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医療・介護・年金 (消費税, 年金制度)

2005年07月08日 第162回 通常国会 年金・社会保障両院合同会議 【316】 - 自由討議

両院合同会議 消費税目的税化に反対 佐々木議員が主張

 7月8日、年金・社会保障両院合同会議が開かれ、国民年金の位置付けについてをテーマに各党一巡の冒頭発言があり、自由討論が行われました。佐々木憲昭議員は、自由討議で発言しました。
 この日の自由討論で特徴的だったのは、年金・福祉目的として消費税を増税する議論が、自民党や民主党からおこなわれたことです。
 民主党の山本参議院議員は「世代間、世代内での再配分機能を見直す方法として、年金目的の消費税がある」と発言しました。
 社民党の阿部衆議院議員は「税源について、消費税も検討の余地がある」と述べました。
 自民党の中島衆議院議員は「山本議員の発言は共鳴する部分が多くある」と評価。公明党の井上衆議院議員は「民主党案をそ上にのせて年金一元化について具体的に検討することが一つの方法だ」と言明しました。
 佐々木議員は、先に自民党の若手議員らでつくる財政改革研究会(座長・柳沢伯夫政調会長代理)が、福祉目的税として消費税増税を検討する論点整理をまとめたことをとりあげ「民主党や自民党が年金・福祉目的税として消費税の引き上げを言っている」と指摘。「このような仕組みをつくったら、年金や福祉を充実させるには消費税を引き上げざるを得なくなる。反面、消費税引き上げがいやだとなると、年金、福祉を抑制せざるをえなくなる。まさに最悪の事態になる」と主張しました。
 自民党の柳沢衆議院議員は、財政改革研究会の論点整理は「財政の観点から問題を見た」と弁明しながら、「消費税引き上げを年金の国庫負担率2分の1にだけリンクしないでもっと広い視野をもつべき」などと発言し、年金・福祉の財源に消費税を当てる考えを否定しませんでした。
 また、民主党の峯崎参議院議員は「消費税の方が税を水平、垂直に公平に納めている公算がある」などとのべ消費税引き上げを正当化しました。
 佐々木議員は、「大企業や高額所得者への減税を続けながら、なぜ庶民にのみ増税を押しつけるのか」と、きびしく批判しました。

議事録

【自由討議部分】
○与謝野会長 引き続き、議員間の自由討議を行います。
 1回の発言は3分程度で、会長の指名に基づいて、所属会派と氏名を名乗ってから行ってください。
 なお、発言時間の経過については、3分経過時と、その後は1分経過ごとにブザーを鳴らしてお知らせいたします。
 それでは、御発言のある方は、お手元のネームプレートをお立てください。
○古川議員 民主党の古川元久でございます。
 きょうは、国民年金の位置づけということで、前回と並び、国民皆年金制度と言われる現行の公的年金制度の根幹部分についての議論をしておるわけでございますけれども、各党からの意見をお伺いしておりまして、今回、我が党の山本議員からは、我が党が示した案は案として、いろいろとそこに至っていくまでの段階的なところでの提案というものもさせていただきました。
 ぜひここは、私は、この合同会議の場で、考え方の基本として共有の認識を持ちたいなと思うのは、これからの日本の社会、今直面している数々の問題も含め、そしてこれから20年、30年後にあらわれてくるであろう、今の数字から見えてくるものを含めた現実社会において、国民の皆さんがどういう年金制度を望んでいるのか、どういう制度であれば国民皆年金と言える制度として存続ができて、そしてまた、その制度に対して国民がみんな自発的に参加できるような、そういう信頼できる制度になるのか、そういう考え方の基本がなければならないんじゃないかなというふうに思っております。
 そういう中で、あるべき姿として、私ども、民主党案を一つの形として提案させていただいたわけでありますけれども、そこに至っていくには、いろいろな方々から御指摘をいただいておりますけれども、いろいろ、今の現行制度あるいは現実社会の問題というのがあります。
 私は、政治家がやらなければいけないことは、今のそういう現実の問題、今の現状ではこういう問題がある、今の制度上では、例えば労使折半の保険料の問題をどうするのか、こういうところが問題がある、では、その問題を理想的な形の制度にしていくためにはどう乗り越えていくのか、その乗り越えるための工夫と、それを乗り越えるという政治的な意思を示すということがやはり大事なことじゃないかなというふうに思っています。
 例えば、今申し上げました労使折半のあり方で申しますと、企業の負担のあり方として、本当に、現行のような、年金の保険料あるいは健康保険の保険料のような、そういう労使折半というあり方が、今後ともこれがいいのかどうか。
 与党の方々は、今の厚生年金を拡大していくということで考えておられるわけでありますけれども、非正規雇用の労働者に厚生年金を拡大していく、1時間でも働いた人、その人にまでも厚生年金を適用するということであればそれはいいのかもしれませんが、例えば、どんどんと下げていって、週20時間までの人とか10時間までの人というふうに区切れば、当然、今の状況の中でいえば、そして企業の置かれている立場でいえば、どんどんと労働をもっともっと細切れにしていくということも起きかねないわけでありまして、そういうことを考えると、根本的に、今のような労使折半という形で企業に負担を求めるのがいいのか、あるいは、山本議員も申し上げたような、別の形で企業に対しては負担を求めるというあり方も考えられるのではないか、ぜひそういうことまで含めた議論をしていく。
 現状が問題があるからということで、その問題を乗り越えられないからということで、そこで思考を停止するんじゃなくて、では、その問題を乗り越えるためには、思い切った、根本的な制度改革も含めた、どういうふうにしたらいいのか、ぜひそういう議論をしていきたいというふうに思います。
 以上です。
○坂口議員 自民党の先生方、札を上げておみえになりますが、私、先にやらせていただいてよろしゅうございますか。
 最も基本的な考え方としまして、自助、共助、公助という考え方がございますが、まず自助があって、共助があって、そしてピラミッドでいえば一番上に公助があるという考え方に我々立っております。中には、公助が一番下で、真ん中が共助で、一番上の小さいところが自助だ、こういうお考えもあるわけでありまして、連合の笹森会長さんが社会保障の会合の中でそういうお考えを出されて、そこは少し違うのではないでしょうかという議論があった。
 私たちは、やはり自助というものが一番下にあって、共助、公助、こう積み上がっていくのではないかと思っております。そこが共有できるのかどうかということが、一つ基本的な考え方としてあるのではないかというふうに私は思います。
 阿部議員が今お触れになりましたことをお聞かせいただいて、確かに阿部議員がいつもおっしゃいますように、国民年金の中で、いわゆる未払いの人たちは自営業者ばかりではありません。自営業者が大体25%前後になっていて、そして35%ぐらいは、それが、完全雇用の方も含めてパートの方も含めて、何らかの形で働いてはいるんだけれども、しかし国民年金に入っているという方が35%ぐらいおみえになる。その残りはいわゆるニートその他でありまして、今そういう振り分けになっている。
