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金融(銀行・保険・証券) (不良債権処理, 中小企業融資)

2004年01月28日 第159回 通常国会 財務金融委員会≪大臣所信に対する質疑≫ 【219】 - 質問

不良債権処理が新規発生をまねく「負の連鎖」

 2004年1月28日、財務金融委員会で大臣所信にたいする質疑が行われました。
 佐々木憲昭議員は、竹中平蔵金融担当大臣の不良債権処理方針についてただしました。
 佐々木議員は、(1)大手行の不良債権残高は小泉内閣発足直前の01年3月末と03年9月末を比べて変化していないこと、(2)銀行の不良債権の新規発生に歯止めがかからず、債務者の業況悪化悪化による新規発生が続いていること、(3)貸しはがし・貸し渋りが中小企業を破たんに追いやり新たな不良債権を生むという「負の連鎖」が続いていること、を指摘して政策転換で新規発生問題を解決するよう求めました。
 また佐々木議員は、金融庁が設置している「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」が、寄せられた相談に対する回答も行わない不十分なものであること指摘し、抜本的な改善を求めました。

 佐々木議員は、主要行の不良債権残高(金融再生法に基づく開示債権残高)について、小泉政権発足直前(2001年3月末)が18兆円、03年9月末が17・5兆円と変化していないことを指摘。不況・デフレのもとで、中小企業を中心とする新たな不良債権の発生が「繰り返し処理しても終わらない」状態になっていることを明らかにしました。
 金融庁の五味廣文監督局長は「破たん懸念先以下」の債権が01年3月以降、半年ごとに3兆円規模で新規に発生する状況のもと、業況悪化による不良債権が03年3月で10.8兆円に増加している事実を認めました。
 佐々木議員は、国内銀行の中小企業向け貸し出しが01年3月から昨年9月までの間にマイナス20.6%(53兆円減)となっていることを紹介。「金融機関がまともに貸し出しに応じていないのが問題だ。中小企業の切実な声に応えよ」と政府の監督責任を追及しました。
 竹中金融担当大臣は「資金調達の多様化もある。バブル崩壊を調整する最終局面だと考えている」と、ごまかしの答弁を繰り返しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。不良債権処理問題中心にお伺いしたいと思います。
 小泉内閣は、不良債権問題の解決ということを柱にして金融政策を推進されているわけであります。端的に竹中大臣にお伺いしますが、小泉内閣になって不良債権は減ったんでしょうか、ふえたんでしょうか。
○五味政府参考人(金融庁監督局長) 計数で御説明申し上げます。主要行におきます金融再生法開示債権残高すなわち不良債権残高でございますが、この残高を見てみますと、平成12年度が、再生法開示債権残高、主要行で18兆円、13年度末が開示債権残高26.8兆円、14年度末が20.2兆円、そして、15年の9月期でございますが、この時点で17.5兆円というふうになっております。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、小泉内閣発足直前の平成13年3月末、つまり12年度末でありますが、このときは18兆円である、昨年の9月は17.5兆円である。全然変わっていないということになりますね。途中でふえましたが、ふえた分だけ減りました。つまり、小泉内閣が不良債権処理ということで問題を解決したいということを中心に掲げていながら、結局、どうももとのもくあみになっただけではないのかという印象を持っているわけでありますが、竹中大臣、この数字は事実ですよね。
○竹中金融担当大臣 今局長が答弁いたしましたとおり、金融再生法に基づく開示債権残高の推移は事実でございます。この推移についてのお尋ねでございますが、もうこれは佐々木委員御承知の上でお尋ねだと思いますが、14年3月期から例の特別検査を実施いたしました。不良債権問題の終結のためにはまずその不良債権を洗い出さなければいけない、洗い出した上でそれをしっかりとオフバランス化、減らしていこうということでありますので、洗い出した上で、それが14年3月期26.8兆円、それから出発してオフバランス化を進めて、今17.5兆円まで来ているということでございます。
○佐々木(憲)委員 特別検査をやったというのは私も承知しておりますが、どうも、減った減ったということを盛んに強調されているのは余りに一方的ではないのかという感じがするわけであります。
 竹中大臣の当委員会における所信表明でも、「昨年9月末の主要行の不良債権比率が平成14年3月末に比べて1.9%ポイント低下するなど、主要行の不良債権比率を半減させるとの目標の実現に向け、着実に進捗しております。」というふうに述べておられます。これはしかし、平成14年3月末に比べてということでありまして、実は小泉内閣はその前の年の四月に発足しているわけでありまして、どうも起点のとり方が違うのではないか。
