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金融(銀行・保険・証券) (金融消費者保護, 証券取引所)

2004年04月27日 第159回 通常国会 財務金融委員会 【245】 - 質問

銀行窓口での株式の販売仲介を解禁 証券取引を望まない国民も投資へ誘導

 証券取引法改正案が、2004年4月27日の財務金融委員会で審議されました。この法案は、銀行の窓口でも株式の販売仲介ができるようにすることなどを盛り込んだものです。
 佐々木憲昭議員は、この法案が、「投資家の幅広い市場参加」をねらって、望んでもいない国民を株式投資に銀行が誘導するものであり、トラブルや被害を拡大しかねないと追及しました。
 佐々木議員は、政府が行った『証券投資に関する世論調査』(内閣府大臣官房政府広報室)の結果では、国民が「証券市場の活性化を図り、より多くの個人投資家に市場に参加してもらうため」求めていることは、「景気回復」(56.5%)と「証券市場の不正の規制・監視」(45.9%)であり、銀行窓口での販売仲介解禁ではないことを指摘。
 また、預金者保護のため、証券取引法65条が銀行の証券業務を原則禁止にしてきたことを強調。98年に解禁された窓口での投資信託の販売をめぐり、高額預金者への強引な勧誘や、元本割れの説明がないなどの銀行への苦情相談が2年で17倍に急増していることを指摘。証券仲介業を認めれば被害はいっそう拡大することになると批判しました。
 竹中平蔵金融担当相は、被害急増の事実は認めたうえで、「証券等監視委員会で対応している」とのべましたが、実際、その対応で被害が救われた例は示されませんでした。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 証取法改正案について質問をさせていただきます。いろいろな論点がありますけれども、きょうは、今回の法案の第65条改正についてお聞きをしたいと思います。
 銀行などの金融機関が本体で行う証券仲介業を解禁するというのが今回のポイントであります。竹中大臣は、先日の提案理由説明で、多様な投資家の幅広い市場参加を促進するための改正だ、こういうふうに説明をされました。
 そこでお聞きしたいんですが、投資家の幅広い市場参加を促進するためには、株式取引の信頼性の確保というのが大変大事だと思います。この点での竹中大臣の基本認識をまずお聞きしたいと思います。
○竹中国務大臣(金融担当大臣) 信頼性は非常に多様な形で確立をしていかなければいけないのだと思います。
 まず、投資家から見ますと、株式市場に上場されているような企業等々がどのようなしっかりとしたガバナンスのもとで財務諸表をつくっているのか。したがって、非常に広い意味でのインフラという意味では会計制度はまさしく重要だと思いますし、株式会社の監査等々を行う会社のガバナンスに関連する商法のあり方等々も大変重要であるというふうに思います。さらには、市場における直接の取引そのものがしっかりと適切に管理をされているのか、不当な行為等々がないような仕組みになっているか、その監視、罰則の体制は十分になっているのかどうか、さらには、より広く情報そのものが非常にオープンな形で開示をされているのか。
 ある意味で金融市場というのは情報の塊だというふうに言った方がおられましたが、そういった情報の透明性等々も含めて、最終的には、取引をする場合に投資家というのは専門家に比べて弱い立場に置かれる可能性がございますから、そうした立場に対して十分な配慮がなされた、そういう取引の仕組みになっているのか、そういうことすべて、やはり総合的に重要であると思っております。
○佐々木(憲)委員 そこで、実態ですけれども、内閣府では、おととしの5月に、こういう、証券投資に関する世論調査というものを行っております。
 この調査結果を具体的に聞きたいんですけれども、現在証券投資を行っているというふうに答えた人は何%でしょうか。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答えいたします。
 平成14年5月の証券投資に関する世論調査の中ででございますけれども、「現在の証券投資の有無」について聞きましたところ、「現在行っている」と答えた者の割合は9.8%ということでございます。
○佐々木(憲)委員 では、今後証券投資を行ってみたいというふうに答えた人、それから行うつもりはない、それぞれ何%でしょうか。
○増井政府参考人 お答えいたします。