 それで、その35%の何らかの形で働いておみえになる方は、これはどこで線を引くかということがあると思いますけれども、パートの方の線の引き方は難しいですが、井上議員からも先ほどありましたけれども、どこかで線を引いて、やはり厚生年金なりそういう年金に入っていただかなきゃいけないんだと思うんです。しかしそこは、パートもいろいろですから、残ってくるところはあるというふうに思います。
 それで、問題は、ニートその他の働く意欲のない人、そういう人にも将来は税で全部年金は見てあげますよ、こういうふうな形にするのが社会の形成上いいのかどうか、そこには私は疑問を持つ一人でありまして、そうしたことをどうお互いに認識していくかということを、少し議論を重ねていくことが必要ではないかというふうに私は思います。
 山本議員の御発言につきましては、先般私ここで、一つの考え方として検討していいのではないかということを申し上げたところでございます。
○中島議員 自民党の中島眞人でございます。
 前回は、公的年金の問題について論議をし、ほとんどの委員から、公的年金の必要性、そういう問題についての共通認識が得られたと思います。
 きょうは、山本議員の発言を聞いておりまして、大変私どもも山本議員の発言については共鳴する部分が多々ございます。特に、今後の医療、介護等の問題等も含めていく中で年金のあり方というものを考えていく、これは、私どもが常に今まで言い続けてきた、年金だけを取り出すんじゃなくて、医療、介護という社会保障全体の問題の中で年金という問題も考えていかなければいけない、そういう一つの問題に触れたことであって、私どもは、非常に山本議員の発言に、保険料の上昇の問題、低所得者の免除の問題、25年以上掛けなければならないというふうな問題点が多々あるという認識は共有しております。
 ただ、私は、若干さっきから、よく御党の党首が御発言をなさる言葉が非常に重くのしかかってくるんですけれども、御党の岡田党首は、一階部分については全額税方式にして年金目的消費税を活用する、こういう発言が非常に強く私どもの頭の中にも入ってくるものですし、国民もそういうふうな認識を受けているだろうというふうに思います。
 だから、その辺は、ぜひひとつ岡田党首にも、山本議員のような、現行の年金制度の中にそういう問題点があるんだ、こういう問題を一つ一つ解決していく、そういう各党間のいわゆる話し合いというか協調というか、そういうものをやっていこうというような姿勢に、岡田党首の発言まで私が拘束する必要はありませんけれども、ひとつ御期待をしたいと思っております。
 さらに……(発言する者あり)うちの総裁は総裁で、これはあれですけれども、事年金の問題でございますから。
 特に私、幹事の皆さん方にお願いをしたいのでありますけれども、前回の公的年金の問題について、ほとんどの議員がこれを共有したと。きょうの問題の中にも、山本議員の発言、我が党が常々考えて、私なんかも考えている問題の提起がございます。そういう問題、例えば国民年金を含めた一元化の問題等についても、私は、ひとつやれる部分からスタートをしていくという作業に入っていくことも必要ではないのか、こんなふうに思えて、幹事の皆さん方に御要望を強く申し上げておきます。
 特に、ある部分、この国民年金制度が発足した当時は全くあり得なかったパートという一つの層は、これが20%、25%を占めている。この方々をどういうふうに年金という一つの枠組みの中でいわゆる救っていくのかというような問題は、これは各党共通な認識として、早急にでも取り組めるんではないのか。
 それと、常々申し上げておりますように、厚生年金と共済年金の一元化というふうな問題、やれるところから手がけていく、一つだめだから全部だめだということでなくて、やれるところから手がけていく、そして国民の信頼を得ていくという形をぜひとっていただきたいということを強く要望申し上げまして、私の意見といたします。
○佐々木議員 日本共産党の佐々木憲昭です。
 先ほど来、消費税の目的税化ということが議論になっておりまして、民主党さんの方からも再配分との関連で年金目的消費税というのが提起をされ、また、報道されるところによりますと、自民党の若手議員でつくる財政改革研究会、柳澤政調会長代理が座長を務めておられるということで、何か与謝野会長の呼びかけで2月末に発足したということも報道されていますが、ここで、福祉目的税として消費税の増税の検討あるいは社会保障費の歳出削減、こういうことが議論されていると聞いております。
 これはどう考えたらいいのか。つまり、年金にしろあるいは福祉にしろ、それを目的とした消費税の引き上げ、あるいは消費税の目的税化という考え方ですね。私は、この枠組みに入ってしまうとどういう問題が起こるかというのを考える必要がある。
 つまり、年金にしろ福祉にしろ、これをどんどん充実させたい、これは国民の願いでありますが、それをやればやるほど、消費税が連動して引き上がってしまうということになります。あるいは、消費税の引き上げは嫌だ、こうなりますと、年金も福祉も抑制しなければならない、こういういわば最悪の事態に陥るのではないか。あるいは、これに似たような発想は、骨太方針の中で、成長率を勘案して社会保障費を抑制するという発想もありました。
 これらの議論は、私はやはり本末転倒ではないかと思うわけです。つまり、なぜかというと、まずは、年金というものをどうするのか、あるいは福祉をどうするのか、この点をはっきりと制度設計をして、国民の期待にこたえるというのがまずは必要であって、そのためにどのような財源を確保するのかというのはその次の議論として出てくるわけであって、何か最初から連動させるという議論はいかがなものかというふうに思うわけであります。
 現に、税制の問題でいいますと、何も消費税だけではない。法人税、所得税、一体これをどうするのか。我々は、法人税でいいますと、これは余りにも低過ぎると。つまり42%から30%に下がった。あるいは、高額所得者の最高税率は下がりっ放しであると。
 国民全体が支えるというのであれば、なぜ低所得者にのみ負担が行くような税を引き上げるのか、ここにやはり問題を見なければならぬわけであって、私は、今のこの議論というものはもっと総合的な角度から検討しなければ、単純な消費税目的税化には賛同ができないということを申し上げておきたいと思います。
○阿部(知)議員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 先ほど坂口議員からお尋ねのありました問題について、特に公助、共助、自助という考え方、こういう割り振り方自身の問題はちょっとあると思いますが、しかし、もし皆さんがそういう形で論じられるのであれば、このことに基づいて少しお話を申し上げさせていただきたい。
