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医療・介護・年金 (消費税, 年金制度)

2005年04月22日 第162回 通常国会 年金・社会保障両院合同会議 【299】 - 自由討議

両院合同会議 他党は「消費税増税」が当たり前 佐々木議員が厳しく批判

 2005年4月22日、年金・社会保障両院合同会議が開かれ、前回に続いて各党一巡の冒頭発言があり、自由討論が行われました。佐々木憲昭議員は、自由討議で消費税増税について発言しました。

 この日の会議でも、他党の発言では、「消費税増税」が当たり前のように出てきていました。
 自民党の議員は、「財源を考えると消費税を節度あるかたちで投入すべきだ」「2007年度をめどに消費税を含めた税制の抜本的見直しを行う」ことで国庫負担2分の1の財源を捻出する、などと発言しました。
 民主党は、もともと消費税を3%増税すべきだという立場です。「国民からすれば自分のポケットからお金が出て行くのは同じ。保険料、税をどう組み合わせていくのか、安定的な制度をつくるためには税を含めた財源論を議論することは不可避」とのべたり、「次善の策として消費税の活用がある。消費税全体の議論を早くやらなければ」と発言しました。
 公明党は、自民党といっしょに増税路線をひた走っているのに、民主党を批判するかたちで、消費税増税は「企業負担を軽減して、国民の家計負担にツケを回す構造にならないか」などと述べました。
 佐々木議員は、各党が消費税大増税を“暗黙の前提”であるかのように述べていることを厳しく批判。
 自民党に対しては、「消費税の節度ある形での投入というのは、どのような意味か。2007年度から大増税をするのか」と質問。
 民主党に対しては、厚生年金や共済年金の保険料には企業負担があるが、消費税はすべて消費者に転嫁できる大企業の負担はない。国民から見て、同じポケットとはならない」と批判し、「税にしろ保険料にしろ、低所得者・庶民のポケットからとるのか、負担能力のある大企業からとるのかではまったく違う」と指摘しました。
 公明党に対しては「民主党批判の論点は当たっているが、では公明党は財源を消費税によらないという立場なのか」と迫りました。
 佐々木議員の質問に対して、その後に発言した自民、公明、民主の議員からは、反論も回答もまったくありませんでした。

 自由討議に先立って、各党10分の見解表明が行われ、日本共産党を代表して小池晃・党政策委員長が見解表明をおこないました。

議事録

【自由討議部分】
○与謝野会長 引き続き、議員間の自由討議を行います。
 1回の発言は5分以内で、会長の指名に基づいて、所属会派と氏名を名乗ってから行ってください。
 それでは、御発言のある方は、お手元のネームプレートをお立てください。
○丹羽議員 自民党の丹羽雄哉でございます。
 古川議員、阿部議員から幾つかの質問が提起されましたものですから、それについてお答えを申し上げます。
 まず、雇用の流動化の問題でございます。
 これにつきましては、私も前回基本的な考え方を申し上げたわけでございますけれども、私は、雇用の流動化が進む中において、賃金と社会保障というのはそもそも一体不可分のものである、こういう考え方に立つものであります。そういう考え方から、基本的には、パート労働者を広く社会保険の対象として考えていくべきではないか。こういった問題について、いわゆる事業主の方の理解というものを求めたいと思っておるような次第でございます。
 それから、民主党の古川議員の方からお話がございました、いわゆる自営業者以外の低所得者層などに対する対策でございます。
 私どもも、どうしたら国民年金の未加入の増大を食いとめることができるかということに大変苦慮をいたしております。私どもは、基本的には、やはり国民の皆さん方の社会保障に対する、社会保障というのはお互いに支え合うんだ、こういうような意識というものを私どもが力を合わせて醸成していくことがまず基本である、こう考えておるような次第でございます。
 そういう中で、昨年の年金法の改正の中では、30歳未満のいわゆる若人世代に対しましては、10年間の保険料の納付の猶予を認めました。さらに、低所得者に対しましても、多段階免除の制度というものを段階的に入れたわけでございます。こういったものにつきましても、今後鋭意改善をしていきたいと思っております。
 それからもう一点でございますけれども、いわゆる国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げるという問題でございます。
 この問題につきましては私はかなり前から主張をしてきたわけでございますが、前回の衆議院選挙におきましては、各党とも、この問題については、3分の1から2分の1に引き上げる、こういうことをマニフェストであるとか公約で明らかにしている党がそろっているのではないか、こう認識をいたしておるような次第でございます。
 そこで、私どもの考え方でございますけれども、私どもは、2分の1への引き上げの実現に向けまして、平成21年度までの一定のシナリオを明記いたしました。このシナリオに沿いまして、平成16年度におきましては年金課税、これは大体1600億円程度でございますが、その見直しによりまして、また、平成17年度におきましては定率の課税、これは来年の1月からでございますが、まず2分の1でございます。これが大体1100億円でございますし、満年度ですと7千億円になります。しかも、これを2分の1でなく全額完全の実施にいたしますと、1兆5千億円になるわけでございます。こういうことによりまして財源の捻出を行っていくところでございます。さらに、平成19年度を目途にいたしまして、消費税を含む税制の抜本的な見直しを行いまして財源を確保して、平成21年度までに2分の1への引き上げを完了していきたい、こう考えております。
 そこで、私の方から民主党さんにお尋ねをしたいわけでございます。
 民主党さんのマニフェストを拝見いたしますと、要するに、徹底して予算のむだ遣いにメスを入れることによって捻出をしていく、こういうことを主張なさっておるわけでございますが、民主党さんのマニフェストによりますと、足元で2兆7千億円に上る巨額な費用が必要になるわけでございます。これを、具体的にどのような財源を削減することによって2分の1を捻出するのか、これについてお答えをいただきたいと思っております。
 それから、要するにこの2分の1の問題については財源を削減することによって求めていく、こういう考え方でございますが、もう一つの方のいわゆる最低保障年金の問題につきましては、消費税の引き上げということを明らかにしておるわけでございます。この辺のところについて御説明をいただきたいと思っております。
