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医療・介護・年金 (消費税, 年金制度)

2005年04月14日 第162回 通常国会 年金・社会保障両院合同会議 【296】 - 自由討議

両院合同会議 年金・社会保障について 各党が意見表明

 2005年4月14日、年金・社会保障両院合同会議が開かれ、本格的な議論がはじまりました。佐々木憲昭議員は、自由討議で合同会議と3党合意について発言しました。

 「年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議」は、自民、民主、公明、共産、社民の5党による議論の場として設置された会議です。3月25日の5党書記局長・幹事長会談ではこの協議機関について、(1)消費税増税に道筋をつける昨年5月6日の自公民「3党合意」を前提としない、(2)多数決で強行したり国会審議を拘束しないという2点を確認しました。

 しかし、この合同会議が「3党合意」の延長線上にあることが、佐々木議員の質問で浮かび上がりました。
 佐々木議員は、「『3党合意』は、合同会議が発足したことで破棄され死文化したとみなしているのか、現在でも生きているとみるのか」と質問。
 民主党の岡田克也代表は、「与党、野党ということでなく国民にとってなにが望ましいのかをしっかり議論しようというのが『3党合意』を結んだときの率直な気持ち。その精神はこういった形で結実した」と答え、自民党の武部勤幹事長は、「持続可能な年金や社会保障制度をどう構築していくかを前提に『3党合意』が結ばれた。非常に重い事実であり、その延長線でこの両院合同会議が設けられた」と述べました。

 また、消費税増税の合意形成をはかる舞台にしようという思惑も浮かび上がりました。
 岡田代表は、年金目的の消費税として3%増税を明言。
 公明党の冬柴鉄三幹事長は、「高齢化にともない年金給付費が増大するなか、増税がもとめられている、ということにならざるをえない」。
 自民党の丹羽雄哉元厚相は、「国庫負担を3分の1から2分の1にするため、定率減税の見直しや消費税などの財源の手当てが最重要課題」。
 社民党の阿部知子政審会長も、消費税財源論を「この場で検討するのはやぶさかでない」と述べました。
 佐々木議員は、「3党合意」とともにつくられた「国民年金法案等の一部を改正する法律案に対する修正案」には、「社会保障全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的見直しを行い」と書かれており、この場合の「税」とは、何を意味するのか、3党に問いました。
 これに対して、3党ともまったく答えませんでした。

 自由討議に先立って、各党15分の見解表明が行われ、日本共産党を代表して小池晃・党政策委員長が見解表明をおこないました。

議事録

【自由討議部分】
○与謝野会長 引き続き、議員間の自由討議を行います。
 発言を希望される方は、お手元のネームプレートをお立てください。それに基づいて会長が指名いたしますので、指名された方は、自席から着席のまま、所属会派と氏名を名乗ってから発言してください。
 1回の発言は5分以内にまとめていただきますようお願いいたします。
 発言時間の経過については、終了時間1分前と終了時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。
 なお、発言が終わりましたら、ネームプレートを戻していただくようお願いいたします。
 それでは、御発言のある方は、お手元のネームプレートをお立てください。
○伊吹議員 自由民主党の伊吹文明です。
 まず最初に、この両院合同会議の運営について、各議員にぜひお訴えをしたいと思います。
 運営の内容については当然幹事会でお話しをいただいたら結構だと思いますが、ここは議決をする場ではありませんし、各党の意見の違いを闘わせる通常の委員会でもないと私は思います。政党ですからおのおの意見の違いは当然あるわけですけれども、その意見の違いを乗り越えて、社会保障全般にわたって、各党の垣根を取り払い、共通の責任を持って国民に義務を果たすためにつくられた場だと思います。
 きょうは、岡田さんが差しかえをして党首の立場でここへおいでになったということに、私は敬意をあらわしたいと思いますし、また、敬意をあらわして、意見は違うけれども、岡田さんの御意見をやじ一つ飛ばさずにみんな聞いていたと思います。意見の違いを乗り越える最大のポイントは、人の意見を聞くことです。そして、ここで意見の違い、疑問についてはお互いに質問が許されているわけですから、その場で議員の品性に基づいて堂々と質問をする、そういう運営をぜひお願いしたいというのが第一点です。
 次に、言葉の定義をはっきりしてお互いに議論をしていきたい。きょうは、初日ですから、細かなことは抜いてお話をしたいと思います。
 一元化という言葉が、被用者の年金や自営業者の年金、すべて一緒にしてしまうという意味もあると思いますし、今でも実は年金というのはある意味では一元化されております。それは、各種の被用保険と自営業者の国民年金は、国民年金相当分を基礎年金として、被用者保険からも同額を拠出して、基礎年金勘定として統一してこれが管理されています。だから、各国民共通であるから、各国民の納めた税金で、現在であれば3分の1、将来であれば2分の1をここへ入れるということが正当づけられているわけです。
 ここのコアの部分を非常に強くしていく、ある意味では大きくしていき、税金を入れていくという形の一元化ということもあるし、すべての被用保険を一緒にしてしまうという一元化もあるし、これは各党いろいろ意見が違うと思いますが、私は調整可能なことじゃないかと思います。
 二番目に、非常によい考えであっても、フィージブルなのか、実現可能性があるのかということは、お互い現実を預かっている政治家としてよくわきまえて私自身も議論をしていきたいと思います。これは、理想論的な宣伝合戦はやはり避けなければならないと思います。
 例えば、先ほど来お話があるような、岡田さんが御提案になっているような、基礎的な部分を税で賄う。二階の部分を強制的に加入させるのか、あるいは任意に加入させるのか。もし任意に加入をさせるのであれば、これは新しい制度をつくるのなら民営化をすればいいことなんですが、公的年金として残すために、納税者番号、所得の把握ということを言っておられると思います。
 そうしますと、納税者番号で金融資産は把握できるんですね。そして、サラリーマンの所得も把握できます。自営業者に納税者番号をつければ、申告をした納税所得は把握できます。しかし、これはあくまで申告所得なんですね。源泉徴収されている所得ではないということ。したがって、申告をしない人、あるいは申告が間違っている人、この間のようなものが果たしてすべて把握できるかどうかというような問題もあります。
 それから最後に、私はやはり、政党ですから意見の違いがあって当然だと思いますが、税方式と社会保障方式の最大の違いは、自民党にもいろいろな考えの方がおりますが、最終的に自己責任、自助努力を中心とする限りは、保険料を納めていないのに、老齢者社会保障というか老齢生活保護費としてお金を上げるという形態は、少なくとも国の形として私は余り適当じゃないんじゃないかというふうに思っております。
 以上です。
○古川議員 民主党の古川元久でございます。
 私は、現行の年金制度で20年近く保険料を払ってきた者として、そしてまだこれから20年は保険料を払わなきゃいけない者として、どうも与党の皆さんを見ると、もう保険料を払い終わられた方とか、少ないか、もう残っていらっしゃらない方がいらっしゃるんじゃないかと思いますが、やはりまだこれから20年以上も払わなきゃいけないとなりますと、非常にそれは自分自身の問題としても深刻な問題でありまして、それは多分与党にいらっしゃる若い、きょうはここに出ていらっしゃらないような皆さんも、ある種そういう同じ認識は共有しているんじゃないかと思いますから、そういう視点も含めて一言申し上げたいと思います。
 まず、私は、今回こういう形で年金改革を初めとする社会保障制度改革について合同会議ができたということ、これは大変に喜ばしいことだと思いますし、大事なことは、お互いの違いを指摘し合うんじゃなくて、どこで共有することができるのか、やはり共有点を見つけ出す努力をしていかなきゃいけないんだと思います。
