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金融(銀行・保険・証券), その他 (郵政民営化)

2005年10月07日 第163回 特別国会 郵政民営化特別委員会 【325】 - 質問

郵政民営化「半数の国民が支持しなかった」と小泉総理に質問

 2005年10月7日郵政民営化特別委員会で、佐々木憲昭議員は小泉総理や竹中大臣に質問しました。

 小泉総理は、参議院で郵政民営化法案が否決された後、郵政民営化に賛成か反対か国民に聞きたいと、衆議院を解散し、総選挙を行いました。国民の判断を仰ぐ以上、正確な事実をきちんと説明をするというのがフェアなやり方です。
 小泉総理は、郵政公社の職員について「行財政改革のために公務員を減らさなければならない、郵政事業の公務員は民間人にすべきだ」と言ってきました。
 佐々木議員は「果たして、フェアなやり方だったか」と問い、「郵政公社の公務員を民間人にしたら、それで幾ら税金が節約されるか」と質問。
 小泉総理は、「幾らとは、数字はわかりませんけれども、見えない国民負担がある」と答弁。
 これに対し、佐々木議員は「直接税金は入っていない。郵政事業は独立採算制で、政府も認めている」事を明らかにしました。さらに、郵政公社の職員には税金は1円も入っていないと、パネルで示し、「税金が入っていないのに、あたかも、税金が入っているかのようなイメージを振りまいてきた」と指摘しました。
 また、選挙の結果、議席の上では、自民・公明が過半数を占めましたが、得票率は、小選挙区では、与党と賛成派無所属が49%、野党と反対派無所属などは51%でした。
 佐々木議員は「『国民投票』だとしたら、郵政民営化は『否決された』と言えるのではないか」と質問。
 これに対して、小泉総理は「比例とあわせると多い」「制度だから仕方ないんですよ」などと開き直りました。
 佐々木議員は、比例には反対派の無所属候補が出ていない事、小選挙区に、「刺客」を立て、国民にたいして民営化に「賛成か反対か、意見を聞きたい」と言って選挙をやった結果が49%だった事を指摘。自民党が、小選挙区で4割台の得票にもかかわらず、7割台の議席を得たのは、小選挙区制度のカラクリがあったからで「小選挙区制度が民意をゆがめた、いわば虚構の多数派だ」と主張しました。

 次に、佐々木議員は、なぜ国民の半数が郵政民営化法案を支持しなかったかという問題について質問。総理自身も所信表明演説でのべているとおり、国民の中に「民営化によって郵便局がなくなるのではないか、郵便局で貯金や保険を扱わなくなるのではないかという不安」があるからであり「その根拠は、法案そのものの中にある」と指摘。
 現在の郵政公社では、すべての郵便局に郵貯・簡保のサービスをあまねく提供する義務があり、郵便貯金にも「あまねく公平に利用させる」という義務づけがあります。
 ところが、提案されている民営化法案は、郵便局にも、郵便銀行や簡易保険会社にも、ユニバーサルサービスの義務づけはありません。
 佐々木議員は、パネルを示し「義務づけはされていない。これは、法律上、事実か」と質問。
 竹中郵政民営化担当大臣は「郵貯、簡保の義務づけをしていないというのは事実でございます」と認めました。その一方「民営化する以上、国の義務づけは行わない。サービスが継続できるような制度設計をしている」と答弁。
 佐々木議員は「サービスが行き届くような設計をしていると言うなら、なぜ、はっきり義務づけをすると書かないのか」「結局、個々の郵便局で扱うかどうかは、経営判断になる」と指摘。義務づけがなければ、経営者の判断で、ここは採算がとれない、赤字だから、切り捨ててもいいんだという判断も成り立つ事になります。佐々木議員は「政府案では、郵便貯金、簡易保険の義務づけがなくなる。これが国民の不安を法律上招いている」と指摘しました。
 国民が不安を感じること、不利益だということを国民が要求するわけはありません。佐々木議員は金融のユニバーサルサービスを廃止する事を要求したのはアメリカである事を指摘しました。

 最後に、佐々木議員は「この法案は直ちに廃案にするしかない」と主張して質問を終わりました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 小泉総理は、参議院で郵政民営化法案が否決された後、この民営化に賛成か反対か国民に聞きたいということで、衆議院を解散し、総選挙を行いました。国民の判断を仰ぐ以上、正確な事実をきちんと説明をするというのがフェアなやり方だと思うわけです。果たして、そうだったか。
