2007年03月16日 第166回 通常国会 倫理選挙特別委員会 【382】 - 質問
辞任した佐田前大臣、収支報告書の訂正せず
2007年3月16日、佐々木憲昭議員は、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で、菅義偉総務大臣に質問しました。
佐々木議員は、政治資金報告書違反で、昨年12月28日に行革担当大臣を辞任した佐田玄一郎衆議院議員が、辞任したときから現在までのあいだに、政治資金収支報告書の訂正をしているか、と聞きました。
これにたいして、菅大臣は「佐田玄一郎政治研究会、佐田氏の資金管理団体である赤城倶楽部、および佐田氏が代表者である自由民主党群馬県衆議院比例区第2支部について、総務省および群馬県選挙管理委員会において確認したところ、政治資金収支報告書の訂正はおこなわれていない」と答えました。
佐田氏は、「不適切な会計処理」をしたということで大臣を辞任したのです。
大臣を辞めざるをえないほどの深刻な「虚偽記載」あるいは「重大な過失」があったというのに、政治資金収支報告書の訂正さえしていません。
辞任した佐田氏は「不適切な記載をした」と認めながら実態を公表せず、それを放置する安倍内閣の姿勢が浮き彫りになりました。
ほんらい「事実を記載し、国民の監視のもとにおくのが政治資金規正法の精神だ。佐田氏がまったく訂正していないのは、この法の精神からみておかしい」と指摘し、大臣の見解をただしました。
これにたいして、菅総務大臣は「総務省に調査権はなく、事実関係の確認はできない。国民の判断にゆだねられる」などと答えました。
佐々木議員は、「間違ったことを書いて訂正もしないなら、何のための公表か。総務大臣自身の姿勢が問われる」と批判しました。
菅総務大臣は、現職の国会議員の資金管理団体が2006年中に届け出た訂正件数が、111件にのぼることを明らかにしました。
法務省によると、政治資金規正法違反で起訴した人数は、2004年13人、2005年24人となっていることが分かりました。
この日の委員会では、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部改正案が審議されました。
この改正案では、投票所の経費、人員配置などの基準を実態に合わせて削減するものです。しかし、実態調査と比べて、町村の場合は削減の数がより大きくなっており、実態調査よりも少ない基準となっています。
佐々木議員は、「町村の経費が基準を大幅に超えるという場合、国は補てんをするのか」と質問。菅総務大臣は、「そう考えている」と答弁しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
提案された法案によりますと、投票所の経費、人員配置などの基準を実態に合わせて削減したということでありますが、実態に合わせるということ自体、私ども、あえて反対するものではありません。
しかし、総務省の案によりますと、実態調査と比べて、市の基準人員はおおむね増減でとんとんですけれども、町村になりますと削減の数がより大きくなっておりまして、実態調査よりも少ない基準となっているわけです。なぜこの町村にしわ寄せをするのか、お答えをいただきたい。
○菅総務大臣 今回の見直しにつきましては、各地方公共団体の実態調査の結果を踏まえた上で、選挙人数の多少に応じた事務量、都市化の度合いに応じた事務量を考慮し、経費の基準として適正なものとなるように見直しを行っているところであります。
具体的には、選挙人数に応じて職員配置をふやしたり、あるいは、都市部では人口移動が多く、選挙人名簿の対照事務量が増すことなどから、町村よりも若干多目に配置する等の措置を講じておるところであります。
一方、町村からの要望にも踏まえまして、事務補助に従事する者の手当の単価だとか、あるいは開票所における人員の配置数について、市区と同じようになるように引き上げを行ったところであります。
今後も、引き続きましてそれぞれの地方公共団体の選挙執行の実態を把握しながら適正な配置基準をつくっていきたい、こう考えております。
○佐々木(憲)委員 もし町村の経費が基準を大幅に超えるという場合、国としては補てんをするということなんでしょうか。
○菅総務大臣 その場合は、そう考えています。
○佐々木(憲)委員 次に、政治資金収支報告書の訂正問題についてお聞きをしたいと思うんです。
最近では、安倍総理の政治団体が記載漏れで訂正をしたとか、久間防衛大臣が秘書給与を企業に肩がわりさせていたことで訂正をした、あるいは野党の中にもそういう話がある。
総務大臣にお聞きしますけれども、政治資金規正法25条の虚偽記載、または27条の重大な過失、これは訂正をすれば法違反は免れるということなんでしょうか。
○菅総務大臣 一般論として申し上げれば、法律違反については、行為時の行為が法的に評価されるべきものであって、収支報告書の訂正をしたからといって過去の事実関係は変わらないものと考えております。
一方、当初収支報告書に記載すべき事項を記載せず提出した場合において、この時点で故意または重大な過失がなければ、後で修正した場合などがあっても罰則の対象にはならないと考えております。
