2008年11月21日 第170回 臨時国会 議院運営委員会 【478】 - 発言
再就職等監視委員、NHK経営委員、社会保険審査会委員などの国会同意人事案に対し意見表明
2008年11月21日、衆議院本会議で、政府から提案された再就職等監視委員会委員、NHK経営委員、社会保険審査会委員など6件19名の国会同意人事案の議決が行われました。
佐々木憲昭議員は、それに先立って開かれた議運委員会で意見表明をおこないました。
また、政府は、公正取引委員会委員に上杉秋則氏(元公取委事務総長)を充てる人事案を国会に提示しましたが、この日、議院運営委員会に出席した鴻池祥肇・内閣官房副長官は、その人事案を「取り下げたい。その理由は後日、説明したい」と述べました。
政府が、提案した人事案を撤回するというのは、きわめて異例な事態です。
それは、野党側の調査で、上杉氏が「弁護士資格」を持っていないにもかかわらず、出版物などで「弁護士」という肩書きを用いていたことがわかったためです。
衆参両院は、予定していたこの人事案採決を見送りました。
上杉氏は公取委に在職中に、弁護士資格を持たないのに架空の弁護士名(弁護士の肩書きのペンネーム)で月刊誌に論文を寄稿していました。
さらに日本共産党の調査で、独占禁止法に関する実名での著作を紹介する出版社のチラシに、弁護士の肩書を使用していたことも判明しました。弁護士法に違反する行為です。
このような人物を、「法律に精通している」という理由で国会に正式に提案した政府の責任が、改めて問われます。
この日、参議院本会議でも同意人事の採決が行われ、NHK経営委員の政府提案した4人のうち3人が、反対多数で不同意となりました。不同意になったのは前田晃伸(新、みずほフィナンシャルグループ社長)、篠崎悦子(再、ホームエコノミスト)、多賀谷一照(再、千葉大学教授)の3氏。桑野和泉氏(新、旅館「玉の湯」社長)のみ同意されました。再就職等監視委員会委員長、同委員も、参議院で不同意となりました。任命には衆参両院の同意が必要なため、これらの人事案は白紙に戻ります。
議事録
○佐々木(憲)委員 国会同意人事について、意見を述べます。
まず、再就職等監視委員会委員任命の件であります。
再就職等監視委員会は、昨年の公務員法改正による天下りの事実上の自由化とワンセットで設置されたものであり、天下り容認システムともいうべきものであります。
同委員会は、天下りの新たな機関である官民人材交流センターが本格始動するまでの移行期間の3年の間は、政府も廃止すべきとした省庁による天下りあっせんを承認する機能が与えられています。こうした天下りあっせん自体を認めることはできません。
したがって、再就職等監視委員会の設置自体に問題がある以上、その委員の任命に同意することはできません。これは前国会で申し上げたところであり、その見解はいささかも変わるところはありません。
次に、日本放送協会経営委員についてであります。
NHK経営委員会は、07年12月の放送法改正によって、従来の公共放送を国民視聴者の代表が管理監督する組織という側面が大きく後退させられ、企業経営のガバナンスを行う組織に変質させられました。しかも、昨年6月に安倍内閣によって任命された古森委員長のもとで、財界の意向に沿ったNHK経営合理化が強引に進められ、公共放送の役割をゆがめてきました。
今回、退任する古森氏にかわって、みずほフィナンシャルグループの社長で日本経団連副会長の前田氏を任命するのは、現委員長代行である岩崎三井不動産会長とともに、NHKに対して財界の意向をより強く反映しようとするものであり、認められません。
また、再任の2人は、常勤委員の監査委員として古森委員長を支えてきたのであります。古森氏は、09年度からの次期経営計画の決定に当たって、3人の委員の反対を押し切り、受信料10%還元を強引なやり方で盛り込む修正議決を行いましたが、両委員はこれを支持しております。一層の合理化で公共放送をゆがめる古森路線を踏襲する委員の再任には同意できません。
社会保険審査会委員の再任の件については、健保や年金に係る行政措置の不服申し立てを審査し救済する機関の委員に、巨額の保険金未払い問題を起こしている大手損保の幹部役員を充てることは、到底容認できません。
その他の同意人事については、特に問題はなく、賛成であります。
以上、意見表明を終わります。