金融(銀行・保険・証券) (銀行公的資金注入, 中小企業融資)
2008年11月06日 第170回 臨時国会 本会議 【476】 - 討論
新金融機能強化法案が衆院通過 佐々木議員反対討論
2008年11月6日本会議で、金融機関に公的資金を投入するための新金融機能強化法(修正)案の採決がおこなわれ、自民党、公明党の賛成多数で可決、衆院を通過しました。この法案は、11月5日財務金融委員会で採決が行われていました。日本共産党、民主党、国民新党、社民党は反対しました。
採決に先立って、佐々木憲昭議員が反対討論に立ち、法案について「投機的な資金運用に乗り出し、自己資本を棄損した日本の金融機関を公的資金を使って応援するもの」「資本注入が銀行の貸し渋り対策となる保証がない」と批判しました。
そして、いま必要なのは「貸し渋りや貸しはがしをすすめている金融機関の姿勢をただす」ことと「中小企業を直接支援する政策を進める」ことだと主張しました。
また、保険会社の破たん処理に税金を投入する保険業法改定案も採決され、日本共産党以外の賛成で可決しました。
議事録
○佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表し、金融機能強化法案及び保険業法改正案に対する反対討論を行います。(拍手)
まず最初に、金融機能強化法改正案についてであります。
本法案に反対する理由は、第一に、国際的な金融危機のもとで、投機的な資金運用に乗り出し自己資本を毀損した日本の金融機関を、公的資金を使って応援するものとなっているからであります。
我が国は、1996年の住専処理以来、46兆円を超える公的資金を金融機関に投入し、10兆円以上の国民負担を発生させたのであります。公的資金を使った巨額の資本増強を初めとする銀行甘やかし政策が、失敗しても最後は税金で救ってくれるという安易な依存心を生み出したわけであります。それが、貯蓄から投資へという旗印のもとで進められた金融の規制緩和政策とも相まって、今日のような投機活動に傾斜した銀行、金融機関を生み出す一因となったのであります。
本来、金融安定化の資金は、金融業界全体の責任と負担で確保すべきものであります。そうしてこそ、金融業界に自己規律を生み出し、相互監視機能を強めることにつながるのであります。
アメリカでは緊急経済安定化法が成立しましたが、最終的損失を国民に回す日本とは根本的に違う仕組みになっているのであります。5年後に純損失が生じた場合、大統領が銀行業界に負担を求める法案を出すものとなっております。
我が国の法案は、公的資金を投入する仕組みを復活させ、投機で失敗しても国民の税金で救済されるという、新たなモラルハザードを生み出すものとなっており、到底容認できるものではありません。
反対する第二の理由は、本法案による資本注入が銀行の貸し渋り対策となる保証がないことであります。
実績を見ていただきたい。過去12年間に12兆4000億円もの資本注入が行われました。しかし、銀行業界全体で84兆円も中小企業向け融資が削減されたのであります。公的資金による資本注入が貸し渋り対策につながらなかったことは、この事実からも明らかではありませんか。
さらに、本法案では、中小企業向け貸出残高など地域経済貢献目標が未達成の場合、株主責任や経営責任を問う現行法の仕組みを削除しております。これは、目標達成を一層あいまいにするものとなっています。本法案の資本注入が貸し渋り対策として機能する保証はありません。
今求められているのは、貸し渋りや貸しはがしを進めている金融機関の姿勢を正すことであります。銀行が自分の利益のみを優先させ、中小企業がつぶれても当然とする姿勢、リスクをとろうとしないこの姿勢を改めさせることこそ肝要であります。
また、中小企業を直接応援する政策を進めることが必要です。信用保証制度の責任共有制度の導入や政府系金融機関の弱体化など、この間政府が行ってきた施策を根本的に見直すことを求めるものであります。
最後に、保険業法改正案についてです。
保険契約者保護制度は、保険会社の破綻時に機構が資金援助等を行うことにより破綻保険会社の保険契約者等を保護する仕組みであります。本来、その費用は保険業界全体で負担するのが原則であります。
大和生命の破綻を含め、これまでの保険会社破綻の背景には、過度の高リスク金融商品での運用、生保不信による解約増、バブル期の乱脈経営などがあります。
こうした経営責任と監督責任をあいまいにしたまま税金投入をする仕組みを残せば、業界と政府のモラルハザードを招きます。責任のない国民に破綻保険会社の損失を無制限に負担させる、このような仕組みを延長する本法案には反対であります。
以上で、反対討論を終わります。(拍手)