金融(銀行・保険・証券), その他 (金融のバリアフリー, 郵政民営化)
2005年07月04日 第162回 通常国会 郵政民営化特別委員会≪参考人質疑≫ 【315】 - 質問
郵政民営化特委 地銀協や学者、ジャーナリストら 参考人質疑
2005年7月4日郵政民営化特別委員会で、佐々木憲昭議員は郵政民営化について参考人に質問しました。参考人として、福田誠氏(全国地方銀行協会副会長)、石井晴夫氏(作新学院大学総合政策学部教授)、跡田直澄氏(慶應義塾大学商学部教授)、安田浩一氏(ジャーナリスト)が招致されました。
作新学院大学の石井教授は「国民にメリットがあるというが、具体的な根拠は何も説明されていない。地域社会を破壊する民営化を強行することは理解できない」と指摘。
また、ジャーナリストの安田氏は「民営化は銀行・保険業界、アメリカが求めているものではないか」「公共の考えがあるからこそ、毛細血管のように張り巡らされた郵便局ネットワークが維持されてきた。これは民間に求めるべきものではない」と主張しました。
佐々木議員は安田氏に、国鉄の分割民営化で、安全性が後退した問題にもふれ、郵政民営化でどのような問題が生じるか質問。
これにたいして安田氏は「利益を優先する以上は、もうけにならないものは切り捨てざるを得なくなる」とのべ、郵便局の統廃合などで弱者に影響委が及ぶことに懸念を表明しました。
佐々木議員は、地銀協会の福田氏にも、「郵政民営化で、公社は「分社化」されるがグループとしての一体的な運営ができる。そのような巨大な会社が、地銀の分野である地域への融資をおこなうようになれば、脅威になるのではないか」と質問。
これにたいして、福田氏は「公正な競争を確保してもらいたい。地銀など地域密着型の金融機関と共存してほしい」と答えました。
また、佐々木議員は、視覚障害者対応のATMは「郵政公社では100%設置されているが、民間銀行では13%しかすすんでいない。地銀ではさらに遅れている。どのように認識しているか」と質問。
福田氏は、コストがかかるのですすんでいないが、できるだけ普及するようにしたいと答えました。
参考人質疑の後、13時から小泉総理が出席して、野党の締めくくり総括質疑がおこなわれ、討論の後、法案が採択され自民・公明の賛成多数で可決されました。
議事録
【参考人の意見開陳部分と佐々木憲昭議員の質問部分】
○二階委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株式会社法案、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案並びに山崎拓君外二名提出、郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便局株式会社法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する各修正案を一括して議題といたします。
本日は、各案及び各修正案審査のため、参考人として、社団法人全国地方銀行協会副会長・専務理事福田誠君、作新学院大学総合政策学部教授石井晴夫君、慶應義塾大学商学部教授跡田直澄君、ジャーナリスト安田浩一君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、各案及び各修正案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、福田参考人、石井参考人、跡田参考人、安田参考人の順で、それぞれ15分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
それでは、まず福田参考人にお願いいたします。
○福田参考人(社団法人全国地方銀行協会副会長・専務理事) ただいま御紹介賜りました全国地方銀行協会の副会長・専務理事を務めております福田でございます。
本日は、このような貴重な機会を設けていただきまして、まことにありがとうございます。せっかくの機会でございますので、今回の郵政民営化、中でも私ども地方銀行にとりまして影響の大きい郵便貯金事業の民営化に関しまして、意見を述べさせていただきたいと存じます。
郵便貯金事業は、明治8年に国営事業として創設され、かつて民間金融機関の発達が十分でなかった時期におきましては、国民に簡易で確実な少額貯蓄手段を提供するとともに、郵便貯金が集めた資金を、財政投融資制度を通じまして社会資本の整備等への資金供給に活用するといった、いわゆる財投システムにおける資金調達の担い手として、一定の役割を果たしてきたものと認識しております。
しかしながら、前者につきましては、民間金融機関のネットワークや各種サービスの拡充が図られ、民間金融機関で十分カバーできる状況となっておりますし、また、後者につきましても、財投改革によりまして郵便貯金の資金運用部への全額預託義務が廃止されたことから、いずれもその役割は終了し、もはや国営の郵便貯金事業を維持する意義は失われているというのが、私ども地方銀行のこれまでの主張でございます。
御高承のとおり、郵便貯金は、現在も官業ゆえの特典を残したまま、約210兆円にも上る巨大な規模を有しております。こうした巨額の資金を市場メカニズムのらち外に置くことは、我が国の金融・資本市場の公正な価格形成をゆがめるとともに、経済の活力を高める効率的な資金配分を阻害していると考えております。
そのような観点から、今回の政府の民営化案について申し上げますと、郵便局ネットワークという資源の有効活用や雇用面への配慮などを総合的にお考えになられた上で、郵便貯金銀行については、遅くとも平成29年までに政府の出資関係から切り離し、完全な民営化を実現するとされております。私どもといたしましては、こうした完全民営化によりまして公的金融部門の縮小が図られるという点で、今回の法律案を評価しているところでございます。
一方、今回の郵便貯金事業の民営化に当たりまして、私どもが懸念しておりますのは、民営化が進む過程において、民間金融機関との公正な競争条件の整備が進まないまま、経営の自由度だけが高まり、これによって一層の民業圧迫を招くことになりはしないかという点でございます。
民間との公正な競争条件を確保するためには、民間金融機関と同じように、納税義務を果たし、預金保険料を納めるのはもちろんのこと、これに加えまして、お客様の保護に欠かせない金融商品の販売ルールの遵守や、さらに、銀行業と他業とのリスク遮断など、民間と同じルールのもとで業務展開を行うことが不可欠と考えております。
私ども地方銀行は、地域社会の持続可能な発展を目指しまして、いまだ厳しさが残る経済情勢のもとで、地域の中小企業や個人のお客様とのリレーションシップを大切に守り育てながら、地域経済の立て直しや地域振興等に取り組んでおります。
こうした中、郵政民営化に伴い、仮に民業圧迫の深刻化が進んだ場合は、リレーションシップを維持しながら一生懸命に地域の中小企業経営や地域経済を支えております地方銀行の経営基盤に大きな影響があるのではないかと懸念している次第でございます。
このため、今後の検討に当たりましては、このような懸念が払拭されますよう、少なくとも、これから申し上げます次の三点を踏まえて、郵政民営化の本来の目的に即した御議論が行われますことを改めてお願いいたしたいと考えております。
まず第一の点でございますが、経営規模の縮小でございます。
郵便貯金事業改革の主目的は、郵便貯金が肥大化を続けてきたことによる市場原理のゆがみなどを、民間でできることは民間にという行政改革の根本原則に則して、国民経済的な観点から是正していくことと認識しております。