○小宮山議員 前回も発言させていただきましたが、きょうは女性の年金について自民党からも公明党からも言及があって、このテーマについてお話しいただくというのは大変結構なことだと思いますが、実際与党が昨年行ったのが、年金分割のお話をされましたが、これだけしかやっていないということなんだというふうに思います。
 前回も申し上げましたように、女性と年金検討会で幾つかのテーマを出したうち、私の手元に座長を務められた袖井お茶の水大学教授の採点がございますけれども、平均点の3がついているのが、離婚時の年金分割。これも、配偶者同士が同意をした場合か裁判所が決定をした場合のみできるということで5ではなくて3、やっとここが及第点でございまして、遺族年金についてが2、あと、パートの扱い、専業主婦、育児支援、モデル世帯については1、これは落第点でございます。
 ですから、先ほどおっしゃいました、世帯単位か個人単位か、あるいは第三号の問題というのは、ずっともう何年も議論をされてきた。歴代の厚生労働大臣、厚生大臣でいらした方もいらっしゃいますけれども、どなたとも議論をさせていただいた覚えがございます。それなのに年金分割以外はすべて先送りをしているということがあるということは、御認識をいただきたいというふうに思います。
 その上で、これからの最大のテーマは、やはり空洞化の問題。これは、一号、そして一号よりも二号の空洞化の方がもっと大きな問題かもしれません。ここをきちんとしない限り、信頼は確立できない。
 それともう一つは、多様なライフスタイルをしっかりと包み込めるような制度にすること。そのことは、先ほどから言及がありましたように、現状認識を共通にしませんとスタートいたしませんので、前回も申し上げたし、幹事会でも要求を申し上げている一号被保険者、二号被保険者のさまざまな面の現状を含めてデータを、ないものはさらに調査をして、きちんとしたデータをもとにしてあるべき問題をこれから議論していく必要があるというふうに思っております。
 そして、空洞化の問題といたしまして、国民年金につきましては、もちろん先ほどからあるように、未納者が六割いる。そして、天引きのはずの厚生年金につきましても、被保険者がピーク時の97年の3347万人から2002年度までに177万人、5.3%も減少をしている。2003年度の財政状況は、実質3兆5千億円の赤字になっている。こうした問題をしっかりと、データをもとに議論のベースにしていく必要があるというふうに思っています。
 そして、女性と年金の問題でございますけれども、モデル年金をこの時代に男性が40年間平均の給与で働き続けて専業主婦とペアという、これをモデル年金にしてはいけないということを言っているにもかかわらず、ここを変えていないということは、やはり現状を直視していない。現状を直視せずに給付をカットして負担を引き上げていくということを繰り返しているところに、国民の年金不信のもとがあると思っています。
 今の制度というのは、年々実質一〇%以上の経済成長があって、サラリーマンと専業主婦のカップルが増加をしていた時代、そしてすそ野の広いピラミッド形の人口構造といった条件の中で生み出された制度だと思いますので、就業構造の変化、ライフスタイルの多様化、そうしたことを実際の数値をもとにして議論をしていく必要があるというふうに思っています。
 国民年金の第三号被保険者の問題ですが、伊吹議員がおっしゃったのはそういう意味ではなかったのかもしれませんけれども、専業主婦の奥さんの部分の保険料も払われているという確率計算のもとに年金が計算されているとおっしゃったと記憶しておりますけれども、これは、その制度に入っているすべての人たちが負担をしているということと、受け取る額が、賃金格差の影響もありまして、生涯働き続けた女性よりも夫の年金の額のおかげで高額をもらうとか、やはりそこの不公平がありますので、そうしたところもきちんと見直さないと、これは不公平感、不信感というのがぬぐえないと思います。
 そういう意味で、空洞化の問題、ライフスタイルに適応した問題ということを、女性の視点などからもこれからデータをもとにしっかり議論をしていきたいというふうに思います。
○井上議員 公明党の井上義久でございます。
 先日の当合同会議におきまして、民主党の岡田代表から、年金制度改革に関する民主党の考え方ということで、五項目の提示がなされました。
 その中で、特に二点、二の、一階部分の最低保障年金の財源は全額税にする、そしてその財源は、現行制度における基礎年金国庫負担相当分に加えて、年金目的消費税を創設し、その税収を活用する。それから三に、二階部分については所得比例年金にする、つまり、所得に応じて保険料を負担し、払った保険料に応じて年金をもらえる仕組みにするという趣旨のことをおっしゃっているわけです。
 その発言を受けて、我が党の坂口議員から、提案された五項目の案は民主党から既に提出されてきた法案と同じものなのかどうかということをお尋ねしました。それに対して岡田代表は、参議院選挙でのマニフェストの考え方は変えていないという趣旨の話をされているわけです。
 しかし、私は、岡田代表の提示されたものと現在法案として国会に出されている民主党案とはどうも何か全く別なものではないのかというふうに思えてならないわけでございます。すなわち、岡田代表が念頭に置かれているのは、現行制度のように一階の基礎年金、これが国民年金にも相当するわけですけれども、その上に二階部分である所得比例年金が乗った体系だというふうにしか思えないわけです。
 そもそも、昨年民主党が提出されました法案においては、第二条の第一号で「公的年金制度は、国民から納付された保険料を主たる原資として給付を行う仕組みを原則とする」というふうに書かれています。さらに第五条第二項においては、最低保障年金は所得比例年金の受給額が一定に満たない場合においてこれを補足するための年金というふうに定義されています。民主党の法案における年金体系というのは、社会保険方式の所得比例年金を原則に据えて、その年金額が一定の額に満たない人に限って補足的に、また例外的に税による最低保障年金を組み合わせるという考え方になっているというのがこの法案を素直に見れば明らかではないか、このように思うわけです。
 要するに、民主党の法案には、岡田代表が言われているような一階部分、二階部分という概念がそもそもないんじゃないか。民主党の法案と岡田代表の先般提示されたものとは別なものというふうに考えるのが自然ではないか。岡田代表が提示されたものは、図式化しますと、むしろ連合や日本経団連が提案されている案に近いのではないか、このように認識をするわけでございます。