 例えば郵政公社の職員について、小泉総理はこう説明をされました。行財政改革のために公務員を減らさなければならない、郵政事業には26万人もいる、警察官は25万人、自衛隊は24万人だ、外務省職員は6千人にすぎない、だから郵政事業の公務員は民間人にすべきだ、こう言われてきたと思うんです。
 そこでお聞きしますけれども、郵政公社の公務員を民間人にしたら、それで幾ら税金が節約されるんでしょうか、総理。
○小泉 内閣総理大臣 幾らとは、数字はわかりませんけれども、まず、民営化することによって公務員の身分ではなくなるということによって、これは今まで郵便局の事業で、その収入によって給料は払われていたわけでありますけれども、それは特殊法人等にも使われていた。特殊法人等で赤字が出れば、それは税金で負担しなきゃならない。本来、郵便局がいわゆるもとの融資事故だとすれば、特殊法人等のいわゆる不良債権というものに対する処理というのは、郵便貯金していたとか、あるいは簡易保険入っていたとか、一体で財政投融資から考えれば、そっちに負担を回さなきゃならないんだけれども、それはやはり政府保証ですから、それはできません。そこで、税金で補てんしていたわけですね。
 なおかつ、公営ですから、法人税等を免除されています。こういう点は見えない負担ですね。本来、民営化されていれば、民間の会社になっていれば、そういう負担はしないんですよ。そういう見えない負担ということになれば、私は、公務員がやっている限りは税の免除もある、あるいは郵便貯金から財政投融資から特殊法人、全体の問題があるからこそ、これを民間に開放すべきだと言っているわけでありまして、直接税金で郵便局の職員の給料が支払われていないように見えるけれども、これは政府保証があるんですから、いかなる場合にも何かあった場合には税金で補てんせざるを得ないということでございます。
○佐々木(憲)委員 直接税金が入っていないかのように見えるとおっしゃいましたが、直接税金は入っていないんです。郵政事業というのは独立採算制で、これはもう皆さんお認めになっているとおり。
 ですから、公務員とおっしゃいますけれども、郵政公社26万人、これは税金はここに直接入っていないんです。警察官25万人、自衛隊24万人、外務省職員6千人と総理おっしゃいました。その数は、税金がこのように入っております。しかし、郵政公社の職員には税金は1円も入っていない。これはもうこれまでもお認めになった点であります。
 それを民間人にすると。民間人にするから、何かあたかも、税金が入っていないのに税金が入っているかのようなイメージで、そうすれば、要するに財政が助かる、そういうイメージを振りまいてきた。
 つまり、郵政事業、まず独立採算制だ、これはお認めになりますね。独立採算制であると。郵政事業は独立採算制なんですよ。竹中さん、そうでしょう。これはもう今までおっしゃったとおり。
○小泉 内閣総理大臣 それは、郵便事業だけを見れば独立採算制でありますけれども、郵貯、簡保一緒なんです、郵政というのは。その資金がなきゃ運営できないんです。全部特殊法人につながっているんです。一見、税金払っていないようだけれども、特殊法人等入っているところについては、郵政の国営事業がある限りずっとつながっているんですから、財政投融資と。だから、結局、その赤字の部分は税金で補てんせざるを得ないんです、背景を考えると。そして、法人税も払わないでいいんです。そういう面において、見えない国民負担があるということにおいて、これは全然間違っていることじゃないんです。
○佐々木(憲)委員 それはかなり無理ですね、その説明は。郵政事業は独立採算制で、そこに税金は1円も入っていない。これは政府自身が、竹中さんが6日の本会議の答弁で、郵政事業は独立採算で経営されておりまして、税金は投入されておりません、このようにはっきりおっしゃった。ですから、その郵政事業が民営化、職員が一般人になっても、つまり公務員じゃなくて民間人になっても、そこに税金は入っていないんですから、何の節約にもならない。
 だから、そういうことを意識的に言わないというのは、それは作戦だったと思うんですね。そういうところに税金が入っていないということを言わずに、ともかく民営化すれば小さな政府になると。結局、税金がそこに入っていないということを言わないでやるものですから、何かそれをやると節約になるかのような、これは全く事実と違う。
 法人税が払われていないと言うけれども、そういう仕組みなんですから、もともと。何もそれは見えざる負担とかいうふうに、見えざる負担なんというのは、別に見えないわけですから。実際に見えないんだから、払っていないんだから、負担じゃないんです、それは。負担じゃないんです。そういう仕組みになっているんだから。そうでしょう。