 先ほど、私は、現在この国会で障害者自立支援法案が審議されておるということをお話しいたしました。障害者にも応益負担を、定率負担を求めるこの法案は、当然その前提として、障害者の所得保障ということが前段にございます。これは、冒頭の鴨下議員のお話でも、これから年金の厚さをどのくらいにして、そこから御自身が医療や介護に払っていくイメージで行うのか、それとも現物で医療や介護が全部給付されるのかという、大枠をまず論じないといけない問題と思います。
 私どもの少子高齢社会は、実は同時に、障害のある方が多数ともに生きていく社会でございます。現在の人口の約5%という政府側集計の障害者数は、実は、いろいろな障害をきちんと集計いたしますと20%にも及ぶと言われています。そうした時代であるからこそ、そして私どもは、一人一人が権利としていろいろなサービスを利用していくということの方がやはり人間的と思いますので、その前提には所得保障があり、ゆえに基礎年金部分を厚くしていこうという考えが成り立つわけです。
 そして、その場合の企業負担ということを、これは民主党の皆さんと自民党の皆さんの中間くらいにうちの党はあるのかなと思いながら聞きましたが、私どもは、消費税というものの逆進性等々を考えると、まず手をつける部分は、総人件費に対して企業が負担するある意味で社会保障目的税であると思います。この総人件費にかけている国というのもございまして、それが、今雇用中立的でない我が国の年金制度、保険料が上がれば上がるほどみんな厚生年金を脱落していく制度に対して一定の歯どめになりますし、その部分を基礎年金部分に入れるということで御検討をいただきたいし、現在でも入っておるわけですから、その采配をどうするかというあたりは、皆さんと統一の俎上で話せるものかなと思いました。
 そして最後に、女性の年金問題で一言つけ加えさせていただきますが、女性も今長い人生を生きるようになり、85歳を超えれば、実は今のパートの方でも、厚生年金に加入している方が総体の生活保障額は多くなるという集計です。女性の平均年齢、とうの昔に85歳を超えました。このことから考えても、私はやはり、ここは私どもと自民党の皆さんの共通点ですが、パートの方の年金加入を早急に検討していただきたいと思います。
 以上です。
○枝野議員 まず、先ほど中島先生から、やれるところからというお話がありましたが、私は反対であります。つまり、今までやってきているのが、年金制度はその時代時代の状況の変化に応じてびほう策的に継ぎはぎをしてきた結果として不公平や矛盾が生じている、それが国民の年金不信につながっている、これが今の状況であると思います。その一番のあらわれが国民年金に出ていると思います。
 全体像としてどうあるべきかということについての絵柄をきちっとかいた上で、そのモデルに向かってロードマップとして一個ずつやっていくということはあり得ると思いますが、とにかくできるところだけやりましょうということを積み重ねてきた結果が今の状況であるというのが我々の認識ですので、我々はそういう立場に立ちません。
 やれるところからということでやるならば、それは与党だけで勝手にお進みください、過半数をお持ちなんですから、そういうお話であって、我々は、全体像の組み直しをちゃんとやるべきで、全体像の組み直しをやるためには、これは政権がかわるたびに全体像の組み直しはできませんから与野党を超えてやっている、今そういう状態ですので、そこの認識をきちっとお持ちいただきたいというふうに思っております。
 それから、まさに継ぎはぎだらけということで、先ほど来、国民年金がパートの問題のようにとらえられている。それも大きな問題ですが、実は自営業者という概念自体が全く変わっている。
 つまり、スタートラインのときには、資産があって定年もない自営業者の皆さんというのが前提だったわけですが、もはや自営業者の中にかなりの比率で、事実上資産はないに等しいし、そして高齢化によって、どんどん改修費用をかけられるわけではないしということで、実質的には定年があったりする人と余り変わらないという、低所得、低収入の自営業者という人たちの比率が非常にふえてきているということも実態としてあるわけでして、それは既にパートなどの話だけではない。自営業者の中の低所得層をどうするのかということも深刻な問題であるということであります。
 そして、国民年金制度が今の時代に全く合っていないというのは、やはり定額制は根本的に間違っているということだと思います。
 要するに、自営業者は資産があって定年がないから、だけれども、何も年金がないのはサラリーマンと比べて幾ら何でもなんだから、ちょっとぐらいつくっておきましょうというレベルでスタートした。その当時はよかったかもしれないけれども、まさにパートの人が入ってきたりとか、低所得の自営業者という人たちの比率が非常に高まっているという状況の中では、生活基盤を支えますという話になっていくわけですが、このときに定額制というのは、まず保険料負担の段階で、定額制の負担は消費税以上に逆進性が大きいわけでありまして、低所得者にとっては何じゃらほいなという話になるわけですね。
 逆に、自営業者の中にも一部は、もちろん資産もあって収入も多くてという人がいます。この人にとっては1万3千幾らの保険料は大した額ではないでしょうが、逆に、こういう5万円、6万円の年金に対してほとんど魅力を感じないという自営業者の層の人たちにとっては、これまた定額という国民年金制度に対する魅力は感じないわけですね。
 高収入を得ている人にとっては、将来ある程度の大きな額の年金を受け取れるということでないと年金制度に対する魅力はない、低所得者にとっては、それに応じて保険料が低くないと払えないということでありますから、国民年金という制度を、どういう形にしろ、今の国民年金に入っている人たちに対しても保険料を定率で納めてもらう、その納めた保険料に応じて将来の給付の額が変わってくる、こういう概念にしていかない限りは、やはりこの人たちの未納、未加入といいますか、年金に対する期待度あるいは信頼度というものは高まりようがないのではないか、そういうふうに感じております。
 我々の一元化というのも、そこは、国民年金のところも定額制ということでは成り立ち得ないよねというところが一つの出発点にあるということを申し上げておきたいというふうに思います。
 以上です。
○津島議員 この合同会議が始まりまして、与野党が率直に話し合って、一歩でも二歩でも国民のために前進したいと思っている中で、先ほどから御指摘もありますけれども、例えば野党第一党、民主党さんの偉い方々のお話を聞くと、党首はこう言われた、別の方はこう言われたというようなことで、これはどうなるものか心配しておりましたが、きょうの山本さんのお話、それから古川さんのちょっとしたお話、時間的に短い話でありますが、お話の中から、これは我々話し合えるかなという気持ちになってきたのであります。
 つまり、基本的に、いろいろ問題はあるけれども、話し合って改善すべきところからやっていこう、こう言われたので心が明るくなったところ、枝野さんから、いやいやそうではない、これはもう我々としては一つの姿を描いたんだから、そのイメージに合わないものはひとつ与党だけでやってくださいと。
