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税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業), その他 (消費税)

2009年02月16日 第171回 通常国会 財務金融委員会≪大臣所信に対する質疑≫ 【489】 - 質問

財金委で大臣の資質を問う 消費税増税のための法制上の「措置」を批判

 2009年2月16日、財務金融委員会が開かれ、中川昭一財務・金融担当大臣の所信表明にたいする質疑が行われ、佐々木憲昭議員が質問しました。

 佐々木議員は冒頭、中川大臣がG7後の記者会見で、「酩酊状態」でやりとりを行った問題について「正常ではない」た追及しました。
 中川大臣は「結果的にああいうことになったことは、まことに国民に対して申し訳ない」と弁明しました。
 佐々木議員は「原因がクスリかアルコールか、今後、究明されるだろうが、記者会見の前に体調不良の自覚がないことは、大臣の資質が問われる大きな問題だ」と批判しました。

 続いて、佐々木議員は、2011年度までに消費税増税のための法制上の「措置」をとる附則に書き込んだ国税法案は、G7の声明で「内需を刺激し、もっとも脆弱な人々を支援する」とされたことにさえ逆行しているのではないかと撤回を求めました。
 消費税は、所得の低い人ほど負担が重くなる逆進性があると同時に、中小業者にとっては、増税分を価格に転嫁できず廃業・倒産に追い込まれることになると批判しました。
 中川大臣は「消費税増税が低所得者に負担感が大きいということは一般的に言える」とのべ「逆進性」を認めました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 この質疑の流れ上、G7のあの記者会見について、私も一言ただしたいと思います。
 あの記者会見は、財務大臣、政策の中身は別として、印象も含めて全体として会見が成功したと評価しているのか、それとも、いや、あれはまずかった、失敗だった、こういうふうに思っておられるのか、どちらでしょうか。
○中川財務・金融担当大臣 私のお見苦しい点はあえて別にすれば、あの記者会見は、白川総裁のきちっとした御答弁も含めて、私はちょっと右往左往しましたけれども、しかし、あの会議の内容には成果がありましたし、またそれを一応お伝えすることができたということで、あの記者会見は成果があったというふうに理解をしております。
○佐々木(憲)委員 国民に与えた印象は大変まずい印象でありまして、この印象も含めて、私は政策のあれは別としてと聞いたんですが、やはりこういう事態、大変な注目を浴びるような異常な事態だ、これは正常ではないと私は思うんですけれども、いかがですか。
○中川財務・金融担当大臣 先ほどからお話があるように、余り自分では言いたくないですけれども、疲労、あるいは緊張感、あるいは風邪、そしてそれを何とか会議中もたせたいということで薬を多用したということで結果的にああいうことになったということは、まことに国民に対して申しわけないことだったというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 体調不良の原因はいろいろ究明されると思うんですけれども、この記者会見の直前に、自分の体調がちょっとまずいな、これはこのままやると酩酊状態と受け取られるような事態になりかねない、そういう自覚は全くなかったんでしょうか。
○中川財務・金融担当大臣 とにかく風邪ぎみであったということ、それから、先ほど中川委員からも御指摘いただきましたが、ずっと予算委員会あるいは衆参の財金委員会が続いていてほとんど、睡眠が少なかったということで、風邪で熱が出るあるいはせきが出るということに対してのおそれといいましょうか、そういうものを非常に私は持っておりました。
 ですから、飛行機の中では比較的寝られたんですけれども、しかし、風邪の薬を多用して、そして、今から考えれば風邪薬を多く服用すれば当然副作用も出てくるということは当時もわかっていたんですけれども、とにかく風邪がひどくならないということを最優先に考えていたということで、いっぱい薬を飲んだことが一挙に記者会見でああいう形になってしまったということだろう。正式には近々またかかりつけの医者に行って診てもらわなければいけないと思っておりますけれども、現時点ではそういう素人判断をしております。
○佐々木(憲)委員 私はけさのテレビを見ておりましたら、森元総理が出てこられて、その映像もごらんになって、顔をしかめながら、いや、私は前から酒が好きだという中川大臣に対して気をつけるようにと言ってきたんだという話をされていました。