 結局、こういう事実を語らないで選挙をやった。結果として、議席の上では自民、公明が過半数を占めた。肝心なのは得票だ。小選挙区では、与党と賛成派の無所属が49%、民営化法案に対してですね。野党と反対派無所属、これは51%。郵政民営化法案についての国民投票だったとしたら、これは賛成49%、反対51%、民営化は否決されたんじゃありませんか。
○小泉 内閣総理大臣 これは、郵政民営化が最大の争点でありますけれども、同時に、小泉内閣4年余にわたる今までの成果、実績とこれからの方針、含んでいる選挙だと思っております。
 そして、選挙制度において、今小選挙区で、たしか比例の票を入れると多いんじゃないですか。比例の自民党と公明党票、比例を足すと多い、全部の政党よりも。
 だから、それぞれの選挙制度において、第一位が当選するんですから。その第一位が過半数をとらないとそれは民意ではないと言ったら、市長とか知事、どうなっちゃうんですか。比較一党で、そうして選挙制度で比較の第一党が当選するという制度になっているんですから。(発言する者あり)今回は、国民投票でなくて解散・総選挙です。最大の争点が郵政民営化賛成か反対かなんです。そこで結果的に議席で、賛成の候補者の自民党、公明党候補に国民が圧倒的多数をやったから、みんな一位かそこらで入って、圧勝させてくれたわけです。
 ですから、これが民主主義じゃないと言ったら、総意思じゃないと言ったら、イギリスだって、票は多くても、議席で少なかったら政権はとれないんです。大統領選挙においても、国民投票で票は多くても、選挙人の数が少なかったら大統領になれないんです。
 そこで、今回の選挙制度におきましても、常に一位が当選するのは事実でありますが、過半数をとれなきゃ当選できないという制度じゃないんです。一番大事なことは議席なんです。議席で今野党が多くなれば、こっちの席に座っているんですよ。国民は、議席で、圧倒的多数の議席を自民党、公明党に与えて、政権。これはもう制度だから仕方ないんですよ、そういう選挙なんですから。
○佐々木(憲)委員 比例代表も含めても、決して賛成派が圧勝したと言えないですよ。反対派の無所属候補は比例代表には出ていないですからね。
 問題は小選挙区の方ですよ。小選挙区の方にいわば刺客を立てて、国民に郵政民営化法案に賛成か反対か意見を聞きたいと。つまり、そこで賛否を問うたわけです。なぜ49%の得票なのに多数を占めるか。それは、小選挙区という制度の問題点がここにあるわけです。
 例えば、3人の候補者が立っていた。賛成は1人だった、反対が2人いた。賛成の人は40%をとった、反対の2人はそれぞれ30%をとった。こういう場合は40%でも通るわけです。60%の反対という国民の意思はそこで無視される。これが小選挙区制の特徴なんです。つまり、国民投票でいえば、6割が反対しても全く逆の人が通っていく、こういう形になるわけですね。
 ですから、こういう選挙制度の特徴というものが民意をゆがめた、そういう形で、いわば虚構の多数派だ、こういうふうにはっきりと言わなければならない。
 だから、例えば東京新聞の社説もこう書いているんですよ。「自公合わせても小選挙区で5割を切り、比例ですら5割そこそこ。この事実を勝者も敗者も銘記すべし」「国民の支持率よりもはるかに水ぶくれした3分の2勢力と強腰の首相が、国民支持を錯覚して独裁に陥らないことを願わずにいられません。」私はこのとおりだと思うんです。
 国民に、先ほどのように、独立採算、そして職員に税金が入っていないという真実を語らず、選挙制度のからくりで多数を占める。だからといって、民営化法案が国民に支持されたというふうにはならないということを私は指摘しているわけであります。
 では、なぜ国民の半数が郵政民営化法案を支持しなかったか。それは、総理自身も所信表明演説で言われているように、民営化によって郵便局がなくなるのではないか、郵便局で貯金や保険を扱わなくなるのではないかという不安があるから。その根拠は、やはり法案そのものの中に私はあると思います。だから、総理は法案の中身についても本当に説明してきたのかということが問われるわけです。
 国民は、郵便局というのはどこでも貯金それから簡保を扱っていると思っているわけですね。それは一体どうなのか。
 法案をこういうふうに整理してみますと、今、郵政公社では、現在の郵便局、これは、郵貯、簡保、郵便、すべてあまねく提供するという義務があります。郵便貯金にも、あまねく公平に利用される、こういう義務づけがあります。
