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税制(庶民増税・徴税) (消費税, 法人税, 大企業減税, 定率減税の廃止, 高齢者への年金課税強化)

2008年01月25日 第169回 通常国会 予算委員会≪経済・金融問題の集中審議≫ 【428】 - 質問

福田総理に、年金の財源問題で質問

 2008年1月25日、衆議院予算委員会で、経済・金融問題の集中審議が行われ、テレビ中継されました。佐々木憲昭議員は、福田総理大臣に年金の財源問題について質問しました。

 政府・与党は、基礎年金の「国庫負担分を3分の1から2分の1に引きあげる財源」のためとして、年金増税や定率減税廃止をおこない、国民に大増税を押しつけました。
 政府が、国民のフトコロから取り上げたのは、2兆8000億円でした。ところが、年金に回ったのはたった7000億円です。
 佐々木議員は、あとの2兆円を超える部分は、どこにいったのか、と質問しました。
 これにたいし、額賀財務大臣は「借金を返すために使った」と答弁しました。
 これは、あまりにもひどい「公約違反」です。
 自民党・公明党の与党税調が出した平成16年度の「税制大綱」には、基礎年金の国庫負担のために使うと書いてありました。
 しかも「公明新聞」(2003年10月24日付)を見ても、「定率減税の廃止」と「年金課税の見直し」で財源を捻出し、「3段階で国庫負担2分の1へ」と書いていました。
 「消えた財源」の行き先は、“赤字の穴埋め”と“大企業減税”にまわったことは、明白です。
 佐々木議員は、「内閣府などは、消費税を引き上げる試算ばかり発表しているが、法人税の試算はないのか」と質問しました。
 これにたいして、太田弘子経済財政担当大臣は、「法人税は前提の置き方が難しいので、機械的な計算の場合は使っていない」と答えました。
 何も難しいことはありません。やらないのは、財界・大企業に負担を求める気がないからです。
 たとえば、43.3%だった法人税率は、いま30%まで下がっています。1990年度の税率37.5%に、少し戻すだけで、地方税分も含めて、大企業だけで約4兆円の財源が出ます。
 このほか、研究開発減税などの優遇税制を廃止・縮小すれば、少なくみても1兆円の財源が出てきます。
 この程度の負担は、バブル期に比べて15兆円も経常利益が増えているので、ほんの一部を税にあてるだけですみます。
 そうすれば、基礎年金の国庫負担分ぐらいは、すぐに出てきます。
 年金の財源を「誰が負担すべきか」という問題は、国民に耐え難い大増税(消費税増税)を押しつけるのか、それとも担税力(税金を負担する力)のある大企業に応分の負担をもとめるのか、ということです。
 この間、大企業に対して、単に法人税率を引き下げただけではありません。
 大企業グループの連結納税による減税、減価償却減税、研究開発減税など、至れり尽くせりの減税をやってきました。
 公的な年金をみんなで支えあうというなら、このゆき過ぎた減税をもとに戻して大企業に一定の負担を求めるのは当たり前です。
 佐々木議員は、住民税・所得税の増税も必要ない、消費税の増税も必要ないとただしました。
 福田総理は、施政方針演説で「今年を『生活者や消費者が主役となる社会』へ向けたスタートの年と位置づけ」ると述べています。
 しかし、財界・大企業にはひと言もモノが言えない、国民に対しては過酷な増税を押しつける。これが福田内閣の姿勢だということが明らかになりました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 福田総理は、21日の本会議の答弁で、消費税の増税について、平成21年度までに基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げるとされていることを踏まえて、早期実現を図る必要があると述べたと思いますが、これは事実ですね。
○福田内閣総理大臣 21年度、国庫負担2分の1への引き上げ、こういうことがありますものですから、それに対応するためにはそういうことも必要かなというふうに考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 そのことに関連して、きょうはお聞きしたいと思います。
 まず、数字を確認したいんですけれども、一昨年から昨年にかけまして実施された年金に対する増税ですとか、さらに定率減税の廃止によって、住民税、所得税の大増税が行われました。幾らの増税になったか、国に入った分は幾らか、財務大臣、この数字を示していただきたいと思います。
○額賀国務大臣 お答えいたします。
