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金融(銀行・保険・証券)

2004年03月02日 第159回 通常国会 財務金融委員会 【227】 - 質問

小泉内閣発足以降減少した中小向け融資を改善せよ/足利銀行の優先株購入者の救済を

 2004年3月2日、財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、小泉内閣発足以降、大手銀行が54兆円以上も貸し出しを減らしていることを指摘し、中小企業向け融資を改善させるよう要求しました。
 また、破たんした足利銀行の優先株を購入し、国有化で紙くず同然になった被害者の声を紹介し、救済策を求めました。

 佐々木議員は、小泉政権発足直前の2001年3月から昨年末までの間、大手銀行が54兆円以上も貸し出しを減らしていることを指摘し、中小企業向け融資を改善させるよう求めました。
 2年9ヶ月間の貸し出し動向は、地方銀行マイナス1.3%、第2地銀同10%、信用金庫同5.5%に対し、都市銀行等(大手行)が同19.5%で突出。大手行の貸し出し減は金融機関全体の8割です。その大部分を中小向け融資が占めます。
 佐々木議員は、東京三菱を除く大手行に軒並み巨額の公的資金が注入されていることを指摘。「中小企業向け貸し出しを増やすことを約束して公的資金を受けたはずだ」と述べ、金融庁の指導・監督責任をただしました。
 竹中平蔵金融担当大臣は、年度末を待たないと業務改善命令は出せないと弁明。佐々木議員は年度途中でも一昨年、みずほ銀行に改善命令を出した例があることを指摘しました。金融相は「(みずほは)異例だった」「今回は(各行が)県別(融資)目標を設定するなど体制がある」と、大手行を擁護する発言を繰り返しました。
 佐々木議員は「小泉内閣が不良債権の最終処理策を取り始めてから大手行の中小企業向け貸し出しが大きく悪化したのは事実だ」と強調。金融相は「積極的な不良債権処理によって」貸し出しが減少していることを認めました。



 また、佐々木議員は、昨年一時国有化された足利銀行の優先株購入で被害にあった地元経営者の声を紹介し、救済策を求めました。
 「足利銀行の優先株購入時、要請に来た支店長から自己資本比率が6%と言われたが、実は4.5%だった。知っていたら購入しなかった。詐欺行為に等しい」――訴えは栃木県内に住む会社社長から佐々木議員あてに寄せられたもの。「足銀を支えたい」と地元の人々が購入した優先株は国有化で紙くず同然になり、「だまされた」「評価損がでて、黒字のはずが赤字になってしまう」など、悲痛な声があがっています。
 佐々木議員は「だまし討ちにあった人はかなり広範にいる。(足利銀破たんは)金融庁が引き金を引いたもので、二重三重に地域の住民をだました」と主張しました。
 竹中金融担当大臣は「一般論として、間違った事実を話すなど、勧誘方法に問題があったとすればきわめて重大だ。その場合、出資者から訴訟が起こされ不法行為が認定されれば、損害賠償責任が発生する」と述べました。
 佐々木議員は「中小企業はたいへんな損害を被っている。裁判はあるが、行政として被害者に対する対策を検討すべきだ」と強調しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。
 きょうは、竹中大臣に、中小企業向け融資の問題についてお伺いしたいと思います。何度も、貸し渋り問題、あるいは中小企業の資金難といいますか、そういう問題について質問させていただきましたが、きょうは、別な角度からお聞きをしたいと思います。
 まず、資料の配付をしていただきたいんですけれども、日銀の統計に基づきまして作成をした表ですけれども、金融機関の業態別の貸し出し動向で整理をいたしました。
 これによりますと、2001年の3月から昨年末までの間に、大手行が大変大きく貸し出しを減らしております。例えば、地銀の場合はマイナス1.3%、第二地銀がマイナス10%、信金がマイナス5.5%、これに対しまして、都銀等の場合、大手ですね、これは19.5%のマイナスであります。つまり、2割マイナスなんですね。極めて大きなマイナスが特に大手銀行の方で起こっているわけであります。
 大臣にお聞きしますけれども、この理由は一体どこにあるとお考えですか。
○竹中金融担当大臣 ちょっと、今のこの表、比較年は、2001年3月と2003年12月の、この比較になるわけでございますか、この数字は。(佐々木(憲)委員「そうです、はい」と呼ぶ)
 確かに、日銀統計で見ますと、国内銀行の貸出残高は減少の傾向が見られます。これは手元の数字でございますが、15年3月末は425兆円で前期比7兆円マイナス、同年6月末は414兆円で前期比11兆円のマイナス、同年9月末は411兆円で前期比3兆円のマイナス、このうちいわゆる大手行の期末貸出残高は、それぞれ、マイナス5兆円、マイナス4兆円、マイナス5兆円というふうになっておりまして、これはどこの期間をとるかにもよるんだと思いますが、国内銀行の貸出残高と同様に大手銀行の減少が続いているというふうに思います。