 ところが、提案されている民営化法案は、郵便局にも、郵便銀行や簡易保険会社にも、このようなユニバーサルサービスの義務づけはないわけです。ここにありますように、義務づけはされていない。これは、法律上、事実ですね。
○竹中 郵政民営化担当大臣 法律上、郵貯、簡保の義務づけをしていないというのは事実でございます。これは金融である。私たちはまず民営化しようというふうに考えているわけでありますので、金融を民営化する以上、国家の関与を排さなければいけない。したがって、その裏返しとして国の義務づけは行わない。しかし、結果としてその利便が国民にしっかりと行き届くように、長期の代理店契約でありますとか基金でありますとか、さまざまな工夫をして、結果としてそうしたサービスが継続できるような制度設計をしているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 結果としてそのサービスが行き届くような設計をしていると言うけれども、法律上義務づけがないんですから、これは行き届かないんですよ。
 では、それが行き届くと言うなら、はっきり義務づけをすると書いたらどうですか。なぜ書かないんですか。
○竹中 郵政民営化担当大臣 私たちは民営化をするんです。厳しい経済状況の変化の中で、民営化してこれを乗り切っていこうという強い意思を持って民営化を行います。民間企業にする以上、国の義務づけはできるだけ小さくしなければならない、そのような中で、そのような意思で制度設計をしております。
○佐々木(憲)委員 結局、郵便局で簡保と貯金を扱わなければならないという義務がない。個々の郵便局で扱うかどうかは、これは経営判断になる、こういうことですね。
 そうなると結局どういう結果になるかというと、もうからないところも一緒につなぐ金融ネットワーク、それをつくることも可能だ。つまり、すべての国民にあまねくそういうサービスを行うという、そこも可能である。しかし、もうかるところだけつないでネットワークをつくるということも可能になる。経営者もいろいろですから、経営者によってそういうことをやる。つまり、国民のサービスを十分に保障しなくてももうかるところだけやればいい、そういうことになるんじゃありませんか。
○竹中 郵政民営化担当大臣 私たちはそういうことにはならないというふうに考えております。それは、郵便局の2万4千のネットワークには、ネットワークとしての価値、ネットワークバリューがあるというふうに考えるからでございます。
 例えばクロネコヤマトをとってみても、ヤマトもネットワークですから、クロネコヤマトの営業所一つ一つを見ると3分の1は赤字なわけです。しかし、そこに経営者があらわれて、黒字のところだけ残して赤字のところを排除するか。これは全体としてのネットワークの価値があるから、そういうことはしないわけであります。経営者もいろいろでありますが、正しい判断をする経営者であるならば、そのような判断をするというふうに考える。
 しかし、それでも万が一にもネットワークの価値が低下するようなところが過疎地の最前線で出てくると困るから、そのときのために基金を設けて、しっかりとそうした地域貢献のサービスとして事業を続けられるようにしよう、そういうような制度設計にしております。
○佐々木(憲)委員 これは義務づけなければ、こういう今までの公社のようにきちっと法的な義務づけがなければ、これは経営者の判断ですから、それはしないと言っても、あなたが今勝手に思っているだけの話で、実際の経営になったら、ここは採算がとれない、赤字だからこれはいいんだ、切り捨ててもいいんだ、こういう判断も成り立つわけです。
 私が言っているのは、金融のユニバーサルサービス、一体これはどうなるかということです。郵便局がなくなるという可能性もある。しかし、残った郵便局に行って貯金をしようとしても、この郵便局では扱っておりませんからどうぞお帰りください、こういうことも発生し得るということであります。
 実際にドイツは、民営化後、3分の1の1万2千の郵便局、この1万2千の中で9千しか金融サービスをやっていないんです。4分の1に当たる3千の郵便局では扱わない。日本でいったら、6千の郵便局が郵貯、簡保を扱わなくなるのと同じであります。そういう危険性があるんじゃありませんか。
○竹中 郵政民営化担当大臣 ドイツの銀行、ポストバンクは、たしか資金規模9兆円ぐらいの銀行であったと思います。2百数十兆の郵貯とは経営の規模ないしは社会における存在感が根本的に違うわけでありますので、これはドイツのポストバンクと比べるのは適切ではないというふうに思います。