 今回のこの合同会議のきっかけになったのは、スウェーデンで1999年に、それまでの年金制度にかわって全く新しい制度が導入をされた。その導入に至るまでには、スウェーデンでは与野党を超えて、こうした年金制度を初めとする社会保障制度の抜本改革は与党だけでは無理だ、やはり政権交代があっても持続可能な安定的な制度をつくるためには、これは国民的なコンセンサスをつくらなきゃいけない、そういう認識を与野党が持って、同じ協議をする場をつくって、そしてあの九九年の抜本改革の実現にこぎつけた。その協議の過程では政権交代もあったわけでありますけれども、野党から与党になった政党もきちんとその協議を踏まえて実行したという前例、それを日本型の形として今回取り入れられたものだと思います。
 これは、そこにいらっしゃる何人かの与党の議員の方も、昨年の年金改革の前、前々回の年金改革の議論以降、そうした形をやろうということで、私も、こちらにも何人かいますけれども、そういう与野党の枠を超えた議論をしてきた者としては、ようやくここに至ったということについては大変喜ばしいと思いますが、できれば、これは昨年の年金改革の与党案がまとまる前に、一昨年の総選挙のときに各党が年金の抜本改革をマニフェストに掲げたわけでありますから、やはりその総選挙が終わった後の時点で、本来であれば与党からしかるべき申し入れがあって、そこの場でやられているということが好ましかったんじゃないかと思います。
 そのことがなかったがために、こういう形で、昨年の強行採決、与党だけで決められた案が国会に出されて強行採決、そしてまた、その後のいろいろな、さらなる国民の皆さんの年金制度に対する不信感を増長することになって、そのことが、より制度に対する不信感、そして持続可能性を極めて困難にしているという状況を招いた。そのことについては、私どもも政治家として真摯に、謙虚に反省をしなきゃいけない、そういう過ちをまた繰り返すことのないようにしなければいけないというふうに思っています。
 そういう視点で、私どもがまず考えなきゃいけないことは、今の日本の社会構造、そして今後の社会構造、社会状況がどうなるかという現状認識についてまず共有の認識を持たなければいけないんじゃないかと思っています。
 我々民主党が昨年、現行制度にかわる新しい制度を提案したのは、現行の年金制度は、高度成長やあるいは人口が増加していく、そういう時代に適合した制度であって、それを、これから人口も減少していく、そして高度成長も期待できない、年収100万とか150万といったようなフリーターがどんどんと若い世代を中心にふえている状況の中で、やはりもう持続が不可能だろう、そういう視点に立ったからこそ新しい制度を提案させていただいたわけであります。
 まず、その前提となっております現下の社会情勢、そして、これから20年、30年、働き方そして働く人たちの所得状況はどうなるのか、そういうことについて必要なデータ、なければきちんとそのデータをこの合同会議でとるべきものはとって、そのデータを前提にして、真摯に、謙虚に、お互いどう共有した現状認識ができるのか、そのことから議論していくべきだというふうに思います。
○坂口議員 公明党の坂口でございます。
 ただいま、伊吹議員、そして古川議員から、共通点というものを求めて真摯にその点を構築していこうというお話がございましたが、私も同感でございます。
 きょうは、初めでございますので、民主党さんに一つだけお聞きをしたいわけですが、岡田代表が先ほど、最後のところで基本的なお考えを5点挙げられました。これは、今まで民主党が掲げておみえになったと申しますか、一度法案も出されたことがございますが、いわゆるスウェーデン方式をモデルにしたあの案と同じものなのか、それともあの案とは違う案をここにお示しになっているのかということが少しわかりにくかったものですから、これは岡田代表からでなくても、ほかの方からでも結構でございますが、お話を伺うことができればというふうに思います。
○田浦議員 自由民主党の田浦でございます。
 きょう、私は、岡田党首がこの会に出席して発言されるということを聞きまして、非常に期待を持って参ったところでございます。
 それは、私どもは当然、自民党の中で、保険方式とか、一元化につきましては共済、厚生の一元化から始めるとか、そういう考えを支持しておるわけでございますけれども、先ほど、岡田先生からのお話の中で、全国民の一元化なんだ、あるいは税方式だというお話を聞かせていただきました。
 私は、先ほどから話があっておりますように、ここの会は、決して意見が対立する、あるいは自分の党の意見を述べ合うということだけではなくして、お互いの意見の中で聞くものがあればそれを取り上げて、聞きながらこの会をまとめていく、そういう方向に進んでいかなければいけないんじゃないかなというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、先ほどちょっと、私、いろいろ見ておりまして、何か他の党の発言のときに笑ったり、あるいは不規則なまぜっ返しの発言をするようなことは慎まなければならぬのじゃないか、お互いにお互いが真摯に相手の意見を聞き合うということが大事なことではないかなというふうに思っております。
 それで、岡田代表の御意見は、15分でしたけれども、最後に足早に五つの新しい制度ということで述べられまして、項目を述べたにすぎないような感じがしますので、この場はそれで結構だと思いますが、次回から、坂口先生からも話がありましたように、プロセス、タイムスケジュールあるいは数字を入れたものをひとつ出していただければ、私も個人的にぜひ真摯に検討させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○岡田議員 それでは、私から何点か、御質問もいただきましたので、お話を申し上げたいと思います。
 まず、伊吹先生の方から何点かいただきました。
 その中で、自営業者の場合の申告所得について、申告しない人あるいは間違って申告している人、過少申告ということだと思いますが、そういう人は把握できるのか、こういうお話がございました。
 私も、こういう場ですから、余り揚げ足取りの議論はしたくありませんのでソフトに申し上げますが、もちろん100%把握することに限界があるということは私も認めております。しかし、どこまで把握できるかという努力は絶対必要なことだと思います。もし、そこが、把握できないからという前提に立ってしまったら、果たして所得税、住民税はどうなるんでしょうか。あるいは、所得に対応したその他の保険料、社会保険料はどうなるんでしょうか。では、すべていいかげんでいいということになりかねないわけです。
 そういう意味で、きちんと、まじめに税金を納める人が報われる制度、そのことを追求していく、構築していくということが政治家として必要なことで、そのことを頭からあきらめてしまっては、税制や社会保障制度は成り立たないというふうに私は考えております。ですから、そこはぜひ一緒に知恵を出していただきたいというふうに思っております。
 それから、自己責任、自助努力を基礎とすれば、税は向かないというお話がございました。
 私は、もちろん、社会保障制度で自助努力、自己責任ということは重要だと思います。しかし、その結果として、国民皆年金が成り立たなくなるということだとすれば、やはりそちらの方が問題だというふうに思います。社会保障制度における自助努力という考え方は大事ですが、やはり皆年金というのがすべての制度の前提だと私は思います。無年金者が続々平気で出てくるという事態を避けるためにどうしたらいいか、そういう発想で考えるべきではないかと思います。
 これは決して望ましいことではないと思いますが、例えば、いざとなれば生活保護でいいやということで、頭から保険料を払おうとしない若い人たちが、少数ですが出てきているということも残念ながら現実で、それに対して、いいとか悪いとか言う前に、その現実に対して、あるいはそういった傾向がこれからもより一般的になっていくかもしれないということに対しても、やはり制度としてきちんとそれがカバーできるような制度にしていかなければいけないんじゃないか、そんなふうに思っております。
 坂口議員から、スウェーデン方式と同じものかどうかというお話がありました。
