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金融(銀行・保険・証券), 平和・憲法 (政府系金融機関, 国際協力・ODA)

2007年04月18日 第166回 通常国会 内閣・財務金融委員会連合審査 【390】 - 質問

米軍グアム移転の基地建設に国際協力銀行の融資を批判

 2007年4月18日、佐々木憲昭議員は、内閣委員会・財務金融委員会の連合審査で、政府系金融機関が統廃合されるもとで、政府系金融機関の国際協力銀行が、在沖縄海兵隊のグアム移転の基地建設に、出資・融資する問題を追及しました。
 尾身幸二・財務大臣は、グアム基地建設への資金提供は、国際協力銀行の「目的とは合致しない」ことを認め、渡辺喜美・行革担当大臣は、「苦肉の策みたいなもの。政策金融改革とは別種類の話」とのべ、計画のでたらめぶりが明らかになりました。
 佐々木議員は、質疑でとりあげたのは、グアム移転費用102.7億ドルのうち、アメリカが要請する日本負担60.9億ドルのなかで、国際協力銀行の家族住宅への出資・融資は、25.5億ドル、基地整備への融資で7.4億ドルです。
 この額は、アメリカからの要請された額であって、まだ「検討段階」のものです。これが増える可能性も否定しませんでした。
 佐々木議員が、国際協力銀行が貸し付ける事業主体の構成や、資金を何年で回収するのか、家賃や電力等の使用料がどうなるのか質したのにたいし、大古和雄防衛省防衛政策局長は、回収については「50年の場合もある」としましたが、その他は今後の日米間の協議で決まるなどと述べました。
 佐々木議員は、こんな計画では、「出資・融資が回収されるかどうなるか分からない」と指摘しました。
 渡辺行革担当大臣は、「苦肉の策」とのべました。
 佐々木議員は、「アメリカのためには、赤字が出ようが関係ないというのが日本政府の姿勢だというのが、明らかになった」と批判しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 日本政策金融公庫に統合される金融機関として、国際協力銀行の中の国際金融部門というのがあるわけです。この国際協力銀行を利用して、米軍のグアム移転に関連して行われるグアム基地建設の資金、これを提供しようというのが政府の計画でございます。
 そこで確認をしたいんですが、今の国際協力銀行法の第一条には「我が国の輸出入若しくは海外における経済活動の促進又は国際金融秩序の安定に寄与するための貸付け等並びに開発途上にある海外の地域の経済及び社会の開発又は経済の安定に寄与するための貸付け等を行い、」とあります。
 尾身大臣、この目的から見て、グアム基地建設の資金提供というのは目的とは違うのではないでしょうか。
○尾身財務大臣 JBICの法律の目的は今お話しのとおりでございます。他方、在沖縄の米海兵隊のグアムへの移転事業におきましてJBICに求められる役割は駐留軍等の再編の円滑な実施に寄与することでございまして、御指摘のとおり、これはJBIC法第一条の目的とは合致しないところでございます。
 そのため、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法においては、現行のJBIC法第一条の規定にかかわらず、海兵隊のグアムへの移転に係る業務を行うことができるよう規定を整備したところでございます。
○佐々木(憲)委員 もともと目的に全く合わないものを国際協力銀行にやらせるということ自体が問題だ、この基本性格をゆがめるものだというふうに私は思うわけです。同時に、真水部分についても、財政法上、禁止規定がないからできるという答弁が繰り返されておりますが、非常に理解しがたい苦しい答弁だというふうに私は思っております。
 そこで、具体的に聞きますが、日米間で合意されたグアム移転費用の総額、そのうち日本側の負担額、その中で出資、融資額、これは幾らですか。
○大古政府参考人(防衛省防衛政策局長) 防衛省からお答えいたします。
 グアム移転経費の総額については、102億7000万ドルということで日米間で合意しているところでございます。このうち、日本の分担額につきましては60億9000万ドルということでございます。
 この日本の負担のうち、いわゆる真水部分につきましては、これは司令部庁舎とか隊舎とか等の関連でございますけれども、これについては約28億ドル、上限でございますけれども、こういうふうになってございます。
 その他、家族住宅とかインフラ等の整備がございます。
 まず家族住宅につきましては、約25億5000万ドルでございますけれども、このうち4億2000万ドルにつきましては、過去の事例から、民活事業の導入によって効率化が見込まれるというふうに考えているところでございます。その他については、出資で約15億ドル、それから融資で約6億3000万ドルを考えているところでございます。
 あと、インフラにつきましては、融資などで約7億4000万ドルを考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 今のその数字、アメリカの要請としてはそういう数字があったと思うんですが、日本側はこのアメリカの要請の数字にオーケーと、具体的にその額に合意がなされているというふうに理解していいわけですか。
○大古政府参考人 今申し述べた数字につきましては、検討段階の米国の見積もりでございます。あくまでも概算でございます。日米の合意については、このアメリカの見積もりに基づいて合意したものではございません。
 具体的なところは、今、日米間で協議中でございますけれども、我が国の負担の部分については今後きちんと精査するということで考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 具体的にまだ確定した数字ではないというわけですね。
 今後、その額がふえるということはありますか。