 日本は、現状でも5百程度郵貯を取り扱っていないところはございますけれども、我々は、地域の中で、地域貢献として、ほかの金融機関も地域にはない、どうしてもここでやらなければいけない、郵便局でやっていただかなければいけない、しかしネットワークの価値が低下して困ったというような場合、そういう万々が一の場合に備えて基金まで用意をしまして、しっかりと必要な地域には必要な金融サービスが提供されるというような仕組みをつくっております。
○佐々木(憲)委員 ドイツの場合は、規模の問題を言いましたけれども、規模の問題じゃないんです。規模が大きかったら完全で、小さかったらやらない、こんな話じゃないんです。つまり、義務づけがあるかないかということで一番決定的な違いが出てくるわけですね。
 それから、基金の話をしましたけれども、基金を幾ら置いても、問題は、存在している郵便局がその郵便局で郵貯、簡保、これをやるかどうか、これは義務づけがないわけですから。したがって、郵便局があっても郵貯、簡保をやらないというところだって出てくる。
 こういうふうに、今の政府の案でいいますと、義務づけがなくなる郵便貯金、簡易保険、これが国民の不安というものを法律上招いているわけですよ。法案上こういう形になっているということなんですね。何でこんなことをするのか。私は、国民は決してこんなことを望んでいない、こんな法案をつくってくれと言っていないと思うんです。一体だれの要求なんだと。
 ここに昨年の11月に出された日米財界人会議の共同声明がある。何と書いてあるか。郵貯、簡保が日本人一般にユニバーサルサービスを提供し続ける必要はなく、本来的には廃止されるべきである、こう書いてあるんです。
 つまり、国民が不安を感じること、不利益だということを国民が要求するわけはないわけであって、結局、要求したのはアメリカで、金融のユニバーサルサービスをなくす、こういうことで、いわば、アメリカと同じ、まあ総理はアメリカと違うんだと言いますが、結果的にアメリカの言うとおりになっているんじゃないですか。
 ですから私は、これは国民の不安をただただ広げるだけであって、こんな郵政民営化の法案というのは廃案しかない、こういうふうに思うわけであります。
 アメリカがこのような主張をしてきた、このことは事実だということはお認めになりますか。
○竹中 郵政民営化担当大臣 まず、先ほどドイツのポストバンクの規模、9兆円程度と思うと申し上げましたが、最新のデータでは11兆円程度でございます。
 アメリカの関係でございますが、アメリカは、いろいろな形でいろいろなことを議論しているということは承知しております。できるだけ透明な形で議論をしてくれ、民間とのイコールフッティングを重視してくれ。しかし、これは決してアメリカだけが言っているわけではなくて、国会の中でも与野党、先生方皆さん言っておられるし、新聞の社説でもみんな言っていることであります。
 しかし、その中でアメリカが保険について例えば言っておられること、具体的に言っておられることとしては、完全な民有民営が実現するまで、つまり、10年の移行期間を経過するまでは新たな新商品の販売を認めるなというふうにアメリカは言っておるわけでございますけれども、これは、我々の制度設計はもうその点において全く異なっているわけです。私たちは、公社の業務の範囲から出発をして、できるだけ早く経営の自由度を持っていただいて、民営化委員会の意見も聞きながら新規の業務も認めていくということでありますから、アメリカの言いなりとかそういうことは、もうその一点を見てもこれは全く違う。
 そもそも私たちは、アメリカの意見を聞いて民営化をしているのではなく、小泉総理はアメリカが要求するはるか、はるか以前から民営化を主張してこられたわけでございます。
○佐々木(憲)委員 アメリカが言うはるか以前からと盛んに言いますけれども、その法案を作成する過程あるいは基本方針をつくる過程、ここでアメリカの節々の意見というものが反映しているわけです。
 例えば、昨年8月に開かれた保険協議ですね。ここでアメリカが主張した点、その後内閣の設計図には米国が勧告していた内容を盛り込ませた、こういうふうにアメリカ自身が、我々の要求が通ったんだ、盛り込んだ、こういうふうに言っているわけでありまして、いろいろな意見があると言いますけれども、基本的にはアメリカと日本の金融資本の要望に沿って今回つくられた法案だということは明らかであります。
 したがって、我々はこういう法案は直ちに廃案にするしかない、このことを主張して、質問を終わります。

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