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税制(庶民増税・徴税) (消費税, 証券優遇税制)

2007年11月21日 第168回 臨時国会 財務金融委員会 【419】 - 質問

額賀財務大臣 2008年度の消費税増税を否定せず

 2007年11月16日、佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で「2008年度の消費税増税の断念」を求める質問をしました。

 この前日、政府税調答申が出されました。
 福田首相は、15日の記者会見で「いま、消費税をすぐ上げるとか、なんとかという話にはならない」と言明しています。
 また、政府税調が15日まとめた「答申」では、消費税引き上げについて「今後、政府において適切に判断されることを求めたい」と消費税増税見送りを示唆していました。
 佐々木議員は、首相の発言や答申をとりあげ、消費税増税にたいする額賀財務大臣の見解をただしました。
 これにたいして額賀大臣は、基礎年金の国庫負担引き上げや国と地方の基礎的財政収支均衡化に向け、「まず、消費税を含めた税制改革をしていかなければならない」と強調。
 「政府与党のなかでしっかりと議論をして、税体系を構築する」と述べ、08年度に消費税を増税しないとは答えませんでした。

 さらに、佐々木議員は、証券優遇税制について、答申では前年度に続いて「廃止」を打ち出していることを指摘。額賀大臣は「市場や経済環境を見ながら判断する」と答弁し、大資産家優遇の姿勢を崩しませんでした。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 額賀大臣にまつわる疑惑については、あす、参議院で我が党の大門実紀史議員がきちっとお聞きすることにしておりますので、私、きょうは税制についてただしたいと思います。
 昨日発表された政府税調の答申でありますが、これを見ますと、所得税について、配偶者控除あるいは扶養控除の見直し、縮小、こういうことを明記して、サラリーマンの負担増を求めるものとなっておりますし、また、消費税については「税制における社会保障財源の中核を担うにふさわしい」と書いておりまして、これもまた消費税の増税という立場を鮮明にしているわけであります。きょうの朝日新聞によりますと、「個人にとって一つ一つが気が重くなるような負担増が並ぶ。」こう書いてあるわけです。我々、これ以上庶民に負担増というものを押しつけることは反対であります。
 消費税について言いますと、今、全野党は、当面消費税を上げるべきではないという点で一致しておりまして、たとえ消費税を上げるという案が衆議院を通っても、参議院ではこれは通らないわけであります。
 まず、事実関係の確認ですけれども、この答申について、消費税の引き上げの時期、引き上げの幅、これはどういう書き方になっているでしょうか。
○古谷政府参考人(財務省大臣官房審議官) お答えをいたします。
 昨日まとめていただきました政府税調の答申では、消費税につきましては、社会保障制度の持続可能性を支えるのにふさわしい財源として消費税が今後重要な役割を果たすべきであるという方向感を出していただいておりますが、さらに、引用させていただきますと、社会保障費に関しまして、「消費税率を引き上げていくことによって賄うとの姿勢を明らかにすることにつき、選択肢の一つとして幅広く検討を行うべきである。」というふうに書いてございます。
 ただ、引き上げの具体的な率ですとか時期については答申では明示をされていないというふうに認識してございます。
○佐々木(憲)委員 答申では、「平成20年度以降どのようなタイミングで実施に移していくかについては、今後、政府において適切に判断されることを求めたい。」こういうふうに書いているわけですね。まあ、政府にげたを預けているということであります。
 この答申とセットで公表されました「その他の主な意見」というものを見ますと、税調の中でもいろいろな意見がありまして、「定率減税の全廃や社会保障における負担増・給付減が繰り返されている勤労者家計の苦しさに最大限の配慮をすべきであり、法人税減税のしわ寄せがさらなる家計の負担増となることのないよう税目間のバランスを考える必要がある。」こういう指摘もありますし、それから、「この数年間負担増が繰り返されている状況下で負担増のみの消費税引上げには反対。」である、こういう意見もあったということが書かれているわけですね。
 福田総理は、15日の記者会見で、今、消費税をすぐ上げるという話にはならないというふうに明言をされておりまして、各紙も、08年度は見送りという報道ですね。
 そこで、額賀大臣にお聞きしますけれども、大臣は、総理と同様に08年度は見送る、こういう立場だと理解してよろしいですか。
○額賀財務大臣 我々は、これから最大の問題はどういうことかというと、急速な少子高齢化社会を迎えるに当たって、社会保障の安定した財源をどういうふうに確保していくかということでございます。
