2006年02月17日 第164回 通常国会 予算委員会≪金融ライブドア問題集中審議≫ 【333】 - 質問
ライブドア問題集中審議「小泉内閣は規制緩和でマネーゲームを助長し、その代表人物を衆議院に送り込もうとした」と批判 <午前>
2月17日、予算委員会で、金融ライブドア問題等についての集中審議が午前と午後に分けておこなわれ、佐々木憲昭議員は、午前の質疑で竹中大臣、二階大臣らに質問しました。
竹中大臣は、法の隙間をぬうような行為をする人物だと知りながら、無所属で出た堀江候補を応援しました。
しかも、異例の力の入れようでした。そもそも、現職の大臣が、公示日に自民党の候補者ではなく無所属の候補を応援に行くというのは、常識では考えられないことです。
そのうえ「私とホリエモンさんと小泉さんと3人で改革をやるんです」と、天まで持ち上げました。
二階大臣は、昨年8月15日夜、自民党総務局長として、武部幹事長と一緒に東京・六本木ヒルズで堀江氏に会い、出馬を要請したと報道されています。
佐々木議員が、「昨年8月15日に自民党の武部幹事長と二階総務局長(当時)が堀江氏に出馬要請をしたのは、誰の発案か」と聞いたのに対して、二階大臣は「武部幹事長に誘われた」と述べました。この答弁で、武部幹事長が主導した堀江氏擁立だったことが明らかになりました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
まず、与謝野大臣に基本的な認識をお聞きしたいと思います。
ライブドア問題については、私は二つ問題があると思います。一つは、偽計を用い、風説を流布し、不当に株価をつり上げたこと、これは明確な法違反であり、法に基づいてきちっと処罰を行うという性格のものであります。もう一つは、法のすき間をついた、ある意味ではルール違反の行為を行ったこと、これはよくないことであって規制をする。
このように、二つ分けて問題を整理すべきだと思いますが、与謝野大臣、どのようにお考えでしょうか。
○与謝野 金融担当大臣 風説の流布、偽計については、今、事件が進行中でございますので、証券取引法違反の事件としての処理がなされておりますので、コメントはできないわけでございますが、捜査・司法当局は、そう提起した以上、それだけの法的な根拠また証拠に基づいて行っているものと私は推察をしております。
昨年のニッポン放送株をめぐりますToSTNeTを利用した取引でございますけれども、その当時、私は、党の方におりましてこの取引を眺めておりましたが、こういう取引というのは普通のことなのかな、どうなのかなということを実は疑問に思っておりました。しかし、その後、地裁、高裁と裁判所の判断が出まして、直ちに違法とは言えないという御判断だったと思いますが、まあそれはそれでしようがないと、それなりに私自身、納得をいたしましたが、党の政調会長をしておりましたので、やはり法改正が必要だという認識を強く持ちまして、党の担当の方々と御相談をしながら、自民党としても法改正の方向に進んだわけでございます。
○佐々木(憲)委員 竹中大臣にお聞きします。
確かに、解散・総選挙の時点では堀江氏が法律を犯していたということについてはわからなかった、それはそうだろうと思います。しかし、法のすき間をついてあのような行為を行う、つまり、時間外取引を悪用してニッポン放送株を大量に取得する、あるいは株式を百分割する、こういう堀江容疑者が行っていた一連の行為については、これはその時点では真っ当な行為だ、そういう認識でおられたんでしょうか。
○竹中 総務大臣 現実の問題としまして、市場が日進月歩の中で、いわゆるなかなか白黒つけがたいグレーゾーン的なものが大変広がっているという認識を持っております。
そういう中で、今問われている堀江氏の行動がどうだったのかということにつきましては、これはいろいろな評価があると思います。私自身、それがどのようなものであったかというのは、にわかに判断をしかねているところでございます。そういう点も含めて、いろいろな部分を見抜けなかったということに関しては、その不明に関しては、反省すべきは反省するというふうに申し上げているところでございます。
○佐々木(憲)委員 昨年の2月18日、衆議院予算委員会で竹中大臣は、ライブドアによるニッポン放送株の大量取得に関連をして、こう言っているんですね。「ルールを無視してとか、ルールのすき間を縫ってとか、そういうことであってはいけない」、こういう答弁をされているんです。
つまり、やってはいけない行為をする、そういう人物だという認識はあったと思うんですが、いかがですか。
○竹中 総務大臣 その答弁は、一般論として、法の趣旨にのっとってやる必要があるというようなことの御答弁をさせていただいたんだと思いますが、先ほども申し上げましたように、事実の問題として、ライブドアが行っていたことについて、私自身、それがどのようなものであったかということは、なかなか判定しがたいと思っていたということでございます。