 あるいは、小泉総理はさきの施政方針演説でこう言っているわけです。「主要銀行の不良債権残高は、この1年半で9兆円以上減少し、不良債権比率も目標に向け順調に低下しています。」という話をされているわけです。つまり、1年半の話であります。しかし、2年半、小泉内閣の発足直前と比較をいたしますと、数字は何も変わっていない。
 ですから、こういう点を考えますと、どうも、減った減ったとは言いますけれども、小泉内閣になってふやして減らしたというだけであって、何かすごいことをやったということにもならないし、また、先ほどのお話にありましたけれども、実際に、不良債権処理によって大変な貸し渋り、貸しはがしというものが銀行で相当激しく進行しまして、中小企業自身が大変な打撃を受けている。つまり、不良債権を減らそう減らそうとすることが貸しはがしを招いているということでありまして、結果的に、何がよかったのかというと、余りいいことはほとんどない、中小企業にとってはつらい話ばかりが広がったということだと私は思うわけであります。
 問題なのは、中小企業を中心とする不良債権の新しい発生、つまり、小泉内閣発足以前と比べて現在が変化がないということは、処理を相当やっているわけですから、新しく発生しているために残高が減っていないということになるわけであります。
 そこで、お聞きをしたいんですけれども、これも統計を示していただきたいんですが、主要行の破綻懸念先以下債権の新規発生状況、新しく発生した状況、これを半期ごとに発表されていますけれども、2001年3月期以後の推移、その数字を示していただきたいと思います。
○五味政府参考人 主要行における破綻懸念先以下債権の半期ごとの新規発生額を申し上げます。13年3月期3.4兆円、13年9月期3.0兆円、14年3月期6.9兆円、14年9月期2.0兆円、15年3月期3.0兆円、15年9月期3.0兆円。以上でございます。
○佐々木(憲)委員 新規発生額は、今お話を聞きますと、まあ2002年3月期というものは特別検査という特殊要因がありまして突出はしておりますが、ほぼ毎期3兆円台の新しい不良債権というものが発生をしている。これがある限り、全体として不良債権問題というものは終わらないわけであります。
 そこで、大臣にお伺いしますけれども、なぜこの新規発生というものが生まれているのか、その理由をどのようにお感じですか。
○竹中金融担当大臣 これは恐らく、正確な数字は承知しておりませんが、どの国でも不良債権は発生していると思います。不良債権が発生しない国というのは多分ないのではないかと思います。ビジネスをやっている以上、必ずビジネスのリスクが伴いますから、そのビジネスのリスクが顕在化するということ、したがって、それによって不良債権化する。
 しかしその一方で、不良債権が再生されて不良債権ではなくなっているというようなものもございます。そうした企業等についても、特別検査等々の結果を発表させていただいておる次第でございます。
○佐々木(憲)委員 一般的にビジネスリスクがあるということは、それはあるんですよ。しかし、この間、この新規発生というものがどんどんどんどん、毎年毎年同じ3兆円という規模で発生しているわけです、次の年も3兆円、また新たに次の年も3兆円と。これはもうずっと延々と繰り返して発生していっているわけです。ですから、処理をしても、これがある限りは終わらないわけです。
 そこで、もう少しその中身について確かめたいんですけれども、この新規発生のうち債務者の業況悪化によるものの推移、これを示していただきたい。全国銀行ベースで2001年9月期からこれはデータをとっているそうですけれども、直近は2003年3月期ですが、要管理債権のうち業況悪化の分は何兆円あり、危険、破綻構成のうちの業況悪化の分は何兆円、これを、2002年9月期と2003年3月期、それぞれ答えていただきたい。
○五味政府参考人 全国銀行ベースというお尋ねでございます。要管理債権につきまして、平成14年9月期、これは要管理債権全体が、14年3月期に比べて0.3兆円増加しましたが、債務者の業況悪化による要管理債権の増加は2.0兆円でございます。それから、平成15年3月期、この期は、主要行の要管理債権、14年3月期比で0.1兆円の増加でございますが、債務者の業況悪化による増加要因は4.1兆円でございます。それから、危険債権以下、いわゆる破綻懸念先以下でございますが、同じく全国銀行ベース、債務者の業況悪化による新規発生額、14年9月期、3.8兆円。これは14年3月期比でございます、3.8兆円。それから、15年3月期、同じく6.7兆円ということになっております。これはもちろん新規発生分でございますので、他方で処理も行われておりますので、全体では、この危険債権以下の債権の残高というのは、これは14年9月も15年3月も減少しているということになります。
