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雇用・労働

2004年12月01日 第161回 臨時国会 財務金融委員会≪参考人質疑≫ 【269】 - 質問

ダイエーの事業「再生」にあたり雇用を守るよう、佐々木議員が産業再生機構社長に要求

 2004年12月1日財務金融委員会で、産業再生機構の斉藤惇社長が参考人招致され、佐々木議員が質問しました。
 佐々木議員は、再生機構法の第1条で「雇用の安定等に配慮しつつ、」22条4項では「事業再生計画についての労働者との協議の状況等に配慮しなければならない。」と規定されていることを紹介し、雇用の安定、地域に与える影響、これを最小限にとどめることが、法の精神だと指摘。斉藤参考人に、ダイエーの事業「再生」にあたり雇用を守るよう求めました。
 斉藤参考人は、「個人個人の生活の犠牲の上で企業が栄えればいいという気持ちは毛頭ない」「(産業再生の)最終的な着地点は、個人生活の安定であり、それをベースとする経済の繁栄だ」と述べました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 ダイエーはさまざまな銀行から融資を受けておりまして、その金額は6月末に9572億円、約1兆円弱であります。銀行から見ますとこれは巨額の不良債権ということになるわけですが、これから再生計画が成立をしまして、銀行とそれから機構の債権買い取り内容というものが決定されていく。そうなると、それ以外の債権の部分は正常先に変わるということになると思いますが、基本的にそう考えてよろしいですか。
○斉藤惇参考人(株式会社産業再生機構代表取締役社長) 基本的にそのように御理解いただいてよろしいかと思います。
 私ども産業再生機構が資産を査定いたしますのは、かなり厳しい査定をいたします。例えば減損会計等々はもう前もって導入していきますし、不動産等々は原則時価、特にコアでない事業は時価で査定するというようなことをやっていきますために、通常多くの債権放棄を銀行に行ってもらいます。結果、企業の財務状況というのは大変大幅に改善いたしまして、また、我々は、事業計画でコア事業に集中する、ノンコアはできるだけやらない、それから有能な経営者を外から持ってくるというようなこともやっていきます。実際はこれは、正常債権か云々かということは金融庁がルールに従ってお決めになることでありますけれども、そのような、バランスシートがきれいになっているということでこういう債権については貸し倒れの危険性がかなり低くなっているということで、債務者区分が不良債権の区分ではなくなるということがあるということかと思います。
○佐々木(憲)委員 つまり、UFJ、みずほ、三井住友などの大銀行にとっては産業再生機構を使うと不良債権処理が進むということになるわけでありまして、機構が銀行の債権を政府保証の資金で買い取るということによって、本来銀行が負うべき企業再生のリスクをいわば肩がわりするということで、最終的に損失が出た場合には税金で穴埋めする、こういう仕組みになっていると思います。
 それで、日経の10月14日付によりますと、UFJの6月末の不良債権残高は4兆6000億円で、来年3月末までにダイエーを含めた6社で計2兆円強の残高圧縮のめどをつけた計算になると言っているわけです。これは、今回のダイエー処理を進めていけばそういう方向が出てくるということだと思うんですね。
 それで、問題は、最終的にこれは国民負担になるかならないか、これはこれからの話なんですけれども、国民負担が起こらないということが言えるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
○斉藤惇参考人(株式会社産業再生機構代表取締役社長) 先ほど申しました、債権が優良債権化するといいますか、不良債権の区分から切り離されるということは、産業再生機構を使えば必ずそうなるということではありませんで、金融庁のルールというのは産業再生の支援対象会社にのみ適用されるということではございません。しっかりした経営再建計画を立てて、バランスシートがちゃんと健全になっておれば同様な査定を金融庁はなさっているということであります。ですから、何か産業再生機構に行けば自動的に不良債権が優良債権に変わるような文書がよく見られますが、必ずしもそれは正しい表現ではございません。
