2005年04月20日 第162回 通常国会 財務金融委員会 【297】 - 質問
ライブドア問題 大阪証券取引所の情報漏洩問題について「徹底した調査を」佐々木議員
2005年4月20日、財務金融委員会で佐々木憲昭議員は、ライブドアの株式取得方法、大阪証券取引所の情報漏洩問題について質問しました。
ライブドアは、2月8日の朝、東京証券取引所の時間外取引で、わずか30分たらずの8時22分〜8時50分のあいだで、ニッポン放送の発行済み株式の29.63%をいきなり取得しました。
そして、それまで買い進めていた株式とあわせて、34.99%の筆頭株主となりました。
これにたいして伊藤金融担当大臣は、2月15日の記者会見で「適法と言わざるを得ない」とコメントしたと報道されています。
しかし、他党へのこの日の答弁で「個別問題について述べたのではなく、法律上の一般論を述べたにすぎない」と答えました。
形式上は確かに東証を通していますが、これだけ大量の株式を一気に買えるというのは、違法な「相対取引」以外に考えにくく、仮に、市場取引だとしても、ライブドアと売り手が、時間外取引を実行する以前に、売買の「事前合意」をしていた可能性があります。
そのうえ、事前に合意をして発行済み株式の3分の1以上の株を買い占めたらば、違法ということになります。
佐々木議員は「きちんと調査したのか、いつ、どのような調査をしたのか」と質問。
これに対し、調査をしていると事実上認めましたが、内容については明らかにしませんでした。
つぎに、大阪証券取引所の問題について質問しました。
上場企業の適切な情報開示は、公平・公正な証券取引の前提であり、特定のものに偏った情報を提示するのは市場の公平性を損なうものです。
昨年より、西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載やカネボウの粉飾決算など上場企業の情報開示の問題が連続して露呈し、金融庁や各証券取引所は、「適時開示規則」の見直しや宣誓書の金融庁への提出など証券市場の信頼回復のための施策を行ってきました。適時開示規則の重要事項のなかには、業績予想や配当に関する情報が含まれます。
また、宣誓した重要事項について重大な違反をおこなった場合は、改善報告書を提出させ、是正されない場合は「上場廃止の措置」がとられることになっています。
大阪証券取引所は、3月30日に、金融庁に対して宣誓書を提出しています。
ところが、大阪証券取引所は、この重要事項が、開示前に特定マスコミに漏洩していたという重大な問題が発生しています。
佐々木議員は、大阪証券取引所の情報漏洩が、信頼回復のための取り組みが行われているときに、とりわけ市場を監視すべき証券取引所で起きたことは重大で、この情報をもとに不当に利益を上げた者がいれば、公平性を損なうと指摘。「これは市場を監視すべき証券取引所が起こした問題であり、その事実関係はどうだったのか、調査をして厳正に対処すべきだ」と金融庁の姿勢をただしました。
金融庁総務企画局長は、情報漏洩の事実を掴んでいることを認めたものの、大証から内部調査が実施され管理体制が改められたとの報告を聞いていると述べました。
佐々木議員は、「過去の事実を改善はできない。何らかの処罰を行うか、行政的な措置をとるべき」と主張し、今後も徹底した調査と結果の報告を金融庁に求めました。
また、佐々木議員は、東京証券取引所と大阪証券取引所の社長を参考人として招致し、見解を聞くべきだと提案。これにたいして、委員長は「理事会で検討する」と答えました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
2月8日の朝、ライブドアは、東京証券取引所の時間外取引で、わずか30分足らず、8時22分から8時50分の間に、ニッポン放送の発行済み株式の29.63%をいきなり取得したわけであります。それまで買い進めていた株式と合わせますと34.99%で、筆頭株主となったわけです。
これに対して、伊藤金融担当大臣は、2月15日の記者会見で適法と言わざるを得ないとコメントをされたようでありますが、先ほどの答弁では、これは個別の問題について言及したものではなく、一般論を述べたものであるというお話でありました。
そこで、法解釈を一般論でお聞きしたい。時間外で行われる市場取引、例えばToSTNeTでありましても、特定の相手と事前に株式の売買について合意をして発行済み株式の3分の1以上の株を買い占めた場合は違法となるのではありませんか。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
個別の事案でございますので、コメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、御趣旨は一般論としてどうかということでございますが、立ち会い外取引の行われる前に既に相対で売買が成立している場合はどうかというような御趣旨だと思いますが、この立ち会い外取引において事前の合意により売買契約が既に成立しているという状況がどういったものであるかというのは、やはり個別に判断せざるを得ないというふうに考えます。したがいまして、そこの部分についてのコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 私が聞いたことに全然すれ違いの答弁でありまして、私が聞いたのは、事前に合意をして発行済み株式の3分の1以上の株を買い占めたら違法になるのではないかと聞いたんです。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
今一般論として申し上げましたが、先生の御趣旨で、それが売買として完全にその契約が成立をしている、合意と成立というのは先ほどちょっと御議論がありましたが、契約が成立をしているというふうにみなされれば、それは市場外で取引をしたということになると思います。