 この要因についてのお尋ねでございますけれども、大手銀行の貸出金が減少している要因としては、積極的な不良債権処理によって不良債権のオフバランスが進んでいること。御承知のように、これはオフバランス化のルールを決めておりますけれども、それで不良債権の比率を2年間で半減してくれということを主要行については求めているわけでございます。債権の流動化が進展しているということもございます、これは銀行の方の事由でありますが。一方で、貸し出し需要が、これも期間のとり方にもよりますが、低迷しているということもあるというふうに思っております。
 一方で、大手銀行は、特に最近、不良債権処理が順調に進展する中で、銀行も収益を高めるためにはいい貸し出しをしなければいけませんから、そのよい貸し出しをするための努力に積極的に取り組んでいるという面も出始めているというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、不良債権処理を進めれば進めるほど中小企業向け融資が激減する、こういう関係にあるということなんですね。
○竹中金融担当大臣 今私が申し上げた数字も、委員がお示しになった数字も、これは残高、ストックベースの話でございますから、この不良債権をオフバランス化すればストックは減ります。しかし、これが例えば債権の流動化等々で行われれば、企業に対するファイナンスは影響を受けないわけでございますから、これは、ストックが減っているということが即融資がしぼんでいるということではないという点は御理解いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 流動化と言いますけれども、そういうことが可能なのは大手の企業であって、中小企業はその恩恵というのは受けないわけでありまして、やはり、銀行、金融機関から直接貸し出される、その部分が大変重要なわけでありまして、ちょっと大臣の説明は納得がいかないわけでございます。
 また、不良債権処理をやればやるほど中小企業向け貸し出しがどんどん減っていく、そういうことであるならば、この処理の仕方が問題でありまして、私は、この中小企業向け貸し出しを、これは銀行にとって荷物だからどんどん減らしていく、こういう発想が根本的に間違っているというふうに思うわけであります。むしろ、大手に対して、例えばこの2年9カ月の間、54兆2千200億円減っているわけです、そういうところをどう指揮監督して中小企業に貸し出しをふやしていくかということが重要でありまして、どうも、そういう観点がないというのは残念であります。
 では、具体的にお聞きしますけれども、大手行は、東京三菱銀行を除きまして、軒並み公的資金の注入を受けているわけです。資本注入行というのは、中小企業向け貸し出しをふやすということを国民に約束して公的資金を受けているわけです。それでは、公的資金を受けた大手行の中小企業向け貸し出し状況はどうでしょうか。今年度末の目標に向けた昨年九月期の実績、一体どうなっているか、金融庁、お答えいただきたい。
○五味政府参考人(金融庁監督局長) 今年度末の目標というのはいずれも増加計画になっておりますけれども、今9月期について申しますと、目標値というのは特にございませんので、前期比、すなわち、15年の3月末比でどういう数字になっているかということを御紹介申し上げようと思います。
 主要行、6先ございますけれども、この15年九月期のこの主要六先の中小企業向け貸し出しの実績、これは、15年3月末比で申しますと、3先では増加、3先では減少でございます。
 具体的には、増加の方を申しますと、みずほ2行は3月末比で2千282億円の増加、三井住友が58億円の増加、住友信託が737億円の増加というふうになっております。
 これに対しまして、3月末比で減少いたしましたところ、3グループございますが、UFJ2行は合計で7千97億円の減、りそな5行は合計8千725億円の減、三井トラスト2行は合計で1千795億円の減というふうになっております。
○佐々木(憲)委員 これは大変な減り方でありまして、中小企業向け貸し出しをふやす計画を立てておきながら、逆に大手行全体で1兆4千540億円も貸し出しを減らしているわけですね。
 大手6行のうち、UFJ、りそな、三井トラストの3行が、今数字の紹介ありましたように、特別に貸し出しを大きく減らしております。三井住友は、中間期の時点で計画の1割にも満たない実績にとどまっている。これから、3月末ですから、今月の末ですから、前期で減らした分を取り戻して、4行で1兆8千800億円も貸し出しをふやさなければならない。これは、そうしないと約束は守れないということになるわけであります。