 当面、2009年度には基礎年金の国庫負担を3分の1から2分の1にするとか、あるいは、2011年にはプライマリーバランスを均衡させなければならないとか、そういうことがあるわけでありますから、安定した財源をどういうふうに確保して経済の活性化と国民生活の安定を図るかということで、まず、消費税を含めた税制改革をしていかなければならないというふうに思っているわけでございます。
 そういう中で政府税調の答申があられたわけでありますけれども、我々は、政府・与党の中でしっかりと議論をして、これから税体系を構築していきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 質問に答えていないんですが。
 08年度は消費税増税は見送る。これは福田総理は、すぐ上げるという話にはならないと言っているわけですね。どういう立場ですか。
○額賀財務大臣 これから、党の段階、政府・与党の段階で議論をしていくことになります。これから、経済の状況とかさまざまのことを考えながら考えていくことでございます。
 基本的には、2009年度の年金における国庫負担をどうするかということについて当面本格的な議論をしながら来年度の税制についても考えていかなければならないというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 質問に答えていないんですが、消費税をすぐ上げるという話にはならないというふうな総理の見解と違う、こういうことですか。
○額賀財務大臣 総理は、まず無駄を省き、そして歳出改革を行い、そういう中で税のことを考えていかなければならないということを申し上げていることはよく承知しておりまして、前提として、我々も当然のことであると思っております。その中で、総理は大いに議論をしてほしいということも同時に言っているわけでございますから、これから議論をしていくというふうに考えたいと思います。
○佐々木(憲)委員 議論の話ではなくて、08年度消費税増税というものをやる、そういう立場を大臣はとっているのか、それとも、今の状況からいってとてもそういう、引き上げるという状況ではない。どういう判断なんですか、どちらなんですか。
○額賀財務大臣 やるかやらないかは、これから、政府としてあるいは党として、政府・与党として決定をしていくことでございます。
○佐々木(憲)委員 では、福田総理の記者会見、今、消費税をすぐ上げるという話にはならない、こういう総理の発言は、額賀大臣からいえばこれは間違った発言である、こういうことですか。
○額賀財務大臣 総理は、議論をし、そして税体系をよく考えてほしいということも言っているわけでございます。将来は安定した財源を確保しなければならないというふうに言っているわけでございまして、来年度のことについてはこれから議論をさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 では、総理の言うことと違うわけですね。閣内不統一じゃないんですか。
 消費税を08年度上げるということにはならない、こう総理はおっしゃっているわけです。額賀大臣は、ならないということではないと言うわけですね。ということは、総理とは違う立場だ、こういうことですね。
○額賀財務大臣 総理は、まずは無駄を省いて、そしてどこまでスリム化できるかということをやらなければいけない、一方には、経済成長をいかにしてもっと強化していくかということで、経済成長戦略というものを今実行し、また新しい戦略も考えているということなんであります。そういう状況を見て、一方ではふえ続ける社会保障費という問題がありますから、そういう社会保障費を本当に現状でカバーしていけるかどうかということをよく考えた上で次の段階に進むわけでありますから、今、消費税をすぐ上げるとかなんとかという話にはならないんです。これはやはり段階を追っていくということが大事だというふうに思いますということですから、議論をしてしっかりと形をつくりなさいというふうに受け取っているわけでございまして、総理の言っていることをよく吟味しながら議論をしていくということでございます。
○佐々木(憲)委員 総理は、消費税をすぐ上げるという話にはならないと言っているわけですよ。つまり、08年度は今の話ですからね。08年度は来年度ですけれども、税制としては今決めなきゃならぬ。それは、上げるということにはなりませんよ、そのほかのいろいろな余分な話は除いて、そういうふうに言っているわけです。つまり、消費税の増税は08年度はしないと、もうはっきりしているんじゃないですか。
 それを、何かこれから議論をしてどうのこうのという話じゃないでしょう。つまり、額賀大臣は総理と全く違う立場を表明されているわけですよ。これは内閣としては全然統一されていないんじゃないですか。