 さらに申し上げますと、民主党が説明によく使われております図では、最低保障年金が土台、下にあって、その上に所得比例年金を乗せた姿が描かれているわけです。これを素直に解釈しますと、最低保障年金が基礎的な給付で、所得比例年金が上乗せの給付であるということになるのではないか。少なくともこの図を見ますと、国民はそういう理解を多くの人がするはずではないかと思います。しかし、先ほど述べていますように、この法案の趣旨を忠実に図式化しますと、むしろ、上下があべこべで、土台である下の部分に所得比例年金があり、その上に補足的な最低保障年金が乗るという姿の方が正確なのではないか、このように思います。
 さらに、民主党案では、最低保障年金は一定以上の人には1円も支給されない仕組みになっているわけです。すなわち、一階がない人が存在することを前提とした制度体系なのですから、到底二階建ての制度体系とは呼べない。一階がなければ二階が存在しないのは当たり前であって、この一階、二階という説明の仕方は、国民に、一階がある、すなわち国民全員に支給される最低保障年金があるという誤解を抱かせることになるのではないか。
 そういう意味で、この岡田代表が提示されているものと今民主党が国会に出されている法案が違うものなのかどうなのか、同じなのか。皆さんは具体的な案を提示しているとおっしゃっておりますけれども、その具体案がよくわからない。そういう意味で、もう少し詳細に、できれば具体的な数字も含めて説明をいただくことがこれから議論を進めていく上で非常に重要ではないかというふうに思いますので、これについての見解をぜひ何らかの機会にお示しいただければ、このように思います。
○山本議員 民主党の山本でございます。
 今回のこの合同会議を設置するに当たっての決議の中に「時代の大きな変化に適確に対応すべく、過去の経緯などにとらわれず、議論に必要な論点を国民に提示し、」と書いてございます。私は、この言葉をそのままに受けとめて、私なりのこれまで年金にかかわってきた中の問題意識を述べさせていただきたいと思います。
 極論すれば、基礎年金の改革に尽きると思います。それは、低所得者の保険料負担、あるいは低所得であった期間を持っている人の年金というものをどう考えるかということだと思っています。
 年金の議論のときに、年金制度縦論、横論というのがあります。会社勤めの人の年金でスタートしたと丹羽先生はおっしゃいました。あるいは、財政の見通しをいいますと、国民年金の財政見通し、厚生年金の財政見通しというふうに出てきます。これはあくまでも年金制度は縦の形になっています。ところが、年金制度を一階、二階と言ったりする。この考え方は実は年金制度は横になっているわけで、厚生年金は一階と二階の両方の年金の保険料を一緒になって払っているということですから、ここに年金制度のややこしさがあるのだと思います。
 基礎年金制度を61年からスタートさせました。阿部先生がおっしゃいますように、ここは非常にバーチャルな制度になっていて、趣旨は厚生年金から国民年金への財政支援、拠出金制度ということになっておりますけれども、しかし、その制度はそのままでいいのだろうかというふうに思います。
 保険料を払うときは国民年金の一号、二号、三号という形で払って、受け取るときは基礎年金という名称でもらう。しかもそれは加入期間に応じていますので、給付をされるときは、基礎年金は給付は一元化をされておりますが、負担はばらばらの形になっている。我々国会議員の高所得者であっても1万3580円で済んでいるという形になっておりまして、この形が本当にいいのだろうかと私などは常に思っております。
 すなわち、介護保険は段階保険料をとっていて、高い所得の人が低い所得の人の分まで保険料として払うという形になっています。国民健康保険も段階になっていますが、これは負担のできない人のところは実は税で補てんをしているという形になっています。ところが、年金制度の場合だけは、そこは何ら手当てをしないんですね。保険料を払わないがゆえに、それはずっと一生貧しい生活をしてくださいという形になってしまう。この形が本当に皆年金という中でいいのかどうかという議論なんだと思います。そこが社会保険方式と税方式の考え方の違いになってくるのではないだろうかと思います。
 低所得者の保険料負担あるいは低所得者の年金ということを考えたときに、これから医療ですとか介護ですとかというときに自己負担あるいは保険料負担が発生してくる。それが全部所得状況に応じての負担になりますから、ここが公正でないという認識を国民全体が持ってしまうと、極めて社会保障制度に対する不信感が高まってくるのではないだろうか。
 我々民主党は実は年金制度を考えるときに税調の皆さん方と御一緒に議論をさせていただきましたが、年金制度はある意味ではほぼ税制の考え方に近い部分があって、皆さんおっしゃっている、所得の捕捉はできないんだ、あるいはここは仕方がないんだ、宮島先生もこれは自営業者の経費の算入と収入認定の問題だというふうにきのうもおっしゃいましたけれども、この部分を国民に、100%ではないとしても、できるだけ信頼の置けるものにしてこないと、保険料負担というものに対しての問題はやはり解消しないんじゃないだろうか。であれば、次善の策として消費税の活用というのはあるのではないかと私は思います。
 いずれにしても、消費税の議論がこれから出てくるんでしょうから、消費税にインボイスを導入するですとか、あるいは逆進性の問題をどうするのですとかという消費税全体の議論を早くやらないと、この日本の財政状態として、国債を大量に発行している、あるいは、物価がもしインフレで上がってきたとして、年金は物価スライドされるけれども働いている人の賃金は物価に応じて上がってこないなどというような状態になってしまうと、大変に厳しい財政状況あるいは社会保障制度の状況になるのではないだろうかというふうに思います。
 この認識が持てるかどうかだと思いますので、けなし合いをするというのではなくて、もう少し前向きに、今の問題点が何であるかということをお互いに議論して見詰めながら、これからのこの会議を進めていっていただければと私は思っています。
 以上です。
○福島議員 公明党の福島豊です。
 本日それぞれに御指摘のありましたことに対して、若干お答えをしたいというふうに思っておりますし、自分の考えも申し上げたいと思っております。