 そこで、申し上げますが、年金の……(発言する者あり)後で訂正したらいい、あれなら後で訂正してくれ。
○与謝野会長 また後で発言の機会があります。
○津島議員 年金の話について、基本的な問題は、昭和36年からずっと実施をされておって、それぞれの世代の方、それぞれのグループの方がこれに参加をしているんですよ。それで、非常に権利意識について意識の高い枝野弁護士ですからおわかりのとおり、国とそういう人たちの間では、過去の年金問題について既に一つの権利義務関係ができ上がっているの。だから、白紙に物を書くようにこうこうこうあるべきだということを一挙にやれるはずがないんだよ、グループによって、年金をめぐった関係がそれぞれ違うわけだから。だから、基本的には、一つ一つやれるところからやる以外にこれはないのであります。これは私の意見であります。
 そこで、二つ御質問をいたしたい。
 一つは、年金の問題と社会保障の問題なんだが、例えば生活保護との関係で、一体、保険料が払えないような方へのいわゆる年金の対応をどうしたらいいか、これは非常に悩ましいところであります。下手をすると、保険料を払っていない方にも年金が来るということになりますと、それなら保険料を払う必要ないじゃないかという社会風潮にすぐなっていくことを私は恐れているわけであります。
 それから、裏から言えば、いわゆる所得格差を減らすという社会的要請かもしれませんが、社会政策の要請をどこまで公的年金に入れられるかという問題もございまして、この点についての御意見を伺いたいと思います。
 最後に一言だけ、佐々木憲昭さんから、私たちの内部の議論についての新聞報道を受けていろいろコメントございましたけれども、責任者の一人として申し上げますけれども、私たちの考え方は、去年の税制改正大綱に書いてあるもの以上でも以下でもございません。
○枝野議員 津島先生ともあろう方が、今の発言、二つ、非常に心外でありますので撤回をしていただきたい。
 一つは、私が申し上げたのは、全体像についての共通認識をつくっていくことが先であるぞということを申し上げたので、別に民主党の案でなければ絶対だめだなんて申し上げていないし、この間の発言の中で何度もそのことについてもお話を申し上げてきています。
 ところが、それを勝手に、全体像についてまずは議論すべきだという話を、民主党のイメージじゃないとだめだと言っている話に勝手に転化する、こういう議論の仕方をしているからこの会は進まないんですよ。
 せっかく建設的に前回と今回の途中までやってきているのに、またこれじゃないですか。筆頭の幹事、何とかしてくださいよ。こういう議論をしているから話が進まないんですよ。せっかく本質的な議論から、全体像をどうするのかということで、共通認識ができるところから順番に積み重ねていっているのに、また途中で間を飛ばして、またこちらの話の揚げ足をとるような勝手に曲解した発言をする。これで信頼関係ができるはずないじゃないですか。ちょっと、そこのところをいいかげんにしてほしい。
 それからもう一点。先生は昨年の委員会なども知っているはずだし、民主党案をよく御存じのはずで、過去債務問題はちゃんと過去債務として、それは原則として、約束を守った上でしっかりとお払いをしていく、その上で将来分についてどうしていくのかということをちゃんと分けてやるという話はこの場でも何度も申し上げてきているし、我が党案にはっきりと出ている話を、何か過去債務の部分を全部チャラにしてやりますだなんというようなことを津島先生が本当に思っているとは思えないので、だとすると、勝手に曲解をして、これまたおかしなキャンペーンをする。
 どちらも撤回をしていただかないと話が進まないです、こんなことをやられていたら。
○与謝野会長 皆様方の冷静な御議論をお願い申し上げます。
○伊吹議員 お互いに建設的に話をしなければいけませんから、ちょっと不規則発言はあれにしてもらいたいと思うんです。やはり幹事間で、どういうニュアンスの発言があったかというのは、少し議事録を見て、そして穏やかに話されたらいいと思います。
 国民年金の位置付けという題になっていますが、国民年金という言葉を使うのは、法律的にこうなっていますが、私は余り適当じゃないんじゃないかと思います。どちらかというと、雇用主、つまり2分の1の保険料を持ってくれる人を持っていない人の基礎年金という表現がいいんじゃないかと思います。
 思い出すのは、昭和61年ですから1986年に年金の大改正がありまして、このときに基礎年金という言葉が導入をされました。したがって、厚生年金の中にも、国民年金相当の基礎年金の給付と、そして国民年金の年金保険料相当の定額の支払いが含まれているんです。この定額の保険料を取り出して基礎年金勘定というところで統一的に運用されている。
 であるからこそ、当時は、大企業のサラリーマン、部長だとか重役の人の年金給付の4分の1に、厚生年金に入れない八百屋のおじさん、おばさんの汗水垂らした所得税が補助金として入っておったんですよ。これが改められて、国民共通の基礎年金というものであるから、国民共通の税を3分の1入れるということになったわけですね。
 ですから、私は、ここの部分で既に年金は一元化されているのであって、雇用主を持っている人と持っていない人、つまり保険料の負担が倍になる人と保険料の負担が二分の一で済む人の保険を一緒にするというのは現実問題としてはなかなか難しいんじゃないかと思います。
 しかし、民主党の言っておられる案に私が考えておる案は非常に近いんですよ。基礎年金の部分を極めて大きくとってそこに税を入れていく。そして、例えば4分の3という税を入れれば、無年金の、所得が低いから年金料を払えないという方は、先ほど津島議員がおっしゃったように、年金の世界で処理するのかあるいは福祉の世界で処理するのか。そうすると、生活保護費の給付を年金の保険料の4分の3を少し下回ったところに置いていくというようなやり方をすれば、そして所得制限を4分の3の部分にかけていくということを考えると、私は民主党の提案しておられる案とそんなに大きな違いはないと思うんです。
 峰崎先生がこの前、税の専門家である伊吹には云々というお言葉がありましたが、4分の3までというなら四分の四までとおっしゃったんですが、これは税の問題とは何の関係もないんですよ。要するに、社会保障に対する個人の信条、政党の政治理念にかかわることなんですね。
 フランスの哲学者のアランが、福祉というのはみずから努力をして得る心の平安という言葉を吐いておりますが、我々自由民主党は、やはり自助努力をすることによって、若干の保険料を払うことによって世代内、世代間の助け合いに入った人に給付というものはあるべきなので、そうでない人は、共生社会の原理として税で助けていくべきだ。
 だから、基本的に私の考えていることは民主党案とそんなに違わないと私は思いますし、古川さんがさっきおっしゃったように、1時間、2時間という人を雇用主のいる方へ入れるのか、あるいは30時間の人を雇用主のいない方へ入れるのか。これはどちらでも、話をすればできることだと私は思うんです。