 「今後の証券投資の意向」についてでございますが、「株式」の場合でございますが、「行ってみたい」とした者の割合は11.4%、それから「行うつもりはない」とする者の割合が82.7%、「わからない」とする者の割合が5.9%ということでございます。
○佐々木(憲)委員 現在証券投資を行っている人は回答者の一割にも満たないという状況であります。今後も行うつもりはないという方は8割を超えているわけですね。
 それでは、今度の法案でこの方々が株式投資に向かうのかどうか。金融庁の説明によりますと、銀行の窓口での証券仲介業を解禁すれば利便性が向上する、それから投資経験のない銀行顧客層の市場参加を促して新たなすそ野を拡大する、それから証券会社の店舗が少ない地域におけるアクセスの改善につながる、こういうようなことを挙げまして、市場参加が促進される、こういうふうに説明をされているわけですね。
 国民が求めているのはこういうことなんでしょうか。
 内閣府の調査では、「証券市場の活性化を図り、より多くの個人投資家に市場へ参加してもらうために、政府はどのようなことをすべきだと思うか」こういう設問もあります。つまり、株式投資をしたいなと思えるようにするにはどういうことを政府がすべきなのかということなんですね。これについて、上位2項目を挙げていただきたいと思います。
○増井政府参考人 お答えいたします。
 「政府に対する要望」について聞いたところでございます。これは複数回答でございますけれども、「景気を回復させること」を挙げた者が全体の56.5%でございます。これが一番高かったわけでございます。次が、「証券市場において不正な行為が行われないように厳しく規制、監視すること」これが45.9%ということでございます。
○佐々木(憲)委員 景気を回復させてほしい、させてもらいたい、してもらいたい、そうすると当然株価も上がっていくから、それをやってくれというのが1番多いわけですね。それから2番目が、証券市場において不正な行為が行われないように、むしろ厳しく規制、監視する、これが求められているということだと思うんですね。
 それでは、逆にお聞きしますけれども、利便性を向上させてほしい、それから銀行で株式の仲介をしてほしい、こういう要望というのはその中にはありますか。
○増井政府参考人 お答え申し上げます。
 直接、利便性という言葉のものはございません。質問項目の中の表現でございますが、例えば「証券会社等が顧客に適切なサービスを提供するように監督すること」等の要望事項はございますが、直接利便性という言葉はございません。
○佐々木(憲)委員 結局、政府が今回の法案でねらっている、利便性の向上ですとかあるいはアクセスの改善につながるとか、そういうことを国民は別に期待していないわけですよ。国民が期待しているのは、不正を正してほしい、それから景気を回復してほしい、こういうことでありまして、法案は国民のこういう声にはこたえることになっていないのではありませんか。
○竹中国務大臣 まず、先ほど冒頭で答弁させていただきましたように、信頼性を回復するためにはいろいろなことをやらなければいけないということであろうかと思います。
 そういう意味では、今回の法案の趣旨でありますけれども、今委員が特に御指摘をくださいましたが、だれもが投資しやすい市場にする、アクセスを容易にするということに加えまして、投資家の信頼が得られる市場を確立する。具体的には市場監視機能・体制の強化、ディスクロージャーの合理化、そして、例えばでありますけれども、組合型ファンドへの投資家保護範囲の拡大等々が含まれているわけであります。さらに、効率的で競争力のある市場の構築のために、証券会社による顧客の注文の執行に当たり最良執行義務を導入する。
 そういう意味では、投資家の信頼を得られる市場というのは、これをやればすべてうまくいくというものではございませんけれども、今回の課徴金制度の導入に象徴されますように、非常に幅広く、市場の監視体制の強化、ディスクロージャーの合理化等々、我々としては国民の要望にも配慮した形での法案の提出ということになっていると理解をしております。
 もう一点、委員が冒頭でおっしゃったアクセスの改善といいますか仲介業等々につきまして、これは内閣府の設問には直接の設問はないわけでありますけれども、例えば、やはり顧客に対する適切なサービスを求めているというのはこのアンケートからも推察することはできますし、証券投資に対する教育啓蒙活動、つまりもっといろいろな情報がわかりやすく手に入ってほしい、そういうような潜在的なニーズは、具体的な設問はありませんけれども、やはり国民の間にはあるのではないかというふうに思っております。