 スウェーデン方式とは何ぞやという議論に戻ってしまいますので、スウェーデン方式との対比で言うことはいたしませんが、私たちは、参議院選挙においてマニフェストに考え方を示しております。その考え方は変えておりません。
 それから、田浦議員の方から、プロセス、タイムスケジュールについて具体的に示せという話がありました。
 もちろん、方向性が定まってくればそういう議論に入っていけばいいと思いますが、まず最初のどういう制度にするかという議論をきちんとすべきだと思います。これは申し上げざるを得ないわけですが、それでは与党の案はあるんですかということは申し上げざるを得ないですね。先ほど来話を聞いていますと、決まった一元化、つまり共済と厚生年金の一元化をやるんだとか、それから2分の1引き上げをやるんだという従来方針を今まで述べられただけで、具体的な改革の方向性について全く示されていないというふうに言わざるを得ません。
 まず、与党が与党案を出してもらう、それはこの協議を始めるに当たっての約束だったはずですから、それを出していただいて、お互いが考え方を示した上でよりよいものを議論していくということにならないと、案を出さないまま、より具体的な数字を出せと言うのは、私は、やや、ためにする議論じゃないか、そういうふうに言わざるを得ないというふうに考えております。
 以上です。
○遠山議員 公明党の遠山清彦でございます。
 私も、先ほど民主党の古川議員がおっしゃったように若い世代でございまして、そういう意味では、超少子高齢社会をこれから日本が迎えると言われている中で、やはり今の年金制度ができたときと人口構造それから社会状況がかなり変わってきておりますので、そういった大局的な観点から改革をこの場で議論することは大変重要だというふうに思っております。
 本日は、私は二点お話を申し上げたいと思っております。
 一つは、昨年の年金改革につきましてよくされる批判の中に、単なる財政のつじつま合わせの改革だったということが言われております。私は、これは非常に不適切な批判だというふうに思っております。なぜならば、今後、仮に一元化へ向けたいかなる制度改革をしたとしても、財政のつじつまが合わなければいけないことは年金制度においては本質的な問題でございます。
 公的年金制度を維持する限り、国民から国が税や保険料を徴収いたしまして、それを財源として年金を国民に支給する、この所得移転の考え方は、ある意味、単純ではありますけれども、公的年金制度の本質でございます。その本質を理由に昨年の年金改革を批判してしまうということになってしまいますと、これから一元化をしていくに当たっても、当然、現行の制度から新しい制度への移行、経過措置が必ずあるわけでございまして、それを財政のつじつまが合う形でできるのかどうかということが問われるわけであります。その最後に出てくる理想の制度の議論ばかりをして、そこに本当に財政のつじつまが合う形で移行できるのかどうか、そこについての具体的な提示がなければ、私は、議論として説得力がないというふうに言わざるを得ません。
 それからもう一点でございますけれども、岡田議員からも何度かきょう、国民年金が空洞化している、あるいは壊れているという御発言がございましたが、私は、これはマスコミでもそういう報道が昨年たくさんあったわけでありますけれども、事実認識が間違っているのではないかというふうに思っております。
 その理由といたしましては、一つは、国民年金の未納率といった場合には、厳密には保険料の未納月数を指すわけでございまして、厳密には未納人数の指標ではございません。それがよくわかるのは、例えば被保険者が2001年度に保険料を払っていなかったとしても、この被保険者はその後2年間にわたって未納月数を納めることができるわけでございまして、2001年の年度末だけの未納率の数字だけで実は判断できないというところがこの議論から欠落をしております。
 それから、二番目については、これはよく言われている点でございますけれども、国民年金の未納率が約4割だといった場合に、この母数となっておりますのは、国民年金の保険料納付対象者の約1千680万人についてでございます。しかしながら、公的年金の制度の加入対象者の総数は、実際には厚生年金、共済年金の方々も入っておりますので、7千80万人でございます。
 そうしますと、7千80万人を母数として国民年金の未納者の数を指数として見た場合には、あるいは未加入者の数値も申し上げますが、7千80万人に対して、2003年度の数字でございますが、未加入者は0.9%、未納者は4.6%、合計5.5%でございます。5.5%の国民の方々が未加入、未納であるからといって、国民年金が壊れているという表現はいささか過激過ぎるのではないかというふうに思います。これは事実認識として申し上げているわけでございます。
 また、税の問題につきましても、最後に一点だけ申し上げますと、脱税、滞納の方々も多数おるわけでありまして、ちょっとデータが古いですが、2001年には新規の脱税が237万件、額面で1兆2千160億円あるわけでありますが、問題は、税方式にした場合に、このような脱税、滞納者に対しても全額税で年金を支給するのかどうか、こういった論点も大事かと思います。
 以上です。
○津島議員 自民党の津島雄二です。
 きょうは、岡田代表から大変率直な御意見を承って、端的に三つの点、御質問します。
 第一は、岡田代表が言われたんだが、公的年金に対する信頼感が全くないと。それはみんな、共通の認識に近いんですけれども、前回の改正であれだけ議論をやって、どうして信頼感が生まれなかったか。私の立場からいいますと、要するに、国民的合意を目指して、具体的な数字を出して議論を集約しなかったということです。抽象的に、あそこが悪い、ここが悪いと言っただけでは、国民は一体何を頼りにしますか。具体的な議論の収れんが要るんです。
 その観点から、岡田さんが、将来、最低保障年金、税方式、場合によっては消費税、こうおっしゃった。そこで、私はこういうときもあるだろうと思って勉強をしておりまして、平成15年の数値を基礎にして、基礎年金の給付額を全部消費税でやるとなると、財源は恐らく16兆要るだろう。16兆というのは6.6%に当たる。仮に月7万にすると、恐らく20兆要るだろう。これは8.5%だろう。この数字について、岡田さんのコメントを求めたいと思います。だから、阿部さんだったかな、おっしゃった、8万にしたらもっと大変だよ。
 それから、二番目の質問。これはむしろ、岡田さんより小池さんに向けたいんだ。最低保障年金がしっかりして、いただけるようになったら、無年金がなくなるとおっしゃった。
 私は、イギリスで起こっている現象についてよく耳にしている。あそこは最低保障年金がある程度しっかりしている。最低保障年金を税で保障するというようなことになると、ますますこれは生活保護と同じになる。そうすると、イギリスで何が起こっているかというと、若い人は、いやいや、保険料なんか払わなくたって、あれだけ生活保護、最低保障してもらうのなら払わない方がいいと、無年金がなくなるのではなくて、むしろ無年金が非常にふえると言われている。これは、社会現象として現実に言われている。この点について小池さんのコメントを求めます。
 三つ目の質問。
 公平な執行が必要だ。それで、民主党さんの方で、いや、国民年金の所得の把握は国税庁にさせたらいいじゃないかとおっしゃるが、私はそっちの方には随分詳しいけれども、所得税のそのレベルのあれは、国税庁はすっかり手放しております。今の国税行政の範囲に入っていない。したがって、皆様方のお力には恐らくなれないんだろうと思います。その点について、岡田代表、何かコメントがあったらお願いします。
 以上、三点であります。
○小川議員 民主党の小川敏夫です。
 丹羽先生初め与党の方のお話をお伺いしましたが、まず、この会議で建設的な案をまとめたいという中では、与党の方がどういう年金制度にしたいのかという御発言、提案が全くなかった。何か民主党の岡田代表に多少質問しておるようですけれども。
 まず、丹羽先生がおっしゃられた、将来安心できる国民皆年金、この制度そのものは私も大賛成ですが、この制度を完全に実現するために、現行の年金制度でいい、このままいけばいいという考えに立っておられるのか、それともそうではなくて、現行の年金制度について、将来の安心、国民皆年金というこの制度を完全に実施するためにはなお改善すべき点があるということを認識しておられるのかどうか。そして、もし認識しておられるなら、具体的にどういう点を認識しておられて、この場において議論したいのか、この点を具体的に申し述べていただきたいというふうに考えております。