 この原因は薬なのかあるいはアルコールなのかというのは、私どもは今の時点での判断というのはわかりませんけれども、これは究明されると思いますけれども、いずれにしても、ああいう状況になるというのを直前には自覚されていないということであるなら、これはやはり大臣としての資質にもかかわってくるわけです。ああいうときに真っ当な、いい印象を与える記者会見ができないということになると、それでもやるんだ、突っ込んでいくんだ、こういうことになると、これはやはり私は大臣としての資格が問われてくると思います。
 その点についてはどうお感じでしょうか。
○中川財務・金融担当大臣 先ほども御指摘がありましたけれども、あの時点では、私は、終わった後のほっとした雰囲気と、それから、その直前にも薬をちょっと飲みましたので、これでもって、記者会見というのはいい印象をいつも与えているというよりも悪い印象しか報道されないことが多いんだろうと思いますけれども、何とか記者会見を乗り切れるというふうに判断したことは事実でございます。
○佐々木(憲)委員 私は、ああいう状態で記者会見をされながらその直前に自覚がないということは非常に大きな問題だというふうに思います。
 では、具体的な中身についてお聞きしますが、金融上の問題に限ってお聞きしますけれども、従来、金融サミットとかさまざまな会合がありました。今回のG7で、何か金融上の措置として、従来にない全く新しいことが決められたということがあるのかないのか。私は余りその印象がないんですが、大臣、いかがですか。
○中川財務・金融担当大臣 G7声明では、各国がそれぞれ講じてきた金融上の施策、例えば日本では、金融機能強化法の改正でありますとか株式の買い取りのこととか信用保証のこととか、それからアメリカで、例のTARPの問題、あるいはさらには経済安定化策等々を積極的にやるんだ、これは一国の問題ではなくて、各国がある意味ではそれぞれがやるべきことをやっていくんだということで、金融上の対策が非常に重要である、やはり流動性の確保といったものが非常に重要であるということで認識をし、これからもいろいろな対策をとっていく必要があるということは共通の認識になったというふうに理解をしております。
○佐々木(憲)委員 従来決めたものをなぞったという形だと思うんですが、私は、必要なことは、例えば国際的に大変な投機活動を行ってきた巨大な総合金融機関あるいはヘッジファンドなどに対する具体的な規制策というものがどんどん出されてきて、そして二度とあのようなことが起こっていかない、そういうことが表明されて初めて安心感というものが出てくると思うんです。それが、何か余り具体的なイメージが出てこなかったというのが私の印象であります。
 それからもう一つ、G7の声明のポイントによりますと、国内需要と雇用創出を刺激し、最も脆弱な人々を支援する、そのための歳出と税制措置の適切な組み合わせというふうに書かれているわけです。
 アメリカやヨーロッパの場合は具体的にどんな措置を講ずる必要があると考えているか、具体的に示していただきたい。
○中川財務・金融担当大臣 G7では、御指摘のように、最も脆弱な人々を支援するための歳出と税制措置の適切な組み合わせを求めております。
 歳出につきましては、一連の経済対策で、雇用問題、企業の資金繰り確保を最重要課題として、解雇等により住居を失う方への住宅・生活支援などの雇用対策、中小・小規模企業への資金繰り円滑化に向け、緊急保証と政府系金融機関による貸し付けの30兆円への拡充といったこともやっておりますし、それから金融機能強化法で12兆円の資本参加ということをやっております。
 また、21年度の税制改正では、住宅ローンに対して、特に中低所得者にも減税効果が及ぶようにしております。中小企業の経営を支援するために、法人税の軽減税率を22%から18%にするということも日本では取り組んでいるところであります。
 また、アメリカの方でも、中低所得者ですか、95%をカバーするというような減税対策もこれからとるというふうに聞いておりまして、やはり中低所得者対策というものが今回の一つの大きな柱だったというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 具体的にアメリカやヨーロッパでどういう措置がとられているかと私は聞いたんですけれども、何か日本の話を大分されました。
 では、日本の場合、私は今、緊急事態というのは、大企業が次々と派遣切りを行って失業者を生み出しているというところに最大の問題があると思うんです。それを抑えていかに雇用を守るかということが緊急課題だと思います。ところが今は、ともかく3月の年度末を挟んで大変な失業者が生まれかねない、そういう事態になっているわけです。