○佐々木(憲)委員 今データを示していただいたわけですけれども、この業況悪化の分が、これはふえているわけでありまして、2002年の数字は2兆円と3.8兆円という数字を今示していただいた、合わせると5.8兆円。2002年には5.8兆円、簡単に言いますとそうなりますね。それから、2003年の3月は、4.1兆円プラス6.7兆円ですから、足しますと10.8兆円ということになりまして、全体としては、この業況悪化の分が倍増している、こういうことになるわけであります。
 ですから、不良債権を処理して残高が減ったとおっしゃいますけれども、しかし一方で、逆に、業況悪化によってふえているという部分がこれだけあるわけであります。小泉内閣の最終処理方針によって15兆円のオフバランス化をしたというわけでありますが、その一方で、10兆円の新規発生が業況悪化で生まれている、こういうことになるわけであります。
 したがいまして、この新規発生のところにどういう手を打つかということが大変大事でありまして、処理しても処理しても、業況悪化によって不良債権が生まれるというのでは、いつまでたってもこれは終わらないわけであります。したがいまして、この不良債権問題を解決するというのであれば、一体これをどうするのか、これはやはり大事な問題だと思うわけでございます。この点について竹中大臣の考えをお伺いしたいと思います。
○竹中金融担当大臣 今の佐々木委員のお尋ねに関しては、全くそのとおりでありまして、この新規の発生をいかに抑えていくか、そのことは大変重要なことであるというふうに私たちも思っております。
 同時に、新規発生といいますか業況悪化等によってもたらされた分の、大体大ざっぱに言って4割か5割ぐらいが、逆に上に上がってきているものがございます。これは何を意味するかというと、まさに、しっかりと再生をさせる、先ほどから申し上げましたように、その再生の仕組みをしっかりとつくって活用していくことがこの不良債権問題の解決の、やはりある意味では本質であろうというふうに私は思っています。
 こうした点に関して、再生機構、RCCの活用、さらにその制度強化、いろいろ行っておりますが、これは一方で、各銀行においても再生のための特別の会社を設立したり、地域銀行においても、リレーションシップバンキングの枠組みの中で再生の専担者を置いたり、再生ファンドを政策投資銀行と一緒につくったり、そういうような動きが、これは非常に小さな動きの積み重ねでありますが、多様な動きが出ている、そこは我々としてもしっかりと加速をさせたいというふうに思っているところでございます。
 あともう一点、マクロ的に申し上げると、やはり経済そのものをしっかりと成長させていくことは重要であって、そのための経済活性化、幸いにして実質GDPは今ほぼ潜在成長力程度に伸びているわけですが、まだデフレが続いている。その意味ではデフレの克服というのも、この不良債権の処理問題の解決、とりわけ業況悪化の防止には大変重要なポイントであるというふうに認識をしております。
○佐々木(憲)委員 再生をさせるということは必要なことであります。ただ、これはなかなか再生が難しい状況にありまして、金融機関が厳しい貸し出し条件を課しますので、再生しようということで新たに借りようとしても、それが不可能だ。むしろ逆に、借りている部分も、業況悪化であなたのところはもうこれ以上貸し出しは無理です、こういう形で切られるということが多いわけです。ですから、言葉だけ再生と言っても、なかなか実態は伴わない。
 同時に、経済の成長というふうにおっしゃいました。マクロ的にどのようにして日本経済を再生していくか、これはやはり内需の拡大、その中心は家計、消費だと思うんですけれども、その部分については逆に負担をふやしている。したがって、小泉内閣の政策というものがどうも逆を向いているのではないかというふうに思うんです。
 例えば、第一生命経済研究所のレポートはこういうふうに書いてあります。「不良債権の処理は経済再生に結びついているとは言えない。不良債権はあくまでもデフレや経済悪化の結果である。」「結果に過ぎない不良債権を処理したところで経済が再生しないのは自明の理ではないか。金融再生のための改革もデフレ克服無しには表面的なものにとどまっているといえよう。」私は、これはなかなか的を射た指摘だというふうに思います。
 小泉内閣、この2年半、不良債権のオフバランス化をかなり強引に進めてまいりましたけれども、結果として、激しい貸し渋り、貸しはがしというものが蔓延し、中小企業を破綻に追いやっているわけであります。新たな不良債権をそういう形で生み出していると言っても過言ではない。
 この負の連鎖をとめないと、不良債権処理の問題も解決をしない。やはり、新規発生という問題に着目をして、いかにしてそれを抑え、全体として経済を活性化させるか、デフレをどう克服していくかというところに焦点を当ててやっていくということが大事だという点を指摘しておきたいと思うわけです。
 次に、金融の円滑化ということを盛んに言いますけれども、不良債権を処理するということと円滑化というものがどうも両立していないのではないか。