 そして、私は、現行の年金制度、昨年改正した年金制度もやはり将来に向けての安心は得られない、そして国民皆年金の制度には全く反しているという観点から、それをまた国民年金の未納問題を一つ例にして指摘したいというふうに思っております。
 今のこの国民年金の保険料の未納問題、私は二つの点を指摘して、大変に不正義、不合理であると思っております。
 まず一つは、年金の未納分、いわば正直に年金を納めている人がその未納者の分を負担しておるわけでございまして、まさに正直者がばかを見るような不公平な制度となっております。これについて私は、先般、年金審議の際に政府に質問しましたところ、年金未納者は将来年金をもらえないんだから、その点において不公平はないと言っておりましたが、全く観点が異なっております。
 今、年金未納者の分を負担させられている正直者の年金納付者、この現役世代、これは未納者分を多く負担させられたからといって、将来受け取る年金の額がふえるわけではありません。年金未納者の分を多く負担させられた分だけ、まさに負担させられ損になっております。ただ、年金の未納者が将来年金を受け取れない、そういうことになれば、将来、年金の総支給額が減るから、その分、これを支える世代が保険料の負担額が減るということで公平がとれるんだと言っておりますが、それは年金の未納者の分を負担させられた現役の人が恩恵をこうむるんではなくて、今の現役を支える次の世代の人が、恩恵だというのならば、将来その恩恵を受けられるということでありまして、結局は、年金未納者の未納分を多く負担させられた正直者の現役の年金納付者は損をさせられておるという、大変不正義がまかり通っておる制度でございます。
 そしてもう一つ、これは岡田代表も指摘されました、年金を払わない人は将来は年金をもらえなくていいと。遠山先生のお話ですと、7千80万人のうちの5.5%ということでございますが、ざっと計算しましても400万人にもなります。400万人の人が将来無年金であっていいんでしょうか。これが政治の責任と言えるんだろうか。国民皆年金という制度に全く反しているんではないかという感想を私は持っております。
 また、遠山先生の試算については、具体的な数字、もう少し検討してみたいというふうに思っております。
 小池先生のお話でしたか阿部先生でしたか、1千万人ということもお話がありました。完全に納付しない人が将来年金をもらえないということは無年金でありますが、完全ではなくて、一部しか払わない方は将来年金の額が少ないわけですから、これも皆年金の思想からいえばやはり問題があるのではないでしょうか。
 私は、そうした面から、やはり現行の年金制度は根本的に改めて、民主党岡田代表が提案されたような税方式、これが一番ふさわしいかというふうに思っております。
 以上でございます。
○小池議員 先ほど御質問がありましたのでお答えしたいと思うんですが、与党の皆さんから、最低保障年金制度と生活保護制度を同一視するような議論がいろいろされておりますが、これは全く制度の性格が違うということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。ミーンズテストを行い、ありとあらゆる階層、年齢に行われる生活保護と、生計費をみずからつくり出すことができない高齢者の生活に着目した生活保障である最低保障年金とは、全く制度の性格が違います。
 同時に、世界の流れも、津島議員もお認めになったように、イギリスで行われているということも事実であるし、国連が日本に勧告しているということもこれまた事実でございます。
 現状は、非常に貧しい、心細い年金しかなく、それがなくなればもう生活保護しかないということで、次々と高齢者が生活保護世帯に行っているという実態をこのままでいいのかということがまさに問われている。この現状を変えようということを提案させていただいているわけであります。
 イギリスの事態について事細かに承知しておりませんので、その点についてはコメントをいたしませんが、我々が提案している5万円の最低保障年金があったら、では、それでいいからもう払わないということが果たして現実的に起こり得るのかというと、私はそういうことはあり得ないというふうに思っております。
 むしろ、今の若年世代に共通して出されているのは、公的年金というのは25年間保険料を納め続けなければすべて掛け捨てになる、1円も出てこない、常用雇用が非常に減っている中で25年間勤め続ける自信がない、そういう中で、年金の保険料を納めることをためらうということが今実態としてあるわけであります。そういう実態に対して、最低保障を国が責任を持って行う、そして皆さんが働いて納めた分はそれに上乗せするということは、むしろ保険料納付のインセンティブにつながる制度であるというふうに私は考えております。
 最後に、津島議員にお聞きしたいのは、問題点を指摘されますが、今既に100万人と言われる、そしてこれからどんどんふえていくであろう無年金、低年金について、それでは津島議員はどのようにお考えなのか、このことを放置してよいというふうに考えるのかどうかということについて、真剣にお答えをいただきたいというふうに考えております。
 以上です。
○阿部議員 私は、津島先生が本当にお取り上げで、聞いていただいて、ありがとうございます。それのお答えの前に、私が先に挙げていた質問事項でお願いいたしたいと思います。
 丹羽元厚生大臣それから津島元厚生大臣、お二方おられますし、坂口元厚生大臣も、大物がぞろぞろおられますので、私は一点、私どもは、少なくともこの合同会議の中で、特にさきの年金改革で見送られたパートの年金加入問題、先ほど来申しますように、多様な働き方になり、そこが全然セーフティーネットがない状態というのは政治として看過しがたいし、このことを進める与党サイドのお取り組みについて、私はぜひお伺いを申し上げたいのが一点。
 それから、先ほど伊吹議員の御発言の中かと思いますが、負担せずに給付するのはいかがなものかというような御発言があったかに思います。私どもは、もう一つ女性の年金問題で、いわば三号と呼ばれる主婦、この方たちは負担はしているのかしていないのか、これは難しゅうございます、みなし負担と言えるのかもしれないし。実は年金問題は、いつも申しますが、高齢社会、女性の問題であり、女性の年金制度が乱立して、わかりづらくて、場合によっては対立的に語られるということは、とても社会として悲しい姿でございます。
 これまでは、保険料を納めずしても実は三号の方には給付されていたわけです。だから、私は、これまでの制度設計が負担せずして給付なしだというのはやはりちょっと違ったのではないか。それは社会形態を見越して、例えば、女性が子供を育てたり、社会のバッファーとして地域のいろいろなことをお取り計らいであったという厳然たる事実があったわけで、この年金論議にあって、そうやってところどころだけ取り上げるというのはちょっといかがなものかですので、女性の年金問題ということとあわせて、そのあたりも与党のお考えを伺いたい。
 津島元厚生労働大臣はまた税制の御専門家でもありますし、私が8万円という額を出しましたのは、実は経済同友会が7万円という額をお出しでありますが、私はどう試算いたしましても、医療保険の保険料や介護保険の保険料を払ったらやはり8万円なくちゃ足りない。逆さに、暮らし保障のために、経済同友会もある程度試算されて7万と出しておられますから、しかし、ここには保険料を払っている像がないのでございます。そうしたら、これからは全く保険料を払わないで、医療や介護は全部現物で来るのであればよろしゅうございますが、そうでない像を求めるのであれば8万だろう。
 そうなった場合に、私どもは消費税だけを財源といたしておりませんし、もちろんこの場で検討することはやぶさかでございませんが、特に与党側で、平成18年度、所得税の見直しも俎上に上がっておりますし、何度も申しますが、格差拡大社会で、今の税体系で、小渕減税の体制でよいのかどうかということは、私はやはり見直して、そういうこととあわせて、しかし、8万円を国民と約束してもらわないと次が進まないのではないかという意味です。