○佐々木(憲)委員 そこで、ライブドアの場合、形式上確かに東証を通じて売買をしている。しかし、これだけ大量の株式を一気に買えるというのは、これは相対取引以外考えにくいわけであります。仮に市場取引だとしても、事前合意を結んでいた、時間外取引を実行する以前に合意が成立していた、そういう可能性があると思うんです。そういう場合には、これは違法で、本来TOBでやらなきゃならぬわけでありますが、この事前合意がどのようなものであったか、どのような実態だったのか、それを調査すべきだと思います。
実際にどのような調査をされているのか。今のところ違法という判断を示しておられませんから、つまり、これは適法であったという判断だろうと思いますが、その理由は一体何なのか、それを示していただきたい。
○長尾政府参考人(金融庁証券取引等監視委員会事務局長) 私ども監視委員会の立場で申し上げさせていただきますと、今回の立ち会い外取引に関係して、ライブドアについてそういう御指摘があることは承知しております。
ただ、御案内のとおり、私ども、個別事案の調査実施につきましては、大変恐縮ですけれども、従来からお答えを控えさせていただいているところでございますので、何分そこら辺は御理解をいただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 それじゃ全然わけがわからぬわけですね。
では、調査をやっているのかやっていないのかだけでも答えてください。
○長尾政府参考人(金融庁証券取引等監視委員会事務局長) 繰り返しになって恐縮ですが、個別事案の調査の実施の有無については従来よりお答えを控えさせていただいているところでございます。
ただ、これは、先生御指摘の同様の趣旨で、ニッポン放送の方から、新聞報道でも御案内だと思いますけれども、調査依頼というような形で話があったことでございまして、それに関連しての対応みたいな話をちょっと申し上げさせていただきますと、同様の趣旨で通常個別の話ということでは情報提供があっても私ども申し上げないんですが、本件はニッポン放送側からそういうことをしたということは公表しておりますので、その限りでお話しさせていただきますと、3月の下旬にニッポン放送の方から監視委員会にそういうお話があったわけです。
私どもの対応でございますけれども、これは一般論になりますが、私どもは、証券市場の不公正取引等に関する情報提供、こういうのはいつも大変広範囲に求めて呼びかけております。そして、寄せられた情報の中には調査の端緒となるような有用な情報が含まれている可能性もあるということで、情報提供があった場合には、それを積極的に活用して監視活動に役立たせるように努めているところでございます。他方、私ども、一般の方から個別に依頼を受けて、その依頼に応ずる形で調査を行う機関ではございませんので、情報を受け取る際にも情報提供者にその旨説明をしているところでございます。
いずれにいたしましても、一般論ですけれども、そういったいただいた情報提供、あるいはそれ以外のいろいろな情報もあわせながら、法令違反に該当する事実が疑われる場合には私ども必要な調査をする、こういうことでやっておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 ニッポン放送側からの要望があって調査をしているということを事実上お答えになったと思うんですが、30分で6回の取引があったというふうに報道されておりますが、これは明らかに特定の相手と事前に合意なしにこのような大量の株の売買ができるということは考えられない。したがって、この取引そのものが、実態がどうだったのか、違法性があったのかないのか、この点について明確な結論を出すべきだというふうに、調査している以上結論は出さなきゃならぬと思いますが、その結論はもう出たんですか、出ていないんですか。
○長尾政府参考人(金融庁証券取引等監視委員会事務局長) 大変恐縮でございます。先ほどもそういう状況を説明させていただきまして、ただ、あくまでも、いずれにいたしましても、個別事案の調査の実施の有無については、お答えすることは控えさせていただいているところでございます。これは、一般的にですけれども、私どもの活動を円滑に進めるためのものでございます。そういうことでございます。よろしく御理解をいただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 調査は継続中だというふうに理解をしますが、結論が出たら当委員会に報告をしていただきたい。
次に、証券取引所の問題についてお聞きします。
コクド、西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載や、先ほどの議論にありましたカネボウの粉飾決算、こういう事件を受けて、金融庁はこれまで証券取引所に対して適時開示規則の見直しというものを指示したと言われております。適時開示規則というのはどのようなもので、これによって市場の公正性をどう確保しようとしているのか、お答えをいただきたい。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
適時開示制度というのは、企業の決算等についていろいろな新しい状況が加わった場合に、一般の投資家になるべく早く正確な情報を開示するということで、それぞれの証券取引所で規則の中で定められているディスクロージャーの制度でございます。
○佐々木(憲)委員 適切な情報公開というのは当然必要であって、公平、公正でなければならないというふうに思います。
上場企業に対して適時開示体制を添付した宣誓書というものを金融庁に提出を義務づけるということになっているそうでありますが、その場合、宣誓に違反した、重大な違反があったという場合には改善を指示したり、悪質な場合は上場廃止の措置がとられるというふうに聞いていますが、それは事実ですか。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
それぞれの取引所でいろいろな基準を定めていると思いますが、いずれにいたしましても、最終的に上場を廃止するといった処分がなされるというような取り扱いになっていると思います。