郵便貯金が現在の規模のまま民営化された場合には、世界にも類を見ない巨大な金融機関が誕生することとなり、地域金融の健全性維持に懸念が生じます上に、仮に郵便貯金銀行が経営困難に直面した場合、その規模の大きさから、金融システム全体に及ぼす影響は非常に大きいものであると考えております。
私どもは、民間金融市場への円滑な吸収、統合を図るためにも、リスクの軽減を図るという観点からも、郵便貯金の巨大な規模を縮小させることが不可欠であると考えており、民営化を進める中でぜひ有効な施策を織り込んでいただきたいと考えております。
第二は、民間金融機関との公正な競争条件の確保でございます。
移行期間におきましては、郵便貯金銀行の経営の自由度の拡大と競争条件のイコールフッティングの確保が並行して進められていくこととされておりますが、私どもが最も懸念しておりますことは、公平な競争条件の整備が進まないにもかかわらず、郵貯銀行の業務範囲が拡大されていくなど経営の自由度だけが高まっていくことであります。
とりわけ、郵便貯金銀行が政府出資の持ち株会社の配下にある移行期におきましては、政府の後ろ盾がある状態であり、純粋な民間の金融機関であるとは言えないものであると考えます。こうした状態は、お客様から見れば、実質的に政府による保証が付されているものと認識されてしまうものでありまして、競争条件は著しく公正を欠いていると言わざるを得ません。
こうした暗黙の政府保証を後ろ盾にして郵便貯金銀行が規模、機能のさらなる肥大化を進め、それによって民業圧迫が深刻化するのではないかという点に危惧を抱いているわけでございます。
申すまでもなく、金融機関の最大の経営資源は信用力でございます。この点で公正な競争条件が確保されなければ、幾らほかの条件整備が進んだとしましても、民間金融機関は郵便貯金銀行に比べて明らかに不利な状況に置かれるということになります。
このため、政府の関与が残る間は、中小企業や個人に対する貸出業務への参入などの業務拡大は認められるべきではないと考えております。
今回の民営化法案では、このような面につきまして郵政民営化委員会がチェック機能を担うものと理解しておりますが、このような機能は極めて重要であり、準備期の段階から民営化に向けたプロセスが始まる以上、その段階からこのような監視組織を設置する必要があるのではないかと考えます。
また、今後の運営に当たりましては、中立的な第三者の意見に加え、私ども地域金融機関の意見もぜひ十分反映されますよう御配慮いただきたいと考えております。
最後の点は、地域との共存ということでございます。
お客様の立場からしますと、金融機関同士が互いに競争し、良質で多様な金融商品・サービスを受けられるということは本来望ましいことであり、私ども地方銀行も、お客様の支持を得られるよう今後とも切磋琢磨する所存でございます。
他方で、今後、郵政民営化を進めるに当たり、我が国の金融システムの安定を損なったり、お客様に混乱を生じさせることのないよう、地域金融機関との共存を図り、郵便貯金事業を民間市場に円滑に統合させる視点も重要かと考えます。
特に、先ほど申し上げましたが、政府の関与が残る間における貸出業務への参入などの業務拡大は、地域金融機関のリレーションシップバンキングの前提となる健全で安定した経営基盤を揺るがし、地域金融の円滑化に重大な影響を及ぼしかねないものであります。
民営化を進めるに当たっては、地域経済に大きな混乱を生じさせないよう、地域との共存の観点にはぜひ十分御配慮いただきたいと考えております。
以上のとおり、経営規模の縮小、公正な競争条件の確保、地域との共存の三点を中心に地銀界の考えを申し述べさせていただきましたが、いずれにいたしましても、郵貯改革は、単なる郵政公社の経営問題を超えた、将来に向けた我が国の金融システムの制度設計にかかわる極めて重要度の高いテーマであると考えております。したがいまして、資金の流れを含め、官から民へという基本軸を徹底し、真に改革の名に値する郵貯改革にしていただくよう期待いたしております。
簡単ではございますが、私からは以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○二階委員長 ありがとうございました。
次に、石井参考人にお願いいたします。
○石井参考人(作新学院大学総合政策学部教授) おはようございます。ただいま御紹介にあずかりました作新学院大学教授の石井と申します。よろしくお願いします。
お手元に簡単な連載記事の資料をお配りしましたけれども、これはあくまでも参考ということで、きょうは時間がございませんので、要旨をかいつまんで、そしてまたポイントを絞りながらお話をさせていただきたいと思います。
私は、3年前の日本郵政公社法案の審議の際に、衆議院総務委員会で参考人として意見陳述をさせていただきました。あれからわずか3年で、今度は民営化反対の立場でこのところに立っております。法案成立からわずか3年で、日本郵政公社法が現在廃止されようとしております。まことに私も残念でなりません。
日本郵政公社法案に対しましては、あれだけの国民的議論と、国会、政府、そしてまた総務省や郵政事業庁、また関係省庁等を巻き込んでさまざまな検討が行われて、その法律に基づいて2年前に日本郵政公社が設立されたばかりでございます。日本郵政公社は、国会の皆様方初め、関係者はもとより、国民各位の大変な努力によって創設されたわけであります。そのために、国会でも、そしてまた政府でも、さまざまなところで莫大なコスト、つまり税金と多大な時間を費やして、どうにか今日の軌道に乗ったシステムができ上がったわけであります。それも忘れないうちに、ましてや、今うまく事業経営が行われている組織体を分割・民営化して、将来的には解体も想定される郵政民営化の推進は、私にはどうしても理解できません。
2005年6月3日の衆議院郵政民営化特別委員会、本委員会でございますけれども、ここに小泉総理も出席して、郵政民営化法案の審議が行われたわけであります。この法案に対しまして、与野党を問わずさまざまな皆様方から疑問、質問、問題点が提起されました。その後も今日まで、本委員会でさまざまな審議が進められ、さらに多くの問題点が明らかになったわけであります。
このような問題点の多い法案をなぜそんなに急いで、あるいは、言われておりますけれども、本日本委員会で通し、あすの本会議に上程されるということなのか、多くの国民は全く理解できないでいます。逆を言えば、国民には本音を知らせたくないのではないかというふうに思われてしまうぐらい、今回の政府の答弁には具体性が欠けております。
今回の郵政民営化法案の審議の中で一番私たちが理解できないのは、郵政民営化が実施され、それが仮に失敗に終わった場合、だれがどのように責任をとるのかが全く示されていない点であります。国会の中でも、地方議会や首長も、そして何よりも多くの国民が郵政民営化に慎重であるのに、強引に今国会で成立を図ろうとするこの小泉内閣は、2017年までに郵政民営化が失敗した場合、その失敗の責任のとり方をまず国民に明らかにしてほしいと思います。
将来じり貧になるからといって、今うまくいっている郵政三事業をあえて民営化し、いろいろなビジネスもできますよ、メリットも大きいですよと言われても、私たち国民にはぴんときません。むしろ、世の中の動きとは逆の方向にあり、民間金融機関は再編統合化の真っただ中にあります。規模の利益とコスト削減を必死で図ろうとしているのが現状であります。民間金融機関でもやらない事業分割や分社化、特に理解できないのは、窓口会社、郵便局会社と三事業を分けることであります。そして、委託契約によって事業を成り立たせるということであります。あとは経営者と職員の創意工夫と経営努力に任せるんだというのが、私たちは理解できません。
