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金融(銀行・保険・証券), その他 (同意人事)

2008年03月13日 第169回 通常国会 本会議 【440】 - 討論

衆議院本会議で日銀総裁・副総裁の国会同意人事について討論

 2008年3月13日、衆議院本会議で、武藤敏郎副総裁の総裁昇格、伊藤隆敏東大大学院教授と白川方明京大教授(元日銀理事)の副総裁起用について、討論と採決がおこなわれました。
 佐々木憲昭議員は、11日の議院運営委員会での日銀総裁・副総裁候補の所信表明と質疑に引き続いて、討論に立ちました。日本共産党は、3人の同意人事に「不同意」の態度をとりました。

 この同意人事は、前日の参議院本会議で、武藤氏の総裁昇格と伊藤氏の副総裁起用については、野党4党の反対多数で否決されています。副総裁候補の白川氏については、日本共産党以外の会派の賛成で可決されました。
 同意人事は、衆参どちらか一院が不同意であれば国会として否決されたことになります。したがって、3名のうち白川氏のみが国会で同意されることになります。
 日銀正副総裁人事の否決は1998年4月の改正日銀法の施行以来、初めてのことです。

議事録

○佐々木憲昭君 日本共産党を代表し、日本銀行総裁、副総裁の国会同意人事に対する討論を行います。(拍手)
 日本銀行は、通貨・金融政策の最高の意思決定機関であります。その総裁、副総裁は、金融に関する専門的知識を備え、国民的視点に立ち、一定の自主性、機動性を持って的確な政策判断ができる人物でなければなりません。
 この立場から、今回提示された人事案に対する見解を述べます。
 まず、武藤敏郎副総裁の総裁昇格案についてであります。
 武藤氏は、2000年から大蔵省、財務省の事務次官を務め、5年前に日銀副総裁に就任しました。この間、貧困と格差を拡大してきた構造改革路線、経済財政政策に重大な責任を負ってきた方であります。日銀の副総裁となってからは、不良債権処理を加速化させる政府の政策を後押しし、数多くの中小企業を廃業、倒産の危機に追い込む要因をつくったのであります。アメリカの圧力のもと、ゼロ金利政策や超金融緩和政策などで日本の金融を極めて異常な状態にしてきた責任も重大です。
 一昨日、議院運営委員会の質疑で、私は、1985年9月のプラザ合意後にとられた超低金利政策について、武藤氏の見解をただしました。当時、政府、日銀は、アメリカのドル高是正に協力する円高誘導政策とともに、公定歩合を5%から2.5%に引き下げ、それを2年間も続けたのであります。それがバブルをあおり、家計所得を奪ったことは、だれも否定できない事実であります。
 ところが、武藤氏は、聴聞で、低金利と公共投資拡大という政策は正しかったとの態度を表明したのであります。これは、国民生活と日本経済を重大な事態に陥れた政策上の反省が全くないことを示すものであります。
 また、武藤氏が財務次官だった2002年12月、財務省が日銀に対し国債の買い入れ増を要請し、そのため、事もあろうに日銀券発行の歯どめを外すことを求めたのであります。財政規律から見ても、日銀の役割にも重大な疑問を投げかけるこの行為について、武藤氏は、デフレスパイラルを正すためにあらゆることをやる、真っ当だと言えないこと、異例だということをやることもあると述べたのであります。
 さらに、武藤氏は、社会保障費抑制路線を推進したことも問題であります。
 武藤氏が財務事務次官としてかかわった2002年度予算で、社会保障の自然増を3000億円抑制し、それを契機に社会保障の自然増を毎年2200億円圧縮する路線が敷かれたのであります。一昨日の質疑で、武藤氏は、これを当然視し、財務省の事務方のトップとしてやってきた国民犠牲の政策について全く反省がなかったのであります。
 このような方が、国民経済の健全な発展を責務とする日銀総裁にふさわしくないことは明白であります。
 なお、伊藤隆敏氏について言えば、経済財政諮問会議の民間四議員の一人として、財界代表メンバーとともに弱肉強食の構造改革論を推進してきた方であります。また、インフレターゲットの導入を強く主張してきました。この主張は、日本経済を危険な事態に導きかねないものであります。したがって、伊藤氏を副総裁に任命することは到底認めるわけにはいきません。
 白川方明氏は、日本銀行の理事として、ゼロ金利政策や量的緩和政策の一端を担ってきた経緯があり、日銀、政府の金融政策への明確な批判的見地を見出すことができません。従来の枠を出ることが明白でない以上、副総裁として賛成しがたいものがあります。
 最後に一言申し上げたい。
 この間、政府は、提案した人事案をのむよう野党に求め、日銀総裁に空白が生じてもいいのかと批判してきました。しかし、出された人事案に賛否の態度を明らかにするのが議会、議員の役割であります。賛成しないのはけしからぬと言うなら、議会政治は成り立ちません。
 そのような威圧的な態度を改め、野党が賛成し得る案を提示することこそ、政府のなすべき対応であります。このことを指摘して、討論を終わります。(拍手)

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