 例えば、マネーサプライの現状を見ますと、2001年から3年までの対前年比は、2.8%増、2002年は3.3%増、2003年は1.7%増。マネーサプライ自体は毎年3%前後で推移してきているわけです。ある意味では日銀から銀行に対して資金は相当供給されている、かなりじゃぶじゃぶ供給されているわけであります。しかし、銀行から先になかなかこの貸し出しがふえていかない、ここに非常に大きな問題点があるというふうに私は思うわけであります。特に中小企業向けの貸し出しというものが大変重大な状況になっております。
 日銀から資料を取り寄せて、見ますと、例えば2001年3月末、これは小泉内閣が発足する直前でありますけれども、全体としての貸出金額は359兆円であります。それが昨年の9月末どうなったか、292兆円であります。つまり、66兆円マイナスになっているんです。銀行から先に行く部分が66兆円マイナスで、比率にすると18.5%ダウン。特に、その中で、大企業向けは100兆円から87兆円に減っておりまして、13兆円のマイナス、13.2%のダウンであります。中堅・中小企業はもっとひどくて、53兆円のマイナスで、マイナス20.6%です。つまり、国内銀行全体では大幅にマイナスになっている。そういう状況で、中小企業向けの貸し出しがどんどん減ってきているわけであります。
 ここに何とかメスを入れて、本当に必要なところに資金が回るということをやっていかないと、やはり個別の中小企業の再生もうまくいかないというふうに思うわけですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○竹中金融担当大臣 マクロ的な観点から2つ今御指摘をいただいたと思っておりますが、御紹介いただいた、これは第一生命の研究所の御指摘ですか、これは、ちょっと聞いて驚きました。そのような御意見は、不良債権処理の加速の段階で、金融機関の子会社のシンクタンクが一時そういったことを強力に主張した時期はありましたが、今そのような御意見は専門家の間ではもうほとんど見られないのではないかというふうに思っております。不良債権処理を進めることがより重要であるというような認識が、少なくとも専門家の間で私は広がっていると思っております。IMF、OECD等々国際的な機関も、日本に対してそのような方向をむしろ求めているわけでございます。
 後半のマネーサプライの増加が必要だという点、これは私も全く同感でございます。御指摘のように、日本銀行からいわゆるベースマネーというのが銀行には出されている、しかし、それが最終的な市中に出回るマネー、M2プラスCDの増加に結びついていない、この点はそのとおりでございます。
 しからば、では、それをふやすようにするにはどうしたらいいか、これもある意味で専門家の意見は私は一致していると思います。ベースマネーがふえてもマネーサプライがふえない。これは、そこで、よく言われる、貨幣の信用乗数が著しく低下している、その非常に大きな理由は、金融機関の不良債権処理、財務等々の問題でリスクテークの力が低下しているからだ、だからこそ不良債権処理を進めて、しっかりとしたリスクテークの力を持たせなければいけない。これがやはり不良債権処理を進めなければいけない非常に大きな理由であろうかと私は思います。
 しかし、その過程で、委員御指摘のように、貸し出しの残高が極端に減らないようにしなければいけない、これは私はそのとおりだと思います。
 今残高が減っているという御指摘がございましたが、これはマクロ的には、私先ほど申し上げましたように、バブルのときにGDPに対して70%貸し出し、それがバブルのときに過大になって、それを今調整する最終局面である、そういう動きの中に今あるんだと思っております。
 同時に、御注目いただきたいのは、残高ベースで減っておりますけれども、その残高の減の3分の1ないし2分の1は証券化によって行われております。これは、証券化されるということは、ある意味で資金調達が多様化して、銀行からの貸し付けではないけれども、きちっと企業には資金が回っているということでもございますので、やはりそこは、資金調達の多様化、それと極端な貸し渋りを防止するための我々が今行っているような努力、そういうようなことを、多面的な努力を続けることが必要だ。
 何としても、先ほど申し上げましたように、このバブル後の調整の最終局面をしっかりとして、軟着陸させて、企業の発展、再生、そして金融の再生を目指したいというふうに思っているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 この第一生命経済研究所のレポートはかなり大きな研究所のレポートでありまして、こういうところでもこういう指摘をせざるを得ないほど、現在の経済状況というのは非常に厳しい状況にあるということを証明しているわけでありまして、小さな研究所が言っていたが最近は言わなくなったというようなお話がありましたが、そんなことはないわけであります。