 需要が、消費が落ち込んでいる、そういう中で雇用不安が広がる、さらに消費が落ち込む、こういう悪循環に入ってきているのではないか。そういう意味で、私は、今のこの状況を根本的に大きく変えていくということが大事だというふうに思います。まずは大企業の派遣切りをとめるということですね。そのことをやらないと、今後いろいろな措置を打っても、これは根本的な打開策にならない。
 まず派遣切りにストップをかける、そういう決意が必要だと思うんですが、大臣、どうですか。
○中川財務・金融担当大臣 雇用対策、特に今、ここに来て急速に経済が悪化している中での解雇に対して日本としても対策をとっていかなければいけないというのは、これはもう佐々木委員の御指摘のとおりだろうと思います。
 そういう意味で、年末対策あるいはまた第二次補正予算でもいろいろやってまいりましたし、また、この中で4千億円の基金の積み増しということもやっております。また、21年度本予算におきましても、この雇用対策というのはある意味では最重要課題である、総理が言っております目の前の景気対策の大きな柱として雇用対策が極めて重要であるという認識は私どもも強く持っているところでございます。
○佐々木(憲)委員 これがなかなか実際には歯どめがかかっていないわけであります。
 今重大なことは、そういう中で、予算の話をされましたけれども、本当に国民の暮らしを守るという形になっているかどうか。例えば大企業に対する減税をさらに上乗せするとか、そういうものは載っていますけれども、本当に庶民に対して生活を守るものになっていない。
 例えば、2200億円の社会保障のカット、これは若干、事実上緩和されたとはいいながら、枠組みは撤回していないですよね。2200億円をカットするというところは枠組みそのものももうやめるということを断言するとか、あるいは母子家庭の児童扶養手当をカットするなどということはこれを撤回してもとに戻すとか、そういう具体的な措置がとられて初めてそういうことが言えると思うんですけれども、いかがですか。
○中川財務・金融担当大臣 2200億円の社会保障費の削減については、ことしにつきましては、厳しい財政状況ではございますけれども、何とか手当てをしたということであります。
 来年どうするかについては、これは厚労大臣の方にもまた、きちっと厚労省が財源をまず第一義的に手当てをしてもらいたいというふうにお願いをしているところでありますけれども、国全体といたしましても、やはり社会保障費が厳しい状況ではありますけれども、全体の枠組みの中でこの問題をどういうふうにしていくかということは今後検討していく必要があるというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 財源は厚労省にお願いするといっても、財源は財務省ですからね。財務大臣がどれだけしっかりと対応するかにかかっているわけで、これは2200億カットするというのはもうやめてくださいよ。これがあるためにどれだけいろいろな分野で、医療にしろ、福祉にしろ、障害者にしろ、高齢者にしろ、被害を受けているか、これはもう明確だと思うんですね。
 次に、消費税について伺います。
 今度の税制法案では、2011年度までに消費税を含む税制の抜本改革を行う、そのための法制上の措置をとるということが書かれております。
 措置をとるという意味は、消費税増税の額と時期は書かないけれども、消費税を上げるというその法案を国会で2011年度までに成立させる、そういう意味ですね。
○中川財務・金融担当大臣 社会保障の抜本的な枠組みをどう再構築していくかということになったときに、財源である税制改正というものは避けて通れないという認識を持っているわけであります。そのときには消費税も含めて税制をどういうふうにしていくかということでありますが、この場合には、減税するものもあるかもしれませんけれども、やはり増税というものも避けて通れないわけでございまして、その場合には、景気がよくなるということを大前提にして、つまり、景気がよくならないときには税制改正、増税というものはしないということは、ある意味では当然のことであるわけでございます。
 したがいまして、2011年には景気がよくなるということを前提にして税制の抜本改正の枠組みをつくっていくわけでございますけれども、それはそれとして、実際に景気がよくならないときには2011年から税制の抜本改正はしないということでございまして、2011年からこれをやるということについては、経済の状況、景気の動向を見た上で税制抜本改正をしていくということで、これは切り離した議論だというふうに御理解をいただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 この附則には、平成23年度、つまり2011年度までに「必要な法制上の措置を講ずるものとする。」こういうふうに書かれています。