小泉総理や竹中大臣あるいは政府の答弁を聞いて、郵政民営化後の姿や内容が具体的にわかったという国民は極めて少ないと思います。かねてから敬愛しております財界や金融界の先輩の方々からも、市場競争は必要であります、しかし、郵便局は地域社会の中で今まで長い間社会貢献や地域貢献を果たし、現在の法案の中でも基金を積むから大丈夫だというふうに言われても、それは心配でならないというふうに言われております。
ましてや、今回の郵政民営化について、今までの国会やマスコミ等の説明や解説を聞いて、国民がどのくらい理解できたのか。政府はもっと時間をかけて国民に慎重な説明をする必要と責任があると指摘されております。つまり、政府が郵政民営化について説明すればするほど、今の郵政公社の民営化は必要がないのではないかというふうに国民にわかってしまうのではないかと思えてならないのであります。
仮に、民営化がそんなにすぐれていて、郵政民営化の成功が確信できるのであれば、小泉総理や竹中大臣が完全民営化の成功まで経営者として責任を持って見届けるのが筋であるのではないかと思います。もしそれができなければ、もっと慎重に対応してもらいたいと思います。
本郵政民営化特別委員会で、小泉総理は、郵政民営化が実施された場合の姿を聞かれた際、答弁の中で、郵便局でこんなものも売れるんだ、利用者は便利になりますよと言っています。しかし、現にコンビニや一般商店でも扱っているものを郵便局で改めて販売すれば、それこそ民業圧迫の何物でもありませんし、民間会社になるから民業圧迫にならないよといっても、今から郵便局でそのようなものを売っても利益を出せるはずがありません。ましてや、不動産仲介業、旅行代理店業、リフォームビジネスなどのマーケットは一番淘汰の激しい分野であり、もし政府で自信がおありでしたら、御説明に当たった政府の方々が経営者になって、責任を持ってやっていただけるとありがたいと思います。
ましてや、コンビニでも利益が上がらない店舗はすぐに閉鎖、撤退してしまう状況の中で、同時に激戦の小売業や他業種に参入して十分利益が出せると言われるのでしたら、その根拠を明確に私たちに示してもらいたいです。
政府は、郵政民営化のメリットやその効果を、総論ではなく、もっと国民にわかりやすく、具体的数値をもって示してもらいたいのです。同時に、現行の郵政公社の制度のもとでのメリットや経済効果あるいはさまざまな波及効果をあわせて算出し、両者を詳細に比較検討して、国民にその本質をあらわす責任があると思います。
50円、80円の信書も市場競争によって安くなる可能性がありますよと総理は言います。しかし、政府の予想に反して、経営環境がますます厳しくなり、料金が安くならず、むしろ値上げされた場合には、政府はどのように責任をおとりになるのでしょうか。
今ほど日本の将来の姿が求められているときはありません。資源の少ない日本は、まさに技術と知恵と資本力を出して社会基盤をこれからしっかり築いて、さらに国益を守ることが21世紀に本当に必要なことであると思います。
郵政民営化はこうした国益と地域社会を根本から崩壊させるものであり、郵政民営化によって郵便局ネットワークが寸断されれば国民生活は破綻の道を歩むことになります。その危険性が極めて高い中で、大きなリスクを抱えてなぜあえて郵政民営化を断行するのか、私たち国民には理解できません。小泉総理の構造改革は国民を幸せにする改革であるということを、今でも私たちは信じております。しかし、残念ながら、この郵政民営化に関しては、国民を不幸にする改革であると言わざるを得ません。
もう一つ大切な点は、安全と安心とは異なるということです。JR西日本福知山線の大事故もそうですが、事故現場にATS―Pという新しいシステムを導入したからといって、安全は確保されても、人々の不安感はそう簡単にはぬぐえません。郵便局を民営化しても、設置基準など幾つもの安全措置を講じるので、地方の郵便局はなくならず、心配は要らないと言われても、民営化されてしまえば、いつ自分の郵便局が不採算等の理由で撤退されるのかわかりません。国民は、地域の生活そのものを奪われる不安に常にさいなまれることになります。若い人々や転居が可能な方々は、大臣が言う、都心へ出てくることも可能であるかもわかりません。しかし、そのことによって地域社会はますます疲弊し、美しく安全で安心な日本が地方から崩れることになります。
国営公社の郵便局は、普通局、特定局、簡易局を問わず、文字どおり地域社会に安心感を与えています。警察や消防と同じように、安心を担保するには、御存じのように、コスト、お金がかかるのです。このことを国会や政府の皆様方には改めて御認識いただきたいと思います。
郵便貯金は、全国4926万世帯のうち、4222万世帯に利用されています。国民の85.7%の人が郵貯を利用しています。郵貯利用の目的は、病気や不慮の備え、不治の病、老後の蓄え、子供の資金、国営であるから安心、さまざまです。郵貯法には、国民の福祉の増進を図り、あまねく公平に利用できると明記されています。つまり、小口、個人の利用がほとんどであります。郵便局は、国民のためを第一の目的として、さまざまなサービス提供と、地域、社会、国際貢献を実施しているのであり、民間金融機関とは根本的に目的が異なります。したがって、郵便局と民間金融機関とは、それぞれの役割に応じてバランスよく今日では私たちの生活に溶け込んでいるのです。
一方、民間金融機関は、どうしても利益優先になりがちになり、取れるところから取る方式を基本にしております。その一例としては、土曜、日曜、平日夜間のATMの利用には105円等の手数料を取っております。最近、幾つかの銀行では、個人客に対する手数料を値上げしているところもあります。郵便局も、民営化されれば当然そのようになります。
竹中大臣は、郵政民営化によって郵貯は一般の銀行になるので、郵貯法を廃止し、従来の理念とは異なるスタンスでビジネスモデルを構築すると言っておられます。周知のとおり、一般の銀行になるということは利益追求の民間企業になることであり、ビジネスの基本は採算性で、株主のみに、あるいはステークホルダーのみに責任をとる経営形態に変わるということです。
したがって、採算の合わない郵便局は廃止されることは目に見えております。都市部のみならず、地方部においても郵便局数が減ることは明らかです。設置基準では1市町村に1カ所以上と言われておりますけれども、市町村数は今までの約3100カ所から1800カ所程度までに減る状況にあり、過疎地に定義された約7000局の論議ばかりが先行しておりますけれども、実際は過疎地以外の地方都市の郵便局が危機に瀕しております。
このように国民生活に直接影響を与える最重要課題については、幾つもの先進国で直接国民の真意を問う国民投票が行われております。もちろん、国会は国民の代表の場であることはよく私たちも理解しておりますけれども、私たちの生活に直結している郵政民営化の是非については、国民投票も視野に入れて考えていただきたいと思います。初めての試みとして、私は、ぜひこの国民投票ということも考えていただければというふうに思います。
さまざまな問題点が明らかになっております。時間がございませんので多く語れませんけれども、あとは質疑応答のときに答えさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○二階委員長 ありがとうございました。
次に、跡田参考人にお願いいたします。