 ただ、ポイントは、先生今おっしゃいましたように、我々はどうして二次ロス、三次ロスをやらないか。国民負担というのはいろいろな形で出てまいりますが、経済がいつまでもだらだらしていて、本来は利益を出して税金を納めていかなきゃいけない企業が、税金も納められない、ボーナスも上げられない、給与もカットしていくというような事業をだらだら続ける。そしてその背景で銀行からだらだらとお金を貸していってもらって、業務の改善はない、資産の評価もし直さない、こういうことを繰り返してくると、結果的には国民あるいは国家全体の毀損になるということでありますので、我々は、一時的には痛いかもしれませんけれども、思い切って銀行、金融機関の持っております資産に対して厳しい査定をさせていただいて放棄をしていただく。それをベースにして事業をしっかり戻して、早く、3年以内でございますが、需要が戻ってくることでそれを市場の買い手に、これは必ず売らなければなりません、売って、回収して国庫にお金を返すということになっておりますので、保証はできないのでございますが、我々は大変そこの気持ちは大事にしております。
○佐々木(憲)委員 そこで、雇用問題についてお聞きしたいんですけれども、再生機構法の第1条で「雇用の安定等に配慮しつつ、」と規定をされております。また、22条四項では「事業再生計画についての労働者との協議の状況等に配慮しなければならない。」と書かれているわけです。これはもともと原案になくて修正で書き込まれたものです。雇用の安定、地域に与える影響、これを最小限にとどめるというのはこの法の精神だと思いますけれども、この法律で定められております労働者との協議、これはどのように行うつもりでしょうか。
○斉藤惇参考人(株式会社産業再生機構代表取締役社長) これはもう支援決定の五つの条件の中に先生がおっしゃったとおりはっきり書いてありますので、我々は、大きな組合があるところはもちろん組合の方々、場合によっては幹部会に出たり、それから上部団体、連合さんとかのところへお訪ねして、いろいろ御説明して御協力いただいたりあるいは御指摘をいただいたり、それから組合がないような会社もありますが、そこも従業員の方みんなに集まっていただきまして、こういうことでございますということをぴちっと説明して、みんなの合意をいただいてやる。当然、先生御指摘のとおり、経済合理性だけがスタートして、個人個人の人権、生活権が侵されていいというような考えは我々は毛頭持っていません。
 最終的な着地点は個人個人の生活の安定であり、それをベースとする経済の繁栄だということはよく理解しておりますので、ある企業の処理で我々はばらばらにするといって批判されたりしておりますが、実はどうしてそういうことをやっているかというと、労働者の方々をお守りしながら、新しい、生きる職場で働いていただこうということで、企業をある程度分散して、栄えている企業と一緒になっていただくということをやっているということでございます。
○佐々木(憲)委員 読売の10月19日付で、余剰人員が2万7000人と報道されたことがありまして、この内容を見ますと、UFJ銀行など主力三行が再生機構と一緒にまとめたということで報道されているんですが、2万7000人余剰だとなりますとこれは大規模なリストラという話になりますが、果たしてこういう試算があったのかどうか。社長はこういう数字を御存じなのかどうか。こういう規模のリストラというのは、やはりこれは、今おっしゃった精神からいいましてやるべきではないと思いますが、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○斉藤惇参考人(株式会社産業再生機構代表取締役社長) 多分先生の今のお話は、現在我々がデューデリに入っております事業会社のケースのお話かと思います。必ずしも2万7000という数字、私自身は完全には認識しておりませんけれども、ただ、多分新聞報道等々にあったんだろうと思います。
 今、支援計画といいますか、もし我々が支援できるのならば事業計画をここからつくっていくという段階でございますので、細かいことについて申し上げることを控えさせていただきたいのでございますが、ただあくまでも、我々は、個人個人の生活の犠牲の上で企業が栄えればいいという気持ちは毛頭ありません。まさしく産業再生機構であり、事業再生である。したがって、企業の救済と支援ということを国民の保証金でやるというつもりはありません。結果として、産業が栄える、労働者の方が職場を動かす、移るということは、これはあるかもしれません。今、非常に効率性の悪いところでお働きになって、ボーナスも上がらないとか、そういうところの方がもうちょっと違うところへお移りいただいて、さらなる明るい人生をやっていただくように、そういうことも考えながら我々はプランニングをしているということでございます。
○佐々木(憲)委員 ありがとうございました。

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