アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業), 金権・腐敗政治 (大企業減税, 定率減税の廃止, 日本経団連の「政策買収」)

2004年03月05日 第159回 通常国会 予算委員会≪締めくくり総括質疑≫ 【229】 - 質問

国民には負担を押し付け、財界言いなりの要求を通した予算だ

 2004年3月5日、予算委員会締めくくり総括質疑で、佐々木憲昭議員は、2004年度予算案について、国民には負担を押し付け、大企業には日本経団連の提言どおりに優遇措置を盛り込んでいることを指摘しました。
 また、日本経団連が政党評価によって献金を行うことにたいして、佐々木議員が「大がかりな政治買収だ。それでも献金を受け取るのか」と正したのに対して、小泉純一郎総理は「堂々と使わせていただく」と開き直りました。

 佐々木議員は、国民負担増を柱とする来年度予算について、日本経済の6割を占める個人消費をさらに冷え込ませるものであり、「財界・経団連の要求をそのまま通したものだ」と批判しました。
 佐々木議員は、昨年貯蓄を減らした世帯が51.1%、ゼロになった世帯が22%という日本銀行の調査を指摘。老年者控除の廃止と公的年金等控除の縮小で3800億円、配偶者特別控除の一部廃止や消費税制改悪など昨年決まった措置による国民負担が1兆6600億円となっているなど、7兆円もの国民負担増を押し付けることは許されないと強調しました。
 一方で、大企業には欠損金繰越期間の延長など日本経団連の「税制改正」提言通りに数々の優遇措置を盛り込んでいることを指摘しました。
 小泉総理は、貯蓄減について「収入が減っているのが一つの要因だ」と認めながらも「(増税の)一部だけ取り上げて論ずべきではない。企業の業績が上がれば家計にも好影響を与える」などと弁明しました。
 佐々木議員は、「大企業が雇用、家計、中小業者にしわ寄せし、厳しい状態にある。弱いところを支えるのが政治の役割だ」と反論。日本経団連が政党評価で、財界提案を丸のみしている自民党を高く評価している点を示し、「大がかりな政治買収だ。それでも献金を受け取るのか」とただしました。
 「(企業献金は)同道と使わせていただく」と開き直る小泉総理に対し、佐々木議員は「財界いなりの自民党政治がこれではっきりした。われわれは、企業団体献金を禁止し、政党助成金も受け取らず、献金は個人に限るという立場を貫き、国民の立場で奮闘する」と主張しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。
 最初に、小泉総理にお聞きをいたしたいと思います。
 ここに、「家計の金融資産に関する世論調査」というのがありまして、これは金融広報中央委員会、日銀の調査であります。この中に大変深刻な統計が出ておりまして、貯蓄を取り崩す世帯というのは大変ふえているわけです。昨年、貯蓄が減った世帯は51・1%、半分以上が貯蓄が減った。貯蓄を取り崩して全くゼロになった、こういう世帯が22%に上っております。実に5軒に1軒が貯蓄ゼロという大変な事態でございます。
 そこで、このような事態をもたらした理由でありますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 人によって違うと思いますが、私が思うに、収入が減るとやっぱり貯蓄を取り崩そうという方も多いんじゃないかと思っております。
 世界の中でも、日本の貯蓄性向が高い、消費性向はなぜ低いんだというようなことを言われていましたけれども、最近はだんだん貯蓄性向も低くなっている。これはいろいろな理由があると思いますが、やっぱり収入が減ってきたというのも一つの要因じゃないかと思います。
 あと、どういう理由かというのは、よりもっと専門家に聞かなきゃわからない点もあると思います。一つとして、そういうことも考えられるんじゃないかと思っております。
○佐々木(憲)委員 収入が減ったというのが、確かに、この中でもその理由として一番多いわけです。ですから、総理の答弁は正解であるということになるわけでありまして、定期的な収入が減ったという理由が一番多くて59.6%、約六割を占めているわけですね。実際、家計調査報告を見ましても、勤労者世帯の実収入は、小泉内閣の3年間で43万円、これはマイナスであります。
 なぜこんなに収入が減少したのかということが重要でありまして、最近は大手の企業は史上空前の利益を上げておりますが、しかし、それは、輸出の増加もあるけれども、大変重要な要因として、リストラ効果というのがあります。労働者を減らし賃金を抑え、あるいは中小企業下請単価を切り下げるという形で利益を上げていくわけですね。
 したがいまして、国民の収入が減ったというその理由として、こういうリストラ、大手の企業の行動というのも一つの要因ではないかと思いますが、総理はどのようにお感じでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 それも一つの要因だと思います。そういうことから、景気の回復、このためにも、金融改革、税制改革、また、規制改革、歳出改革をしていかなきゃならないと思っておりますし、最近ようやく、企業の業績にも明るさが見えてまいりました。この動きを、地方にも、また中小企業にも広がっていくような改革を進めていかなきゃならないと思っております。