 特に、この点に関しては、証券会社の店舗数が2100店舗ぐらい、銀行等が2万4千665という、アクセスの拠点が随分違いますから、これはやはり他の監視体制の強化とも相まって、今回のアクセスの改善というのはやはり大きな意味合いを持ってくるのではないかというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 それは政府の勝手な解釈でありまして、国民自身が求めているのは、何も銀行で株を紹介してほしい、仲介してほしいということではないんですよ。そういう要望はほとんどないんです。
 投資をしようかなと思う、その気持ちをつくるためには、やはり市場がしっかり、不正がなくて信頼できる市場であるということ、それから、株が上昇するような景気対策をしっかり国民の立場に立ってやってほしい、これが求められているわけでありまして、窓口で株が、銀行のところに行けば株が買えますよというようなことをすれば投資家がふえる、これは極めて単純なことでありまして、そうはならない。
 サービスを求めているということもありましたけれども、必ずしも銀行の窓口で株が買えるというのがサービス向上だというふうには私は思いませんし、そういうことも望んでいるとは思えないわけであります。
 そもそも、この証取法の第65条の銀証分離、銀行の証券業務の原則禁止という規定は、どういう目的で定められたのかという点、立法の趣旨、そもそもの趣旨について、ここで確認をしておきたいと思います。
○竹中国務大臣 いわゆる銀証分離の考え方というのは、融資等の銀行業と、それと証券業の間の利益相反を防止する、企業に対する過度の影響力を排除する、そして健全性を確保するという観点から設けられたというふうに承知をしております。
 利益相反の話はけさの議論でもいろいろ御指摘をいただいておりますけれども、融資先に証券を発行させて融資資金を回収する、こういうことはあってはならないわけでございまして、これに対して今回はきちっとその歯どめを設けているわけでございます。
 そもそも、さかのぼると、もう一つは、1929年に始まりました大恐慌の反省で、1933年に銀行法が制定される、これは健全性の確保、リスクの遮断というような意味合いも非常に強かったというふうに思っております。
 重要な点は、今回の改正は、銀行等の金融機関が、証券会社から委託を受けまして、投資家との間で株式等の売買の仲介を行うという事実行為を行う、この事実行為を行うということを解禁するものでございまして、証券取引法65条の基本的な考え方、銀証分離の基本的な考え方を変えたわけではないということでございます。
○佐々木(憲)委員 この銀証分離の原則が法律によって規定をされたのは、1948年、昭和23年の証取法の制定の際に、アメリカのグラス・スティーガル法の規定を取り入れたものでありまして、これは、銀行の証券業務からの遮断ということによって預金者を保護する、利益相反の防止ということなんでありますが、この原則を今回は取り外すということになるわけであります。銀行が企業に対して影響力を持ち、企業の詳細な経営状況や預金者の情報を持っているわけでありまして、その銀行が証券業務を行うということは、さまざまな弊害が生まれるわけであります。
 ところが、現在、銀行の子会社と本社の関係で、子会社については証券業務への参入が認められている。今回は、その本体、銀行本体そのものの仲介業務を認めるということになるわけであります。そうしますと、子会社と本社は一定の企業体としては相対的に違うものでありますから、しかし、本体の中でその仲介業務を認めるということになりますと、これまでとは違う大変な密着度でありますから、これはレベルが違うわけですね。
 具体的にお聞きをしますけれども、例えば、預金を預けに来ました、そういう人がいます。その人に、いい投資のお話がありますよ、株を買いませんか、こういうふうに勧める、こういう行為は禁止されるんでしょうか。
○増井政府参考人 今回の解禁は証券仲介業でございますので、銀行の名前で証券取引、引き受けなどをすることではないのでございますが、今のように勧誘をするということは証券仲介業の中に入ると考えております。
○佐々木(憲)委員 勧誘はできると。つまり、預金を預けに来た人に対して、いいお話がありますよ、いいお話といいますか、株を買いませんか、それはできると。