 「講ずるものとする。」ということは、この部分は、景気がよくなろうが悪くなろうが、講ずることは事実なんでしょう。
○中川財務・金融担当大臣 「講ずるものとする。」ということは、そういう税制改正のスキームをつくるということでありますけれども、実施するかどうかは、あくまでも経済がよくなるということが大前提になるわけでございます。
○佐々木(憲)委員 つまり、消費税の増税の枠といいますか考え方というものを、2011年度までに国会を通す、通したいということでありまして、これは非常に重大なことだと思うんです。これ自体、G7の声明で言う国内需要の刺激に逆行すると私は思います。GDPの55%を占める家計に冷水を浴びせて、冷え込ませてしまうと言わざるを得ません。
 しかも、この消費税の増税というのは、財源としても私はやるべきではないと思います。無駄を削ること、軍事費を削ること、さらに法人税の問題もあります。これは、今まで減税がどんどん行われてきました。大企業は利益が倍近くになっても法人税の支払いは横ばいですから、これはもう、利益が上がれば当然法人税もちゃんと払ってもらわなきゃいけない。そういうことこそやるべきであって、庶民に消費税の増税を負わせるということは、我々は反対であります。
 もともと消費税というものは、所得の低い方、収入の低い方ほど、収入に占める消費税の比率というものは高いわけですね。収入の高い人、所得の多い人は、この比率は低いわけです。私も試算をやってみました。家計調査をもとに、200万未満の世帯の場合は年収の3・7%の負担率になっているわけです、今。1500万円の年収の方は1・4%ですから、比率が低いわけです。所得が高くなればなるほど、消費税の負担割合というものは低くなっていくわけです。額はもちろん大きいかもしれませんけれども、負担の比率と負担感という点では、所得の低い人ほど負担が重いわけです。したがって、これは経済的な弱者ほど深刻な状況になる。消費税を増税すればするほど、一番低い層に深刻な負担を負わせ、格差を一層拡大する、こういう性格を持っているわけです。
 したがって、竹下さんが以前、9つの懸念というようなことを言いました。その一番最初に挙げているのが逆進性の懸念であると言いましたし、その後、私は、塩川財務大臣にも谷垣財務大臣にも尋ねましたが、逆進性についてはお認めになったわけです。
 中川大臣にもお伺いしますけれども、こういう逆進性があるということは、これはお認めになりますね。
○中川財務・金融担当大臣 まず、税制抜本改正というのは、何も税を全部上げるということでは必ずしもない、減税もあり得ると思います、増税もあるわけでございます。
 そういう前提でお話をさせていただきますと、消費税というのは、言うまでもなく、広く薄くというふうに、みんなで負担をしていただこうということでございまして、累進性がないわけでございますから、そういう意味におきましては、消費税というのは、広く薄くということで、いわゆる低所得者の方の負担感が大きいということは、それは一般的に言えることだろうというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 つまり、逆進性があるわけですから、いわば弱い者いじめの税制だと我々は言ってきたんですけれども、それを増税するというのは、これはやめてもらいたい。
 しかも、中小業者の場合は、今の不況の中で特にそうなんですけれども、これが価格に転嫁できない、こういう業者が以前の政府の調査でも約5割ぐらいいるわけです。そうしますと、みずからこれを負担しなければならない。みずから負担するということは、これは赤字でも負担せざるを得ないわけですから、極めて重大な直接税の性格を持つということになるわけですね。そういう意味で、この消費税の増税というのは非常に中小業者を廃業、倒産に追い込んでいくと言わざるを得ないと思うんです。
 現に、日本の中小企業は大変な事態にありまして、例えば政府の統計によりましても、これは中小企業白書ですけれども、86年のときに532万社ありました中小企業の数、これが2006年には420万社に減っているわけです。大変な減り方なわけですね。これはなぜかというと、不況の中でなかなかやっていけない、あるいは税金が重い、そういう中で必死になって努力しても、廃業あるいは倒産ということに追い込まれているわけです。