 まず冒頭、古川議員の方から、社会構造の変化に昨年の年金制度改革は対応していないんじゃないか、社会構造の変化というものをよく認識していないんじゃないか、こういう御指摘があったと思いますが、私は決してそうではないと。
 社会構造の変化というのは大きく二つあると思います。一つは、大きな人口構造の変化です。これがまず最大の変化だ。そしてまた二つ目は、フリーターの問題でありますとか働き方の多様化であるとか、こういった社会の中の特性といいますか、そういうものが変化しているということはあるんだろうというふうに思います。
 いずれにしても、どちらの変化にも対応しなければならないことは当然でありますけれども、昨年の政府の年金制度改革は、この人口構造の変化に真正面から取り組んで、そして将来世代の負担を軽減し、世代間の公平性を確保する、その意味では大変大きな改革をした。年金制度の主軸は、やはり負担と給付の関係ということであります。ここのところを具体的な姿を示さずに議論しても始まらない、私はそう思っております。
 そして、空洞化の問題が指摘をされました。空洞化の問題というのは、社会構造の変化、自営業の減少でありますとか、パートやフリーターのような不安定な就労というものがふえている、こういうこととも関連をいたしております。この空洞化の問題というのは決して小さな問題ではありません。大切な問題であります。しかしながら、先ほど申し上げましたように、給付と負担の関係をどのように人口構造の変化に対応させるのかという問題を主たる問題とすれば、これはやはり従たる問題といいますか、私は二番目の問題だと言わざるを得ないというふうに思います。
 そして、遠山議員が先般の合同会議で発言をしたことも、日本の年金制度には基礎年金という大きな制度がある、ある意味でこれは一元化の一つの姿であります。その中でどのように考えるのかということ、これは冷静に評価すべきことであるというふうに思っております。
 そして、民主党の御提案ですと、一元化することによってこれに対応するということでありますけれども、昨年来の議論を通じて、私がなかなか理解しがたいことがあります。
 一つは、徴収が強化される、税と徴収を一体化する、歳入庁ということでありましょうか、そういう御提案がありました。しかしながら、我が国の、例えば国税庁が税の徴収を行っている対象の人数と年金の保険料を徴収する人数とを比べると、十倍ほどの違いがあるというふうに私は認識しております。税というものは、税収を確保するために、どれだけ効率的にこれを行うのかというような考え方が一つあるというふうに私は思いますし、そしてまた社会保険について言えば、定額の保険料であったとしても、これを確実に徴収してその人の年金権を確保するというような大きな違いがあるわけであります。それは、単純に統合すれば徴収が強化されるというようなものではないのではないか。ここのところは私はよく理解ができません。
 そしてまた、定額の保険料から所得に応じた定率の保険料であると。このことによって空洞化が防げるのか、ここのところも私は理解ができません。先般来議論がありますけれども、事業主負担のところをどうするのか。現在でも、定額の国民年金の保険料に対して、高過ぎるのではないか、こういう意見を持っている方は多々おるわけであります。そのことが空洞化の一つの原因にもなっているだろうと私は思いますけれども、保険料がふえて、果たして皆さんにすっきりと納めていただくことができるのか、それは所得比例ですよということだけでそういうことの理解が進むのか、ここのところも私はよく理解ができないわけであります。
 私は、年金の一元化といいますか、空洞化の問題についてどう対応するのかということについては、幾つかの柱があるというふうに思っております。一つは、先ほど来御指摘のあります、パート労働者でありますとかフリーターでありますとか、いわゆる非正規の雇用者に対して、厚生年金、被用者年金の拡大というものをしっかりとしていくということが大事だと思います。
 それに先立って、被用者年金の一元化ということ、これは乗り越えていかなければならない山であると思っております。ただ、これについては、企業の負担をどのように考えていくのかということについてさまざまな意見があることも事実でありますし、そういった反対の意見も強いということから、昨年の年金制度改革では、さらに検討するということになったわけであります。一方でまた、21世紀の働き方、短時間労働、ワークシェアリング、いろいろなことが言われております。これは、均等な処遇ということと同時に、社会保障制度の中でどう位置づけるのか、しっかりと結論を早急に出すべき課題であるというふうに思っております。
 そしてまた、私は、徴収の強化というもの、これは、現在社会保険庁の改革が行われておりますけれども、どうしたら確実に徴収することができるのか、改革に当たって押さえなければならない大切なところだと思います。
 そしてまた、社会保険制度は、年金保険、医療保険、雇用保険とさまざまな保険があるわけでありますけれども、この保険の分立していること、これこそ私は一元的な取り扱いができるような仕組みにする。例えば、基礎年金番号というものがありますけれども、共通の社会保障番号というものを導入して、そのことによって徴収の確実化を図っていくようなことについても知恵を出すべきではないかというふうに思っております。
 いずれにしても、国民年金に加入しても被用者年金に加入しても、さまざまな変化が人生の中ではあるわけであります。そこのところの移動が、基礎年金番号という一つの形を前提としてシームレスにつなげる、そういうことが私は大切だと思いますし、そのことによって空洞化を抑止することができれば、基礎年金、さまざまな意見がありますけれども、実質的な、一元的な制度としてこれを強化することができる、そのように考えております。
 以上です。
○佐々木議員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 年金の財源問題に関連をして、先ほど自民党の丹羽議員が消費税の値上げに言及をされました。また、自民党の中島議員は、消費税は節度ある形で利用するという趣旨の御発言がありました。この節度ある形というのは一体どのようなものか。つまり、2007年から上げるという声もありますけれども、一体どの程度が節度ある増税なのか、その辺のお考えをお聞きしたいなと思っております。
 それから、民主党の古川議員の方から、保険料か税かということに関連をしまして、国民から見れば同じポケットから出ていくわけだから、性格は基本的には同じだという趣旨の御発言がありました。