○額賀財務大臣 ですから、当面の問題それから中長期的なこと、そういうことを考えながらいくと、消費税については今上げるべきではないというような趣旨の話をされたわけでありますけれども、そういうことを吟味しながらこれから最終的な決定を政府・与党としては行っていく。それは、やはり政党政治でございますから、そういう議論をする中できちっと形をつくっていくのが民主主義のあり方でございます。
 もちろん、総理であり総裁としての意見は十分にそんたくをしなければならないのは当然であります。
○佐々木(憲)委員 どうも何かはっきりしないですね。総理が発言されていることと額賀大臣の発言は食い違いがある。これはもう非常にはっきりしたと思います。
 すぐ上げる話にはならないということも認めつつ、いろいろな話をしながら、今検討中だと。要するに、上げたい上げたいということばかりが先行して、総理は、全体を見たら上げられる状況にないと判断されているようでありますが、額賀大臣は、どうしても消費税を上げたい、上げないとは言わない、こういうことなんですね。
○額賀財務大臣 ですから、総理のおっしゃっていることも含めてこれから議論をして、きちっと機関として決定をしていく、政府として決定をしていくということでございます。
 私は、総理がおっしゃっていることを否定しているわけでも何でもありません。それも含めて議論をして、正式に決定をしていくということがルールであるということです。
○佐々木(憲)委員 消費税は絶対に上げてはならない。これはもう、逆進性もあり、さまざまな負担増というものが庶民にかぶさっている状況の中で、絶対に私は上げてはならないと思います。
 安定した財源と言いますけれども、財源がないなら、これまで過剰な減税を続けてきた大企業、大資産家にこそ応分の負担を求めるというのが筋なんですよ。苦しんでいる庶民にどんどんどんどん負担ばかりふやして、史上空前の利益が上がっている大企業はこの間減税が続けられている。全く奇妙な、逆立ちした状況があるわけです。
 そこで、次に、証券優遇税制についてお聞きします。
 政府税調の答申は、昨年と同様に、この特別な優遇については廃止すると。昨年も、「期限切れとなる上場株式等の配当や譲渡益の優遇措置については、金融所得課税の一体化の方向に沿って、期限到来とともに廃止し、簡素でわかりやすい制度とすべきである。」と答申していたわけです。
 与党税調は、これに反して、1年間延長、しかし、延長して廃止。つまり、ことしでもうこれは終わりという答申を昨年されていたわけですね。だから、今回廃止するのが当然であります。
 この期に及んでさらに延長なんということは絶対あり得ないと思いますが、額賀大臣、当然この証券優遇税制、これは廃止だというのは今実行すべきだと思いますが、いかがですか。
○額賀財務大臣 おっしゃるように、与党としては、1年延長して廃止をする、市場に影響を与えることがないように、損益通算を拡大したり、対応をしながら考えていくべきであるというふうに提言されているということはよく承知をいたしております。
 いずれにしても、証券税制については、将来は金融所得を一体化していくというような方向で、現実的に市場とか経済環境がどうなっているかということを考えながら最終決定をしていくことが望ましいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 今年度で証券優遇税制は廃止する、そういうことでよろしいですね。
○額賀財務大臣 これから、与党それから政府・与党で議論をしていくことになりますけれども、これまでの経緯を踏まえながらも、現実的に市場とか経済環境を見ながら判断していかなければならない。一方で、将来、金融所得の一体化というものも考えていかなければ、方向性を持っていかなければならない。そういう中で、これから議論をして最終判断をしていきたいということでございます。
○佐々木(憲)委員 どうも奥歯に物が挟まったような言い方ばかりで、はっきり言わないというのが額賀大臣の特徴だろうというふうに思いました。
 もう時間がなくなってまいりまして、住民税の還付の話もお聞きをしようと思っておりましたが、時間がほとんどございません。またこれは別の機会にやるというふうにしたいと思います。
 いずれにしましても、現在、国民の生活は非常に厳しい状況にあります。毎年毎年、社会保障、保険料等々の負担がふえてまいりまして、さらに、所得税、住民税の減税はなくなってしまうということで大増税で、ことしの参議院選挙に際しても、怒りの一票というものが下されたわけです。
 そういう状況でありながら、まだ庶民に負担を押しつける。それで、優遇してきた大企業、あるいは株取引でぼろもうけをしている人たちはさらに続けるよなどというような議論があること自体が私は間違っているというふうに思いますので、その点はしっかりと庶民の声に耳を傾けてやっていただくということを要望して、きょうはこれで終わらせていただきます。

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