○跡田参考人(慶應義塾大学商学部教授) 慶応大学の跡田でございます。
本日は、一経済学者、財政学者として、なぜ郵政民営化が必要かを多少理論的に、理屈っぽく解説させていただき、それを踏まえまして、民営化法案に対する私の評価を述べさせていただきたいと思います。
では、まず、郵政民営化が必要となります三つの理由につきましてお話しさせていただきたいと思います。
まず第一の理由でございますが、これは、政府が何をすべきかという経済学の最も基本的な考え方から導き出されるものでございます。
つまり、経済学の基本定理というものがございまして、そこが教えるところでは、政府がすべきことというのは、一つは資源配分の効率化を図るということと、それから所得分配の公正化ということ、非常に基本的なお話でございますが、この二つになるというふうに考えられております。
この基本的な考え方の中にありますものというのは、営利企業が自由な市場で正しい競争を行えば、国民の生活は向上し、福利も向上する、政府がなくてもそういうことが成り立つというのが、まず、この基本的な考え方のところにございます。
ここで言う正しい競争という言葉でございますが、これは、協調しながら競争して、土光会長がかつておっしゃられたように、社会の公器として国民のために切磋琢磨するということが競争ということの本質でございます。ですから、経済学が教える競争というのは、弱肉強食というような短絡的な考え方とは全く違っております。ですから、こういうふうに考えていただくのは経済学を専攻しておる我々としては非常に困ることでございまして、もちろん間違っても株式会社を否定するというようなことがあっても困る。我々は資本主義国家の中で生きておりまして、そういう自由な資本主義国家の中で生きていくためには株式会社を否定しないでいただきたいと、あえて申し上げておきたいと思います。
第二の所得分配の公正化という点につきましては、これは個人間の問題でございますので、本日のテーマとは直接関係ありませんので、本題であります第一の資源配分の効率化と政府の関係にお話を限定させていただきたいと思います。
では、第一の資源配分の効率化から、政府のすべきことというのは何か、つまり、政府の役割というものをまとめさせていただきたいと思います。この側面から考えますと、市場が成立していない、市場がないという場合と、市場が既に存在しているときとで、政府の役割が違ってまいります。
もちろん、市場が存在しているときでも、市場をモニターするということは政府の役割と考えられます。また、市場がうまく機能していない、存在していてもうまく機能していないようなときには、介入したりルールをつくったりすることも政府の役割として正当化されます。しかし、市場が存在しているとき、市場が存在するというのは民間企業が存在しているということでございますが、そういう場合に、政府がプレーヤーとしてその市場に直接参入するということは経済学の論理としては正当化されないということでございます。
他方、市場が成立していないとき、民間企業がいないときには、政府がプレーヤーとして参入し、みずから財やサービスを提供するということも許容されます。明治期に郵便事業とか郵便貯金事業を始めたということはまさにこれに当たるということでございまして、明治政府は正しく認識をされていたというふうに考えていいのではないかと思います。
しかし、公益性の高いサービスでない限り、いつまでも政府が独占的に供給していくということがいいわけではございません。むしろできる限り民間事業者を育てて市場をつくり出し、政府は撤退していくということが政府の役割であります。
健全な資本主義国家における政府のすべきことというのは、以上のように論理的にはまとめられます。これらの点から考えますと、郵政公社の持っている四つの機能、これを民間事業者がどういうふうに供給しているかというふうに調べてみますと、サービス供給が全く行われていないというものはございません。
特に、貯金事業と保険事業は民間により、十分と言うと言い過ぎかもしれませんが、かなり供給されております。それから、郵便事業につきましても、小包については民間がかなり育ってきております。それから、ネットワーク事業につきましても民間で供給され始めております。したがって、どの機能につきましてもかなり市場が発達してきている、民間企業が出てきているというふうに解釈できるわけでして、もはや政府が直接参入する必要性というのはほとんどなくなってきているというふうに私自身としては考えております。
この辺が第一の、政府の、論理的に考えたときに持っている役割から民営化ということが考え出されるということでございます。
民営化の第二の理由といたしましては、やはり公社経営の限界という点にあると思われます。
郵便貯金、簡易保険は、その資金運用面での制約もありますので、このまま続ければ、0.2%の上乗せ金利という優遇措置を既に廃止しておりますので、こういう点も加わりまして、収支状況が悪化しまして、近い将来、かなり行き詰まりが予想されると計算上も出てまいります。また、郵便事業につきましても、Eメールの普及や宅配事業の発達によりかなり苦戦を強いられることになると予想されております。
この三つの事業、個々の事業のリスクというものが他の事業に波及するおそれがかなりございます。金融が赤字を出し郵便事業の方の足を引っ張るということも考えられますし、郵便事業が赤字を出して金融業の足を引っ張るというような、金融業にとっては非常に問題のあることが起こる可能性があります。ですから、そうしたリスクを遮断するためにも、これまでの政府保証つきの郵便貯金や簡易保険というものは分離し、新たに四機能に応じたそれぞれの新会社を株式会社として設立するという現在の法案というのは、合理性がかなりあるというふうに考えております。
もちろん、民営化して、各会社の経営にできる限り自由度を与え、できる限り他企業とのイコールフッティングを実現して、最初に申し上げたような正しい競争を市場で展開させようということをこの法案の中では考えているというふうに私自身は考えておりますし、競争ということをやはり我々自身がもう少し日本の中で正しく認識する必要があるんじゃないかと思っております。
最後に、ただし、窓口ネットワーク会社につきましては、巨大なネットワークというものを保有しております。これは、今はやりの言葉で申し上げるならソーシャルキャピタル、社会資本として、むしろいろいろなところから活用していく方がいいのではないかということも考えるべきであると思いまして、思い切って民間に開放するということも今後の事業展開の中では検討していくべきではないかと思っております。
基本的な公社経営というものを、うまく公社の形ではできないということで、民営化ということが必要ではないかというのが第二の理由でございます。
そして、第三の理由といたしましては、私どもがここ十数年の間、いろいろな形で研究してきた中で一番問題として指摘したいのが、資金の流れというものを官から民に変えるためという点で必要だと。
状況としましては、1990年代に、家計から170兆円ほど郵貯、簡保に資金が流れ込みました。民間の金融機関にも160兆ほど流れておりますけれども、民間以上にこの間資金が流れ込むということが起こっております。そして、この資金が政府の財政赤字を補てんしたり、財投システムを通じて政策金融や特殊法人に投入されてまいりました。
結果論ではありますが、民から官への資金の流れを郵貯、簡保が助長したというふうに言えます。もちろん政府全体の構造改革を進めることが必要なわけでございますが、民から官への資金の流れの最大の窓口であった従来型の郵貯、簡保というものをここで閉じるということは、避けて通ることのできない道ではないかと考えております。