 そうなりますと、銀行というのは、現に今投資信託を売ることができる。銀行内部の預金者のデータというのを持っているわけです。例えば、たくさん預金をしている高額預金者、その預金者に対して投資信託の売り込みも現に行っている。こういうことになっていきますと、これは銀行内部の情報を利用して特定の金融商品を販売する、あるいは、今回これが解禁されますと株式を販売することができる。私は、こういうやり方は明確に禁止すべきだというふうに思うんです。
 例えばこういう場合はどうでしょう。株の購入資金として融資をしましょう、株の購入の仲介をしますよ、その資金はうちの銀行から融資しますが、どうでしょうか。これは禁止されるんでしょうか。
○増井政府参考人 今回の措置によりまして、さまざまな弊害防止措置を講じているところでございますが、今御指摘の、バックファイナンスを条件に証券取引の受託等をする行為ということについては、これは禁止をするということで考えております。
○佐々木(憲)委員 その場合、そういう行為を行った場合には、これは罰則はあるんでしょうか。
○増井政府参考人 その違反行為に対しては行政処分が課されることになると思います。
○佐々木(憲)委員 罰則の規定というものはきちっと法律の中にあるんですか。
○増井政府参考人 規定はございませんけれども、いずれにしても、法令違反に対しては監督上の処分で対応するということになると思います。
○佐々木(憲)委員 罰則規定がないわけでありまして、行政上の処分ということを今言われましたけれども。
 それから、例えばこういう場合はどうでしょうか。利益相反行為として大変問題になると思うんですけれども、銀行が、ある特定の企業に対して支援を行っている、増資をするために株を発行させるということも銀行が提言をして、その企業が株を発行する、これを銀行の顧客に販売する、引き取らせる。仲介するわけですけれども。そういう行為に対して、これは防ぐということはできるんでしょうか。
○増井政府参考人 今御指摘の、融資先が発行する有価証券について、手取り金が借入金返済に充当されるといったような場合でございますが、これは、当該事実を顧客に告げずに勧誘する行為を禁止する、これは内閣府令でそういった形で定める予定になっております。
○佐々木(憲)委員 内閣府令で禁止ということを言われているんですけれども、法的にはないということであります。
 ただ、禁止ということが、これらの、先ほどの2つの例、私は三つ挙げましたけれども、2つの例については禁止をしますというふうに言われました。
 しかし、実際に不正行為を監視するのは一体だれが監視するんですか。一体、日常的な取引をだれが見張るんですか。
○竹中国務大臣 銀行等が行う証券の業務について、これは当庁に寄せられた苦情で、民間からの情報のうち、例えば法令違反の疑いがある、そういうように寄せられた銀行等に対して事実確認を行っているわけであります。また、銀行等が行う証券業務については、証券取引等監視委員会がこれら取引の公正確保に係るルールの遵守状況の検査を行ってきているところでございます。
 この事実確認、検査の結果、それと法令違反行為が認められた場合には、これは証取法に基づき、我々としては厳正に対処をするということになります。
○佐々木(憲)委員 今の答弁でも、苦情があった場合ですね。苦情があった場合にそれに対して一定の対応をする。しかも、これは業界に任せているわけですよ、実態的に言いますと。
 それから、監視委員会が検査監督といっても、これは日常的には行われていないわけでありまして、現に、その体制自体も不十分だと言われていまして、適正な摘発ができないんじゃないかという状況にあるわけです。
 例えば、具体的に言いますと、1998年12月に、銀行窓口での投資信託の販売というのが解禁されました。投資信託の協会の統計によりますと、銀行の販売シェアというのは非常にふえておるわけです。年々拡大しておりまして、1999年末に6.3%でしたが、ことし3月末には36.5%に拡大している。
 そこで、お聞きをしますけれども、内閣府にお聞きします。「投資型金融商品の取引における消費者保護」、2002年8月に国民生活センターから出ているこの統計で、投資型金融商品に関する苦情件数の中で、投資信託の各年度の苦情件数の推移、それから、そのうち、銀行に対する苦情件数というのはどういうふうになっていますか。
○田口政府参考人(内閣府大臣官房審議官) お答えいたします。
 ただいま御指摘のございました、国民生活センターが行いました研究会の報告書でございますが、これによりますと、各地の消費生活センターに寄せられました投資信託に関する苦情相談件数は、平成11年度におきましては275件、平成12年度には482件、平成13年度には719件となっております。このうち、銀行に対する苦情相談件数につきましては、平成11年度が5件、平成12年度が28件、平成13年度が83件となっております。