 ちなみに、私どもは消費税だけでやろうと思っておりません。もちろん、消費税になれば10%以上となってまいりますことは簡単に算出できますが、ここはそれのみに頼ったものでなくて、むしろ私どもは、消費税よりも、きちんと企業が負担する社会保障税、今は社会保険料と言っておりますが、ここをしっかりしていただきたい。パートの加入も絶対に促進していただきたいということで、あと、足りない部分はまた津島議員に教えていただきながら頑張りますので、よろしくお願いします。
○小宮山議員 今阿部議員がおっしゃったこと、女性の立場、そして若者の立場からちょっと申し上げたいと思います。
 これだけ非正規雇用がふえてライフスタイルが変わっている中で、当面、厚生・共済年金の一元化というだけではとてももたないし、信頼回復はできないと考えます。
 まず、女性は男性より平均寿命が7.9歳長くて、年金は女性にとってより重要な問題であるのに、本日は、公明党は差しかえでお一人女性がいらっしゃいますが、与党に女性議員がいらっしゃらないというのは一体どういうことなのか、非常に疑問を持ちます。
 そして、若者の視点からですけれども、15歳から34歳の若者無業者が2002年で213万人にもなっている。これは内閣府の青少年の就労に関する研究会の中間報告ですが、この現実をどれぐらい認識していらっしゃるでしょうか。
 その中で、希望しながら仕事を探していない、あるいは就業を希望していない、この人たちがこの5年間で13万人もふえています。大学を出ても5人に1人は正規雇用されません。希望しても就職ができない。職が持てなければ結婚もできない、子供も持てない。将来に不安がある20歳前半の若者の未納率が50%を超えている。これは、就業構造の変化に合った信頼できる制度ができていないので、ある意味では当然のことなのではないかと思います。
 これまで二号になるはずだった若者がこうやって一号に流れ込んで無年金者がふえることになると思いますが、この点については与党はどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
 そして、女性の視点から、今阿部議員も言われましたけれども、女性と年金検討会でせっかく1年半も討議して報告が出されましたのに、昨年の改正では、モデル世帯、パートの扱い、第三号被保険者の問題、育児支援などすべて先送りされました。
 ライフスタイルは御承知のように変わっているわけです。共働き世帯が専業主婦世帯を上回っています。一方、働いている女性の四割が非正規雇用で、男女の賃金格差は、ILOからの再三の指摘にもかかわらず、非正規を含めると、女性は男性の5割の賃金になっています。このことが働く女性の年金が低い原因になっているのだと思います。それなのに、相変わらず、モデル年金は、夫が平均的な賃金で40年勤めた会社員、そして妻は専業主婦、そのままというのはおかしいではないですか。これについても提起があったのに見直されなかったのは一体どういうわけでしょうか。
 そして、パートについても、厚生労働省は約400万人のパートの厚生年金加入の基準変更案を示しましたが、外食産業などが反発して、これは与党の判断で5年後をめどに結論を得るとして先送りされております。
 そして、第三号被保険者、これは専業主婦とパートも入っているわけですが、共働きの女性や単身等の女性の間で不公平感がずっとこれも問題になっています。この制度ができる前は、専業主婦も7割はみずから国民年金に入っていました。現在、女性のおよそ3人に1人がみずから保険料を納めていない。この状態は、公平な制度ということからも、年金財政の上からも改める必要があると思います。
 四つの方法を検討会が出しまして、厚生労働省は夫が納めた保険料に対する専業主婦の貢献を評価する年金分割案を示しましたが、これも与党の反対で事実上先送りになったと聞いております。
 現在、第三号被保険者の制度というのは、所得の低い共働き世帯から相対的に所得の高い片働き世帯への事実上の所得移転になってしまっている。こんなことでいいのでしょうか。この年金制度の改革を考える上で女性の年金の問題というのは欠かせないと思うのですが、どのように認識をされているか、ぜひ伺いたいと思います。
 多くの女性団体からも、どんなライフスタイルを選んでも公平で安心できる年金制度という要望が出されておりまして、国会で審議をするのであれば、ぜひ女性の年金の問題、そして民主党が提案しているような年金制度の一元化、積立金の問題、最低加入の年数など議論をしてほしいという要望が出ております。
 正規雇用の厚生・共済年金を合わせるだけではなくて、国民年金や厚生年金の空洞化に対応できる、若者や女性のライフスタイルの変化や就業状況の変化に対応できる公平で信頼される年金制度改革についてしっかり議論すべきで、そのためにはいろいろな調査やデータが必要なのだと思っています。二号被保険者の動向、一号被保険者の動向など、また幹事会で資料の要求もさせていただきますので、ぜひしっかりした資料、ない場合には調査も踏まえて、ここでいつまでも展望ばかりしていられませんので、今すぐ腰を据えて、データに基づいて無年金者がふえないような議論をしたいと思っています。
○与謝野会長 お願いがございますが、12時半までしか時間がございません。発言の御希望者が何人もおられますので、それぞれ時間をぜひ余して発言を御終了いただければと思います。
○丹羽議員 与党に対しまして幾つか御質問がございましたので、私の方からお答えをさせていただきます。
 まず、私、先ほどからお話を聞いていて感じましたことは、年金だけでなく社会保障というのは、現に今、社会保障の給付を受けていらっしゃるお年寄り方がいらっしゃる。特に年金などは、7割のお年寄りの方々が何らかの形で年金に依存をしながら生活していらっしゃる。
 そういう中で、私どもは将来を考えて、いわゆる若年世代の負担の軽減とともに、そしてお年寄りの立場に立って、継続性ということも重視しなければならない。先ほどからお話を聞いておりますと、どうも皆さん方は、率直に申し上げて、いわゆる白地に絵をかくような発想で物事をおっしゃっているのじゃないか。
 私はあえて申し上げました。我が国の社会保障というのは、率直に申し上げて、企業の方々の勤労者に対するいわゆる福祉政策からスタートした。その後を残念ながら国の方が追いかけていったような意味合いがあります。これは医療、年金、介護だけでなく児童手当についても同じことであります。
 しかし、この財源の3分の2が、社会保障費の3分の2が企業の方々の負担によっている、いわゆる保険料によっているということも率直に考えながらこれからの改革というものを進めていかなければ、全く絵そらごとに終わってしまうのではないかということをあえて申し上げます。一番困るのは国民の皆さん方でありまして、やはり、これから現実的な案というものを議論をしていただきたい、このようにお願いを申し上げます。
 そういう中に立って、私ども、先ほど年金法の改正について申し上げました。与党に案がないじゃないか、自民党に案がないじゃないかということを申されましたが、私の立場から言わせていただきますと、私だけでなく、1年も2年もかけて、毎日朝8時、8時半から一時間も二時間も議論をしてきた仲間に対して大変非礼な思いがいたしております。
 と申しますのは、そういうような議論を重ねた上で先ほど申し上げましたようなことを、基礎年金のいわゆる国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げる、それから積立金を思い切ってこの際切り崩す、そしてお年寄りの皆さん方にいろいろ、給付の伸び率というものを若干我慢していただく、これも若年者だというような、これまでと全く違う発想、観点から年金制度に取り組んできたということを、国民の皆さん方、野党の皆さん方にもぜひとも御理解いただきたいと思っておるような次第でございます。
 それから、女性の問題についていろいろ小宮山先生からもお話がございました。この問題につきまして、特にパートの女性の問題でございます。
 私どもは、率直に申し上げまして、さまざまな意見が与党の中にございます。しかし、基本的には、私個人の考えとして申し上げさせていただきますならば、この問題は前向きに導入する方向で検討していかなければならないと思いますが、現実問題として女性の中で意見が真っ二つに分かれておるのだ、ここをどうやって納得して収れんしていくかということが今後の課題ではないか、こう考えているような次第でございます。