○佐々木(憲)委員 佐田前行革大臣の場合は、不適切な会計処理があったということで大臣を辞任いたしました。つまり、大臣をやめるほど深刻な虚偽記載あるいは重大な過失があったということだと思うんです。
そこでお聞きしますが、佐田氏が大臣をやめてから今日までの間、政治資金収支報告書を訂正する届け出があったかどうか。佐田玄一郎政治研究会、佐田氏の資金管理団体、佐田氏が代表の政党支部について、それぞれお答えをいただきたいと思います。
○菅総務大臣 ただいまお話のありました佐田玄一郎政治研究会、佐田玄一郎議員の資金管理団体であります赤城倶楽部及び佐田玄一郎議員が代表者であります自由民主党群馬県衆議院比例区第二支部について、総務省及び群馬県選挙管理委員会において確認をしましたところ、平成18年12月28日以降、収支報告書の訂正は行われていないところであります。
○佐々木(憲)委員 もともと、事実を記載するということで国民の監視のもとに置くというのが政治資金規正法第1条、第2条の精神であります。この事実をきちんと記載しないということになりますと、これは重大な問題になるわけでありまして、総務大臣はそのようにお考えになりませんか。
○菅総務大臣 政治資金規正法においては、故意または重大な過失により収支報告書に記載すべき事項を記載しなかった者、または虚偽の記入をした者については、5年以下の禁錮または100万円以下の罰金に処する旨の定めがあるところであります。
さらに、会計責任者が不記載ないし虚偽記入により処罰をされた場合、政治団体の代表者がその選任及び監督について相当の注意を怠ったときは50万円以下の罰金に処する旨の定めがあります。
○佐々木(憲)委員 その定めはわかっているんですけれども。事実をきちっと記載する、そのことによって国民の監視のもとに置くというのがこの法の精神ですね。
佐田氏は、非常に重大な間違いがあったということで大臣をやめたわけですから。やめるほどの重大なことなんですから。ところが、全く訂正されていないということは、本来の法の精神からいうとおかしいんじゃないかと私は思うんです。大臣、どうですか。
○菅総務大臣 委員に御理解をいただきたいんですけれども、私ども総務省というのは、実質的な調査権がありませんので、事実関係を確認することはできません。
その上で申し上げるならば、今言われましたけれども、政治資金の収支については、その報告書の公開を通じて国民の監視のもとに置かれておりまして、その是非については収支報告書の内容に対する判断というよりは国民の判断にゆだねられる、このようになっております。
○佐々木(憲)委員 いや、私が聞いたことに全然答えていないんですよ。法律の仕組みは先ほどの説明があったし、今の説明も答えていないですよね。
法の精神は、正確な記載を行うというのが精神であって、それが正確ではないと。佐田氏はその理由で自分でやめたわけですから、極めて重大な過失あるいは虚偽記載の疑いがあるわけですね。ところが、本人は、重大な間違いがあったということを認めながら訂正もしない。これは本当に不誠実な対応だと私は思うんですね。
大臣は、そうしますと、間違ったことを幾ら書いても、それは公表されるんだから後は国民の判断だと。そういうことになると、これは何のための公表なのか、何のための届け出なのかということになるわけで、そういうことが大臣自身が姿勢を問われるということなんですよ。どうですか。
○菅総務大臣 ただ、私ども、実質的調査権というのが法の中に全くありませんので、その事実関係を私どもから確認することも立場的にできませんので、その点については、これは各党会派全く同様でありますので、そのことにつきましてはぜひ御理解をいただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 この法律を所管する大臣としては、非常に姿勢に問題があると私は思いますよ。これは訂正したら済むというものじゃない、これは罰金とか禁錮刑までついている厳しいものであります。
次に、昨年1年間に、現職国会議員の資金管理団体の政治資金収支報告書を訂正したいと届け出があった件数、これは何件ありますか。
○菅総務大臣 総務大臣届け出団体について、現職の国会議員の資金管理団体で平成18年中に訂正願が提出された件数は、延べ111件であります。
○佐々木(憲)委員 法務省に聞きますが、平成16年、17年に政治資金規正法違反で起訴されたのは何件ありますか。また、現職国会議員の資金管理団体については何件ありますか。
○三浦政府参考人(法務省大臣官房審議官) お答えいたします。
平成16年、17年に政治資金規正法違反によりまして起訴をされた人員につきましては、平成16年が13人、平成17年24人となっております。そのうち犯行時に現職の国会議員が起訴された人員につきましては、平成16年は1人、平成17年はゼロとなっております。
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、きょうはこれで終わります。
ありがとうございました。