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金融(銀行・保険・証券), その他 (同意人事)

2008年10月21日 第170回 臨時国会 議院運営委員会≪聴聞会≫ 【466】 - 質問

議運聴聞会で日本銀行副総裁候補・山口廣秀氏に質問

 2008年10月21日、議院運営委員会で、国会同意人事である日本銀行副総裁候補の山口廣秀日銀理事を昇格させる国会同意人事について所信聴取と質疑が行われました。佐々木憲昭議員も質問しました。

 山口氏は、所信表明で「日銀の使命は物価の安定と信用秩序維持の達成」と強調、みずからの役割について「(日銀に)長く勤めた経験をもとに、職員の専門性を引き出し、組織力を発揮させる」と述べました。
 今回の金融危機の背景には、この10年来の銀行業務の変容がある。貸出債権が売却され、証券化され、投資対象にされるようになった。その背後に、グラス・スティーガル法の銀証分離という原則を後退させてきた経緯があります。
 そのうえで、巨大複合金融機関が大規模な投機的取り引きに手を出し、巨額の損失を発生させています。佐々木議員は、「この間の行き過ぎた規制緩和について、どのような認識を持っているか」と質問。
 また、4月のG7では、国際展開する大手金融機関を各国当局の協力による「共同監視」ということが強調されたが公的資金には踏み込みませんでした。しかし、10月のG7では「公的資金」による資本増強に踏み出しました。180度の変化です。経営責任をまともに問わず、税金を投入することには、大きな批判があります。佐々木議員は、「税金の投入についてどのように考えているか」質問しました。
 これに対して、山口氏は規制緩和についてまともに答えませんでした。
 しかし、公的資金投入について、「私どものこの90年代の経験ということを考ると、やはり、公的資金をどのようなタイミングで、どれだけの規模で投入するかというのが非常に重要であったこともまた事実」「いざ、ぎりぎりのところになった場合には、公的資金の投入ということについても、やはり、ちゅうちょせずに判断していくということが必要な場合もある」と答えました。
 このように答え、山口氏は血税を銀行に投入することを当然視する姿勢を示しました。

 この国会同意人事は、24日の本会議で採決がおこなわれ、それに先立つ議院運営委員会で佐々木議員は、同意人事について発言しました。

議事録

【佐々木議員質問部分】
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、12道府県の不正経理問題についてお聞きしたいと思います。
 一つは、12道府県を選んだ基準は何かという点でございます。検査を行うとすれば、常識的に言うと一斉に47都道府県をやるべきだというふうに思いますけれども、体制上、人手不足などの問題があったのかどうか。今の会計検査院の体制として、人員についてふやしてほしいという要望があるのかどうか。まず、そのあたりをお聞きしたい。
 二つ目は、対象となったすべての道府県で不正経理が発覚した、そこに共通する原因があるように思いますけれども、その点、どのようにお考えか。交付金の削減など、今、地方財政はかなり窮迫しておりまして、目的を特定する補助金依存のあり方の見直しも求められていると思います。預け金という名の裏金をつくるというのは言語道断ですけれども、補助金の現在の仕組みについて、何か感想があればお聞きをしたいと思います。
 三つ目は、長期にわたってこの問題が続いていたということなんですが、チェック体制というのが会計検査院としても逆に問われることだと思います。昨年、各県の裏金問題が発覚して関心が高まったということが契機だったと思いますけれども、やはり独立した機関にふさわしく、不断にさまざまな問題について目を配り、監視を強めるということが必要だと思います。新しい切り口の話もありましたけれども、その点で今後どのように努力をされるつもりか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
 最後に、会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する憲法上の財政監督機関ですから、国から民間にお金がどう流れるか、このチェックが大変重要だと私は思います。
 昨年、所信聴取の際に、私は、検査をする対象に先輩が天下りでいるということは、大変検査しにくいということになって、いろいろな問題が起こるのではないかというふうにお聞きをしました。山浦さんはその議論の中で、天下りについては実態をつかんでいないが、少なくとも、検査院に対する社会の負託があり、その負託に疑念をもたらすことは検査院として避けるべきだというふうにお答えになりました。
 1年たった時点で、改めて、天下りの実態についてどのように把握されているか。その実態を踏まえて、天下りを禁止する考えがあるかどうか。
 以上、お聞きしたいと思います。
○山浦参考人 まず一つは、今回の自治体の不正経理の問題でありますけれども、全体まで検査の対象を広げるというのは、御指摘のように、人員の関係でなかなか難しい。それはできるだけ早急に着手し、また、既にもう着手しているところでありますけれども、やはり人の不足というのはいかんともしがたいというところがあります。
 その上で、どうしてこの12を選んだかということでありますけれども、実は、調査官を派遣するときに県レベルで検査指定をしていきます。一つの県に入るときに、特定の検査事項で入るだけでなくて、ほかにもいろいろ検査する項目がありますので、そういった意味ではローテーションを組んでおりまして、これ以上細かく言いますと、我々のノウハウにかかわってきておりますので差し控えますけれども、いずれにしても、そのローテーションの一環として今回の取り組みがなされた、こういうふうに御理解いただければ結構だと思います。
 それから、どうしてこういった地方自治体での不正経理が頻繁に発覚するのかということでありますけれども、やはりこれは、これまで、地方自治体での経理に対する責任意識というのでしょうか、これがない。それから、国と地方との間の関係、これは一種のもたれ合いみたいな関係があるというのも私は考えておりまして、そういう依存体質がついつい甘えを生み出す、また、国からのチェックも緩いためにこういったものが野放しになっていた、一種の文化みたいなものが地方自治体の組織にでき上がってきているような気がします。
 そういった点からしますと、今回の検査院の指摘は、ある意味では大きな文化革命を引き起こすものと考えておりまして、今後ともこれらについては検査官として陣頭指揮をとっていきたい、こういうふうに思っております。それなりの緊張関係を検査院とこういった自治体との間にも持っていきたい、こういうふうに思っております。
 ただ、補助金の問題につきましては、ちょっと我々、検査院の検査官としてなかなかお答えしにくい問題でありますので、これはちょっとここでは私の回答を差し控えさせていただきます。
 いずれにしても、地方自治体は、今後は例えば内部監査体制とか、あるいは監査委員会の強化、こういったものが求められているのではないかと思いますので、検査院としてもできる限りそういった指導、指摘といったものを進めて、やはり第一次責任の現場でそのチェック体制を完備するということを、当面、私は強調していってまいりたいと思っております。
 それから、OBの問題でありますけれども、これは私、就任に当たっての所信表明でも申し上げました。これは先生御指摘のとおりであります。この考え方は今も変わっておりません。実質的に検査に当たっての手心を加えるということはあってはなりません。また、その原因が何らかの利害関係にあるとすればとんでもない話でございまして、これはないものと私自身は信じております。
 もう一つは、外部の国民の目から見たときに、そういったもたれ合いがあるのではないかという疑念を抱かれるような事態、これもやはり避けるべきだと思っています。そうしないと、検査の結果についての信認を得られない、こういうことであります。
 そういった面で、このOBの問題は、検査官として、これまでも特に役所支配の再就職の問題についてはいろいろ指導してまいったつもりでございますし、疑念を抱かれないようにしてきたつもりでございます。今後とも、この方針については堅持していくつもりでございます。



