向け融資というものを一体日銀としては、ここに資金を供給するどのような手だてがあるのか、あるいはまだ考えられていないのか、まずその点をお聞かせいただきたいと思います。
○中曽参考人(日本銀行理事) 中小企業向けの貸し出し拡大策として、日本銀行としてどのような策を講じることができるのか、こういう御質問というふうに思います。
 去年の秋のリーマン・ブラザーズの破綻を契機に、金融の環境は大変急速に悪化してございます。中小企業を含みます企業の資金調達環境は、大きくこの中で悪化してございます。こうしたもとで、日本銀行が現在やっております措置でございますが、大きく分けて二種類ございます。
 一つが、潤沢な資金供給を通じた金融市場の安定確保という点でございます。もう一つが、CPとか社債を買い入れることによりますいわゆる企業金融の円滑化措置でございます。この二つの側面から対応をしてきてございます。
 このうちのまず前者、潤沢な資金供給でございますけれども、こちらは、金融市場の安定を確保することによりまして、金融機関が与信活動を行うための資金調達に安心感を与えているというふうに思います。
 もう一つの企業金融、つまり金融機関からCPや社債の買い入れを行うことにつきましては、金融機関の貸し出し余力を拡大する、そういった効果があると思います。つまり、CPとか社債を引き取って、その分銀行のバランスシートに余裕ができる、そういう効果をねらっているものでございます。
 今申し上げましたような措置は、結局、金融機関の与信活動を支えることを通じまして、中小企業向けの貸し出しにも、最終的にはプラスの効果を及ぼすというふうに私どもは考えてございます。
 今、大変厳しい金融経済情勢が続いているというふうに見ておるわけでございますけれども、私どもとしましては、今申し上げましたような措置を活用しながら、企業金融全体の円滑化に向けて全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 今の説明は、先ほど私が自分なりに説明をしたものと全く同じ説明を受けただけでありまして、私が聞きたかったのは、中小企業に対して、日銀としては新たな手だてがあるのかないのかということをお聞きしたわけなんです。どうも今の説明だと、間接的な効果を期待するという程度の説明はありました。しかし、中小企業向けの資金が流れていくような具体的な施策というものはいまだにとられていないというのが、どうも説明だったと思います。
 そこで、具体的に何かできないのかということなんですね。
 例えば、これは全く私の素人考えですけれども、銀行が、非常に資金繰りのきつい中小企業に対してリスクをとる貸し方をする、その銀行に対して日銀が何らかのその場合の支援を行う。これは何ができるかというのはプロがお考えいただければいいと思うんですけれども、もうちょっと直接的な支援というものですね。
 CP、社債というのは異例中の異例でやっているわけですから、もしそういうことをやるとするならば、私は、それはもうやる必要がないと思うんですよ、大企業は。中小企業向けに何をやるのかということこそ、今検討していくべきではないのかというふうに思うんですけれども、総裁のお考えをお聞かせいただきたい。
○白川参考人(日本銀行総裁) 最初に、大企業と中小企業に分けて御説明いたしたいと思いますけれども、大企業向けは、確かに資金の貸し先としては、日本銀行が例えばCPの買いオペを行うというのは、これは大企業に対する資金の提供に実質的になってくるわけでありますけれども、しかし、今大企業の資金需要がなぜあれだけ増加しているのかというのを考えますと、これは結局は、グローバル市場が今急速に落ち込み、売り上げが落ちてきている、これは放置しますと資金繰り的に大企業が苦しくなってくる、その結果、中小企業の方に影響が出てくるということでございます。
 大企業の方が今一生懸命資金調達を行っていくというのは、これは最終的に、企業間信用、大企業から見てそれよりも下の企業に対する信用の供与に悪影響が出る、結局、下請のすそ野が崩れてまいりますと大企業自体に影響が出てくるということで、したがいまして、そうしたことも含めて、実は大企業は資金調達を行っておるというふうに理解しております。
 したがいまして、統計分類上大企業というふうになっているわけでありますけれども、実はそれは大企業の資金需要だけではなくて、傘下の中小企業の借り入れ需要も反映したものだというふうに私どもは金融機関からも聞いております。そういう意味でまず、全然とっていないというわけではございません。
 それから、今委員の御指摘は、より直接的に中小企業に対してできないのかということであります。今、日本銀行は、全国にたくさんある中小企業あるいは零細企業と直接取引をするということはなかなかかなうことではございませんから、どうしてもその意味では、金融機関、企業になります。日本銀行として何かできないかというその何かを具体的に考えますと、これは結局つまるところ、一つは流動性、もう一つは資本であります。
 流動性は、日本銀行はいろいろな手だてを使いまして、金融機関に対して流動性を供給して、まさにその何かを今やっておるということでございます。
 民間金融機関が企業に対しての貸し出しについて仮に慎重になるとすれば、それは、最終的に自分たちに発生するかもしれないロス、損失とそれから自分の体力、その面では自己資本の問題でございます。このことについては、政府は金融機能強化法というものを提出し、先般国会で成立をしたわけでございます。そうした事態に備えて、資本が提供できるという枠組みが用意されております。
 日本銀行は、そういう意味で、日本銀行の流動性の供給、それから政府の金融機能強化法による資本注入の枠組み、こうしたもので今対応しているわけでございます。
 ただ、これ以外に本当に方法がないのかということは、これからも一生懸命考えていきたいというふうに思っています。
○佐々木(憲)委員 先ほどの日銀の調査の結果を見ても、実際には、銀行から中小企業に対してなかなか流れていっていないというのが実態でありまして、この金融機能強化法というような法律も、期待するというようなことで、最終的には国民の税金で穴埋めするような話の法律なので、我々はこれはおかしいと言っているわけです。むしろ、政府系金融機関などが、今のような民営化をせずにちゃんと役割を果たして、一番困っているところに直接融資が行くような形にするのが一番望ましいと私は思うんですけれども。
 そういう意味では、日銀の役割というのはなかなか、靴の裏から足をかくような感じで、銀行に対しての精査が基本ですから、そこから先の実業の企業に対して何かやるというのは非常に難しいことはわかっております。しかし、異例なこともやっておられるわけですから、私は、その異例なやり方の中身が、やはり大企業に対してやるよりも中小企業に何かやる方法はないのか、これは素朴な疑問でございまして、ぜひそういう点も含めて検討していただきたいなと思っております。
 もう時間がありません。もう一点、日本経済の外需依存型の問題をやろうと思ったんですが、もう時間が来たようなので、きょうはこの程度にしておきたいと思います。ありがとうございました。

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