 これは、それほど、この不良債権の処理というものが、幾らやっても最後までなかなか終わらない。なぜそうなっているかといえば、不良債権が生まれるのは経済が悪化する結果であって、その原因ではない。経済が悪化している結果を幾ら処理しても悪化そのものはとまらない、むしろ悪くなる。したがって、根本的にこの発想を転換しなきゃならぬわけであります。そういう重要な指摘だというふうに私は思うわけです。
 それから、リスクテークの問題ですけれども、これは、リスクテークの力がないとおっしゃいましたけれども、あのバブル崩壊直後の状況に比べますと、今やリスクテークの力というのは非常にあります。業務純益も一定の伸びを示しております。そういう状況の中でまともに貸し出しをしていないというのが最大の問題であります。
 バブルの最終局面だと言いますけれども、バブルが崩壊してもう何年たっているんですか。もう十数年たっているわけでありまして、そんな悠長な状況ではない。一度バブルが崩壊をし、その局面が終わって、その次の、まさに今もう一段のデフレ局面に入っているんですよ。その結果、新たに不良債権が発生しているわけでありまして、それをどうするか、デフレをどうするかということを、対応を考えずに、何かバブル崩壊の調整局面の話でお茶を濁そうというのは、これはちょっと論理が飛躍しているのではないか。
 それで、具体的に、不良債権処理の過程で中小企業というのが本当に大変な状況になっておりまして、政府は貸し渋り・貸し剥がしホットラインというのをつくったそうですね。このホットラインでいろいろな相談事が持ち込まれていると思うんですけれども、これはホットラインというんですから、直接電話をかけられるんでしょうか。
○五味政府参考人 この貸し渋り・貸し剥がしホットラインにつきましては、受け付けは電子メールあるいはファクスという形での受け付けにさせていただいております。電話で事細かにお相手ができればいいんですが、それだけの人数も備わっておりませんし、電子メールは随分普及もしておりますので、こうした形でいただくというやり方にしております。
○佐々木(憲)委員 どうもホットラインじゃなくて冷たいラインだなと思うんですけれども。ファクスを送ってください、メールを送ってください、受け付けますよというわけでありますが、いや、こういう銀行から大変な貸しはがしを受けて困っているんだ、あるいは融資を頼んでも全く応じてくれない、そういう相談というのは、まさに一瞬を争うといいますか、手形が落ちない、あすどうしよう、こういう話なんですね。そういうときに、電話はない、どうぞ通告だけしてくださいと。そうしますと、来た相談に対して解決した件数、これは一体どのぐらいあるんでしょうか。
○佐々木(憲)委員 そうすると、このホットラインというのは一体何なのかということになるわけですね。結局、電子メールとかファクスで受け付けはいたしますと。(発言する者あり)ほっとくラインという話が、今やじが飛びましたけれども、こういう状況では、受け付けたけれども、それを、例えば、具体的に、この銀行に対してこういう話が来ていますが、では相談してくださいと銀行に照会をする、それだけではなくて、本来なら、銀行からこういう回答がありましたよというのを、例えば電子メールとかファクスで送ってきた相手に対して、こういう措置をとりましたよということを伝えるんですか。そういうことはやるんですか。
○五味政府参考人 一つ一つの取引に役所が介入をするということはできませんので、そうしたことはいたしておりません。もちろん、業界団体で、苦情の受け付け、紛争解決のための窓口などございますので、そうしたところでそういうことは使っておられます。
 他方で、私どもは、伺うだけでそれを積んでおくということではもちろんございません。先ほど申しましたように、監督にこれを活用いたします。
 例えば、平成14年10月から15年3月までいただきました情報に基づいて、139の金融機関に対して事情を聴取し、このうち19の金融機関には報告徴求命令を発しているということもございます。15年4月から15年6月までは、同じように77の金融機関にヒアリングを実施し、4金融機関に報告徴求。また、検査におきましても、こうしていただきました情報をもとに、具体的に15年3月までで10金融機関でこれを検査で活用し、また、15年4月から15年6月までに着手した検査では12の金融機関で活用させていただいた。
 こうした監督上の手法を講ずることによりまして、円滑な資金供給にこの制度を役立てていくということで活用をさせていただいております。
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたけれども、終わりますけれども、こういう中小業者の、中小企業の切実な訴えに対して、余りにも対応が不十分だと思います。ですから、今のこういうあり方を抜本的に改善すべきだという点、最後に指摘をしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

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