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金権・腐敗政治 (政治資金規正法の改定, 政党助成金)

2007年12月19日 第168回 臨時国会 倫理選挙特別委員会 【426】 - 発言

政治資金規正 監査制度は不必要でムダづかい

 2007年12月19日、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会が開かれ、政治資金規正法「改正」案が委員長提案として提案され、これに関して佐々木憲昭議員が発言しました。

 この「改正」案では、監査制度の導入や適正化委員会設置などを盛り込んでおり、その問題点をだだし反対を表明しました。
 佐々木議員は、政治資金の収支を広く公開して国民の不断の監視のもとに置くことが基本であり、収支報告書の監査など、そもそも必要ないと指摘しました。
 弁護士や公認会計士、税理士を「登録監査人」とすることについては、会計帳簿と領収書とを突き合わせるだけで、高度な専門的知識は必要なく、「収支報告書」にたんなる「お墨付き」を与えるのが目的です。
 佐々木議員は、そんなことのために、適正化委員会を設置したり登録監査人制度をつくるのは、税金のムダ遣いだと批判しました。
 また今後、監査が強化されれば、運用によっては政治活動への介入の恐れもあると指摘しました。
 これらの点について、発議者の棚橋泰文委員長は、公開の基本については「指摘の通り」だと述べながら、監査制度の導入については「与野党間の協議での議論を経たもの」との答弁に終始しました。
 さらに佐々木議員は、企業団体献金や政党助成金を含む「入り」の問題こそ、国民にとって一番の関心事だと指摘しました。
 そのうえ、与野党協議でも与党から政党助成金の支出の全面公開について、「これはすぐにでもやるべきだ」と主張しました。
 また、現行では毎年の収支報告書を翌年の9月30日までに公開しているのに、法案では2ヵ月遅い11月30日までの公開となっているのはなぜか、と質問しました。
 増田寛也総務大臣は、「形式審査に時間がかかる」ことなどを理由にあげました。
 佐々木議員は、「登録監査人が監査するというなら、形式審査の必要はなくなる」とのべ、公開時期の前倒しを要求しました。
 増田総務大臣は、「国民が迅速な公開を求めていることを十分踏まえる」との考えを示しました。