○佐々木(憲)委員 一つの要因ということでお認めになったわけですけれども、問題は、一番、日本経済で6割を占めている個人消費、これが大幅に減っている、そこをどう支援していくか、どう支えていくかというのがやはり国の、政治の役割ではないかというふうに思います。
 この家計を支援するということ、つまり、国民の生活を安定させていく、これはやはり内閣としても非常に重要な視点だと思いますが、総理はどのようにお感じでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 だからこそ、改革なくして成長なしと。経済全体をよくしていく中で個人の家計も改善していこうということが必要であって、一つだけとってこれだけに焦点、歳出だけ、歳入だけということでは全体の経済を論ずるのには不適切じゃないかと思っております。やはり総合的に考える必要があると思っております。
○佐々木(憲)委員 総合的に考えていく場合、予算の組み方というのが大変重要でございまして、やはりこの家計をどう支えるかという角度が財政の上でも大変重要な発想の柱になければならないと私は思うんです。果たしてそうなっているのか、今審議されておりますこの来年度予算案が。
 例えば税制について見てみたいわけですが、どうも実態は逆を向いているんじゃないかと思うわけです。
 財務省に数字をお聞きしますけれども、これは政府参考人で結構でございます。今度の予算で提案されている65歳以上の老年者控除の廃止と公的年金等控除の廃止、この二つで国と地方合わせて幾ら負担増になるか、お答えをいただきたい。
○大武政府参考人(財務省主税局長) お答えさせていただきます。
 ただいま先生からお話のございました、老年者控除の廃止と、公的年金等控除は廃止じゃございませんで縮減でございますが、その負担増のみを取り出した場合の平年度増収額は、国、地方合わせて約3千8百億円となっております。
○佐々木(憲)委員 もう一つお聞きしますが、昨年は、配偶者特別控除の一部廃止、消費税の免税点引き下げなど中小企業特例の縮小、さらに、酒税、たばこ税などの増税が決められました。昨年決められてことしから実行されるこれらの増税分は幾らでしょうか。
○大武政府参考人 お答えさせていただきます。
 15年度税制改正は、16年度におきましても、約1.5兆円の減税が継続している。それからさらに、別途、いわゆる歳出措置もありますが、今先生が御指摘になりました見直しのみを取り出した場合の平年度増収額は、国、地方合わせて約1兆6千600億円ということかと存じます。
○佐々木(憲)委員 昨年から……(発言する者あり)
○北村(直)委員長代理 大臣に、着席してください。
 佐々木憲昭君、どうぞ。佐々木憲昭君、質疑を続行してください。
○佐々木(憲)委員 今の答弁では、1兆6千600億円ということで、これは、昨年からことしにかけまして政府の税制改革の中で決定され、実行されつつある、また、今年度予算案で実行しようとしている、その内容であります。合わせますと2兆400億円ということで、これは、国民一人当たりにしますと2万円近い増税になるわけであります。
 あわせてお聞きをしたいんですが、与党が既に決めております所得税の定率減税を廃止すると幾らの増収になるんでしょうか。あるいは、国、地方合わせて、この負担増となりますと幾らになりますか。
○大武政府参考人 お答えさせていただきます。
 今先生がお話のございました所得税の定率減税による減収額、国税で2兆5千億、それから地方税で約8千億円ぐらいと現状では推計しております。
 ただ、定率減税の今先生言われた廃止というのは、やはり社会経済動向とかあるいは年金国庫負担割合の引き上げとの関連を踏まえながら、国、地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しの中で検討を行っていきますので、定率減税の廃止だけを取り出して負担増が幾らになると言うのは余り適切ではないのではないかと思います。
○佐々木(憲)委員 後半の説明は、それはいろいろな解釈があるでしょう。しかし、我々は、具体的に国民にどのような負担が加わっていくかということから見ると、これだけ大変な負担になるわけであります。合わせて、これだけでも3兆3千億円になるわけですね。
 仮にこれを合わせますと約5兆円、今までの負担増の税金分だけでも、今の答弁を合わせますと5兆円ぐらいになるわけですね。このほかに、昨年来、医療、年金、介護などの社会保障の分野でも、これは負担がふえる。
 ともかく、出てくるのは負担増ばかりというのが今の実態でございまして、総理にお聞きしますけれども、確かに家計消費が、これは今の経済全体の中で重要な役割を果たしているという認識だというふうにおっしゃいましたが、このように今は負担増、それはそれぞれの改革の中身は議論があるとしても、実態で国民の暮らしにかなり重くのしかかってくると思うんです。これはやはり消費全体にマイナスの作用を及ぼすと思いますけれども、総理はどのような認識でしょうか。
○小泉内閣総理大臣 これは、一部だけ取り上げて論ずるというのではなくて、減税もしているわけであります。同時に、年金に充てられる部分もあるわけであります。さらに、経済全体が上向いてくれば、これは雇用にもいい影響を与えてくる。そして、今、各企業が業績が上がってくれば、社員の給料も上がってくれば、家計においても好影響を与えてくる。そういうことから、最近は、設備投資も増加傾向にある、そして、消費も伸びてきている、景気の方にも明るい兆しが出てきたというような実態にあらわれているんじゃないでしょうか。