民営化後の新会社は当然、今までに比べて小さくなりますし、しかも、経営の自由度をかなり高めたものにしておくことがこれからの経営の上では重要ではないかと考えております。民営化の理由としての資金の流れを官から民に変えるという点で、郵政民営化ということも一つの役割が担えるのではないかと考えているということでございます。
では、最後に、民営化法案について若干のコメントをさせていただきたいと思います。
今回の民営化法案の最大のポイントは、民営化によって経営の自由度を発揮させるということと、従来から公社が担ってきた公共性というものを担保すること、この二つの点をいかにバランスさせるかという点にあるというふうに私自身は考えております。
そういうバランスをとるという点におきまして、今回の法案の中では、旧勘定の分離とか、新郵貯会社それから新簡易保険会社という形の、完全に民営化を一たんするという株式の売却、こういうこともやはり想定している。民営化という本質的なところをまずこの辺できちんとやろうという点。
それから、郵便事業会社、窓口ネットワーク会社を、民営化とは言っておりますけれども、まず株式に関しては持ち株会社が全部持っておくということで、一たん、完全な民営化にはまだ進まずに、ある意味では、特殊法人という形で政府の中に置きながら公共性の担保ということを少し考慮しているということ。
さらに、その安全性といいますか、窓口ネットワーク会社の問題として、基金の設立による過疎地域での郵便局の維持というような点などにも配慮をされておりまして、政府案は、私から見ますと、かなりよく考えられた案だと高く評価しております。修正という形で若干の部分は入ると思いますけれども、基本路線としては、民営化ということでこういう評価をしているということでございます。
あえて再度申し上げたい点は、健全な資本主義国家でも市場をいかにうまく機能させるかが政府の重要な仕事でありますから、市場が存在するならば、モニターすることは重要でございますが、政府がいろいろなことに口を挟んだり、いろいろなことを決め過ぎてはいけない。自由な資本主義国家であるということを基本にお考えいただきたいということでございます。
持ち株会社の株主として、政府が結果責任として経営者にそれを問うということは将来的にも当然あり得ると思います。しかし、枠組みとして、経営者がむしろ自由に判断できるようなものをつくっておくことがまずは重要であります。つまり、政府は個々の問題についての経営判断に立ち入るべきではない。これは普通の資本主義国家ならごく当たり前のことでございますけれども、そういう点はきっちりとお考えいただきたい。
一番最後に申し上げたい点としては、これだけ巨大な公的企業の民営化というのは世界史上にも例のない初の試みであります。そういう点で、ぜひこの法案をもって成功させていただき、世界に範を示していただきたいと申し上げて、少し早いようですけれども、私の陳述を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。(拍手)
○二階委員長 ありがとうございました。
次に、安田参考人にお願いいたします。
○安田参考人(ジャーナリスト) おはようございます。ジャーナリストの安田浩一と申します。よろしくお願いいたします。
これまで理論と理屈による緻密なお話がございましたので、私はジャーナリストですから、情緒と感情を交えて、ねっとりお話ししたいと思います。
私は、郵政民営化に反対でございます。その立場から意見を申し上げたいと思います。
私は、当初から、官から民へというフレーズに対して非常にうさん臭いものを感じておりました。しかも、そうした言葉が官とこれまで歩調を合わせてきた政治家の方々の口から出るということに対して、これは警戒しなければいけないなということを感じるのはジャーナリストとして当然の反応であったと私自身は思っています。
民にできることは民にというフレーズも同様ですよね。質と採算を度外視すれば、民間にできないことなんて何もないわけです。警察だって消防だって民間にできる。しかし、それをしなかったのは、やはり公共性という概念があるからこそ、皆さん、その仕組み、枠組みを守ってこられたんじゃないでしょうか。
確かに、官から民へというフレーズは耳に心地よく響きます。どことなく、奪われたものを取り返すというニュアンスを感じなくもない。では、我々国民一人一人は郵政民営化という大仕掛けによって何を取り戻すことができるのか、何を取り返すことができるのか、何を得ることができるのか。もっと言えば、民営化は我々の生活、暮らしにどんな豊かさを与えてくれるのか。ほとんど何もないじゃないですか。
何も私は、私自身に何もメリットがないから民営化に反対だと言いたいわけではありません。ですが、民営化のもたらすメリットって何ですか。これは極めて限定された場所に集中するわけですよね。当然でしょう。官から民へというフレーズの民というのは、あくまでも民間資本の民であって、国民の民でもなければ民間人の民でもない。そもそも民営化論議には当初から国民生活という観点があったんでしょうか。なかったですよね。
思い起こしてください。民営化論議の端緒は何だったでしょうか。財投の問題だったでしょう、最初は。皆さん一生懸命、財投の問題、財投改革、財投改革と民営化推進論者の方はおっしゃっていたわけです。財投改革というテーマの中から郵政民営化が出てきた。言うなれば、底なしのバケツのような出口からじゃぶじゃぶと金が流れ出ていく。だから、その金の使われ方に問題がある、入り口を締め上げろ、そのような入り口出口論というかロジックが展開されていたと思います。
これを少しばかり下品な表現に例えますと、私が出版社や新聞社からもらった原稿料を勝ち目のないばくちにつぎ込んで生活破綻してしまう。でも、その場合真っ先にするべきは私自身の更生であり、あるいはばくちの現場が違法カジノであればそこを取り締まったり手入れしたり、そういうことじゃないでしょうか。私のような不良ギャンブラーに原稿料を支払う新聞社や出版社がおかしいと、その事業にまで責任を求めるということは実際にできませんし、することでもない、すべきことでもない。
つまり、財投を問題視するのであれば、その使われ方を真摯に議論して、例えば特殊法人はどのようにあるべきなのか、その目的と役割を明確化して改革すればいいだけの話です。金が集まるからいけないのだというのは余りにも乱暴な議論だと私は思っています。
しかし、財投の義務預託制度というのは2001年に既に廃止されているわけですよね。郵貯で集めたお金が特殊法人に流れて焦げつくという構図自体はもう既に崩れているわけです。実際、自主運用されている資金の一部は財投債の購入などに充てられておりますから、しかし、郵政が財投債の購入をやめてしまえば、財務省はほかの名目を立てて国債を発行するだけの話ですから、今の状況においては、そんなことを言ってもしようがない。
だから、国内の個人金融資産、これは全部で1400兆円あるんですか。その25%に当たる郵貯・簡保資金の350兆円、これを投資信託や株式などリスク経済市場へ放出させることで経済を活性化させようという新たなロジックが出てくるわけですよね。事実、政府は、「郵政民営化は、日本活性化です。」なんという大見出しの広告をことし1月、新聞各紙に掲載したじゃないですか。
先ほど申し上げましたように、既に郵貯・簡保資金は自主的に運用できるようになっています。それでもやはり民営化を声高に言い続けるのは一体だれのためなのか。さんざん言われていることでありますけれども、あえて言いましょう。国内の銀行、保険業界、それから皆さんが最も大好きなアメリカじゃないですか。