 金融庁は一体どうやってこの計画を達成させるのか、各銀行に対してどのような指導をしているのか、竹中大臣にお答えをいただきたいと思います。
○五味政府参考人 資本増強行が各年度におきまして中小企業向け貸し出しを減少させた場合、この場合には、直ちに、銀行法24条に基づきまして、貸し出しが減少した理由、それから今後の取り組み状況などについての報告を求めるということにいたしております。その報告の内容を精査した上で、必要に応じて厳正に対応してまいるというのが基本でございます。
 15年9月期に中小企業向け貸し出しが減少いたしました資本増強行、主要行では三グループでございますが、これに対しましては、今申しました減少の理由、それから今後の取り組み状況などについての報告を求めております。その報告は1月の16日に提出を受けております。
 この内容を見ますと、ヒアリング、精査などで確認をいたしましたところ、各行それぞれに計画達成に向けた努力、計画達成のための取り組み努力を行っている、また下半期もこれを強化するという状況が認められます。例えて申しますと、営業店別に例えば残高の目標を設定する、あるいは組織面で中小企業向け貸し出しを増加させるための取り組みを強化する、あるいは業績評価の重要項目として貸し出しの達成度合いなどを組み入れる、さらには、進捗の芳しくない営業店は臨店指導する、こういったような努力が認められております。
 こうしたことでございますので、この上半期の段階において、的確にこの計画を履行しようとしていないというような状況は必ずしも認められないということでございますけれども、こうした報告で、書面で取り組み状況を出してまいりましたことを踏まえまして、下期における取り組み状況、これについては引き続き注目をして、十分監視をしてまいりたいというふうに存じます。
 また、昨日、年度末金融円滑化のための銀行業界、金融機関の業界との意見交換会が行われましたが、その席上におきましても、大臣から、資本増強を受けている銀行については、早期健全化法の趣旨に沿って、真に中小企業への信用供与の円滑化に資するという観点から、中小企業のニーズを十分踏まえて目標達成に向け尽力するようにということで念を押させていただいているところでございます。
○佐々木(憲)委員 今長々説明がありましたけれども、本当に実績が上がるのかどうかですね。
 配付した資料の2枚目を見ていただきたいんですけれども、ことしの3月、つまり今月でありますが、月末までにふやさなければならない貸出額、これは9月を見た上での話ですけれども、1兆8千800億円。これは、未達、9月の実績でマイナスになっているところ、あるいは極めて低いところ、こういうところを合わせますとそれだけの金額になるんです。4グループ。これは大変な金額だと思いますが、必ず達成できると竹中大臣はお考えでしょうか。
○竹中金融担当大臣 今監督局長が御答弁させていただきましたように、これは我々としては報告を求めて、それに対応してこういった体制をとっている。この報告の結果を1月16日に受けておりますので、その線に沿ってしっかりと達成をしてもらうように努力してもらいたいと思っております。
 そうした向こうからの報告に基づいて、我々も、下期、引き続き状況を注視していきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 これは極めてまだ甘いと思いますね。業務改善命令を出すというようなことも当然やらなければならぬと思うわけです。九月の段階でもう既にこういう大変重大な事態になっているわけですから、なぜ業務改善命令を出さなかったのか、これは非常に私は疑問に思うわけです。
 なぜかといいますと、資本注入行に対しては、一方で、中小企業向け貸し出し融資とともに収益改善計画というものも出させているわけですね。この収益改善計画、この点については、昨年業務改善命令を出していると思いますけれども、これはどの銀行に出されましたか。
○五味政府参考人 15年3月期の当期利益などが3割以上下に振れた先というのが、資本注入行、地銀まで含めまして19先ございました。その内容を精査いたしまして、そのうち15先について、積極的な不良債権の処理が行われたということを考慮したとしても、なお当期利益が健全化計画対比で大幅に下振れていたということで、抜本的収益改善策の策定、履行を求めます旨の業務改善命令を発しております。
 具体的な発出先は、みずほフィナンシャルグループ、UFJホールディングス、三井住友フィナンシャルグループ、三井トラスト・ホールディングス、住友信託銀行、あしぎんフィナンシャルグループ、もみじホールディングス、北陸銀行、熊本ファミリー銀行、北海道銀行、千葉興業銀行、八千代銀行、東日本銀行、福岡シティ銀行、和歌山銀行、以上でございます。