 これは、例えば消費税の場合は、基本的には消費者が負担をするというのが基本でありまして、企業の場合はそれを転嫁することが可能であるという点で、企業負担は基本的にはないという性格を持っているわけです。しかし、保険料の場合は、厚生年金、共済年金の場合は事業主負担というものがあるわけでありまして、これは、性格が二つ基本的に違うのではないかというふうに思います。この点、どのようなお考えか。
 それから、同じポケットという言い方をされましたけれども、税にしろ保険料にしろ、今大事なことは、低所得者、基本的に庶民のポケットから取るのか、それとも負担能力のある、利益の上がっている大手の企業などから取るのか、そういう角度が物の見方として非常に重要ではないかというふうに思っておりますので、一言つけ加えさせていただきたいと思います。
 それから、公明党の山口議員から、消費税問題で民主党を批判されていました。その論点は当たっているところがあると私は思います。では、公明党は財源として消費税には絶対に頼らないという立場なのか、そこのところを明確にお答えいただきたい。
 我々日本共産党は、この消費税というものは、低所得者、高齢者にずっしりと重くかかる逆進性のある性格を持っている、簡単に言えば弱い者いじめの税制だというふうに思っておりまして、これを単純に引き上げるということになりますと、やはり逆進性が拡大をする。そういう意味で、こういう点に依存する増税というものについては反対であるという立場を重ねて表明しておきたいと思います。
 以上です。
○伊吹議員 自民党の伊吹文明です。
 先ほど阿部議員と小宮山議員から、専業主婦の年金のことについてお話がございました。
 私が前回申し上げたのは、専業主婦の保険料というのは御主人の稼がれたものが払われてはおりますけれども、しかし、専業主婦というものの価値を認めて、社会全体が、御主人が払われた保険料でもって専業主婦の将来の年金の保険料を払ったんだという確率計算のもとで全員がこれを負担しているということを申し上げたんです。
 ですから、結論的に言うと、お二人が考えておられるように、将来的には専業主婦の分も含めて2人分払うという考え方は私はあると思います。しかし、そのときはやはり、先回も申し上げたように、専業主婦もまた御主人の収入に貢献している、だから2分2乗という税制をとらなければならないと私は思います。
 つまり、外へ出てお金を稼いできた女性が立派なのであって、家庭を守って子供を育て、地域社会に貢献している女性には値打ちがないという考えは自民党はとっていないということを実は申し上げたんです。
 先ほど来お話を伺っていて、私たちは数学を解いているわけじゃないから、絶対的な真理というのはここではないんですね。これは、各党の理念というか政策を判断する物差しによってみんな答えが違ってきて当然だと私は思います。それを調整していくということです。
 ですから、社会保険、特に年金をどう考えるのか。皆年金、最低保障年金というもので老後の生活を支えるという考えなのか、あるいはもう少し自助努力的な所得を入れていくのか。ここは私は、自民党は最低保障年金ですべてを保障するという考えは持っていないと思うんですね。
 それから、ニートあるいはフリーターという現状を、古川さんが指摘されたように、私は否定するものではありません。しかし、これを、正しいもの、変え得ないものとして、これに追随しながら制度をくっつけていくのかどうかというところは、政党の理念でやはり少し違うんじゃないでしょうか。
 それからもう一つ、与党として非常につらいのは、立派なことであっても、現実を混乱させること、実現不可能なことにはやはり手が出しにくいということです。先ほど丹羽議員が説明をされたことについて古川議員からお答えがあると思いますが、例えば財源としてどこを削減して幾ら出すのか、新規の税はどうして幾ら出すのか、これを実現しないことにはマニフェストというものは動かないということです。
 そういうことからすると、既に納めている人たちの膨大な納めたお金をどう考えるのか。それから、雇ってくれる人がいないから自分がすべてを負担しなければならない。雇い主が2分の1、自分が2分の1といけない人たちの負担が果たして可能かどうかということをやはり考えてやっていかないといけないと思います。
 そういう意味から、私は、前回、横路議員と五島議員がおっしゃった、基礎年金部分、一元化は既にされているわけですから、これをどの程度の大きさにとって、どの程度確かなものにしていくか、この道を探るのがやはり一番フィージブルで現実的な意見かなと思って、前回お二人の意見に私は賛同しながら伺っておりました。
 以上です。
○枝野議員 民主党の枝野でございます。
 今、伊吹先生からも御指摘がありましたが、まず、丹羽先生からお話がありました、我が党のマニフェストで3分の1から2分の1にするものについての具体的な中身は民主党の予算の対案に書いてありますので、そこまで御検討されているんでしたらば、民主党のホームページにも載っておりますので、ごらんいただければと思います。
 難しいことではありません。政権をかえていただければ、やる気があるかどうかという問題であって、予算の組み立て方の枠組みで、今のように各役所の積み上げ方式で予算編成している限りは大胆な予算配分の変更は不可能です。枠組みをしっかり決めて、その枠の中でやれということで上からおろすというやり方をすれば簡単にできることだというふうに思っています。一度任せていただければ実現をいたします。
 それから、先ほど丹羽先生のお答えで、いろいろ出てきましたけれども、結局は、雇用が流動化していく、雇用主負担が重たいということに対して耐えられない。特に中小零細企業の立場からすれば、それはどんなに社会的責任だとかいろいろなことを言われても、今現実に、本来は厚生年金に加入しなければならない中小事業者がそこからどんどん事実上逃れていっているという実態というものを考えたときに、解決策にはなっていないと思います。
 それから、納めていただく努力をする、理解を求めるといっても、納められない。つまり、個人事業者で資産があってたくさん収入があるんだけれども納めていない、こういう人はある意味ではほっておいてもいいのかもしれません。しかしながら、現実には、例えば厚生年金であった場合であっても、1万3千幾らという額までの負担にはならないであろうような低所得者の人たちをどうするのか。国民年金の方がかえって保険料負担が重いというような人たちが少なからず出てきている実態をどうするのか。
 もちろん、こういう実態がこれからも続いていくということは望ましいことではないかもしれません。しかし、こういう実態がどんどん深まってきているという実態をつくってきたのは自民党と公明党の政権の皆さんであって、今までこうやって失敗をしてきた皆さんが、これからはよくなりますという話自体は説得力を持たないのではないか。