 ただ、その前提で、この前、岡田さんが党首として出てこられたので私は質問をしたんだけれども、意図的なのか時間がなかったからかわからないが、お答えをされなかった。それは、最低保障年金というのは消費税で財源を確保しておりますから、この部分がありますから無年金というのは生じないんですということを再三おっしゃるのだが、2階建ての部分の保険料を払わなければ一階建てはもらえないのか、それとも、2階建ての保険料部分を払わなくてももらえるのかということをやはりはっきりさせておかないと、これは社会保障の分野の話なのか福祉の分野なのかわからないので、この前伺ったんです。
 答えていただけなかったので、上がっておりますから五島さんでも小宮山さんでも、峰崎さんでも、ぜひ答えてもらいたいと思います。いや、お互いに相談しなくても、民主党案として決まっているんだから、峰崎さんからぜひ教えてください。
○小宮山議員 今の点については、これまでのいろいろなものをお読みいただければよくおわかりいただけるのではないかと思っています。
 それで、国民年金の位置づけということで本日議論をしているわけですから、先ほど枝野さんが言われたように、やはり全体像を組み直して、多くの人たちが納得できる公平な国民年金のあり方についてぜひ建設的な意見交換をして、その全体像を決めた上で、順序を追って実現をしていくような話の組み立てをぜひしていただきたいと思っています。
 その点でいきますと、いつも女性の年金の話でまた恐縮ですけれども、先ほど井上議員が、世帯単位で見れば専業主婦が優遇されているのは誤解だという言い方をされましたけれども、今のままの制度でいいのだということではなくて、現実問題としてやはり働き方も家族のあり方も変わってきているわけです。夫婦に子供2人という世帯ではなくて、今世帯の数も2・6人になってきています。だから、そういう中で、今あるべきものをどうすればいいかということで、今までのでよいのだと言っていたら議論は前に進まないのではないかと思っています。
 それで、以前に伊吹議員の御指摘があったとき、その後の回で私も申し上げましたが、これはあくまでも専業主婦の分も夫が払っているというのは確率計算なので、実際はそうではないというところが問題なのですから、そこをどうするかということをいたしませんと、別に専業主婦の価値を否定するわけでは全くありませんが、専業主婦ではない共働きの女性だって家事もしているし育児もしている、私自身もそうですけれども、そうしたことの中の不公平感があるということなわけですね。ですから、そこをどうするかという前向きの議論をぜひしていきたいというふうに思っています。
 結局、夫が払っているのではなくて、夫の制度の中の、単身の人も一人親の人も共働きの人もサラリーマンの妻の分を出している、そこは明らかに不公平なわけです。現に、このような形になる前に、任意加入で7割は専業主婦も国民年金に自分で入っていた。その人たちは今でも自分で払いたいと言っている人がたくさんいるんですね。それはやはりおかしいと思うからそうなのであって、そこはぜひ建設的にどう変えたらいいかという話をしていきたいと思っています。
 これからは労働力も確実に下がっていくわけですから、働きどめをするというようなもったいないことをしないで済むように、また、社会保障の財源も少ないわけですから、きちんと、働きたいだけ働けて、その人がそれに見合った保険料を払っていくという形に改めていくのがよいと思います。
 それともう一点、先ほど坂口議員が、ニートは働かない、その人たちに払うのはいかがなものかというお話がありました。これは、働かないだけではなくて、今の就業構造が変わってきていて、大学を出ても五人に一人は正規の職につけないというような、雇用の受け皿の方が縮小しているという問題もあるので、働かないだけではなくて、働けないということもあるわけですから、そういう雇用のあり方のところもきちんと見据えた上で、多様なライフスタイル、それから変化をしてきている世帯の構造に見合った、多くの人が納得できる持続可能な形になるように国民年金の位置づけもしっかり議論をしていきたい。
 そのためには、再三申し上げている国民年金一号の構成比そのほかのデータをきちんと真ん中に置いて議論をぜひしていきたいというふうに思います。
○五島議員 先ほどからお話があるわけですが、国民年金の問題での議論ということになりますと、今伊吹議員がおっしゃったように、確かに、今のさまざまに分かれております年金制度の中で、基礎年金という形で国民年金が唯一統合されている部分であることは間違いない。ところが、その統合されている国民年金、基礎年金が実は財源的に見た場合に一番不安定であることも、これまた間違いのない話です。
 しかも、今後の日本における労働状況を見ていった場合に、ここはますます不安定になる可能性がある。先ほど坂口先生も御指摘になりましたけれども、フリーターとかニートというような存在が増加していることも一つであります。また、失業者がやや減ってきたとはいえ、所得がなくなったことによって、定額負担の保険に入るということがその人たちにとって非常に大きな負担になっているという客観的な事実もございます。
 また、今御議論があるように聞いておりますが、ホワイトカラーエグゼンプションなどといったような働き方が入ってきた場合に、現実問題として今度は、ホワイトカラーで比較的高額の所得を取っているサラリーマン世帯が実際上は自営業者扱いになってしまう可能性がある。そういうふうなことを考えた場合に、今の国民年金制度というのは決して安定した制度であるとは言えないと思います。
 そこで、年金制度というのは、保険料を払っている、だから云々というふうにおっしゃるわけですが、皆保険制度である以上は、それぞれの皆さんがそれぞれの能力に応じてこの財源をつくっていくしかないということから考えれば、民主党が主張しております年金消費税制度というのは十分に説得力のある問題であって、少なくても、現在の国民年金制度に比べると、保険料の面において逆進性は緩和される内容であるというふうに私は考えております。
 問題は、これを一元化するために国民年金制度をどう安定化させるかということと、もう一つは給付の水準をどうするのかということ、そして、年金制度の存在そのものに対して、国民に対してどういうふうに信頼を取り戻すのかという問題に尽きるのだろう。そして、二階建ての部分とおっしゃいますが、もし年金消費税制度という形でいくとすれば、あくまで形は税の世界でございますから、高齢期の高額な所得のある人、高額な資産のある人に対しては一部御遠慮いただくということは当然あるんだろう。そういう意味においては、我が党の案というのは決して問題があるとは私は思いません。
 もう一つ、坂口先生なんかの御指摘にもありますので一言申し上げますが、自助と共助と公助の関係、この問題については個別のケースにおいて検討すべき問題で、社会保障制度一般を通じる原則にすると、とんでもない間違いが起こると思います。
 今阿部さんも御指摘になっておりましたが、障害者自立支援法を議論しております。生まれつき障害を持ち、資産形成の時期も得ることができなかった人と、例えば介護保険との比較の議論があるわけですが、成功した、しないは別としても、一応働く時期においてそのチャンスに恵まれた人、それを同じような原則でやっていくということになりますと、社会保障といいながら、より弱者に対しては非常にむごい社会になるということを御指摘申し上げておきたいと思います。