 したがって、この中小企業に、転嫁できないような状況の中で消費税を上げるということは業者にとっては大変な事態になる、そういうことになるということは、大臣、自覚されていますか。
○中川財務・金融担当大臣 ですから、今のような経済状態の中で消費税を上げるということは、これはなかなか難しいことだろうというふうに思っているわけであります。
 景気がよくなる、あるいはまた経済が成長していくというときに初めてこの議論が出てくるわけでございまして、しかも、もとにあるのは、これは社会保障費、年金、介護、医療、少子化対策等、どうしてもこれから負担と給付の関係が厳しくなるというものについて国民の御理解をいただいてこれを使わせていただくんだという、ある意味では目的を限定しているわけでありますから、そういう総合的な観点の中で、しかも日本の5%というものが世界の中で極めて低い、20%以上の国もありますし、お隣の韓国も10%という状況の中で、どうしてもこれを安定的な財源として社会保障費に使わせていただくということについては、景気がよくなるという前提でぜひともこれは御理解をいただきたい。
 それは、負担感からいって上げない方がいいという御議論はわからないではありませんけれども、片っ方では税の財源がない、片っ方では社会保障費が足りない。一体それを、無駄をなくすということは佐々木委員御指摘のとおりでありますけれども、共産党が認めていない防衛費を削れとかそういう問題でこの消費税の値上げというものに短絡的に結びつけるということは、我々としてはこれはできかねるということでございます。
○佐々木(憲)委員 消費税を上げるということは、私は景気が回復してもやるべきじゃないということを言っているわけです。それを上げれば、ますます格差が拡大し弱者が切り捨てられる、中小業者は経営ができない、倒産に追い込まれる、そのことを言っているわけです。
 税制という点でいうならば、今まで、例えば法人税率、42、3%のところまで上がっていた。その法人税率がどんどん下げられてきているわけですよ。30%に下がっているわけです。払う力のある大企業が今まで払ってこなかった。そういう状況を改善するということこそ税制でやるべきであって、それをそのままにしておいて、景気が回復したら当然法人税を上げるということをやるべきなのに、回復したら消費税を上げるという、これは逆ですよ。我々はそういうやり方には反対であります。やはり、無駄と軍事費を削りなさいということを主張したい。
 それから、定率減税が廃止になりましたね。この定率減税廃止で2兆6千億、あるいは、それも含めて、今までの高齢者に対する負担もこれをふやすという税制改悪をやった。合わせて2兆8千億円、これで基礎年金の国庫負担2分の1のために使いますということでやったにもかかわらず、実際にはそれは使われなかった。今になって、埋蔵金で当面賄って、2年たったら今度は消費税でやるんだ、こういう話になってくると、これは一体どういうことなんだ、これは二重取りじゃないか、こういうふうに言われるのは当然なんですね。
 この国庫負担の2分の1のためにといってやった定率減税の廃止、その税収は幾らで、一体国庫負担に幾ら回ったのか、ここではっきりさせていただきたい。
○真砂政府参考人(財務省主計局次長) お答えいたします。
 平成17年度と18年度にかけまして定率減税の縮減、廃止を行いまして、それによります所得税の増収分が約2・6兆円でございます。
 そのうち32%、0・8兆円は、地方交付税法に基づき地方交付税に充てられております。残余の1・8兆円でございますが、これは特定財源ではございませんので、厳密にどこにと特定することは困難でございますけれども、与党における御議論も踏まえまして、定率減税の縮減、廃止に関連された歳出項目として、基礎年金の国庫負担割合の引き上げに約0・3兆円が充てられまして、残りは、後世代に負担を残さないよう財政の健全化を進めるため、公債発行の縮減に既に充てたところでございます。
○佐々木(憲)委員 今の数字を聞いても明らかなのは、1・8兆円使えるにもかかわらず、これを基礎年金に充てたのが0・3兆円、3千億円ですよ。5分の1にすぎないんです。全額使うと言っていたにもかかわらずこういう状況ですから、私は、一つの証文で二度取り立てるという言葉がありますけれども、まさにそれだと思うんです。
 そういう意味でも、今政府がやっていることは、国民に対する負担ばかりふやして、負担ができる大企業、大資産家については減税ばかりやる。これは全く国民の要望からいうと逆行していると言わざるを得ない。最後にこのことを指摘して、質問を終わりたいと思います。

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