○佐々木(憲)委員 しかし、先ほど与謝野大臣がお答えになったように、このような、いわば法のすき間といいますか、違法すれすれのこういうやり方をすることを防がなければならない、そのために法律を改正しなければならないと、証券取引法の改正を昨年3月に政府が提案して行いましたね。この証取法改正は、竹中大臣は署名をされたんじゃないんですか。
○竹中 総務大臣 証取法はほとんど毎年のようにいろいろ改正されて、事実がどんどんどんどん変化していきますから、それに対して、行政が市場の変化に対して一生懸命後を追っかけているという状況ではないかと思います。そういったものに対して、3月のものということでございますから、当然私は署名をさせていただいております。
○佐々木(憲)委員 つまり、法の不備がある、法の不備があるから、それを是正しなければならないと。
何でこのようなことをやったか。確認をしておきますが、与謝野大臣、この証取法の3月の改正、その改正の理由、ここをはっきり言ってください。
○与謝野 金融担当大臣 TOBのルールというのは、ある種のゲームのルールと申しますか、きちんとした、TOBをやるのであればきちんとルールを守る、そういう厳格なものであるはずなわけです。
それから一方、市場で取引をしてほしいという要請は、株主あるいは投資家だれしもが、売るチャンス、買うチャンスというものを平等に持てるようにしなければならないということがありまして、そういう意味では、あらかじめ示し合わせている、この件について言っているわけじゃないですよ、一般的に申し上げて、あらかじめ示し合わせていて、あたかも市場内取引のように装うということは、やはり法の精神には全くかなっていない、そう思います。
したがいまして、確かにあの時点では、裁判所が言われるように、直ちに違法とは言えないという御判断がありましたけれども、やはり法によって補う必要があるという御判断をみんながされたというふうに私は理解しております。
○佐々木(憲)委員 竹中大臣の先ほどの御答弁のように、法案を署名して国会に提出されているわけですから、何のために出したかというのは当然御承知のはずで、もちろんその分野の専門家でもありますから。つまり、法のすき間をついてこういうことをやるというのを防ぐという、そのために法案を出されて成立をされたわけであります。すき間をいわば埋めたわけですね。
したがって、この堀江前社長はすき間を縫うような行為をしていた、これは法律を改正して防がなければならないような行為をしていたという認識は当然あったわけであります。
そういうことを知りながら、無所属で出た堀江候補を応援した。しかも、これは異常な力の入れ方だったと私は思います。なぜかといいますと、現職の大臣ですから。現職の大臣が公示日に自民党の候補者の応援ではなくて無所属の候補者の応援に行く、これは常識では考えられないことであります。その上、私とホリエモンさんと小泉さんと3人で改革をやるんですと。まあ街頭演説とはいいながら、天まで持ち上げた。これは事実ですね。
○竹中 総務大臣 あの選挙は、郵政民営化に賛成か反対かという非常に大きな内閣の命運をかけた選挙でございました。私たちは郵政民営化を何としても実現したいというふうに思っておりまして、そのような意気込みで、郵政民営化賛成の候補を力いっぱい応援をさせていただきました。
選挙の応援でございますから、その場では、候補者に対する期待を含めまして、そのような応援をしっかりとさせていただいたと思っております。
○佐々木(憲)委員 これは認めたわけですが。
二階大臣、あなたは8月15日の夜、自民党総務局長として武部幹事長と一緒に東京・六本木ヒルズで堀江氏に会って出馬を要請したと言われていますが、事実ですか。
○二階 経済産業大臣 8月15日であったかどうかは記憶にありませんが、武部幹事長とともに堀江氏の事務所で面接をしたということは事実でありますが、立候補を特に要請したという思いはありません。
○佐々木(憲)委員 そのことが堀江容疑者の立候補の決意につながっていったことは事実であります。
堀江容疑者は昨年3月、ある新聞でこう言っているんです。邪道かどうかは関係ない、ずるいと言われても合法だったら許される、こういうふうなことを言って、違法すれすれのことをやるのは当たり前という態度であります。
竹中大臣が応援をしていたまさにその時期にライブドアの株価が急上昇をして、事実上、お墨つきを大臣が与えたようなものですからね。そして、違法事件が摘発された後、急落、暴落をした。多くの皆さんが、二十何万人と言われる株主が莫大な損害をこうむったわけであります。
しかも、堀江氏は、こういうことを言っているんですね。下積みの苦労が人間を鍛えるなんてうそだ、将来格差が開いたってエリートに食べさせてもらえばいい、こういう庶民を見下すようなことを平然と言う人物であります。それを、立候補を促し、無所属で立候補したとはいいながら竹中大臣が応援した、自民党挙げて応援をする、こういうやり方をした責任というのは、極めて重大であったというふうに私は思います。
この点を指摘して、この質問は終わります。