○伊吹議員 質問者も多いと思いますので、お答えだけしたいと思います。
 阿部議員から三号保険者のお話がありました。これは、御本人も払っているか払っていないか非常に微妙だということをおっしゃいましたが、例えばフランスでは、税制上、二分二乗という考えがあって、共働きの御夫婦の場合は奥さんと御主人の所得を合算して二で割ったものを一人一人の所得と考える、そして専業主婦の場合は御主人の所得を二で割ってお二人の所得と考える、こういう税の方式があるのですね。
 これは政党の理念にもかかわることですが、主婦の価値を認めて、であるがゆえに御主人の所得を前提に専業主婦の奥さんの部分の保険料も払われているという確率計算のもとに年金が計算されているのだ、我々はそういう理解をしております。だから、この部分は、働いていない、納めていないのに専業主婦の人はもらっているという理解はいたしておりません。
 それから、岡田代表に、私は、よい考えであっても、フィージブルで実現可能性があるかどうかということで例の納税者番号のことを伺ったのです。おっしゃったことはそのとおりですよ。国民の義務として納税しなければならないし、また、それを必ず把握しなければならないのですね。
 しかし、先ほど津島議員や遠山議員がおっしゃったように、現実はなかなかそういうふうになっていない。今どうなっているかというと、国民年金は所得に関係なく定額で取っておるわけです。そして同時に、厚生年金は所得比例で取っていますが、その中から定額部分を基礎年金勘定に同額拠出することによって、基礎年金勘定というもので管理をしているわけですね。
 ですから、年金の信頼性というのは二つあって、一つは財政的な裏づけがあるかどうか。もう一つは公平にすべての人が負担するということが担保されているかどうか。この二つによって信頼性というのはできるのですね。二階建ての部分を義務化して、そして納税者番号で把握するということになると、この公平さが非常に危うくなるなということを私は申し上げたということです。
 以上です。
○五島議員 民主党の五島でございます。
 朝から、丹羽先生、そして我が党の代表岡田さんからも話が出ておりますが、そもそもこの議論の中において、きょうの段階で各党の思いを述べ合って、それもいいわけですが、それを繰り返しても余り意味がないのかなというふうに思います。
 そこで、自民党の皆さん方、公明党の冬柴さんがおっしゃった、議論の最も大きな点、すなわち、我が党は一元化ということを前提に岡田さんは述べたわけですが、皆さん方がおっしゃっている、基礎年金あるいは国民年金の部分、そこはもう終わっているんだ、二階建てのところの統合が当面の課題だとおっしゃるわけでございますが、当然、基礎年金、国民年金というのは年金制度の基盤である。したがって、そこが、おっしゃるように安定的に大丈夫なのか。今、未納者の問題を含めまして非常に大きな問題は、ここのところに発生してきています。
 そして、1961年に国民年金が実は出ました。そのときは確かに農民や自営業者の年金でした。今日においては、この国民年金というのは、例えば、フリーターであったり、失業者であったり、パートの労働者であったり、あるいは小企業に勤めている労働者の年金ですらある。そういう状況までこの国民年金の性格が変わってきた。
 そうしたことがあったから、先ほど、遠山議員でしたか、おっしゃったように、結果として、この国民年金制度を支えるために、サラリーマンが、あるいは企業の経営者がそこのところにプレゼントして、そこを基礎年金として切り分けて、それで支えているというのが現状であります。
 そういうふうな処理をしながらも、この制度、雇用関係の変化や就労形態の変化によって依然として未納者はふえてくるし、ここのところの将来の先行きに対しては非常に不安がたまってきている。これをきちっとしていこうと思えば、方法は、論理的に考えて四つしかないじゃないですか。
 一つは、自営業者や、国民年金に加入している人たちの保険料を今以上に大幅に引き上げるか。あるいは、サラリーマンの世帯がもっとプレゼントをするのか。あるいは、国民年金の掛ける年数をもっと大幅にふやして、そのことによって年金の財源を改善するのか。そうでなければ、税でもってそこを支えるしかない。
 この四つの中で、もちろんそれはそれぞれ単品で選ぶのではなくて、組み合わせということは当然あるんでしょうが、それを一体どうするのか。こういうふうなあり方になっているから安全だよ、だから二階建てだよというお話であればまだ議論の余地があるかと思いますが、今、実は一番大事なところが不明確なままなんです。
 そして、遠山さんがおっしゃるように、これまではサラリーマン世帯の、あるいはサラリーマンが働いている企業の事業主のプレゼントによって辛うじて、問題を持ちながらももってきている。これがもたなくなっている。これで大丈夫なんですか。この点についてやはり議論をきちっとすべきだというふうに思います。
○横路議員 民主党の横路孝弘です。
 きょうは第一回ですから、年金の現状についての共通認識が少しでもできればいいなと思っておったのですが、なかなかそこまで進んでいないようでございます。
 昨年の年金改正で国民の年金に対する不信が解消したかといいますと、いろいろな世論調査を見ますと、やはり依然として大変多くの人々が不信とか不安とか不公平感を非常に持っています。世代間の不公平感、あるいは正規社員とパートとの間、自営業者と勤労者の間、民間と公務員との間、あるいは働いている女性と専業主婦の皆さんとの間。
 こういった状況が生まれているのは何かというと、年金がばらばらだからなんですね。ですから、一元化してこういう不公平感を解消しない限り、なかなか信頼を回復することはできないんじゃないかというように思っています。
 そして、一つきょう強調したいのは、国民年金制度がもう既に破綻しているんじゃないかということで、この現状をしっかり直視しないといけないというように思います。悪くすると、将来日本の年金というのは公務員と大企業の労働者にとっての年金になってしまいまして、本当に、国民皆年金という一番基本に置くべきところが崩壊をしつつあるのではないかと私は思っております。
 平成15年に未納者が国民年金で444万5千人。2千200万人のうちの444万ですから、非常に大きなウエートを持っています。会計検査院によりますと、保険料の平成15年の収納額が1兆9千600億、未納額が2兆2千900億です。そして、この年に不納の欠損を決めた額が8千470億。この3年間、毎年8千億以上のお金を不納欠損額としているわけです。こんな状況になっている。なぜなんだろうかということが問題です。
 国民年金というのは、自営業の人を中心にスタートしましたから、定額制になっています。それから、年金の給付額が非常に低いわけです。自営業の人は定年なしに働けるというようなことなども当時議論されたわけでございますが。この二つがございますが、今、2千200万人の国民年金の対象者のうち、その3割、720万人が20代の若者でございます。
 雇用は、皆さん御承知のように、フリーターの人が400万を超え、そしてまた、今パート労働は全体の4分の1、26%ぐらいになっています。このパート労働の人たちの給料といいますか月収は、半分以上が10万以下なんですね。それから、フリーターの人たちは年収大体100万前後ということになっています。
 そうしますと、今の定額制の1万3千580円というのは、例えば10万円として、非常に大きなウエートを持っていますね。それから、フリーターの人は年収100万として計算をしますと、年間のお金というのは16万円を超えるわけです。ですから、やはり経済的に払えないということで払わない人がふえている。
 制度的に問題はどこにあるかというと、やはりこの定額制ということに問題があります。あと、給付をどうするかということは、生活保護そのほかの関連で考えていかなければいけない問題だというように思っていますから、これは徴収の体制を強化するというような問題で解決できる問題じゃなくて、制度そのものにやはり問題がある。
 自営業者中心にしてスタートしたところが、自営業者の人たちは今2千200万のうちの500万ちょっとになってしまって、あとはパートとかフルタイム労働、そのほかの人々になっているわけでして、そこはやはり私ども、まず国民年金の今の現状というのを直視して、これをどうしたらいいかということを見ていかなければいけないと思います。
