憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【07.01.18】偽装請負の日本経団連会長が『悪いのは法律』とはあきれる名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2007年1月18日
ホワイトカラーの一部を、残業代の支払い対象から外す「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」の導入が検討されています。
これが実行されると、1日8時間、週40時間の規制が撤廃され、時間規制がなくなるため、どれだけ働いても残業代は一切支払われなくなります。
これは、現在の労働法制を根本から覆すものであり、絶対に認めるわけにはいきません。
「年収が相当程度高い」ことが要件だとされていますが、日本経団連は「年収400万円以上」とするよう求めています。こうなると、カットされる残業代は1人あたり平均で140万円、サービス残業代を含めると総額11.6兆円にのぼります(労働総研試算)。
青木豊厚労省労働基準局長は、国会答弁で「日米投資イニシアティブ、日本経団連、在日米国商工会議所が要望している」とはっきりと認めました。
その後、安倍首相は、その法案の国会提出を断念したと報道されました。安倍さんは、「働く人たち、国民の理解が不可欠だ。今の段階では理解を得られていない」と述べたそうです。
柳沢厚生労働大臣は、「制度への誤解がある」としてきましたが、制度の中身が明らかになればなるほど反発の声は強まりました。
それでなくとも、30〜40代の労働者は3人に1人が月80時間以上残業し、残業代もまともに払われていないのに、それを野放しにしておいて「自由な働き方」と言っても誰も納得できるはずがありません。
元旦に発表された日本経団連の「希望の国、日本」、いわゆる「御手洗ビジョン」によると、労働分野では、労働者派遣や請負労働のいっそうの規制緩和を提言し、ホワイトカラーエグゼンプションの推進など、労働法制の根本的な転換を求めています。
このことに関連して思い出すのは、偽装請負を告発されたキヤノン会長の御手洗氏(日本経団連会長)が、「請負法制に無理がありすぎる」「これをぜひもう一度見直してほしい」と発言していたことです(昨年の10月18日に公表された経済財政諮問会議の議事録による)。
法を犯しておいて、「法律の方が悪いから変えろ」というのですから、あきれてしまいます。それを、経団連の方針として正面から押しつけようとしているのです。
日本経団連は、あくまでもホワイトカラー・エグゼンプションの導入に固執しています。政府がほんとうに提出を断念するのか、まだまだ予断を許しません。