○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。
 現在の金融危機の背景に、この10年来の銀行業務の変容があると思うんです。貸出債権が証券化され、売却され、投資対象にされるということで、その背後に、グラス・スティーガル法の証券分離という原則を後退させてきたという経緯があります。その上で、巨大複合金融機関が大規模な投機的取引に手を出して、巨額の損失を発生させている。これが実態だと思うんです。この間のこの行き過ぎた規制緩和についてどのような認識を持たれているか。
 それから、4月のG7では、国際的に展開する大手金融機関を各国当局の協力で共同監視ということが強調されましたが、今回は、10月、G7で、公的資金による資本増強というところに踏み出しました。これは180度の変化だと思うんですが、経営責任をまともに問わず税金を投入することには大きな批判があります。税金の投入についてどのように考えているか、お聞きしたいと思います。
○山口参考人 お答えいたします。
 確かに、投資銀行と言われるような非常に大きな金融機関を中心にして行われた取引によって、大きな問題が生じてきたという面があることは事実でございます。したがって、そうした金融機関に対して今後どのような対応をしていくべきかというのは非常に大きな課題でございます。
 既に、各国の中央銀行、米欧の中央銀行でありますが、それから監督当局はいろいろな動きを示してきております。
 例えば米国につきましては、FRBが、米国連邦準備制度でありますけれども、FRBが投資銀行について情報収集を十分できるような体制をしくようになっております。それから、さらに、二大投資銀行につきましては、銀行持ち株会社のもとに入るという形になりまして、FRBの直接の監督下に入るという格好にもなっております。
 それから、イギリスの方を見てみますと、バンク・オブ・イングランド、英蘭銀行でありますが、英蘭銀行の監督機能を強化しようというようなことが起きてきております。昨年、ノーザン・ロックという銀行が破綻いたしました、昨年の9月のことでありますが、そういった状況を見ながら、やはり今申し上げたような形での監督強化、規制強化というのが必要だという判断になったわけであります。
 一方で、BISのバーゼル委におきましても、先ほど申し上げたような規制、チェックというのをやはりよりしっかりさせていこうというようなことになってきておりまして、全体として見ますと、投資銀行の活動、証券化業務の活動、こういったものにつきまして当局の目をしっかり行き渡らせるというような方向に動いてきている、このように認識しております。私どもとしても、そうした流れというのが必要なんだろうというような認識でございます。
 それから、税金の投入ということについてどのように考えるかということでございます。
 アメリカにおきましても、金融安定化法といいますか、経済安定化法の議論におきまして、議会においてかなりさまざまな議論が展開されたわけであります。そういう中におきまして、タックスペイヤーズマネーといいますか、税金の投入において、そう簡単に判断していいのかというような御判断がアメリカにおいてはあったんだろうと思っております。やはり、そのあたりについては相当慎重な配慮が必要なんだろうと思っております。
 ただ、一点つけ加えておきますと、私どものこの90年代の経験ということを考えてみますと、やはり、公的資金をどのようなタイミングで、どれだけの規模で投入するかというのが非常に重要であったこともまた事実であります。実際には、日本の場合には、不動産の価格下落というのがずっと続く中で、不良債権額がなかなか決まらない、わからないという状況がずっと続いたわけであります。
 したがって、その不良債権額が確定しない中にあって、金融機関にとって必要な資本注入額もはっきりしない、明確にはわからないというようなことも起きたわけであります。そういう過程で公的資金を注入するかしないか、するとした場合にはどのぐらいの規模にしたらいいかということについても、国会での御議論もかなり活発に行われたわけであります。実際には、そこも非常に難しい問題であったということでありますが、振り返ってみますと、これは私の個人的な感想でありますが、いざ、ぎりぎりのところになった場合には、やはり公的資金の投入ということについてもちゅうちょせずに判断していくということが必要な場合もあるということは申し上げておかなければならないかなというふうに思っております。

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