 最後に一言、所得の捕捉の話が先ほどから出ています。自営業者の人の所得の捕捉です。
 トーゴーサンとかクロヨンと言われたのは、1970年代の数字に基づいた数字なんですね。最近、内閣府の政策統括官のところで研究が行われまして、1997年の所得の捕捉率は10対9対8、農業所得者も8。10対9だということですから、10対9になれば、これは納税者番号ということだって、そんなにその必要性というのはなくなるぐらいの所得捕捉率です。
 日本の財務省はそんなにお金を取り損ねているわけはないわけでして、そこの認識はぜひ皆さん方に変えていただきたい、このように思います。
○佐々木議員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 きょうは、両院合同会議の議論の実質的なスタートの日ですので、あらかじめ二つの点について確かめておきたいと思います。
 まず第一点は、昨年5月6日に結ばれました自民、民主、公明の三党合意の現段階における位置づけであります。
 この合意は三党の間では今どのような扱いになっているのか。この両院合同会議が発足したことによって、破棄され、死文化されたというふうにみなしておられるのか、それとも、現在でも生きていると見ているのか。自民党はどなたでも結構ですが、ぜひお答えをいただきたいし、きょうは、合意に署名されました民主党の岡田代表、公明党の冬柴幹事長お見えでございますので、その点をぜひお教え願いたい。
 第二点は、この合意と同時につくられました国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案の内容でございます。
 この修正案について私ども日本共産党は反対しましたが、中身を見ますと、社会保障全般について、税、保険料等の負担と給付のあり方を含め一体的見直しを行いと書かれております。この場合の税というのは何を意味するのか、改めてお聞きしたいと思います。三党の間で内容上の一致点はあるのかどうか。
 ちなみに、日本経団連が昨年9月21日に発表した「社会保障制度等の一体的改革に向けて」という文書では、社会保障制度や税財政も含めた一体的、総合的な改革と述べ、税制については、ことし1月18日の「わが国の基本問題を考える」という総論的な文書で、所得税、法人税の引き上げの余地はない、消費税の拡充が最も有力な手段であるとされております。
 三党が合意した一体的見直しを行う際の税というのはこの考え方と基本的に同じと受けとめていいのか、あるいは違うのか。
 以上二点について、それぞれお答えをいただければありがたいと思います。
○中島議員 自民党の中島眞人でございます。
 先ほど丹羽先生からお話がございましたから重複してしまう場面があろうかと思いますが、きょう、議員の皆さん方から、自民党案がないじゃないかという御指摘がございました。
 自民党案というのは、率直に言って、長い間苦労に苦労を重ねて昨年提案していた法律が自民党案の骨子である、こういうふうに御理解をいただき、その後、さまざまな問題が出てきたことによって、それらについて考えていこうというのが先ほど出た三党合意であり、またきょうのような会につながっているものだというふうに私どもは理解をしておりますから、先ほど丹羽先生がお話しになりましたような、少なくとも、3分の1を2分の1にする、あるいはまた50%を保障する、同時に、年金のあり方の問題についても、昨年、法案の中に盛り込んだ案が与党の骨子であった、こういうふうに御理解を賜りたいと思います。
 そこで、私はきょうは、昨年の年金国会から非常に国民が幻想的に、岡田党首が申しておりますようないわゆる基礎年金を税負担でいくということ、これは国民にとってみると、まさに、本当かいなと言われるようないい案なんですね。(発言する者あり)いい案というより、喜ぶ案なんです。
 しかし、実際問題、そのことが及ぼす影響がどういうものであるかという中身を絞っていくと、大変な負担がその裏には隠されている。そして同時に、基礎年金を税方式に変えていった場合に、では、もらえなくなる層というのは幾らからもらえなくなるんだ、そういうふうな一つの具体的な案が示されておらなくて、基礎年金は言うなれば税の負担で賄いますよ、だから御心配なくというような案でありますので、具体的な、いわゆる収入に対しては一つの線引きがこうなされるんだという形をお示し願えて、国民の皆さん方にも、税方式の難しさ、甘いものではないという理解をしていただかなければいけないというふうに思っております。
 同時に、昨年11月に提出をされました、民主党の高齢期等において国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するための公的年金制度の抜本的改革を推進する法律案というのがございますね。私は、これは一考する値のあるものだというふうに思うんです。しかし、この中には税負担という言葉は一言も入っておらないんですけれども、税負担というものが走り続けて、民主党が出している本来の法律案についての説明というものが余りにも理解をされていないのではなかろうか、こんなことを含めてお聞きをしておきたいと思います。
○柳澤議員 私、この問題について、今までそんなには専門的にかかわり合ってきたという立場のものではありません。ですけれども、私なりに一般の政治家の一人として意見がございますので、それをここで発言させていただきたい、こう思います。
 まず、この合同会議がスタートするときに、我が党の中でこれにどう対処すべきかということの議論があったんです。そのときに、私、非常に感動を持って聞いたんですけれども、きょうも出席をしておると思うんですが、鈴木俊一先生が、この問題は、先ほど古川先生の御指摘になられたような、あるいはその他いろいろな機会に出ておるような、スウェーデンの超党派での、本当に国民の役に立つ年金の確立ということを本当に目的にできるんだろうか、それを実際目的にしているんですかという、非常に誠実な問題提起をしました。
 きょうここに、いろいろないきさつがあってここまで来たわけですけれども、私は、その鈴木俊一先生の発言を聞きながら、今回の日本が直面しているこの危機というものがどのぐらい与野党の間で共有されているかということにかかわりがあるので、非常に大きな危機なんだけれども、しかし、この危機はついせんだって突発的に発生したというような危機ではないので、非常にこれは難しいのかなという気もいたしたわけです。しかし、こうなった以上、やはり超党派の会議らしい会議の成果を上げるべきだ、私はそのように思っています。
 そういう意味で、立場をはっきりさせるために申し上げますが、私は、先ほど来、私の同僚、非常に親しく、また指導も受けている丹羽先生が、勤労者の福祉ということから日本の年金制度がスタートした、この現実というのを踏まえて、フィージブルな制度の改善でないとこれはだめなんだというような御発言があったんですが、私は全然違う考え方を持っています。それはむしろ、民主党さんの多くの方が言ったように、雇用の形態とかあるいは生活の形態というのが全く変わってきたことに対して誠実に年金制度も対応すべきだ、このように思っておりまして、改革である限り相当ドラスチックなことも避けられないというように実は思っています。
 それで、そういう立場から、私は私なりにスウェーデンの制度をずっと勉強させていただいてきたんです。まず、社会保険方式か税方式かというところで、岡田議員は、徴収が非常に難しいというところからきている立論らしいんですけれども、税方式をとるということをされたんですけれども、私は、スウェーデンのみなしの掛金総額の通知方式、これは非常に、そういうわがままな滞納者、未納者というものを防ぐ手だてだと思います。
 何かブザーが鳴っちゃったので、また後日に私の議論を展開したいと思いますけれども、いずれにしても、そんな簡単に、先ほど岡田代表は、納税者番号制に対して疑問を述べた伊吹議員の発言に対して、頭から否定しない方がいいというお話をされたんですが、私はその言葉をそのまま岡田代表にお返しして、岡田代表も余り簡単に保険方式をあきらめないで、今言ったようなスウェーデンの知恵を十分参酌した上で結論を出すべきだ、このように思います。
 以上です。
○岡田議員 津島議員の方から御質問をいただいておりましたので、それを簡単にお答えしたいと思います。