○峰崎議員 伊吹先生から前回に引き続いてお話しいただきましたので、その点についても後でお答えしたいと思うんですが、実は前回お互いにやはり再確認しておけばよかったなと思うのは、公的年金の必要性という点では認識は一致した、しかし、国民皆年金という制度、これをお互いに確認できたんだろうか。
 今もちょっとお話がありましたけれども、冒頭、井上議員の方からあったお話をずっと聞いていますと、どうも、未納者の増大への対応というのは積立金の取り崩し等で対応している、それは余り問題ないんだ、だから財政的な観点から見るとこれは問題ないんだ、こういう話になるんです。
 先ほど来もう何回もこの間議論してきたように、国民年金制度が本当に今の社会構造の変化に対応し切れていないぞと。その意味で、この点は、いかに皆年金というものを、国民年金制度を充実させていくかというところにやはり焦点を絞って改正もしなきゃいけないんじゃないかということを提起してきたわけですから、今ニートの問題などもございましたけれども、そういう意味で、我々としては、そこにどういうふうに対応していくのかということは非常に重要な点じゃないんだろうかなというふうに思っているわけであります。
 さて、税のところが出てまいったわけでありますが、消費税の扱いの問題に関して、実は共産党さんからはかなりいつも御指摘を受ける。あるいは、かつて私自身もそうだったかもしれませんが、日本の社会の中で本当の意味で実効税率で見た場合、実効税率ですけれども、500万円の層とか700万円の層とか、1,500万とか3,000万とか、これはいわゆる表面的なフローで夫婦二人でどのぐらいの税率かというのは出てまいります。そうじゃなくて、金融所得とかさまざまな所得があって、それらを合算してみて総合所得という建前で見たときにこの実効税率がどうなっているのかということについて、残念ながら日本には余りきちんとした統計がありません。
 だから、私は、もしかすると消費税の方が、税を水平的に納めているということもあると同時に、垂直的に見ても、むしろそちらの方が公平に納めている公算が強いんじゃないか。ただし、これは十分なデータがありませんから、わかりません。しかし、そういう意味で、そこのところはまさに総合課税というか、所得というものをきちんと捕捉しなきゃいけませんね、こういう観点から、納税者番号制度というさまざまな仕組みをつくって、そこのところをきちんとやりましょう、我々はこう提起をしているわけです。
 その点に関しては、実はきょう、公明党の井上先生、看板を上げられていますから反論があったらまた後でいただきたいんですが、所得というものを二種類に分けていらっしゃった。つまり、自営業の所得とそれから勤労所得。
 これは確かに、ドイツなんかの年金の場合に自営業者とそうでないのを分けていますから、そういう分け方が一般にあっていいんですが、そこで私が大変気になっているのは、年金について今おっしゃったような所得についてもし分けるとすれば、例えば公営住宅に入るときの入居基準、これは所得です。そうすると、その所得は勤労所得と自営業者の所得を分けているんだろうか。あるいは、私どもが大学に入るときに奨学金というのがあった。そのときにも、奨学金を受給するときの所得というのは自営業者の所得と勤労所得というのを分けたんだろうか。そこは分けていないんです、現実にほかの社会保障給付においては。
 だから、国民年金だけなぜこうして分けなきゃいけないのか、この点は、今のお話をずっと聞いている限り、そういう二種類の分け方をすること自体は、私は、ではそういうことが前提なら、ほかの社会保障もそれで分けていかなければ一貫性がないのではないか。
 その点で、やはりここは、先ほどおっしゃった経費認定の問題など、私もそれなりに、自営業の方の所得といわゆるサラリーマンの所得の捕捉の問題というのはより厳密に追求しなきゃいけないと思うんですが、そこのところは一貫させていただきたいなというので、一つ提起をしておきたいと思います。
 もう大分時間が来ましたので、伊吹先生のお話は多分山本先生が後であれしますので、そちらの方に譲りたいと思います。時間が来ましたので、終わります。
○坂口議員 小さい話ですから余り時間をとってはいけないと思うんですが、フリーター、それからニートのお話につきましては、私はフリーターまで含めているわけではなくて、フリーターの中にはさまざまな人もいますから、それこそ働きたいけれども働く場所のない人たちもいるわけで、ここは非常に努力をしてあげなければいけないところですし、また、常勤と同じような働き方をしておる人に対しましては、厚生年金の中に入れるようにしてあげるということが大事ではないかというふうに思っています。
 ただ、ニートの方は、働く意欲もないんだし、また勉強する気持ちもないという人たちをこの中に入れておるわけでありますから、この人たちに対してはまず働くことの大事さを教えてあげなきゃならないので、働く意欲がないからというので、その人たちも、働く意欲がなくても将来はちゃんと見てあげますよというふうに言ってしまうのはいかがなものかというふうに私は思っているということを申し上げておる。
 それから、自助、共助の話を申し上げたものですから、少し五島先生もこだわっておみえになりますが、これは基本的な全般についての考え方でございますから、障害者の方もいろいろでございます。お生まれになったときから障害者の方もおみえになるわけで、その皆さん方が資産形成ができていないことは事実でございますし、そういう皆さんは皆同じように支払ってくださいよというわけにはいかない、それはそのとおりだというふうに思っております。しかし、最近は、障害者の中にも、税金を払うことができるようになろうという障害者の皆さん方もおみえになるわけでありますから、その自助努力というものはやはり高めていくことが基礎として大事ではないかということを私は申し上げているわけであります。
 それから、三号被保険者の問題でございますが、これは井上議員からまた話があると思いますけれども、全体の流れとしては、世帯単位か個人単位かという問題を決着していかなきゃならないわけで、流れとしては個人単位という方向でどうしたらそうなるかということを考えていかなきゃならぬのだろうと私は思っております。
 三号被保険者の人の負担をどうするかとなると大変大きな問題で、私が申し上げるよりも連合の皆さんにお聞きをいただいた方がいいんですが、これは今日を迎えるに当たって歴史的経緯というものもかなりあって、三号被保険者をつくるときに御主人の保険料をある程度少なくして、そして三号被保険者というものをつくり上げたというような経緯もあるようでございます。そうしたことをどう考えるかというようなこともございますし、だれがこれを負担していくかということもある。