○佐々木(憲)委員 この2年間で、わずか2年ですけれども、投資信託の相談件数というのは2倍になっております。苦情が非常にふえているということなんですね。そのうち、銀行の販売をめぐる相談というのが17倍にふえているんです。
 国民生活センターがまとめた相談事例によりますと、例えば、これは28歳の女性ですけれども、銀行で積立預金を窓口に申し込んだ、そうしたら投資信託を勧誘されて契約をした、内容がよくわからなかった、こういう方もいます。それはこの中に紹介されておりますけれども。例えば、こういうのがあります。81歳の女性、銀行の勧誘員に、元本割れもなく安全な商品と言われた、投資信託の契約をした、投資先の外国企業が破綻したために大幅に元本割れをし、運用が困難となった。それから、47歳の女性ですけれども、銀行の窓口の女性に元本保証であることを確認して金融商品を購入した、外国の○○という会社の倒産の影響でマイナスが出て、現在50万円の損が出ているという、窓口の担当者は元本保証だと言ったので、その女性と面談したいのだが、既に退社していると言われた。こういう事例ですね。
 このようにして、預金を申し込みに窓口に行ったら、投資信託を勧誘されて、元本割れする可能性がありますよという説明もない、そして銀行に言われるままに買った、ところが元本割れを起こす、こういうトラブルというのが急増しているわけですね。
 竹中大臣、こういうトラブルがふえているという認識はお持ちなんでしょうか。
○竹中国務大臣 先ほど内閣府の国民生活局からも答弁ありましたように、そういう苦情がふえている。これは先ほど、苦情が17倍になっているという話がありましたが、銀行の取り扱いがそもそもこの間十倍になっておりますので、現実問題として、先ほど、冒頭、銀行でアクセスをふやしても取引はふえないのではないかとおっしゃいましたが、投信に関してはかなり急激にふえている、そういう中でそうした問題も生じている。
 そういうことに対しては、一方で、我々としては、先ほど言いましたように、そういった監視委員会また金融庁等々の苦情対応等々でしっかりと対応していっているつもりでございます。
○佐々木(憲)委員 ふえていると言いましたけれども、このように勧誘をして、わざわざ、預金をしに来た方に、いわばその人が希望もしないのに投資信託を押しつけているという形で実際にこういう被害がふえているわけです。取引がふえている、その原因も誘導ですよ、実際は。
 では、こういう被害はどのように救われたのか。その救った実績というのはどういう形であらわれていますか。
○増井政府参考人 恐縮でございます。今手元にそういった実績に関するデータはございません。
 いずれにしても、今回、銀行によります証券仲介業が行われる場合には、1つは、証券外務員登録の要件を、担当者はそういった登録をしなけりゃいけない、あるいは、先ほど御指摘のありました元本割れの危険性に対する明確な説明が行われるということ、勧誘に関してはそれが必要なわけでございまして、あるいは、断定的な判断を提供するなどの不当な勧誘行為が行われる場合には、証券取引法の行為規制あるいは金融商品販売法の適用を受けることになるということでございます。
○佐々木(憲)委員 救ったという実績が十分把握されていないのが実態なんですね。
 今、金融商品販売法があるからそれによって規制するんだというふうにおっしゃいました。しかし、今私が紹介した事例は金融商品販売法が施行された後の事例なんですよ、2002年度分ですからね。つまり、法律をつくっても、被害はなくなっていないだけじゃなくて、ふえているわけです。
 ですから、実態的にこういう被害者をどう救うのかということをしっかりと考えないと、今既に行われている投資信託のこういう被害も救済もできないのに、今度はまた株を銀行が仲介するということでどんどんどんどん広げていったら被害がふえるだけじゃないですか。
 やはり私は、国民が、決して株に投資をしたいという方々がふえているわけでもないのに、受け皿だけそういうものをつくって、それで株に誘導していく、そういうやり方が被害を広げていく、そういうことで銀証分離の原則をゆがめるということで、きょうはこの点について絞ってお聞きをしましたけれども、また別な機会に別な論点で質問させていただきます。

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