 税方式にしたときに、全体16兆から20兆ぐらい必要じゃないかというお話がありました。これは計算の仕方にもよりますが、仮にそういった考え方に立つとしても、そのうちの半分は、これは政府案でも税で賄うわけですから、私どもはトータルについて必ずしも年金消費税でやると言っているわけではありません。先ほど申し上げたように、残りの半分の部分の議論をしているわけでありまして、そうすると、16兆から20兆じゃなくて、8兆から10兆の議論であります。
 私は、当面3%ということを、これは選挙のとき、参議院選挙のときから申し上げておりますが、その3%部分と、それに加えて、私たちは、すべての方に対して基礎年金、最低保障年金を支払うとしているわけではありません。所得の多い人には御遠慮願うという制度を提案しております。あるいは、我々の制度になれば、高齢者の生活保護の受給者はかなり減ると思います。そこの部分の財源というのも出てくるわけですね。政府案だと、その分、全部生活保護にかかってきますから、別途財源が必要になってきます。そういうこと全体を考え合わせると、私は、当面3%で十分賄えるというふうに考えております。
 それから、先ほど、最後に柳澤先生から大変いい御議論をいただいて、少し議論に希望が持てるのかなと思っておりますが、先ほどの共産党さんのお話にありました三党合意の話は、私は、柳澤議員のお話にもありましたように、社会保障制度のような国民にとって重要な、そして年金のような非常に息の長い問題は、でき得れば、それは与党、野党ということじゃなくて、国民にとって何が望ましいかという視点でしっかり議論すべきだ、これが三党合意を結んだときの私の率直な気持ちで、その精神はこういった形で結実をしたというふうに思っております。
 そして、最後にちょっと申し上げたいと思いますが、柳澤議員の議論にもかかわらず、きょう全体の議論を通して私が受けた感想は、昨年の改革で基本的なところはもう終わっているんだ、あるいは抜本改革はすばらしい改革であるという認識、そして残されたのは、基礎年金については2分の1に持っていくことと共済年金、厚生年金の統合の話が残された宿題だ、それを議論するんだ、簡単に要約すれば与党の方はそういうお話であったかと思っております。
 それではやはり国民の期待にこたえたことにならないわけでありまして、私どもが先ほど来言っておりますように、あるいは柳澤議員も言われましたように、やはり現実が変わっている。多様な働き方、そして少子高齢化という現実、そういったことにきちっと対応できるような年金制度を本気になって議論しなきゃいけないということだと思います。
 現実は、国民年金は壊れている、私はこう思いますし、厚生年金についても制度が働き方に対して中立的でない。そういう問題に対してきちんと政治が議論をして答えを出していく、その基本精神を持った上で、ぜひこの場でさらに議論を続けていただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。
○与謝野会長 時間が参りましたが、1人3分ぐらいのことで御発言をいただければと思います。
○武部議員 まず、三党合意のことですけれども、我々は常に政権交代可能な政治システムというものを選択したわけですね。政治は国民のものですから、国民本位に持続可能な年金や社会保障制度をどう構築していくかということを前提に三党合意が結ばれた、このように思います。したがいまして、これは非常に重い事実であり、その延長線でこの両院合同会議が設けられた、このように認識しております。
 同時にまた、国民本位に持続的な社会保障制度をどう構築していくかというときに、負担と給付という問題、今岡田代表の話にありましたように、超少子高齢社会という前提、あるいはまた大変な財政赤字というものも抱えているというときに、これらを踏まえてこの両院合同会議で成案を求めていこう。しかし、その前提はやはり継続した議論ということは言うまでもないことだ、私はそのように認識しておりますし、それが我が党の基本的な考えです。
○枝野議員 この場所で建設的な議論を進めていくためには、まずお互いにきちっと相手の主張を認識し合っていただきたいと思います。
 先ほど岡田代表から話がありましたとおり、我が党は基礎年金全額を消費税で賄うとは言っていないにもかかわらず、津島先生は当然そのことを今までの経緯で御存じであるはずなのに、全額消費税だと何%になるだなんて揚げ足取りをやっている。あるいは、丹羽先生も当然我が党の今までの法案の流れを勉強されていると思いますが、我が党は過去債務についての処理もちゃんと全部セットでして打ち出しておりまして、白地に物を書いたりしていません。少なくとも我が党の案をちゃんと勉強して物を言っていただくか、その上で揚げ足取りをやめていただくことが建設的な議論をする上での最低限の前提だというふうに思っております。
 その上で、先ほど来、負担と給付について、確かに負担と給付のつじつま合わせを最後にしなきゃならないのは間違いありません。しかし、まず現行の与党案、政府案はつじつま合わせ自体を放棄していませんか。
 結局、年金というのは、集める額を高くすれば、つまり負担を大きくすれば給付も大きくできる、給付を少なくすれば負担を小さくできる。これは当たり前、皆さんも納得される話だと思います。それなのに、負担の上限と給付の下限を決めるということ自体は論理的にあり得ないんです。つまり、負担はここで頭どめですということだったら、それ以上必要だとしても負担はふやすことができないんです。給付はこれより下げないということだとすると、逆にここより給付を下げなきゃならないような状況になったら、ここで維持しようと思ったらその分負担がふえる必要があるわけです。ですから、負担の上限と給付の下限を両方決めるということはあり得ないわけです。片方だけ決めるんだったらあり得ます。両方決めるということは論理的にあり得ない。ちょっと頭のいい人だったらすぐわかるはずです。きちっと考えてください。
 しかも、昨年の案は例の出生率の数字が出たことによってもう既につじつまが合わなくなる。つまり、あらゆる前提数値が政府の想定どおりであれば確かに上限と下限は確定できるでしょう。しかし、それは今まで5年ごとにやってきたことが全部外れてきたのと全く同じ理屈です。そして現実に、結果、外れているじゃないですか。やることというのは、上限を決めるのか下限を決めるのか、どちらかしかあり得ないということです。
 その上で、まず枠組みとして公平であるのか、公正であるのか、それがどうなるのかということで、先ほど来ずっと議論に出てきておりますが、ぜひ次回には、柳澤先生は少し御理解をいただいていてそういった方向のお話がありましたが、一番のポイントは、国民年金の空洞化をどうするんだ、特に国民年金層に入れられている自営業者じゃない人たちをどうするつもりなのか、この人たちを切り捨てるのかどうするのか、このことについて明確に与党としての見解を出していただきたい。
 もう一つは、今のような雇用の流動化している中で企業負担をどんどん上げていくという中では、先ほど来中立ではないという言い方をしましたが、どんどん厚生年金の対象の外に、企業ごと、あるいは働き方、パートなどということで、厚生年金も空洞化していきます。このことをどうやってとめるつもりなのか、それともそれで構わないというつもりなのか。それで構わないということだったら、計算以上に厚生年金の年金負担者層が減っていきますから、計算が成り立たなくなるはずです。これについて、次回には明確な回答を与党としてお答えいただきたいと思います。
 以上です。
○阿部議員 済みません、1分ほどお時間をちょうだいいたします。
 少子高齢社会の年金問題ですから、私はあと1点、日本の社会保障制度における家庭、子供に対する給付が非常に低いという現状もあわせてぜひ御論議いただきたいし、それから、先ほど伊吹議員からいただきましたお答えは、主婦が基礎年金の定額部分をどう負担しておるかということに対しては、私はちょっと違うかなと思いますので、ここも含めてこれから私どもが女性、子育て社会の姿ということを論議できる場であってほしいとお願い申し上げて、私の発言を終わります。
○与謝野会長 それでは、時間も参りましたので、本日の自由討議は、この程度で終了することにいたします。

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