 「改正」法案は、日本共産党が反対しましたが、自民、民主、公明、社民、国民新の賛成多数で可決されました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 政治資金規正法の改正に関する各党の協議が行われまして合意事項というのがまとめられたわけですが、私もこれに参加しておりました。ただ、この内容については、私ども日本共産党としては同意できないという立場を表明しております。
 先ほど委員長がこの法案の発議を行われましたけれども、全党が一致しているのであればこの法案は委員長が提案し委員長がお答えになるというのはいいと思いますが、しかし、そうではないわけで、この法案をつくった方々が議員提案をして質問にも答えるというのが筋だと思うんです。私は、一番詳しいのは武部さんだと思いますので、武部さんに来てもらって御答弁をいただくというのが一番いいと思っていますけれども。
 まず、このやり方について、委員長の見解をお聞きしておきたいと思います。
○棚橋委員長 これは委員長提案ということについてでございますか。(佐々木(憲)委員「はい」と呼ぶ)
 この法律改正につきましては、今佐々木委員がまさにおっしゃったように、これまで各党間で大変長く、しかも熱心な御協議をしていただいておりましたというふうに理解しております。その上で今般の内容にまとまったものと伺っておりますが、それを踏まえた上で先ほどの理事会におきまして委員長提案とするように決せられたというふうに理解しておりますので、どうかその点御理解をいただければと思います。
○佐々木(憲)委員 私は、やり方としては、全党一致の場合はそれでよろしいと思いますが、異論を持っておりますので、その旨表明しておきたいと思います。
 さて、そこで内容ですけれども、この合意文書に入っていないものが法案要綱として出されて法案化されているところがあります。例えば、収支報告書の公開の仕方や要旨の扱いなどについて新しい内容が盛り込まれているわけです。これは総務省がいろいろ言われたというふうに言われていますけれども、事実ですか。
○久元政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) 今回の法律改正につきましては、これは各党間で合意されて今提案されているところでございますが、私どもも、実務者の間の協議には担当者が出席をさせていただきまして、実務的観点からの、つまり、現在の収支報告の状況、あるいは公表の関係がどういうふうになっているのかという実務の観点から現状なりを説明させていただいたという事実はございます。
○佐々木(憲)委員 具体的にお聞きしますけれども、法案では収支報告書の公表期限を11月30日までに行うとなっているわけですね。これまでは9月30日までとなっていたわけです。なぜ2カ月もおくらせるのかという問題があります。
 要旨公表のかわりにインターネット公表ができるとされていますし、要旨の作成の手間もかからない、監査人のチェックも済んでいる、こういう状況であれば、たとえ5月に提出されても、それを公表するのは直ちにできるはずだと私は思うんです、やる気になれば6月でも7月でも。その点、どうして11月になったのか、総務大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○増田総務大臣 お答え申し上げます。
 確かに今回の法案でインターネット利用等が規定もされているわけでございますけれども、やはりこの提出された収支報告書につきましては収支公開の正確性が大変重要でございますので、そうした正確性が損なわれないように、これまでどおり形式審査というものを尽くす必要があるというふうに考えております。こうした形式審査ということをさせていただきますためには、報告書の提出から公表までにやはり一定の時間というものが必要でございますので、この点についてお考えいただきたい、御理解いただきたいというふうに思います。
 それから、その際でございますが、1件1万円を超える支出に関して明細を記載することとされておりますので、これによりまして具体的な記載項目というのも大幅に増加をしてございます。そういったこともございますので、形式審査でございますけれども、これにも相当の時間がかかってくるであろう、このように見込まれておりますので、この点につきましても御考慮いただく必要があるというふうに考えてございます。
○佐々木(憲)委員 正確性が損なわれないようにと言いますけれども、登録監査人の監査は終わっているわけですからね。正確なものを出すということで登録監査人が監査をするわけでありまして、その上に形式審査というのはほとんど必要ないじゃないかという議論がこの間の各党協議の中で行われたわけです。
 そういうことをぜひ踏まえて、この公表は11月にとらわれず、その前にも公表できると。11月までにですから、前に公表しても別に構わないわけでありますが、そういうことで検討していただきたいというふうに思います。大臣、いかがですか。
○増田総務大臣 こちらの方も、きちんと法律を執行するという意味で心配な点もございまして、正確性についても、形式審査でございますけれども、きちんとその内容を審査したいという考えもございまして、いろいろございますが、ただ、スピーディーに公表するという、この一般の要請もあることは十分踏まえておきたいというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 もう一つは、報告書の保存ですけれども、これは3年にすぎないわけですね。例えば10年前にさかのぼって知りたいという場合、官報に要旨が載っていれば、今は載っているわけですけれども、それは可能となるわけですね。その意味でも、官報への要旨の公表というのはやはり必要ではないかと思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○増田総務大臣 この公表については、まだ法律が成立しましてからその段階に行くまでに少し時間がございますので、こういった、現在の官報による要旨の公表、それが持っている意義ということもあると思いますし、それがなくなった場合の影響、それから我々の方の事情でいえば事務量というものも勘案する必要がございますが、そうしたことを勘案しながらこの点について検討したいというふうに思ってございます。
○佐々木(憲)委員 次に、登録監査人という制度をつくって収支報告書の監査をするということになりますが、私たちは、国民の前への収支の提示、そして国民がそれを監視するというのが基本だと思っているんです。したがって、何か途中で監査をするようなことは必要ない、そのまま公表すればいいというふうに思いますが、監査というのは何のために必要なのか、この点、委員長に確認したいと思いますが。
○棚橋委員長 佐々木委員御指摘のように、政治活動の公明と公正を確保するためには、政治団体の収支を広く公開し、国民の不断の監視のもとに置くことの重要性、これは全く御指摘のとおりだと思います。
 ただ、同様に、登録政治資金監査人という、今回新たに設ける第三者による政治資金監査を受けることによって政治資金の収支報告の適正化を図ることも重要なものだということを今回各党間の御協議の中で議論していただいて、それを経た上で国会議員関係政治団体の支出については登録政治資金監査人による政治資金監査を行うこととしたというふうに思っておりまして、そのような考え方によるものだというふうに私は承知しております。
○佐々木(憲)委員 適正な報告書と言うんですけれども、そもそも、1円から領収書が公表されるわけですね。監査の内容といいますと、会計帳簿と領収書を突き合わせる。だから、それほど高度な専門的知識が必要なわけではないわけですね。そういう監査をわざわざ弁護士ですとか公認会計士にやらせる必要があるのかどうかという問題があるわけです。しかも、新しい制度までつくって、予算もかなりかける。これは、行革からいうと、行革に反するんじゃないか、無駄遣いになるんじゃないか、結局お墨つきを与えるだけになるんじゃないかというふうに私は思うんです。チェックが甘いとなると、ではもっと厳しくしろ。そうなると、政治活動に対する介入というようなことにもなりかねない。
 やはり、今委員長もおっしゃいましたように、政治資金規正法の趣旨というのは、収支を国民に公表することだというふうに思うんですね。そういう点からいうと、入りの面の企業献金、あるいは政党助成金、そういうやり方が問題になってくるわけでありまして、やはり入りの面を問題にすることが必要だと思うんですけれども、今回なぜそれを問題にしなかったか、お聞きしたいと思います。
○棚橋委員長 これにつきましては、各党間の御協議をいただいた結果、今般の政治資金規正法改正に当たっては、支出の面に限って法改正を行うことで合意されたというふうに承知しております。
○佐々木(憲)委員 私は、一番大事なことは、入りの面で国民のチェックがきちっと行われるかどうか、そこが一番大事だというふうに思っております。
 もう一つ、政党助成金の問題ですけれども、先ほども自民党の側から指摘がありましたが、1円以上の支出の公開、これは最初は自民党も公明党もやると言っていたわけです。それが協議の中で、何か一致しないというような話が自民党側から最終的に突然言われまして、これは先送りというふうになったんです。私は、こんなことはすぐやるべきじゃないのかと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。
○棚橋委員長 政党助成法の関係でございますか。(佐々木(憲)委員「はい」と呼ぶ)
 これもまた佐々木委員御承知のとおり、各党間の御協議の結果で、政党助成法の改正については、今国会中という御意見もあったと伺っておりますが、次国会以降検討するということになったというふうに承知しております。
○佐々木(憲)委員 終わりますが、本来、公表して国民の監視のもとに置くというのが基本だということであります。法案では、適正化委員会を設置して、登録監査人をつけて収支報告書をチェックすると。これは、人も金もかけて異質なものを持ち込むことになると私は思います。また、本来やるべき入りの面での規制も先送りされております。政党助成金の公開の問題もまだ問題点があります。こういう点で、私ども日本共産党としては、この法案には賛成できない、反対だという立場を表明しておきたいと思います。
 ありがとうございました。

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