 2004年度改正における年金課税の見直しは、御承知のとおり、高齢者世代の税負担が同じ収入の現役世代と比べまして相当程度軽くなっていたわけでございますので、現役世代と高齢者世代との税負担の公平を図るという観点から行ったわけでございます。
 数字的に申し上げますと、年金課税の見直しが国、地方合わせて3800億円程度、このうち国税分が2400億円程度の増収で、定率減税の縮減、廃止が国、地方合わせて3.4兆円程度、このうち国分が2.6兆円であります。
○佐々木(憲)委員 合わせて約2兆8000億円程度の国民への増税となったわけですね。
 問題は、基礎年金の国庫負担割合を引き上げるために使う、これが目的ではなかったのか。
 ここに平成16年度税制改正大綱というものがありますけれども、これを見ても明らかなように、年金課税の適正化とか定率減税の縮減、廃止、こういうものを挙げまして、「平成17年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担割合の段階的な引き上げに必要な安定した財源を確保する。」こういうふうに書いているわけであります。
 こういう目的でこの増税を行ったということですね、大臣。
○額賀国務大臣 これは、先ほど言いましたように、高齢者の負担と現役世代の負担を考えた場合、同じ収入を得ている層を相対的に比較すると、現役世代の方がちょっと負担が大きいのではないかということで変えさせていただいたということです。
○佐々木(憲)委員 私が聞いているのは、その上がった税金を何に使うのか。そのことについて、与党税調は平成16年度の大綱の中で、基礎年金拠出金に対する国庫負担割合の引き上げのための財源、つまり、3分の1から2分の1に引き上げる、そのために使うんだ、こういう目的のためにやる、こういうふうに書いています。そのことを確認しているわけです。
○額賀国務大臣 それは、基礎年金の負担の割合を高めていくために一部使わせていただいたり、あるいはまた財政再建に使わせていただいたりしているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 一部と言いますけれども、ここで書いているのは、財政再建のために使うとは書いていません。基礎年金の2分の1への引き上げのために使うんです、だからそのための定率減税の廃止だ、こういうふうに書いているわけです。
 配付資料の一を見ていただきたいんですけれども、最初にこの定率減税の廃止を言ったのは公明党でして、公明新聞をそこにコピーしてお渡ししてありますが、左上の図を見ていただくと、「3段階で国庫負担2分の1へ」、こういう見出しがありまして、そのために、その下に小さな字で解説がありますけれども、定率減税の廃止、年金課税の見直し、これで財源を捻出し、2004年度から国庫負担を段階的に引き上げて08年度から2分の1にする、そういう案を提示しました、政党として真っ先に責任ある具体策を提起した、こういうふうに言っているわけですね。
 所得税の税収の32%は地方交付税となる、それは承知の上でしょうけれども、増税した分に見合う金額を年金財源に充てる、こういう政策を出した、これは与党税調の全体の認識だと思うんですね。その方向で自民、公明政権は定率減税を廃止した。そのため、結果として国民は大増税で大変な打撃を受けて、怨嗟の声が広がったんですよ。それは御承知のことだと思う。
 そこで聞きたいんですが、厚労大臣、この基礎年金の国庫負担に回された分、これは現在幾らぐらい回っていますか。
○舛添国務大臣 お答えいたします。
 平成20年度予算におきましては、現行の基礎年金国庫負担割合に1000分の8を加えることとしております。これによりまして、基礎年金国庫負担割合は、現行の3分の1プラス1000分の32に1000分の8を加えますから、3分の1プラス1000分の40ということでございまして、これに当たる金額について単純に試算いたしますれば、6800億円程度と見積もっております。
○佐々木(憲)委員 この図を見ていただくとわかりますように、今まで、定率減税の廃止、これに2兆5600億円の増税、年金増税で2400億円、合わせて2兆8000億円増税になりました。
 しかし、実際に今数字を示していただきましたが、約7000億円、6780億円、これが回っただけなんですよ。つまり、全体の増税の中で、基礎年金の財源に回しますと言っていながら、4分の1しか回っていない。あと4分の3はどこに消えたんですか。
○額賀国務大臣 これは、おっしゃるように、基礎年金の一部に3年間手当てをしてきたことと、あわせて、先ほど言いましたように、我々の大きな財政全般を考えた場合に、やはり借金累積が多いわけでありますから、できるだけ財政の健全化を図る上で使わせていただいたところもあるわけでございます。