 保険料であれ、税であれ、三号被保険者の皆さん方の分を出していただくということになりますと、年金財源としては非常にプラスになるんです。年間一兆五千億ぐらいふえると私は聞いたと思っています。これはかなりなプラスになるわけで、そうすると、それだけふえれば全体の保険料をどうしたらいいかという話にもまたなってくる話だというふうに思っております。なかなか難しい問題を含んでいる問題ですけれども、ここも決着していかなきゃならない問題だという、問題意識は持っておるということでございます。
○田村議員 伊吹先生からも、このことを再度確認しようという話もありましたので、確認をさせていただきたいと思います。
 要は、最低保障年金と報酬比例年金といいますか、この二つがある。ただ、これは多分一本立てなんだろうと私は認識させていただきます。ですから、これに対する保険料を払っていない場合は、当然のごとく、所得のない方々、少ない方々の所得保障年金、これももらえないということであるのか、それとももらえるということであるのか。これを岡田代表にこの間お聞きさせていただいたときに、岡田代表からお答えがなかった。私は、もらえないというふうに主張されておられるんだろうと思います。これを再度一点確認させていただきたい。
 もしそうであるならば、実は、今も我々と基本的な違いはそうはないなと。あるとすれば、一つは、それは定額制か定率制かという部分。それから、こちらが基礎年金、また民主党さんは所得保障年金と言われておりますが、こちらは全部、一応税が2分の1入るわけですね。民主党さんの場合は、所得の少ない方々に限って全額税になるという話だと思うんですが、ここの割合が2分の1と全額という部分と、所得のある人とない人によって出るか出ないか、ここの違いがある。それからもう一つは、世帯単位なのか、今言われたそれぞれ個人単位なのか、こういう違いがある。
 だから、ここを整理していけば、かなり考え方としては共通認識を持てる、そういうふうに私は改めて感じさせていただきました。
 ただ一点、先ほど枝野先生がおっしゃられた中で、自営業者も所得の低い人たちがいる、これをどうするかという議論は、これは実は私は永遠のテーマで頭を悩ませておるんですが、所得が低いとはどの程度なのか、どの所得なのか、20万なのか10万なのか。
 例えば20万と考えた場合、これは月々です、ボーナスありませんから。20万と考えた場合、言われておられる15%という保険料、もしそれがそのままだったら、そのまま掛けた数字、これは3万ですよ。3万というのは、実は国民年金の保険料よりも高いんです。もらえる金額がどうなのか。これは具体的な話がわからない。多分、民主党案というのは、所得の多い人たちに厳しくて低い人たちに優しいと思いますから、もちろん、国民年金の6万6,000円よりは多くもらえるんだと思うんですが、3万に対して幾らもらえるか。
 また、所得の多い方々の所得代替率は今の政府案よりもぐっと低くなるはずなんです。それは幾らなのか。ここがまだ具体的にお教えいただかないものでありますから、今の現行案との比べようがまずない。こういうものもぜひとも出していただければ、いろいろな対照の中でどちらがいいのかという議論が、どういう方法がある、中間をとるという方法もあるかもわかりません、こういうことが考えられるのではないのかな。
 一方で、所得のない方々を本当にどうするのか。ここは実は哲学の部分がかなり入ってまいりまして、それを所得保障年金で最低金額は守ってあげるという考え方なのか、それとも所得のない方々をそこまで見るのが本当にいいのかどうか。これは哲学なんだと思います。つまり、高齢者の今の生活保護にいかれておる方々が、これはミーンズテストも受けて、本当に所得がないから、国民の貴重な税金をそこから出して、この方々をお助けさせていただいていると考えているのであります。
 民主党案でいくとするならば、全員が入ったと仮定して、全員が入れるというのは、歳入庁を使えば100%保険料をとれますよ、これはできるかできないか別にしまして、多分そういう考え方なんだと思うんですが、そうであるとするならば、この場合は、その後の老齢者になってからの所得や資産、こういうものがあっても、実はこの年金制度で、生活保護のかわりに、一定金額はどうぞ自由にお使いくださいとお渡しされるお金になるんだと思います。ここの考え方をどう整理するのか。
 こういう細かい部分を詰めていけば、かなりの深まった議論がこれからできるのではないのかなと思いますので、ぜひともこれからそういう議論をさせていただければありがたい。よろしくお願いいたします。
○山本議員 要は、おっしゃっているように、基礎年金の財源をいかに確保するかということと、所得比例年金とどう組み合わせるかということで、皆さん御発言の中でいろいろな姿があるんだというふうに思います。
 私は、きょう申し上げたのは、定額の保険料がまず問題であるという共通認識に立てるならば、その定額の保険料をどう変えるかということだと思います。
 そのときに、例えば段階保険料もあるじゃないかと申し上げましたし、所得比例の保険料ということもできるんじゃないかというふうに丹羽先生もおっしゃる。あるいは、消費税という考え方もありますね。企業が負担している部分をどうするか、外形標準課税のようなものもありますね。いろいろな形の、どう組み合わせるかという問題であって、単一、全部消費税でなければいけないかどうかというのは、それはいろいろな議論ですねと。ここも皆さんで御議論し合えばいいんじゃないでしょうか。
 ただ、今の定額保険料はやはりまずいんじゃないかという認識に立てるかどうかだというふうに思ったわけです。先ほど中島先生に申し上げたのは、そういう共通認識がどこまでまず深められるかということを一つ一つ確認したらどうだろうということを申し上げているわけです。
 自民党の皆さんがおっしゃる、年金を払えない人をどうするかとか、所得のない人をどうするかというこの発想は、社会保険制度を前提とした立論の立て方なんですね。それでは救えない人はいっぱいいるわけです。
 ニートの人たちをどうするかとかおっしゃるんだけれども、この国で暮らしている限りすべての人は何らかの貢献をしている人だ、したがって、老後の生活の一定給付は受ける権利があるというふうに私は考えます。だから、それは社会保険方式じゃなくて、きっちり税方式で、一定部分は保障するべきじゃないだろうかということを申し上げているわけです。
 被扶養者という考え方をどうするかということなんですが、介護保険のときも、あるいは国民年金がスタートしたときも、個人単位でスタートしておりますので、被扶養という考え方はないんですね。ですけれども、社会保障制度を見ておりますと、この被扶養、世帯単位にどんどん戻りつつあるというのが今の姿で、残念ながら、私は、やはりせっかくやり始めたのだから個人単位を目指すべきじゃないだろうか、理念的にはそう思っております。
 私たちが提示したのは一制度二給付なんです。したがって、未納、未加入は出ないという前提でこの制度をどう設計していくか。そのときに、今おっしゃっておられる社会保険庁の改革問題で、私たちは歳入庁の設置ということを申し上げたわけだけれども、企業が賃金を払うときに、源泉徴収して所得税を取る、同様に、この二階部分の社会保険料を徴収することは可能である。納税のあるなしにかかわらず、所得のある人はすべて申告するというような形のことを考えていくべきではないのだろうかなというふうに私は思っております。