 中小企業向けの融資につきましては、これも年度の話でございますけれども、目標を年度で定めておりますので、中間期におきましては非常に大幅な計画未達ということが認められるというような特異なケースを除きまして、報告において下半期における増強計画というものが具体的に述べられております場合には、その履行状況を注視し、年度末の実績を確認し、またその実績の背景となりました努力なども、取り組みなども勘案した上で改善命令が必要かどうかを検討するという扱いにしております。
 みずほフィナンシャルグループにつきましては、一昨年の9月期において、非常に大幅な、つまり5兆円余りという目標未達がございましたので、これは年度末を待つことなく、業務改善命令を発出をいたしまして改善を求めたという経緯がございます。
○佐々木(憲)委員 一昨年のみずほに対しては、9月の状況を見て改善命令を出しているわけですね。ですから、仕組みの上で出せないはずがないわけであります。収益の方について言うと、利益が上がっていないというだけで業務改善命令を十五行にどんどんどんどん出している。一方では、中小企業に対して貸し出しが計画どおりいっていないだけではない、大幅に削減されているにもかかわらず、まともに業務改善命令も出さない。私は、そういう姿勢は根本的におかしいんじゃないかと。
 やはり、中小企業の今のこの経営状況を考えますと、抜本的にここは改善をして、中小企業向け貸し出し、九月の時点でこの数字が大幅に減っているようなところについては、単に実情を聞くというだけではなくて、例えば、このUFJなどは7千97億円という大幅なマイナスでありますし、りそななんというのは8千725億円ですからね、これはもう本当に大変な事態でありまして、この二つだけでも貸し出しのマイナスのほとんどを占めているわけです。ですから、そういう点をよく考えて、的確にこちらは業務改善命令を出していく。収益ばかり頭に置いて、そちらの方ばかり、銀行の利益ばかり考える、こういうことではなくて、中小企業の貸し出し計画が達成されないような事態になっているわけですから、そちらにもっと目を向けていく、こういう姿勢が大事だと思うんですが、大臣、いかがですか。
○竹中金融担当大臣 お話を伺って、少し誤解があるといけませんが、我々は、そういう厳しい態度で臨んでおります。
 繰り返し言いますが、これは年度の目標でありますから、やはり年度の終結を待ってそこで評価するというのが基本でございます。
 ちなみに、収益について業務改善命令を打ったではないかということでございますが、これも年度の収益であります、途中で打ってはおりません。しかしながら、一昨年の9月期の例につきましては、これはむしろ、年度を待たずに、異例のこととして私たちは行いました。それは、数字の未達が余りに大きかったということに加えて、やはり、それを実現しようという、その体制そのものが非常に不備があったということ。
 今回の場合は、体制そのものについては、先ほど局長からも御答弁させていただきましたように、店別の残高の目標をきちっと設定している云々、そういう体制はとっている、しからば、年度の約束であるんだから年度末までしっかりやれ、その様子を見ようではないかというのが現状でありますので、これは決して、こちらの収益には厳しくこちらには甘いとか、そういう問題ではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。
 かつ、りそなについて言及がございましたが、りそなの上期というのは、御承知のように、預金保険法102条の第1号措置をとったときでございまして、これは少し異常な状況下にあったということ、これは考慮しなければいけないというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 実態を見ますと、中小企業向け貸し出し計画の実績で、大手行全体では昨年度も一昨年度も中小企業貸し出しを減らしているわけです。2002年度がマイナス5兆996億円、2003年度がマイナス5兆6千563億円。毎年のフォローアップを追いかけていくと、2002年度から巨額の未達を出すようになっているわけです。つまり、竹中大臣が不良債権の最終処理を、そういう政策をとり始める、小泉内閣がとり始めたその時点から、大手行の中小企業向け貸し出しが大きく悪化し始めている、これが私は事実じゃないかと思うんです。これはやはり根本的に姿勢を変えていただかなければならない。そういう点で、根本的な政策の転換を求めておきたいと思います。
 次に、足利銀行の問題についてただしたいと思います。
 足利銀行の事実上破綻、国有化、そういう事態になったわけですけれども、その直前に、優先株を購入してもらいたいということで、たくさんの中小企業あるいは現地の個人に対して、優先株の募集ということで足利銀行の側からぜひお願いをしたいということで引き受けを求めたわけであります。