○谷垣財務大臣 ちょっと総理の御答弁に補足させていただきます。
 先ほど佐々木委員、統計を引かれて、苦しくなっているところが多いということをおっしゃいました。財務省は、先日、法人企業統計というのを発表しましたが、これを見ますと、確かに企業収益は改善しているんです。人件費についても、前年同期比で見て約2年半ぶり、10四半期ぶりに増加することになったと承知しておりまして、企業活動の活性化の恩恵が徐々に家計にも及んでくる、そういう状況になってきたんじゃないかと思っております。
 もちろん、まだまだ手を緩めてはいけないと思いますけれども、そういう経済全体の好調が徐々に家計にも及んでくるというふうに私は期待できると思っております。
○佐々木(憲)委員 人件費のことをおっしゃいましたけれども、実際に、常用雇用はかなりマイナスになっておりまして、非常に雇用は不安定になっております。それから、失業率というのも下がっていない。さらに、働いている方々の賃金の統計を見ましても、決してこれはふえているわけではない。家計収入はマイナスである。
 これらを考えますと、一部の企業は確かに利益がふえていますけれども、その要因としては、相当のリストラをやり、家計にしわ寄せをし、下請にしわ寄せをしているということが実態としてあると思うんです。したがって、我々は、そういう家計をどう応援していくかというのが、やはり弱いところをどう支えていくかというのが政治の役割だというふうに思うわけですね。
 それでは、減税もしているというふうにおっしゃいました。その減税はどうしても大企業向け減税が多くて、例えば、今年度予算の内容を見ましても、法人税の欠損金繰越期間の延長、あるいは連結納税制度導入の際につくられた連結付加税というのが廃止されるわけであります。これを合わせますと、約2千億円になるわけであります。こういうことで、大企業向けにはさまざまな減税措置というのが実際にとられているわけであります。
 時間がありませんので端的に聞きますけれども、どうも、政府がやっている政策というものは、今お配りしたこの資料、経団連の「平成16年度税制改正に関する提言」、これとそっくりでありまして、欠損金繰越期間の延長、5年から7年に、これも全くそのとおり行われております。あるいは、連結付加税を廃止してほしい、そのとおりやっておりますし、先ほど言いましたように、高齢者に対する増税措置も、全く同じ要望を取り入れている。個人住民税の引き上げの問題もそのまま。それから、昨年の、例えば法人関連の研究開発減税などを見ましても、軒並み、いわば財界、経団連の要望がそのまま通っているというのが実際の税制改革の内容ではないか。
 したがいまして、こういう状況を考えますと、国民に対しては、相当の負担増がのしかかっているんだけれども、大企業の方は、相当、減税、減税という形になっている。利益がどんどんふえているところには減税、体力のあるところには減税……(発言する者あり)うるさい。静かにしなさい。うるさいな、本当。尾身さん、うるさい。ちょっと委員長、注意してくださいよ。
○笹川委員長 静粛に。静粛に。
○佐々木(憲)委員 私の質問中に勝手なやじを飛ばさないように。
 それで、私が聞きたいのは、つまり、財界から言われたものがそのまま通っているんじゃないかということであります。そういう状況ですから、私は、経団連の要望ばかりを聞いて、どうも国民の声が届いていないのではないかと。
 こういうときに、最近、経団連は、政策評価をして各政党に献金を行うんだ、こういうことをやっております。どうも自民党の評価は高いと思ったら、経団連の言っていることがそのまま実行されている、こういう状況でありまして、総理に、もう時間がありませんので端的にお伺いしますけれども、この経団連の献金再開ということは、私はかなり大がかりな政治買収じゃないかと思うんですけれども、自民党の総裁として、この経団連の献金を受け取るというつもりなのか、それとも、それは拒否するということなのか、はっきり答弁していただきたい。
○小泉内閣総理大臣 民主政治を発展させたい、日本の経済社会をさらに健全化していきたい、そういう点において、個人も企業も団体も、それぞれの支持する政党に献金しようというのは、これは悪いことではなくて結構なことだと思っております。
 そういう点、献金してくれるところだったら、自由民主党は堂々とこれからの政治活動に生かすように使わせていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 結局、経団連の政策を取り入れ、経団連からお金をもらい、それが自民党政治だということが大変よくわかりました。
 毎日新聞もこういうふうに書いているんです。「洋の東西を問わず、経済界から政治サイドに余計な資金が流れ込むとろくなことがない。しかもそれは常に美しい言葉で美化して始まるものだ。政治は「カネ」に中立ではない。ここから政治の腐敗が始まる」こういうふうにも言われておるわけです。
 我々は、企業・団体献金は禁止、さらに、政党助成金は受け取らない、献金は個人に限る、そういう立場で、国民の立場でしっかりと今後とも頑張っていくという決意を表明しまして、質問を終わらせていただきます。

Share (facebook)

このページの先頭にもどる