金融(銀行・保険・証券) (証券取引所, 粉飾決算, 西武グループ事件)
2004年12月01日 第161回 臨時国会 財務金融委員会 【271】 - 質問
「非上場社も情報開示を」西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載事件をうけ、佐々木議員が提起
2004年12月1日財務金融委員会で、佐々木議員は、西武鉄道グループの有価証券虚偽記載事件をとりあげ、非上場会社の情報開示体制を強化することを求めました。
西武鉄道の親会社であるコクドは、西武グループの中核企業としてグループ全体を支配してきましたが、非上場企業であるため、その経営内容がきわめて不透明です。
佐々木議員は、「(東京証券取引所が)虚偽記載の不正をチェックする機能には、捜査権限などがないため限界があり、行政の役割が重要になる」と指摘。「(非上場の企業にたいし)上場企業と同じ水準にまで開示させることが必要」と開示体制の強化を求めました。
これにたいし、伊藤達也金融担当相は「(金融審議会での)専門家の議論を踏まえて対応したい」と消極的な答弁。
佐々木議員が「(行政としての)リーダーシップが感じられない。原因を究明して、対応策を探ることが必要。徹底した開示を求めていくのは当然だ」と指摘すると、議場から「そうだ」の声があがりました。
伊藤金融担当相は「情報開示制度の信頼性に応えていけるよう期待している」と述べました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。
コクド、西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載事件で、経営内容が見えにくい非上場企業が上場企業を実質的に支配しているという場合、親会社の経営内容の開示をどのように求めるかというのが大変重要であります。午前中の参考人質疑で、東証の社長のお話では、虚偽記載の不正をどこまでチェックできるかとお聞きしましたら、その機能には限界があるという話でありました。いわば捜査権限などというものはないと。したがって、これは当然行政の役割というものが重要になると思うわけです。
先日、16日ですか、有価証券報告書の審査体制の見直し、強化という内容の方針も出されたようですけれども、直接立ち入って検査できるわけではないとすれば、虚偽記載かどうかを判断するというのは一体どのようにして判断をされるのか、その点をお聞きしたいと思います。
○伊藤金融担当大臣 虚偽かどうかというのは、資料、財務諸表を見て判断していくことになろうかというふうに思います。また、立入検査をして確認をしていくということになろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 財務諸表を見て判断をするといっても、その財務諸表が虚偽記載になっているのかどうかということを判断するその基準は、立入検査、検査をして調べて虚偽かどうかが判定できる、こういうことになるということですね。確認します。
○伊藤金融担当大臣 今委員から指摘されたとおりでありまして、そして、私どもとして、立入検査に至るに当たっては、いろいろな情報を収集して立入検査をさせていただきますので、その中で確認をさせていただく、検証させていただくことになろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 11月16日に金融庁が発表されました「ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応について」というこの文書の中で、「開示制度の整備」という項目があって、その中に、親会社が継続開示会社でない場合の親会社情報の開示の充実のあり方について、金融審議会第一部会ディスクロージャー・ワーキング・グループに検討を要請するというふうに書かれているわけですが、この検討は、どのように、いつまでに結論を出していただき、どういうタイミングでこれを実行するのか、この点をお聞きしたいと思います。
○伊藤金融担当大臣 今委員から御指摘がございましたように、有価証券報告書の提出会社の親会社にかかわる情報は、子会社たる当該提出会社のコーポレートガバナンスの状況等を把握する上で重要な情報であると私ども考えておりまして、そうした認識のもとで、過日まとめさせていただいた「ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応について」、この中で、親会社が継続開示会社でない場合の親会社情報の開示の充実のあり方について金融審議会の担当ワーキンググループに要請するとともに、既に御議論をしていただいているところでございます。
具体的な開示内容につきましては、これは現在御審議をいただいておりますので、詳細を今申し上げる段階にはないというふうに考えておりますけれども、いずれにおきましても、この問題は大変重要な問題であるという認識をいたしておりますので、精力的に御審議をいただいて、できるだけ速やかに御審議の結果をおまとめいただき、そのことを踏まえて私どもとしての対応を進めていきたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 この情報開示の点については、親会社の情報というものが大変わかりにくいということでありますから、当然、上場企業と全く同じというわけにはいかないかもしれませんけれども、その水準に非常に近いところにまで開示をさせるというのは私は必要なことだろうと思うんです。そうしなければ、実際に上場している企業の命運を左右する親会社が全くその情報がわからないということになるのでは、これはまずいわけでありまして、その水準について一体どの程度の、これは議論をしている最中とはいいますけれども、当然、ある水準というものが望ましいという判断というのはあると思うので、その点、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○伊藤金融担当大臣 親会社の情報開示を充実させていくということは、委員が重ねて御指摘をされているように、私どもとしても非常に重要なことだというふうに考えております。
そして、今ワーキンググループで精力的に御審議をいただいているんですが、どのレベルになるかということは、これはまさに審議をいたしておりますので、その詳細を私どもとして今の段階で申し上げることはなかなかできないということについて御理解をいただきたいというふうに思いますけれども、この情報開示をしっかりやっていくという観点の中で議論がなされているわけでありますので、私どもとしましては、そうしたワーキンググループの専門家の皆様方の御議論を踏まえて適切に対応していきたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 どうも余りリーダーシップが感じられないんですね。
要するに、検討しなさいと丸投げをして、出てきたものに従いますというんじゃ、一体何のために検討させるのか。つまり、これだけ事件が非常に大きなショックを与えているわけでありまして、その原因を究明して、どこに問題があったのかということを明確にし、対応策を探るというのが当然なことだと思うんです。
今回の場合も、長期間にわたって実態が把握できなかった、しかも、虚偽記載が長期にわたっていた。そういうことを踏まえますと、やはり徹底した開示というものを求めていく、これは当然のことだと思うんです。ぎりぎりのところまで開示してもらうという方向で、どこまでできるのかを検討してください、これが当たり前じゃないですか。そういう姿勢に立つというのが当然だと思いますけれども、いかがですか。
○伊藤金融担当大臣 今、御指摘がございましたように、長期間にわたってこうした問題が把握できなかった。十分な情報開示、これが非上場の企業である親会社であるがゆえに十分把握することができない状況になっていた。委員が御指摘をされたその点というのは、まさに重要な問題だというふうに思っております。
そうしたことを踏まえて、今、専門家の、審議会のワーキンググループのメンバーの方々が精力的に御議論をいただいているところでございますので、できる限り情報開示制度の信頼性にこたえていけるような、そういう方向に向かって報告書がまとめられるということを期待いたしておりますし、私どももその報告書を踏まえてしかるべき対応というものをやっていきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 それでは、もう一点だけ。
長期にわたってこういう事態が続いてきた原因についてどのように分析をしておられるのか、どのように把握しておられるのか、端的にお答えいただきたい。
○伊藤金融担当大臣 これは、やはり会社の中のガバナンスの問題、コーポレートガバナンスの問題がかなり大きな課題としてあったというふうに認識をいたしております。
したがって、私どもとしても、今回の対応策の中で、開示企業に対しても、こうした問題の重大性というものを十分認識して、そして最大限の努力をしてディスクロージャー制度に対する信認というものを回復していただきたい、確固たるものにしていただきたいということをお願いさせていただいたところでございます。さらに、この対応策の中でも打ち出させていただいているように、監査人に対して、あるいは私ども自身の審査体制の充実ということをしっかりやりながら、ディスクロージャー制度に対する信認というものを確保していきたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。