昨年11月、日米財界人会議は、郵貯、簡保は本来的に廃止されるべきであるとする共同声明を出していますよね。そして、民営化後の新会社に対して、政府保証の廃止、民間と同様の税負担ということを求めております。これは、アメリカの通商代表部、USTRも、日本政府に対して、郵政会社の優遇は日米双方の企業にとって長年の懸念となっているということを訴えている。
この優遇という点についても、これは政府の皆さんおっしゃっていますよね、民間ならば当然負担すべきものを郵政は負担していないと。当然じゃないですか、これ。民間企業ができないサービスを、つまり民間企業がやらない公共サービスを郵政会社は提供しているわけです。つまり、これを見えない国民負担という言い方に言いかえることもできるわけですけれども、だからこそ郵便法の第一条では、「公共の福祉を増進すること」という文言が郵便局の仕事の目的としてしっかりと明記されているわけです。
例えば、社会政策制度としての第三種、第四種の郵便、これは障害者に対する割引サービスなどですけれども、毎年赤字が出ていますよ。200億の赤字ですか。しかし、これは郵便法で言うところの公共の福祉のためにあえてその制度を存続させてきているのであって、それこそが公共サービスの真髄ではないんですか。
郵便局は全国に2万4000局あると言われています。この数は全国の公立の小学校とほぼ同じ数だと言われていますよね。全国隅々に毛細血管のようなネットワークをつくり出し、最も身近な窓口として機能している郵便局。当然赤字も出るでしょう。特定局の赤字だけでも年間500億円ぐらいに達するんじゃないんですか。それでもこのネットワークを維持してきたのは、やはり公共の福祉という概念があったからこそ、ここまで皆さん一生懸命守ってこられたんじゃないでしょうか。
これまで郵便局に求められてきたのは、社会的に必要なサービスをあまねく公平に提供するという理念ではなかったんでしょうか。これは民間企業ではできません。また民間に求めるべきものでもないですよね。都市部も地方も僻地も差別しない、大金持ちも小口の貯金者も差別しない、金利に差をつけない、簡保でいえば職業によって差別をしない。つまり、郵便局というのは国民にとってぎりぎりのセーフティーネットであり、一種の社会保障制度なんじゃないですか。そうした理念によって維持されてきたのではなかったでしょうか。その使命はもう終わっちゃったんですかね。
民営化によって、あまねく公平に提供されてきた郵貯そして簡保は廃止されます。そして新たな民間銀行と民間保険会社がつくられるわけですけれども、この新会社は、全国あまねく公平に業務を行わなければならないといった義務が明確に担保されているんですか。
ユニバーサルサービスを維持するためとして、基金の創設を政府は法案に盛り込んでいます。これは株式の売却益、配当収入などいわゆる運用益で賄うと言っている。この運用益で足りますか。そもそも運用に絶対失敗しないという担保、またこれはどこにあるんですか。
それから、民営化によってサービスがよくなるといいますけれども、これも本当なのかどうか、私わかりません。当然、これまで公共サービスとして提供してきたものの一部が、これももうかる分野だけなんでしょうけれども、厳しい競争社会の中にほうり出されます。
しかし、もうかる分野で競争すれば、当然ながら、もうからない分野を値上げするか切り捨てるかしなければならなくなるのではないでしょうか。これでユニバーサルサービスが維持できるのかどうか。これはできないでしょう。例えば、国鉄がJRにかわり赤字ローカル線が廃止になったように、電電公社がNTTにかわり無料だった番号案内が有料化されたように、一部の便利さと引きかえに、必ず失うものが出てくるに違いないと私は思っております。
私は先日、JR西日本の尼崎脱線事故、こちらを取材しました。いろいろ言いたいことはありますけれども、そこで目にしたのは、民営化以降、極端とも言える競争原理の導入によってゆがめられた安全軽視の企業体質です。誤解しないでくださいね。私、民間企業がいけないなんと言うつもりはさらさらありませんけれども、ただし、あの過密ダイヤ、無謀なスピードアップ、そして安全装置に対する投資の不足、これらはすべて利益のために導入された政策です。
公共性の求められる事業がそれを放棄して利益一辺倒に傾いた場合、何が犠牲になるか。鉄道会社の場合には人命だったんですけれども、では、郵便局の場合どうなるか。我々の生活、暮らし、そうしたものに何も犠牲がないということを果たして政府は断言できるのか。
実際、郵政公社は既に民営化を先取りするような政策を導入しています。いわゆるトヨタ方式という生産性向上システム、作業管理システムですか、公社ではこれをJPSと呼んでいます。これは評価はいろいろありますが、私は、このシステムの最大の目的は効率化ということにあると思っておりますし、事実、それがうまく機能していないと判断しております。
埼玉県の越谷郵便局、こちらからこのJPSは始まりました。今や全国1000局にJPSは拡大されています。公社当局はこれを民営化の防波堤としているのか前哨戦としているのか僕はよくわかりませんが、いずれにせよ、質の高い多様なサービスが可能となり、数百億円のコスト削減に成功したと一応公社自身は評価しているわけです。
しかし、現場を取材すると、全く違った声が聞こえてくる。郵便物の不着、おくれ、事故、これがふえたと訴える声が非常に強い。利用者からの苦情がふえている、そう訴える声もある。何よりも労働環境の悪化を訴える声が強い。サービス残業の増加、これは皆さん既に御存じかと思います。昨年10月から12月、わずか3カ月間の間に32億円もの不払い残業代が判明している。これは年間で計算したら幾らになるんでしょう。しかも、このJPSの総本山を自称する越谷郵便局では、在職死した職員の遺族がつい最近、公務災害の訴えを起こしているわけです。
こうした犠牲あるいはサービス低下という事態を招きながら、プレ民営化ともいうのか、このトヨタ方式導入が果たして成功したと言えるのか。人件費が減った減ったと喜んでいるのは公社当局だけでしょう。それはそうです。もう既に民営化は進行しているんです。1年間に1万人もの人がもう既に減らされているわけですね、要員が。
しかし、当初、たった一つ、たびたび例に挙げるこの越谷局では、コスト削減が達成されたと喧伝されながら、去年12月からゆうメイトさんを、これはアルバイト職員のことですが、内勤で13名急遽採用している。そしてことしの2月には外勤のゆうメイトを22名、これまた急に採用している。さらに正社員、普通これは4月に入りますが、人が足りなくなって、慌ててことしの2月、本来4月に入るべき正職員を五名前倒しで採用している。人減らしをしながら、結局、維持、運営、管理ができなくて、慌てて人をふやしているわけです。今のままですと、満足なサービスが提供できないわけです。
この時点で、もう既に、プレ民営化というかプチ民営化というか、民営化の実験は早くも職員からも利用者からも見放されているというのではないでしょうか。
繰り返しますと、既に民営化の手法は取り入れられているわけです。人は減らされているし、小包分野でも、競合他社と激しく争っているだけでなくて、公社内部にも競争の原理が取り入れられ、成果主義が導入され、もちろん職員間の営業競争も常態化しているわけです。