 そして、これは、社会が成熟化してきた中で、ある意味、必然的に出てこざるを得ない状況、そうした中での低所得者あるいは中小零細企業をどうやって皆保険の仕組みの中で維持していくのかということを考えたときには、それは今までの制度の延長線上で物を考えるという中ではなかなか困難ではないかというふうに思っています。
 どうも皆さんは誤解をされているようですので申し上げたいと思います。
 先ほど、既納、既に納めている方の問題をどうするんだと伊吹先生からお話がありました。私たちは、新しい制度をある意味で白地に書きたいと思っています。白地に書きたいんですが、既に保険料を納めていらっしゃる皆さんの納めた保険料に対応する将来の受給権というものは認めなければなりません。そうでなければ社会が大混乱をいたします。
 しかし、一たんそこで区切ることは可能です。つまり、今までのものの延長線上ではない新しい制度をスタートさせても、スタート当初においては、納めていただく保険料に対応する支払いはほとんど発生をしません。成熟化をするまでは、新制度による保険料納付に対応する給付は発生をいたしません。
 したがいまして、切りかえの移行期、この移行期というのは恐らく40年、60年かかる話でありますけれども、新制度における保険料負担を旧制度における債務の支払いに充てていくということは、これは社会的に許される話であろうというふうに思いますので、ある新制度スタートの時点で一たん区切って、それまでの保険料納付に対応して発生している将来の給付についての債務を確定させる。そして、新制度においてこれから入ってくる保険料に対応して、それに応じたお金を旧制度勘定の方に移すという構造の中で両立させていくことができる。ただし、今の制度の延長線上で考えるのでは解決できないと申し上げたいと思います。
 最後に、残り30秒ぐらいで申し上げたいんですが、やはり前回のお尋ねにお答えいただいていません。数字を出せ、数字を出せというのは確かにもっともらしい話であります。しかし、残念ながら、昨年皆さんがお決めになったもので数字を出しているものが、論理的に整合性がとれていません。
 結局は、納めた保険料が多ければ将来たくさん給付ができます。給付をたくさんしようと思ったら保険料が高くならなければいけません。ところが、昨年の皆さんの案は、保険料の上限を決めています。一方で給付の下限を決めています。それの前提となっている、例えば出生率とか経済成長率とか、こういう数字が全部皆さんの想定したとおりの範囲内であるならば、それはその上限の範囲内で、あるいは下限の範囲内で負担と給付の関係は維持できるでありましょう。しかし、既に出生率のところで崩れているじゃないですか。
 結局、どこかの部分の見通しが一つ違っただけでも、両方決めるということはあり得ないんです。負担の上限を決めれば、その範囲内で給付はどこまで下がるか、経済や人口統計によって全部変わってくるんです。給付の下限を決めるんだったらば、それに対応した給付をするために、人口の増減やあるいは経済状況によって負担はどこまで上がるか、やってみないとわからない。20年、30年先のことはわからないです。
 そんなことを無責任に説明すること、あるいは約束すること自体に対して、年金に対する信頼が落ちている。このことについてどう御説明されるのか、だれもお答えいただいていない。ぜひお答えをいただきたいと思います。
○鴨下議員 今枝野さんがお話しになった既裁定者、二つの制度が併存する時期が多分これから出てくるんでしょうけれども、そのときに本当に財源的な問題がきちんとした形で解決できるのかというようなことについては、私は甚だ疑問に思っております。
 また、今話の中でありました一つ重要なことは、これから多分私たち団塊の世代が年金受給世代になって、20年後、2025年から2050年、このあたりが日本にとっては社会保障の一番の胸突き八丁といいますか、そういう時期に来るんだろうというふうに思います。その時点で、今、古川さん等もおっしゃっていたように、これからフリーターさらには非正規雇用がふえてくる、こういうような時期と、それから二つの制度が併存するという時期で、皆さんがおっしゃっている一元化が完全に完成するのが例えば40年先、50年先だとすると、一体この社会的な構造の変化にこの一元化という制度そのものの改正が間に合うのかどうか、こういうようなことについて私は非常に心配をしております。
 すなわち、今の制度、与党が出している制度がある意味でだんだんとフェードアウトしていくのと、皆さんがおっしゃっている制度が完成形になっていく間にタイムラグが約40年ある。こういうようなことであると、残念ながら、一元化をやったことによって、結果的に社会構造の変化に間に合わない段階で改正が行われる、こういうようなことにもなりやしないかというのが一つでございます。
 それからもう一つは、我が国の社会保障制度そのものは、自立と自助それから連帯、こういうような理念に立脚しているわけであります。確かに四百数十万人のさまざまな未納、未加入というような問題もございますけれども、現在でも、被用者で3,600万人、それから被扶養者の配偶者で1,100万人、さらには自営業者1,900万人、合計六千六百万人の方々が営々として保険料を払って、そしてある方には免除などの手続をして、そういう意味で健全な老後を備えよう、こういうようなことをしているわけでありまして、ある意味で、そういうおびただしい方々の心配を結果的には喚起してしまうんじゃないか、こういうようなことを心配しているわけであります。
 ですから、未納、未加入という問題意識においては私も民主党の皆さんと共有するものでありますけれども、その中にも、冷静に判断すると、無年金者が生活保護になっていってしまう、こういうような御指摘もありますが、実は、多くの未納、未加入の方は、相当な所得があったり、それから生活保護にはなっていかない、こういうようなことでもありますので、そういう意味で、徴収対策の強化だとか免除手続、こういうようなことをきちんとしていくことによって解決できる範囲のものもあるんだろうというふうに思っております。
 したがって、これは本音で聞いてみますと、例えば厚年に入っている方、それからそれぞれ共済年金に入っている方々も、実はこの年金一元化に巻き込まれることについて、本音のところでは決して賛同していない方が多い、こういうようなことを申し添えたいというふうに思います。