 田村さんはいつも数字、数字とおっしゃるのだけれども、これはちょっと乱暴な言い方かもしれないけれども、政治家としては、どういう制度に改革していくべきかということをまず考える。それについて数字を入れるのは厚生労働省の仕事だと私は思います。そのときに、こういう形にしたらどうだろうといろいろな形を、一番いい制度はこうだということを考えるところにあるのであって、もちろん、こちら、大まかな数字は提起はしますけれども、最終的には、制度設計を、数字を入れられるのはやはり厚生労働省のお仕事だろうと私は思います。
○井上議員 まず、小宮山さんから御指摘がございました。その前に、読めばわかるというようなことではこの議論は成り立たないので、やはり国民に理解されるようにこの場できちっと議論し合うことは非常に大事だと思います。特に、田村さんの御指摘は私もそのとおりだと思っているので、別な機会で結構でございますから、ぜひ答えていただければと思います。
 まず、第三号被保険者の件、先ほど坂口さんからもお話がございました。私は、専業主婦が優遇されているのじゃないかという誤解を指摘したわけであって、この制度がいいということを言ったことは一度もございません。私は個人的には、やはり個人化すべきだろうというふうに思っていますけれども、ただ、それに当たっては、現行の給付制度というのもありますし、負担の問題もありますし、かなり慎重な議論が必要だろうということを指摘したのであって、現状がいいというふうに言ったことはございませんので、ぜひ誤解のないようにお願いしたい、こう思います。
 それから、峰崎さんからお話がございました。一つは、これも、未納、未加入がふえるとまじめに払っている人の負担がふえる、あるいはサラリーマンの負担がふえるということについての誤解を誤解として申し上げたのであって、財政的にはそういうことは生じないような仕組みになっているということでございます。
 ただ、冒頭の発言の中でも指摘しましたように、未納、未加入は将来の無年金者に結果としてはつながるわけですから、そこの対策をどうするかということはしっかり取り組まなければいけないということを指摘したのであって、先ほどのような言いぶりは極めて心外でございます。
 それからもう一点、何か所得に違いがあるというふうにおっしゃいまして、私は、所得に違いがあるとは言っていません。これは負担と給付の関係ですから、自営業者の皆さんにも今の被用者年金の皆さんと同じような負担と給付の制度を適用する場合には、事業所得と給与所得については、これは所得捕捉の問題だけではなくて、例えば控除のあり方も基本的に違うわけですから、そこを踏まえて、同じ給付と負担との関係でコンセンサスが得られるかどうかということをきちっと検討しなければいけない、こういうことを申し上げたわけで、所得に違いがあると言ったわけじゃございません。そこのところもぜひ誤解のないようにお願いしたいと思います。
○柳澤議員 私、先ほど佐々木憲昭議員の方からメンションがありました私どもの研究会の論点整理、これについて若干説明しておきたい、こう思って、挙手というか挙札をさせていただきました。
 私どもの考え方というのは、研究会の使命が財政改革ということでしたので、すぐれて財政の観点から問題を見たということが大前提でございました。そして、なぜその中で消費税というものについて、ほかも取り上げていますけれども、ある一定の方向を考えて論点としたかということでございますけれども、これは三つほど理由があったということで申し上げておきたいと思います。
 それは一つは、その前の政府の骨太の方針について、我々、いろいろな論議をしたわけですけれども、社会保障の伸びについて一定のキャップを考えるというような、必ずしもそれが原案としてもそのとおりであったかどうかはともかくとして、そういうことが大変な論議を呼びまして、そういう考え方は直接とらないということで一応の決着を見たわけであります。そのときに、私ども、財政の方から考えたときに、確かに伸びについて、特に毎年度のGDPというようなものにリンクをさせていくというのは適当でないだろうということでございました。
 しかし、そもそも社会保障全体の経費、そこに回すべき財源が、日本経済の持っている経済力と何の関係もないということは絶対あり得ない、これは根っこからの話でございます。そういう意味で、それでは根っこからの経済力をはかるメルクマールとして、やはり一つ消費税というのはあるかもしれない。そういうことで、社会保障と消費税というものを一つのテーマとして考えていた、これが反映したということでございます。
 二つ目は、これは後でちょっと申し上げますけれども、年金の財源として消費税というものを具体的に考えた税制改正大綱の検討項目というのを我々は持っています。それに対しては、政府税調の石さんなんかもこれについてちょっとメンションしていますけれども、消費税の引き上げというものを一つ年金の財源だけで考えられたのでは困ります、これはやはり財政再建と一緒に視野に置いて考えてもらわなきゃ困りますというような発言もあります。
 これに対して、そういう面は確かにあるのではないかというようなことで、局限して、あの税制改正大綱でうたったような消費税の引き上げというものを、すぐれて基礎年金の二分の一の国庫負担増のところにだけリンクさせて考えていかれるということに対しては、やはりここはもうちょっと広い視野を持つべきではないかということを言っておかなければならないんじゃないか。これが二点目の論点。
 それから三点目は、年金のことに関係するわけでございますけれども、これは今、我々の研究会では、津島顧問それから伊吹顧問でございます。こういう方がちゃんと入っておりますので、また、私のような相当の年配の者が座長をしているわけですから、決して若手の無責任な論議というふうには受けとめていただきたくないわけでございますけれども、いずれにせよ、この問題についても……(発言する者あり)いやいや、ちょっと待ってくださいよ。
 それで、これも伊吹さんのようにいきなり四分の三にしようというような意見もあるし、津島さん、税制調査会長として仕切った二分の一という考え方もあるということです。それで、民主党のように、全額だけれども高額者は外すというような考え方もある。このあたりのことについても私どもはよくよく考えてみないといけないぞということがございます。
 加えて、やはり年金については、社会保険方式というものについて、これを完全に捨て去れるものかどうか。報酬比例部分については当然考えるわけですが、基礎年金と言われる部分についても本当に捨て去れるものかどうかということについて実はございまして、それらの三点ぐらいの問題意識から、あそこに今言ったような、先生御案内のような表現を加えたということでございます。
○与謝野会長 それでは、時間も参りましたので、本日の自由討議は終了することにいたします。

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