 しかし、私のところに、その要請を受けて株を購入した方から訴えがありまして、これがその訴えなんですけれども、こういうふうに言っているんです。支店長が来社の際のお話では、足利銀行は現在自己資本比率が6%です、しかし、それを8%に引き上げるために優先株の募集をしているんですから、こういう話をして、ああ、6%なのか、それを8%に上げるんだなということで応募したということなんですね。
 しかし、当時の自己資本比率というものは、これは平成11年の6月の話なんですが、一体幾らだったのか。自己資本比率、幾らだったですか、そのときは。
○竹中金融担当大臣 ちょっと申しわけありません。これ、質問通告いただいておりましたので、数字は、ちょっと調べておりますが、今、わかりません。申しわけありません。――手元に資料が……。何月期かもう一度言っていただけますでしょうか。
○佐々木(憲)委員 平成11年の3月期です。
○五味政府参考人 平成11年3月期の足利銀行の自己資本比率は、4.29%でございます。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、その直後に、自己資本比率は6%ですが8%に上げたいんだ、こういうことで優先株の引き受けをぜひお願いします、こういうふうに回ったということなんですね。それで、この人は、もしその4.29%ということを、事実を購入時に説明を受けておりましたら購入などすべきはずもありません、詐欺行為に等しいものであります、こう言ってかんかんになって怒っておるわけです、もう紙くずになっちゃったと。
 そういうやり方について、これは真っ当な優先株の勧め方だったというふうに思いますか、大臣。
○竹中金融担当大臣 その個別のケースについて、今お話を伺っただけで、ちょっと私、なかなか全容を判断することは難しいわけでございますが、これは一般論として申し上げると、その会社の、事業会社の従業員による購入の勧誘方法に重大な問題があるような場合は、あくまで限定でありますけれども、事実と違うことを言って、間違った情報を与えて買わせたということになると、これは極めて重大な問題であるというふうに思います。
 そのような場合、出資者による訴訟が提起されて、裁判手続においてその従業員の不法行為が認定された場合には損害賠償責任が生ずるでありましょうし、しかし、いずれにしても、これは不法行為でありますから、もしそれが、今申し上げたようなことが現実であるならば、これは裁判所において、そうした判断に基づいてしっかりとした手続がとられなければいけないというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 裁判の問題はもちろんありますけれども、こういうことが、私がお聞きしているところでは、かなり広範に行われました。したがいまして、こういういわばだまし討ちのようなやり方、しかも、この間、私もこの委員会で何度もこの問題を取り上げてきましたが、金融庁自身が引き金を引いているというところがあるわけです、そういうことを考えますと、これは事実上、二重、三重に地域の住民をだましたことになる。極めて重大だと私は思うわけです。
 裁判の問題はあるでしょう。もちろん、そこで法的には認定というのが必要かもしれません。しかし、行政として、これだけの被害を与えたわけですから、しかも事実関係がこういう実態であったということであるならば、何らかの対応、被害者に対してどういう形でこれを補償するのか、やはり検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○竹中金融担当大臣 足利の場合、第三者割り当ての増資を行った。これは、増資そのものはもちろん経営の自主的な判断に基づいて行うわけでありますけれども、優越的地位を乱用したりそうした不公正な取引は防止しなければいけない、ディスクロージャーは確保しなければいけない、法令等遵守には十分に対処する必要がある、これは言うまでもございません。
 その上で、今般、足利銀行が行った第三者割り当て増資に関して、現時点において刑事、民事ともに訴訟は特に発生していないと聞いておりますけれども、仮に、同行の増資をめぐる個別具体的な取引について銀行の勧誘方法に重大な問題があって、出資者による訴訟が提起されて、裁判所手続において当該銀行の不法行為が認定されて、不法行為に基づく損害賠償責任の存在が認められた場合は、これは請求権そのものは全債務保護の範疇に入ってくるわけでございますから、そこは我々としても対応すべき点はしっかりと対応していくつもりでおります。
○佐々木(憲)委員 この問題は引き続き、私は、現地の中小企業の皆さんあるいは住民の皆さんが大変な損害を受けているわけで、単に法的な対応あるいは裁判所に任せるというだけではなくて、やはり行政上もさまざまな対応策を検討すべきだというふうに思いますので、その点を指摘いたしまして、以上で質問を終わらせていただきます。

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