私たち国民の多くは、この競争に明け暮れる、こんな郵便局を果たして望んでいるのでしょうか。あるいは、こんなできの悪い民営化ではなくて、では、もっと姿形のはっきりしたもの、例えば郵便局がコンビニエンスストアになるとか、そんなことを果たして望んでいるのか。コンビニ、チケット販売、リフォーム業、これらいわゆる皆さんが言うところの多彩な事業へ進出できるなんということがさもメリットであるかのように論じられていますけれども、既にほかの民間企業が進出している分野に参入する必要が果たしてあるのかどうか。そんな必要性を感じていない人が多いからこそ、全国の地方議会で9割以上の議会が民営化反対あるいは慎重にという決議を定めているわけですよね。
私、つくづく思うんですが、民営化を一生懸命に推進される立場にある方は果たしてどういう社会を目指しているのでしょうか。市場という枠組みの中に郵便局を追いやり、公共サービスを手放し、国民には自己責任と自己努力を求める、そういった市場原理に基づいた社会、例えば、これはアメリカの例を見てもそうですけれども、口座を持てない人が300万人いるような社会、果たしてこれを求めているのか。そのような社会で構わないというのであれば、そういう説明をしっかりしていただきたいと思います。
しかも、私は、特に保守を自認されている先生方に訴えたいのですけれども、先生方はいつも、国民を守る、国を守る、日本の伝統と文化を守るとおっしゃっているわけですよ。日本という国土の隅々まで届くネットワークを構築し、公平性、公共性を持って機能してきたこの郵便行政というのは、日本の誇るべき文化だと思いませんか、誇るべき伝統ではないんですか。国民を守るというのであれば、多くの国民が社会保障として認識している、あるいはそのために機能している郵便局をぜひとも僕は守っていただきたいと思う、体を張っても守るべきだと思う。それが保守の真髄でしょう。保守の矜持というものだと思いますよ。
民営化というのは、さまざまな歯どめが用意されているとはいえ、民営化されてしまえば、当然ながら、何よりも利益優先の体質へと変わらざるを得ません。国民に安全と安心を与える、そう力説された先生方は、ぜひともその公約を守っていただきたいと思います。少なくとも、民営化が絶対に国民を不幸にしないという担保がどこにあるのか、そのぐらい明確に示していただきたいと思います。
もう一度言います。国民生活の安定を脅かす郵政民営化には反対します。民間でやるべきことは民間で、これは当然でしょう。官でやらなければならないことは、責任を持って官が最後までその責務を全うしてほしい、私はそう思っております。
以上です。ありがとうございました。(拍手)
○二階委員長 ありがとうございました。
以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
○二階委員長 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
参考人の皆さん、本当に御苦労さまでございます。
まず、地銀協の福田参考人にお伺いをいたします。
先ほどの御意見の陳述の中で、三点、要求を出されました。一つは経営規模の縮小、二つは公正な競争条件、三つは地域との共存ということだったと思います。この法案が実際に地銀協のこの三つの要求に沿ったものなのかどうか、これは私は、根本的に違うものではないかという認識を持っております。
まず、経営規模の縮小ということですけれども、確かに分社化はされますが、一体的経営は可能となります。これは移行期間だけではなくて、民営化後も実質子会社として株式保有ができる。しかも、政府が持ち株会社の株を3分の1保有、これがあるわけであります。
したがって、これはイコールフッティングにはならず、非常に巨大な郵政コングロマリットができ上がるということでありまして、地銀にとっては大変脅威になるのではないだろうかというふうに思いますので、先ほどの御要望は実現不可能と思いますが、いかがでしょうか。
○福田参考人(社団法人全国地方銀行協会副会長・専務理事) 御指摘のように、移行期間10年という非常に長い期間がございますし、その間にいろいろな環境も変わってまいりますので、最終的に私どもが望む姿に本当になるのかどうかについての懸念がなくはないわけでございますが、法案を拝見しますと、例えば、先ほどの規模の縮小でございますけれども、移行期間10年という時間軸がございますから、その間に、例えば定額郵便貯金の満期が次々到来するわけでございます。その辺を貯蓄から投資に振り向けるというような大きな流れ等と、それから窓口での郵便局の方の顧客との接点が非常に大きいというようなことからすれば、いろいろな金融商品の販売等に向けることも可能でございますから、規模の縮小については、移行期間中にかなりしていただけるのではないかというふうに思っているわけでございます。
それから、完全な民営化については、御指摘のとおり、政府の出資等が残っておりますと、暗黙の政府保証ということで、民間金融機関との信用力の格差が出かねないわけでございますので、そういう意味でいいますと、完全な民営化の暁には政府出資もゼロになるということを望んでいるわけでございます。
○佐々木(憲)委員 そういう期待はかなり裏切られると思いますね、政府出資は残りますので。
それで、金融という面に限ってお伺いしますけれども、縮小というふうにおっしゃいましたが、金融という面でいいますと、融資は今ゼロですから、これからプラスになって、どんどん広がるわけです。したがいまして、これは縮小どころか一路拡大というのが地域金融機関の目の前で起こるわけであります。しかも、郵便局は、さまざまな地域の細かな情報を把握しておりまして、どのところに融資をすれば最も有利な融資ができるか、これは大変重要な情報を持っているわけであります。
そういう点でいいますと、これはイコールフッティングには私はなかなかならない。つまり、巨大な国のバックがあって、そのもとで、全体としての株式保有、一体的経営という方向が濃厚な、そういうものが、しかも地域に密着した形で融資活動を展開していく。まさに、これはイコールではなくて、本当に強力な競争相手が生まれてくる。
このことに対してどのような認識をお持ちなのか、そしてまた、どのように対応されるというふうにお考えなのか、お聞かせいただきたい。
○福田参考人(社団法人全国地方銀行協会副会長・専務理事) 仮に、移行期と完全民営化と分けて考えますと、移行期につきましては、先ほど申し上げましたように、郵政民営化委員会という制度ができておりますので、ここで、民業の圧迫にならないような業務範囲について十分に慎重に取り扱っていただけるだろうと思っているわけでございます。
そして、完全民営化、すなわち、政府の出資等が全くなく、そして税負担とか預金保険料とか全部負担は民間と同様、かつ、金融のルールも全部適用になるという暁には、これについてまで私ども、つまり、純粋に民営化された後の競争を拒否するというものではございません。
○佐々木(憲)委員 郵便局、郵政公社というのは公共的性格が非常に強いわけでありまして、例えばATM一つとりましても、民間のATMと随分違うわけです。例えば、視覚障害者対応のATMというものが、郵便局の場合には、100%すべてのATMがそのような対応となっております。しかし、民間の銀行の場合は、平均してわずか13%。しかも、地銀はもっと比率が低いわけでございます。
そういう点でお聞きしたいんですけれども、地銀がATMについて視覚障害者対応が非常におくれている理由というものはどのように考えておられるのか、その理由をお聞かせいただきたい。