○古川議員 私は、先週も今週もお話を聞いていて、現状に対する、そして将来に対する危機感、国民の皆さんがこの議論を聞いていたら、本当に国会議員は薄いんじゃないか、今どういうことが進んでいるのか、そういうことに対しての現状認識や危機感が余りに薄過ぎるんじゃないかというふうに怒りを感じているんじゃないかと思うんですね。
 いろいろと民主党案に対する御指摘、マニフェストとどこが違うんだとか、私から言わせると、現行制度をやめて新しい制度をつくろうということで皆さん合意されるのであれば、その新しい制度のあり方について、民主党案が決して完璧だというふうには私たち思っていません、手直しすればいいと思っています。
 例えば移行期間、鴨下さんは今、40年なんてそんな悠長なこと言っていられるかと言いました。スウェーデンは20年でやりました。私たちももっと早くやれればいいと思います。ただ、やるには、日本の場合にはスウェーデンとは状況が違うから、かなり時間をかけなきゃいけないのじゃないかと思いましたが、しかし、これこそまさに我々政治家がその気になって、少し大変なところはあるけれども、早く社会状況に合わせようということであれば、ここでそういう決断をして移行期間を短くすることは十分可能だと思います。そのための合同会議じゃないかというふうに私は思うんですね。まず、そこのところの現状に対する危機感や認識。
 先日柳澤議員からお話がありましたけれども、一体与党の皆さんは、与党の中でもそういう意見を政策の責任者の一端にある柳澤議員から出されたのに、どう考えていらっしゃるのか。昨年の改革について、与党の議員の何人も、特に若い人たちを中心に、いや、あれは当面の財源対策だとはっきり外でも言っているわけですよ。これが百年安心だとか抜本改革である、本当にそういうふうに皆さんは思っていらっしゃるのですか。
 私たちは、本当に現状そして今後のことを考えたときに、あの制度改革で持続可能なのか、やはりそこのところをきちんとここで詰めて、その上でそれが持続可能だというコンセンサスになったんだったら我々の案に対していろいろ細かいところを御批判いただくのは一向に構いませんけれども、まずは現状、そして本当にあの改革で、先ほど枝野議員からも指摘があったようなところについて、ちゃんとこれが本当にやれるのか、続くのか。やはりそこについて、必要なデータを集め、そして客観的な認識の一致というものをすり合わせていくことこそがこの合同会議に求められる役割じゃないかと思うんですね。
 福島議員の方は、先ほど、給付と負担のバランスをとるというのが一義的で、空洞化は二次的だというお話をされましたけれども、それだったら、これはもう国民皆年金をやめるのかというところにもつながっていくと思うんですね。空洞化ということは、要するに年金がもらえないという人も出てくるわけですから。
 やはりそういう意味では、そこのまさに理念の話というお話が伊吹議員からもありましたけれども、もちろん理念はそれぞれのところで違いがあると思います。そこは確認をしていかなきゃいけないです。しかし、理念の前に、まず、現状そして将来の認識についてどれくらいの危機感を持っているのか。
 つい先日、日本21世紀ビジョンというのを政府の方が出されましたけれども、「岐路にある現在の日本 ここ1〜2年が分かれ道」といって、構造改革を怠ると大変に暗い話になって、構造改革を進めれば、非常に何か、新しい躍動の時代というので書いてあるわけですね。その中にこんなことも書いてあるのですね。「採るべき具体的行動」「生涯二転職四学習が可能となる制度設計」。一体、今の分立した年金制度で、転職、四学習が可能になるような、そういうのを勇気づけるようなインセンティブは働きますか。どう考えたって、今みたいに、転職すれば、ころころかわればその方が不利になる、明らかに同じ企業にずっといた方が、年金だけ考えれば有利になる。
 そんな状況の中では、この「採るべき具体的行動」、日本21世紀ビジョン、幾ら書かれたって、これこそ絵にかいたもちで、丹羽議員も、皆さん与党の人たちは、我々は与党だから実現可能性が、フィージビリティーがと言われますけれども、ちゃんとこんなビジョンを示すのであれば、それが実現できるような具体的な制度設計をやっていただきたい。ぜひそのことを申し上げたいと思います。
○丹羽議員 自民党の丹羽雄哉でございます。
 幾つかそちらからの質問もございますので、お答えを申し上げます。
 まず、一番の焦眉の急でございます国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げるということに対して、私ども与党は真摯なスケジュールというものを示したわけでございますが、枝野議員は予算の編成のやり方次第でどうにでもなるというような、木で鼻をくくったような返答をなさったことは大変私は残念で、遺憾に思っておるような次第でございます。
 それから、あと問題は、前回も申し上げたわけでございますが、我が国の社会保障給付費の88兆円のうち3分の2は実は企業が負担しているのだという現実を全く無視して改善なり改革というのはできないのだ、これはまさに絵そらごとになるのではないかということをあえて申し上げたわけでございます。
 そういう中で、非常に事業主の負担が重いのではないか、こういうような指摘がございました。
 どこの国と比べるかでございますけれども、私ども、介護保険であるとかそのほかの社会保障のいわゆるモデルといたしておりますヨーロッパ諸国に比べまして、我が国の事業主の負担は決して重くないわけで、むしろ軽いということをあえて、私の方から申し上げるのもおかしな話でございますが、申し上げさせていただきたいと思います。
 それから、一点だけ御質問、よろしゅうございますでしょうか。
 これは枝野議員にお聞きしたいと思います。
 いわゆる一階建ての部分が最低保障年金、二階建ての部分が報酬比例部分ということでございます。これは先ほどから指摘されておるわけでございますが、例えば自営業者で50万円の報酬のある方は、恐らく年金保険料は4倍、5倍になると思います。私はこれは嫌だと言った場合に、この方に対しては最低保障年金というものを支給するのかしないのか、そのことについてお聞きしたいと思います。
○城島議員 民主党の城島でございます。
 ちょうど一年前ですけれども、年金問題を熱く論議したときとは何となく雰囲気がちょっと違うものですから、まだ戸惑いがあるんですけれども、当時の坂口大臣がいらっしゃいますし、長勢筆頭もいらっしゃるんですけれども、一年たつと随分雰囲気が違うなと思って。私も、エンジンがかかるのがなかなか遅いわけですけれども、早いものだなと思いながら論議に参加させていただいております。