○佐々木(憲)委員 借金の返済に回すために増税したと。そういう約束はしていないじゃありませんか。今まで言ってきたのは、全部基礎年金の国庫負担を引き上げるために回します、そのように与党税調も言い、自民、公明もそういう宣伝をしてきた。ところが、実際には4分の1しか使わない。あと4分の3を借金を返すためにと。そんな使い方で国民は納得すると思いますか。そういうことをやって、まだ足りない、まだ足りないから今度は消費税の増税だと。
 総理大臣は、この前、本会議場で、2分の1まで引き上げるためには、そのタイミングで消費税の増税を考えなきゃならぬ、こういうことまでお話をされた。これは、二重に国民をだましていることになるんじゃないですか。これは、やり方として、本当に国民は納得できないと私は思います。やはりこういう国民負担を押しつけるやり方というのは正しくない。
 今、日本の大企業がどれだけもうかっているかというと、最近はちょっと景気が悪いとかいいますけれども、しかし、経常利益はバブル時代の倍になっているわけです。税金を払っていますか。税金は逆に減っているわけですよ。何でこうなっているんですか。国民には増税をしながら、大企業の負担、法人税率、43.3%だったのが今は30%に下がっている。これだけじゃないですよ。このほかにも、研究開発減税とかIT投資減税ですとかあるいは減価償却減税ですとか、まあ次から次と大企業には至れり尽くせりの減税をやりながら、何で国民にばかり増税を押しつけるのか。
 私は、これは一つ聞いておきたいんですけれども、最近、政府が出してくるさまざまな消費税増税の数字がありますが、例えば、財政再建のため、あるいは社会保障のためと内閣府などは数字を出していますけれども、何で消費税だけなんですか。法人税を上げたらこのぐらいになります、そういう試算はなぜ出さないんですか。あるなら出してください。どうですか。
○額賀国務大臣 これは、委員御承知のとおり、定率減税というのは、平成11年だったか、日本経済が非常にどん底にいたときに景気対策としてやらせていただいたわけでございまして、景気が一定の安定度を取り戻したときに、もとに戻させていただいたということでございます。
 その上で、おっしゃるように、基礎年金の財源に充てるということも当然議論があったわけでございますけれども、同時に、昨年の与党の考え方では、それは、社会保障を中心とした財政の増大、どんどんふえていく中で、安定した財源を確保していくために消費税を含めて税体系を抜本的に見直す、こう言っているわけでございます。
○大田国務大臣 恐らく御質問の点は、諮問会議に民間議員が2025年までの試算の一つとして出した、現在の医療と介護を給付をそのまま維持したら負担はどこまで上がるかという試算だと思われます。そのときは、消費税と所得税を半々で機械的に上げるという前提で出しております。ただ、これはもとより、具体的にどの税を上げたりどの税を下げたりということを申し上げるものではなくて、増税の幅がわかりやすいように機械的に出したものです。
 なぜ法人税を使わないのかという御質問だと思いますが、法人税に関しましては、繰越欠損の存在などもありますので、前提の置き方が非常に難しくなります。実際、モデルの中でも、企業の規模あるいは課税ベースによって非常に複雑なモデルになっておりますので、機械的な計算の場合は使っていないということです。
○佐々木(憲)委員 要するに、法人税の試算はしていないと。理由は、難しいとかいろいろな理由を挙げますけれども。
 つまり、大企業に負担になるようなことは一切手を触れないと。所得税にしろ消費税にしろ全部国民負担じゃないですか、国民負担は試算はどんどん出して上げるけれども、何で大企業のこれだけ下がっている法人税に対してまともな試算をしないんですか。
 例えば、全部もとに戻せとは言いませんけれども、37.5%に少し戻すだけでも4兆円程度の財源は出てくる。そういう特権的な、これ以外にもあるわけだけれども、そういうものをやれば数兆円の財源は出てくるわけですから、当然、住民税、所得税の増税なんというのは必要ない、消費税の増税も必要ない、こういうことをはっきりと私は申し上げておきたい。
 時間が来ましたけれども、すべての負担を国民に回すようなやり方で、これは生活者重視とは言えないということを申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。

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