○福田参考人(社団法人全国地方銀行協会副会長・専務理事) 視覚障害者対応ATMの導入などのバリアフリー化への対応の御質問でございますが、この分野の重要性につきましては、地方銀行は各行とも十分認識しているものと存じます。そういうわけで、各行とも、ATMの更改、更新の機会などをとらえて、順次、視覚障害者対応ATMの導入を進めておりまして、今後、設置箇所は着実に拡大していくのではないかと認識しております。
例えば、個別の例でございますけれども、ある大手地銀は、ことしの5月でございましたが、現在12カ店にとどまっております視覚障害者対応ATMの設置箇所を拡大して、185カ店全店に配置するという計画を公表させていただいております。
各行によって若干差がございますが、そういうふうに順次進めているという事情をぜひ御理解賜りたいと思います。
○佐々木(憲)委員 これまで進んでこなかったのは、やはり民間銀行としての限界というものがありまして、コストをなるべく削減していく、障害者対応の投資というのはやはりそういう中でおくれてきたというところにあると私は思いますので、そこは抜本的に改善するということでぜひやっていただきたいと思うわけであります。
次に、石井参考人にお伺いいたします。
先ほどのお話でも我々の見解とほとんど同じでございますが、ユニバーサルサービスが非常にこれで崩れていくと我々は思っておりますが、なぜ今このような形で郵政の民営化を急がなければならないのか。その理由、つまり、だれのために、何のために民営化をするのか、利益を受けるのは一体だれなのか、この点のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○石井参考人(作新学院大学総合政策学部教授) 先ほどもそのような御質問がございましたけれども、やはりこれは、民営化法案の提出に当たって、政府また大臣、総理等からは、国民に利益をもたらす民営化だというふうに御説明がございます。ただ、これを聞いても私たちは、先ほど来陳述いたしましたように、全くわかりません。ですから、具体的なところをやはり説明していただかなければいけない。
特に、国民に利益をもたらすということですから、官邸のホームページを見て、詳しく書いてあるのではないかなというふうに私は見てみたんですね。ところが、通信新聞の記事にも書きましたように、全く通常の言葉しかない、また総論しかないんですね。ですから、私は不思議だなと。そしてまた、本委員会でもやはり、答弁をテレビ等で拝聴していて、そして、同じような繰り返しの答弁で、具体的なところが出てきていない。
そう考えますと、先ほど来申し上げましたように、その背後には何があるのかなというふうに国民は思うと思うんですね。そうすると、やはり今回の郵政民営化をして一番利益を受けるのは、特定の利害団体、利益団体じゃないかというふうに思わざるを得ないんですね。ですから、その辺を、それでしたらそれもまた明らかにしていただいて、そして全体をもっとこの国会の中で明らかにして、そして最終的に国民の判断を仰ぐということが私は一番大切だというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 特定の利害団体というふうに今おっしゃいまして、我々はこれはかなり日米の金融資本の意図が働いているのではないかと思いますけれども、先生はどのようにお考えでしょうか。
○石井参考人(作新学院大学総合政策学部教授) その辺も含めて、さまざまな観点から既に御指摘があると思います。ですから、そういった具体的な国際間の取り決めだとかあるいは話し合いとか、そういったことは私たち国民にはよく理解できないし、わからないんですね、情報もない。
ですから、そこも、どういう話し合いが、17回とか既にこの国会の中でも答弁がなされて、いろいろ話し合いがあったとかいうのを、私たちはマスコミ報道を通じてしかわからないんですね。ですから、そういう内容も具体的に教えていただいて、そして、国民の全体的な総意の中で議論をしていくということが大切だと思います。
○佐々木(憲)委員 ありがとうございました。
安田参考人にお伺いいたします。
これまで、NTTの場合もあるいはJRの場合も、民営化された後、さまざまな問題が起こっております。特に、先ほどもお話がありましたように、JRの場合の安全性あるいは公共性が後退しているのではないかという問題がございます。
この郵政の民営化によって、どのような事態が発生するかということですね。これは、私は国民にとってはマイナスが非常に大きいと思います。これまでの電電、国鉄の民営化などもいろいろ取材をされてこられたと思いますが、そういう問題も含めまして、一体どういう問題が発生するとお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
○安田参考人(ジャーナリスト) 何もかも民営化がいけないと言うつもりは、私もさすがにありません。
ただ、例えば、これまで国鉄からJRに移行するとき、これはもう皆さん、地元に帰れば十分御存じでしょう。ローカル線が全然なくなっちゃったじゃないですか。電車の本数がなくなっちゃったじゃないですか。駅のホームに今駅員さん、いらっしゃいますか。私、視覚障害者団体を何度も取材しましたけれども、今、転落事故が相次いでいるということを皆さん御存じでしょうか。駅のホームにだれもいないわけですよ、今駅員が。監視カメラで見ているだけ。人減らし、首切り、まだこれは解決していませんね。
それから、JR西日本の事故の関連で言うならば、利益を優先する以上、当然もうけなくちゃならないから、もうけにならない部分は切り捨てざるを得ないという企業方針を打ち立てなきゃならないわけです。安全装置、これに対する予算の配分。JR西日本、当然国会でもいろいろ議論されましたから、皆さん御存じのはずです。それから過密ラッシュ、それから無謀なスピードアップ。スピードアップせざるを得ない状況に運転手が走らされていたという状況は、これもやはり皆さん御存じでしょう。これは私は、民営化が悪いというよりも、民営化に伴って企業の利益重視に走ったJR西日本会社の体質に起因すると思いますけれども、そういったものを引き起こしてしまう。
これは電電公社も同じです。もちろん時代の流れ、さまざまなものがあります。電子メールの普及、それから携帯電話の普及、こういったものもありますけれども、今までただだった104の電話番号案内、これは一気に100円に上がっているわけですね。それから、町から公衆電話がどんどん消えている。僕は構わないですよ、携帯を使っていますから。でも、この場合、だれが一番困るかというと、生活弱者と呼ばれる方々が今一番困っていらっしゃる。そんな方がどうでもいいというんだったら、そういう説明をすればいいわけです。
郵政も同じかと思います。地元に小さな郵便局しかない、あるいは離島、僻地に住んでいらっしゃる方、さまざまな不安があるかと思います。いっそのこと、そういう人はどうでもいいじゃんと言えばいいわけですよ。そういう人を切り捨ててでも必要なものなのだという説得力ある言葉があるのであれば、郵政民営化にもそれなりの説得力がついてくるんじゃないでしょうか。
必ず生活弱者は困るという事態になるかと思います。郵便貯金しか頼れない人というのは絶対出てきますでしょう。口座維持管理手数料みたいなものがばんばんばんばん出てくるような世の中にあって、やはりぎりぎりのところで、だれでも受け入れますというような金融機関がなければ、本当に安心してお金を預けることができなくなってしまう。困るのは果たしてだれなのか。困っても構わないということをはっきりと郵政民営化の推進論者の方は言うべきだと僕は思います。その上で議論すればいいじゃないですか。僕はそう思います。
○佐々木(憲)委員 ありがとうございました。終わります。