 最初に中島先生がおっしゃったこと、やはり非常に気にかかっています。去年の案が改革案だから、いわゆる改革案とおっしゃいました、案がないという指摘は当たらないというのは、それはちょっと的を外れた意見だと思っています。各党がそれぞれ、昨年の案ではなくて、改革案を出し合う中でいい案をつくっていこうということですから、やはりそれはきちっと各党が出されるべきだというふうに思っております。
 と同時に、さっき枝野さんも言ったんですけれども、それは福島先生もおっしゃいましたけれども、一緒にやったのであれですが、特に私は、去年の案が、確かに社会構造とか今の人口構造、高齢化のスピード、さまざまな変化をとらえないかぬという思いがあったことは間違いないと思います。ただ、現実的に、最後は、この昨年の案は、負担の上限が設定され、モデルとはいえ給付の下限が設定された。これは、もう繰り返しませんが、枝野さんが言ったとおりだと思うんですよ。
 その間が、何度も我々、当時もこういう質問をしたんだけれども、極めてガラス細工になっていますね。すなわち、負担の上限を決めて、その後、給付の下限を決める。例えばモデル世帯で50、18.30の厚生年金でもいいんですけれども、上限を決めて、下限の給付のところを決めるための前提にいろいろ数字をインプットしたんじゃないかと思われてもしようがないような話の前提になっている。
 ということは、特に出生率はいつも引き合いに出されますが、本当に社会構造に柔軟に対応していく仕組みに、そもそも上限設定、下限設定の段階でもう崩れていると思うんです。だから、そこはもう一度、本質的に、今の時代背景に対応したように変えないかぬところだと思います。
 特にその中で、これは前回小川さんも言ったかもしれませんが、例えば国民年金、我々は国民年金が本当に崩壊しつつあると思っているんですよ。崩壊していると思いますけれども、それは言い過ぎだという意見があるにしても、崩壊しつつある、真っ当に納めている人はもう50%切っているわけですから。
 ところが、その影響が、雇用構造の変化だけじゃなくて、既に国民年金の加入者がこれだけ少ないがゆえに、基礎年金に対して、厚生年金や各種共済から膨大な支出がされているわけですね。そのことによってやっと成り立っているわけです。
 2000年のデータだけ見ても、各種制度から基礎年金の拠出額というのは13兆7千億円。これが、本来ですと国民年金からは約4兆3千億円負担すべきところが、実際は2兆8千億。それで厚生年金は、現実的には、8兆円のところが既に実際は9兆3,400億。ここで約1兆3千億円、厚生年金は実際より既に負担増になった中で基礎年金が成り立っているわけですね。
 そういうようなことを含めて、先ほど言ったようなガラス細工のところを変えていかないと年金制度はもたない、なかんずく国民年金はもう崩壊しているということだと思います。
○阿部(知)議員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 先ほどやや言葉足らずであった点も含めて、三点にわたりお話をさせていただきたいと思います。
 まず一番目は、国民年金の空洞化をめぐる認識で、今城島議員も御発言でしたが、ここに与野党の間で大きな差がございます。やはりこの点を何としてでも認識を共有しないと私は出発点がないと思います。
 例えば平成15年度の会計検査院の報告によりますと、第一号被保険者数約2千240万のうち、先ほども申しましたが、2年間全く未納の方が444万5千人、そして、2年とは言いませんが、19カ月から24カ月、極めて2年に近い年数の未納者が530万おられます。この方たちは、与党の皆さんによれば、今は納めていないけれども将来は納める可能性もあるからということですが、しかし、この数年、未納者の数は本当にウナギ登りでございます。平成7年が172万人であったものが、平成13年328万人、平成14年363万人、そして平成15年は約445万人。
 このあたりの現状をきっちりと認識して、そして、国民年金の未納額の総額が1兆円を超えておるということも、これは私は決して無視し得ない現状だと思いますので、改めて会長にも、次の会議で国民年金の現状認識の共有化を図っていただきますことをお願い申し上げます。
 そして第二点目ですが、いわゆる三号被保険者の保険料について、改めて伊吹議員からも御発言がございましたので、あえて私も言わせていただきますが、このような形で、例えば私並びに小宮山議員が、三号の主婦の立場やあるいは現状の大きな役割を決して過小評価しているものではございません。しかしながら、この三号被保険者問題は女性の間に多くの亀裂を生んでまいりました。
 例えば、同じ主婦であっても、働く主婦もおられます。そして、働く主婦の場合、自分で年金の保険料も負担し、なおかつ、例えば一たん夫が亡くなって遺族となった場合、実は遺族年金の方が高うございます。そこには厳然とした男女の賃金格差が横たわっており、また、女性の勤続年数の短さもございます。
 そして、今や共稼ぎ家庭の方が多くなりました。
 例えば、私たちの子供の世代、孫の世代を考えてみれば、実はここには団塊世代の女性が3人、上川さんと小宮山さんと私とおりますが、私たちは、恐らく、主婦であった時代もあるし、共稼ぎ時代もあっただろうし、そして今のような議員になって国民年金時代もある。多様な年金を変遷してきましたが、やはり一番の矛盾は女性の年金問題だと思っております。この点についても、伊吹議員の御指摘が、私どもが働く女性であるからして主婦の立場を過小評価したというような御指摘につながらないことを私はお願い申し上げます。
 そして、パートタイマーの年金問題については、実は丹羽議員より、極めて踏み込んで前向きで、そうやろうという御発言をいただいてうれしゅうございますが、実は、パートタイマー1,200万人のうち、女性が835万人でございます。そして、今回、見送られてしまいましたが、年金加入問題で女性たちから反論が出たというのは、女性の賃金が低い。男性の正規雇用の四割、女性の正規雇用の六割がパートの賃金の時給でございます。
 この賃金格差、実は、男女雇用均等法ができたのに、どんどんどんどん男女の賃金格差が進んでおるわけでございます。ここへの手当てもあわせてどうするかをお考えいただいて、私はパートの加入問題というのは本当に重要と思いますので、ぜひともそのような方向にともに歩んでいけたらと思います。
 以上です。
○与謝野会長 発言の御希望がまだございますけれども、時間となりましたので、以上をもちまして、本日の自由討議は終了いたしました。

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