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2004年01月28日 第159回 通常国会 財務金融委員会 【220】 - 質問

北朝鮮への経済制裁のための法改正 6カ国協議の同意に反するとして反対を表明

 2004年1月28日、財務金融委員会で、北朝鮮に対し日本独自に経済制裁できるようにするため自民、民主、公明3党が共同提案した外国為替法等一部改正案が、審議、採決され、賛成多数で可決されました。
 佐々木憲昭議員は、日本も参加して開かれた03年8月の「6カ国協議」で、「平和的解決のプロセスの中で、状況を悪化させる行動をとらない」ことが同意がされていることを踏まえ、「日本単独での経済制裁の法案を準備するということは、この6カ国協議で国際的に約束をされた内容に反すると考える」と述べ、改正案に反対の立場を表明しました。

 佐々木議員は、03年8月、北京で日本も参加して開かれた「6カ国協議」での6項目の同意を外務省に読み上げさせたうえで、「ここで『平和的解決のプロセスの中で、状況を悪化させる行動をとらない』という同意がされている。この国際的約束はたいへん重要であり、その順守は、北朝鮮問題の平和的解決のために日本が果たすべき責任でもある。そういう状況のもとで、現在提案されている日本単独での経済制裁の法案を準備するということは、この6カ国協議で国際的に約束をされた内容に反すると考えるので、私どもはこの改正案に反対であると立場を表明しておきたい」とのべました。
 佐々木議員は「拉致問題は日本国民の人権と安全を脅かした国際的な犯罪行為として許すことのできないものだ。私たちは真相の全面的解明、拉致の責任者の厳重な処罰、被害者への謝罪と補償を要求し、帰国した五人の家族の帰国についてもその実現のために北朝鮮側が誠意をもって対処することを求めている。その解決は被害者、家族の切実な願いであり、多くの国民が解決を願っているものだ」とのべました。
 さらに「北朝鮮はビルマ・ラングーンでの爆破事件、大韓航空機事件など国際的な無法行為を繰り返してきた。拉致問題もこういった国際的な無法行為のひとつだ」として、「解決するためには、北朝鮮の無法行為全体の清算を求めていくという課題のひとつとして位置付け、国際社会全体の取り組みにしていくことが必要だ」と強調しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 拉致問題は、日本国民の人権と安全を脅かした国際的な犯罪行為として許すことのできないものであります。私たちは、真相の全面的な解明、拉致の責任者への厳正な処罰、被害者への謝罪と補償を要求し、帰国した5人の拉致被害者の家族の帰国についても、その実現のために北朝鮮側が誠意を持って対処することを求めております。その解決は、被害者、家族の切実な願いであり、多くの国民が解決を願っているものであります。その解決のためには、日本の努力はもちろんでありますが、各国の理解と協力を得て国際社会全体が取り組む課題にしていくことが必要ではないかと考えております。この国際的課題にしていくことについての提案者の認識をお聞きしたいと思います。
○水野賢一議員 まず、拉致問題の解決というのは極めて喫緊の、極めて重要な課題であるという認識は我々も持っております。また、この問題の解決というのが国際社会の各国の理解や協力が必要だということも、これも当然だというふうに考えております。ただ、この法案というのは、今回提案させていただいている法案は、こうした各国との協調というものを決して否定するものではないということも申し添えさせていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 北朝鮮は、ビルマ・ラングーンでの爆弾テロ事件、大韓航空機事件など、国際的な無法行為を繰り返してきたわけであります。拉致問題も、そういった国際的な無法行為の1つであります。私たちは、この問題を解決するためには、北朝鮮の無法行為全体の清算を求めていくという課題の1つとして位置づけ、国際社会全体の取り組みにしていくということが必要だと考えております。
 そういう点でいいますと、昨年8月に6カ国協議が行われまして、交渉によって問題を解決していこうという外交交渉のプロセスが始まったわけでありまして、これは大変重要だと思っております。
 この六者会合では、6項目のホスト国総括が行われております。私、外務省からいただいたペーパーがこちらにございますけれども、外務省にこの6項目の内容をここで紹介をしていただきたいと思います。
○齋木政府参考人(外務省大臣官房審議官) お答えいたします。去年の8月の27日から29日にかけて北京で行われましたいわゆる六者会合、第1回会合のホストを務めました中国の王毅外交部副部長でございますけれども、会合の終わりに当たりまして、総括するに当たりまして、次に述べます6つの点を参加国の一致した点であるということで、口頭で取りまとめました。
 1つ、六者会合の参加者は、対話を通じて核問題を平和的に解決し、朝鮮半島の平和と安定を維持すること。2つ、六者会合の参加者は、朝鮮半島の非核化を目標とし、北朝鮮側の安全に対する合理的な関心を考慮して、問題を解決していく必要があること。3つ、六者会合の参加者は、段階を追い、同時的または並行的に、公正かつ現実的な解決を求めること。4つ、六者会合の参加者は、平和的解決のプロセスの中で、状況を悪化させる行動をとらないこと。5つ、六者会合の参加者は、対話を通じ相互信頼を確立し、意見の相違を減じ、共通認識を拡大すること。そして6つ、六者会合の参加者は、協議のプロセスを継続し、可能な限り早期に外交ルートを通じて次回会合の場所及び日時を決定すること。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 今、6項目を紹介していただいたわけであります。私は、この第4項目めが非常に重要だと思っております。「六者会合の参加者は、平和的解決のプロセスの中で、状況を悪化させる行動をとらないことに同意した。」ということであります。これは日本も当事者として参加して同意をしたものでございます。今まさにこの同意に基づいて、対話による外交努力というのが続けられているわけでございます。
 ここで、平和的解決のプロセスの中で、状況を悪化させる行動をとらないという同意がされているわけでありまして、この国際的な約束、これは大変重要なものだと私は考えます。その遵守というのは、北朝鮮問題の平和的解決のために日本が果たすべき責任でもあるというふうに思います。
 そういう状況のもとで、現在提案されている日本単独での経済制裁の法案を準備するということは、この六カ国協議で国際的に約束をされた内容に反するというふうに考えますので、私どもはこの改正案には反対であるという立場を表明しておきたいと思います。
 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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