○大古政府参考人 防衛省といたしましては、今後きちんと精査した上で、できるだけこの金額の縮小を図りたいというふうに考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 米軍の家族住宅を3500戸つくると言いますけれども、土地は提供される。その上に、試算によると一戸当たり約8000万円を超える住宅をつくるということらしいですが、そんな豪華な住宅が必要なのか。
 グアムの平均的な家族住宅は幾らぐらいですか。
○大古政府参考人 グアムにおける米軍の家族住宅の建設費用についてのお尋ねでございますけれども、この点については、施工内容とか事業者によってさまざまであると思われますので、防衛省として、責任を持って、家族住宅の一戸当たりの建設費をお答えする立場にはございません。
 ただ、いずれにしましても、今後、日米間で協議した上で、家族住宅につきましては日本国内でも米軍の家族住宅の整備はしておりますので、そういう整備の実情を参考に考えていきたいというふうに考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 では、日本の沖縄米軍の家族住宅を参考にすると言いますが、一戸当たり幾らですか。
○伊藤政府参考人(防衛施設庁業務部長) 沖縄におきます米軍家族住宅整備についての御質問でございます。
 個々の建設費用につきましては、立地条件、物価変動等の状況がございますので一概にお答えすることは困難でございますが、米軍家族住宅整備におきます現在の一般的、標準的な建設費をお答えしますと、低層家族住宅、2階建て、3寝室、約145平米タイプで、基礎補強、附帯設備等を除きまして、1戸当たり約3000万円でございます。
○佐々木(憲)委員 日本の沖縄の米軍家族住宅は1戸当たり約3000万円だ。ところが、グアムの家族住宅は8000万円を超えるということが予想されておって、久間大臣も、ちょっと高過ぎるという答弁をされているようです。
 大体、何で3倍近い豪華住宅をグアムにつくる必要があるのか、何のためにそこに国民の資金を投入するのか、根本的に疑問であります。
 アメリカがこのグアムの住宅をもっと豪華なものをつくれと言ってきたら、拒否できるのですか。
○大古政府参考人 米軍の家族住宅につきましては米軍の中においても基準がございまして、当該軍人の階級等に応じて広さとか仕様が決まると聞いております。
 そういう観点で、今後、日本が資金を分担する部分については、日本での家族住宅の建設、それから米軍での基準等を参考にして考えていきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 もっと豪華なものをつくれと言ったら、拒否する権限は日本にあるのかと聞いているんですよ。
○大古政府参考人 米側から、通常の米側の基準を超えて特別華美の仕様のものをグアムで建設してくれという要望が出てくることは、およそ考えられないと思っております。
○佐々木(憲)委員 全くアメリカをただただ信頼しているというだけの答弁で、拒否する権限は日本にあるとはっきり言えないところに問題があると私は思います。
 国際協力銀行は、事業主体であるSPEというものに貸し付けて回収するといいますが、この事業主体の構成、それからその比率はどうなっていますか。また、この事業所はどこに置くんですか。
○大古政府参考人 お尋ねの事業主体の具体的なあり方については、今後、日米間で協議した上で決めていくということで考えているところでございます。
 その意味で、JBICからこの事業主体に出資なり融資が行われるということにはなりますけれども、その割合も含めて今後検討されるということでございます。
○佐々木(憲)委員 全く明らかじゃないです。
 では、これは何年で回収するんですか、日本のお金を。
○大古政府参考人 事業主体に対する融資について何年で回収されるかということについても、今後検討されることになります。
○佐々木(憲)委員 40年から50年じゃないんですか。
○大古政府参考人 米軍の家族住宅につきましては、米国政府自体が民活を取り入れてやっていると聞いておりまして、その事例では、回収期間は50年に及ぶというような場合もあると聞いております。
○佐々木(憲)委員 気の遠くなるような話ですね。
 家賃それから電力等の使用料、これは事業主体の独自の判断で決められるんですか。
○大古政府参考人 家賃や電力などの使用料につきましても、今後具体的に検討していくということになります。
 いずれにしても、確実に回収できるように、いろいろ今後きちんと精査してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 結局、融資をしたり出資をしたりするその回収も家賃で回収するんだから、家賃が幾らになるかもわからない、決められない、そんなでたらめなことがありますか。
 渡辺大臣、こういう、家賃も使用料も決められない、しかし、出資はいたします、融資はいたします、回収します、4、50年。事業主体がどうなるかもわからない、収益が出るかもわからない、出ないかもわからない。こんないいかげんなやり方で公的な日本の金融機関が使われるということについて、私はこんなやり方はとんでもない話だと思うんですが、大臣はどうお考えですか。
○渡辺行政改革担当大臣 このグアム移転の話は、まず一つには、海兵隊のプレゼンスによる抑止力を維持しながらいかに沖縄県民の負担を減らしていくかというところに大きな目的があるわけでございます。したがって、この目的を達成するためのいわば苦肉の策みたいなものなんですね。
 ですから、これを取り上げて、今回の政策金融改革がおかしいという議論にはならない話でございまして、政策金融改革とは別種類の、デカップリングして考えるべき話ではないでしょうか。
○佐々木(憲)委員 ということは、苦肉の策で、損失が出てもしようがない。アメリカが言ってきたから、あるいは、アメリカに対して、グアム移転をやる、そのために日本が負担しますとトップが決めたから、後は赤字が出ようが何しようが、そんなものは少しぐらい関係ないんだ、こういう姿勢が日本政府の姿勢だというのが今の答弁でよくわかりました。
 以上で終わります。

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