○佐々木(憲)委員 その適時開示規則の重要事項の中に、当然、先ほど言われた新しい情報、例えば業績の予想ですとか、あるいは配当に関する情報、こういうものも含まれると思うわけです。
ところで、証券取引所というのは、現在、株式会社でありますね。我々は株式会社化法に反対しましたけれども、この証券取引所も上場企業になっていると思うんです。ここからも宣誓書を受け取っているはずであります。東京証券取引所あるいは大阪証券取引所は金融庁に宣誓書を提出していると思いますが、それはありますね。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
取引所で上場しているのは、現在のところは大阪証券取引所だけでございます。したがいまして、株式会社として大阪証券取引所からは、本年の3月末に、適時開示が健全な証券市場の根幹をなすことを十分に認識するとともに、常に投資者の視点に立った迅速、正確かつ公平な会社情報の開示を適切に行えるような社内体制の充実に努めるなど、投資家への会社情報の適時適切な提供に真摯な姿勢で臨むことについての宣誓書の提出を受けたところでございます。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、上場されているのが大阪証券取引所のみということでありますが、そこからは宣誓書が提出をされている。その中に、今御紹介があった文書と同時に、「常に投資者の視点に立った迅速、正確かつ公平な会社情報の開示を適切に行えるよう添付書類に記載した社内体制の充実に努めるなど、投資者への会社情報の適時適切な提供について真摯な姿勢で臨むことを、ここに宣誓します。」と書かれていると思います。
ところが、この大阪証券取引所の情報開示について重大な問題が発生しております。3月16日の午後3時5分、大阪証券取引所は、通期業績予想の修正等、それから期末配当予想の修正等を公表しました。また、3時30分には、平成17年から19年度中期経営計画を開示しております。資料をお配りしておりますが、そういう時間帯で開示されておりました。
ところが、この大阪証券取引所が公表する28分前に、配当予想の修正内容が読売新聞のインターネット情報に流れております。つまり、内部情報が漏えいしたと言わざるを得ません。そのため、大証の株価は、読売のインターネット情報以降に2万3千円ほど急上昇した。40万8千円の終わり値がついた。金融庁はこの情報をつかんでいますか。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、3月16日に、大阪証券取引所が、17年3月期の期末配当の予想について、3千円から6千円に増額することを決定いたしまして、適時開示規則に基づく開示を行っております。その配当の修正の発表前に今御指摘になったような報道が流れていたということは、私どもも承知しております。
○佐々木(憲)委員 特定マスコミへの情報漏えいというのは非常に重大でありまして、この情報をもとに不当に利益を上げた者がいれば、公平性を損なうということになるわけであります。これは市場を監視すべき証券取引所が起こした問題でありまして、大臣にお聞きをしますが、これはやはり放置すべきではないと思うんです。その事実関係はどうだったのか、調査をして厳正に対処すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) 事実関係だけ御説明申し上げます。
金融庁といたしましては、今の報道、そういったことを承知いたしましたので、大阪証券取引所に対しまして指示を行いまして、大阪証券取引所により内部調査が実施されるとともに、情報管理の一層の徹底が図られたとの報告を受けております。
○伊藤金融担当大臣 個別の具体的な内容についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げれば、法令上問題が生じれば、法令に基づいて私どもとして適切に対応していくものになります。
○佐々木(憲)委員 先ほどの局長の答弁は、指摘をして改善したということなんですか。しかし、事実は事前に漏えいをしたというわけですから、改善も何もないんじゃないですか。過去の事実を改善できるわけがないのであって、何らかの処罰を行うあるいは行政的な措置をとるというのは当たり前じゃないんですか。それはどうなっているんですか。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
先ほど私が申し上げましたのは、情報管理の一層の徹底が図られたということでございます。体制を、そういったことが起こらないように、そういった意味で情報管理の体制を一層徹底するといったことが図られたという報告を受けております。
なお、それ以上の分につきましては、個別事案にかかわるということでございますものですから、コメントを差し控えさせていただければというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 今の答弁は納得できません。
やはりこの事実関係を明確にして、そして、どこに問題があったのかはっきりさせる。責任者はだれか、だれが漏らしたのか、そこまで調査をすべきだ。そして、責任を明確にして、その責任をとらせるというのは当たり前じゃありませんか。大臣、いかがですか。
○伊藤金融担当大臣 一般論のお答えになってしまいますけれども、私どもは、取引所に対する監督権限というものも持っているわけでありますから、取引所が市場の開設者として法令に違反するようなことがある、あるいは、取引所のあり方として問題があれば、監督者として法令に基づいて適切に対応していくことになります。
○佐々木(憲)委員 私は、今回の証取法改正の審議を進めるに当たりまして、東京証券取引所の社長、それから大阪証券取引所の社長、このお二人を参考人として招致して御意見を伺いたいと思いますが、検討していただきたいと思います。
○金田委員長 佐々木君の申し出については、理事会にて協議させていただきます。
○佐々木(憲)委員 終わります。
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