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憲昭からの発信

憲昭からの発信 − 寄稿文

【04.03.11】『お年寄りには増税、増益の大企業には減税』でいいのか!!名タイ

「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2004年3月11日


 上場企業の3月期の決算は、経常利益で20%増と予想されているそうです。
 たしかにそれは、輸出に支えられた大手企業が活況を呈したことによるものでしょう。これら大手の企業業績では、V字型の回復が見られます。
 しかし、その利益の源泉はどこにあるのでしょう。それは、労働者の人員削減・賃金の抑制、下請け単価の切り下げなど、労働者・勤労市民へのしわ寄せと裏腹の関係にあるのではないでしょうか。端的に言えば、家計を犠牲にした「回復」です。
 実態はどうでしょうか。総務省の「家計調査報告」によると、この3年間で、勤労者世帯の家計収入は、43万円もマイナスになっています。明らかな減少です。
 しかし、私の質問に、小泉総理も谷垣財務大臣も「企業の利益回復が家計に波及していない」と述べるにとどまりました。

 国民の多くは、生活のために貯蓄を取り崩さざるを得なくなっています。日銀の「家計の金融資産に関する世論調査」(2003年版)によりますと、昨年、貯蓄が減った世帯は51%にものぼっています。
 貯蓄を取り崩してしまい、貯蓄がまったくなった世帯は22%に急増しています。じつに、5軒に1軒が“貯蓄ゼロ”なのです。
 私は、予算委員会で「貯蓄が減った理由は何だと思いますか」と、小泉総理にききました。小泉さんは「それは収入が減ったからでしょう」と答えました。それ自体は、間違っていません。日銀の調査でも、「貯蓄を取り崩した理由」でいちばん多いのが、「定期的な収入が減った」ことにあると答えているからです。
 しかし、その原因を小泉さんはどうみているのでしょう。他人事としか感じていないのではないでしょうか。
 私は、庶民の生活がこのように厳しいときこそ、暮らしをどう応援するかが、政治の基本姿勢として大事だと思うのです。

 現在、参議院にまわっている予算案は、まったく逆を向いているのではないでしょうか。
 税金に限ってみても、65歳以上の高齢者に対して、老年者控除の廃止や公的年金等控除の縮小をおこない、お年寄りに負担を負わせるものになっています。これだけで、地方税をあわせて3800億円の負担増になります。
 さらに自民・公明の与党は、所得税の定率減税も廃止することを決めており、これで3兆3000億円もの増税になります。昨年決められた国民への増税分もあわせると、5兆円もの増税になるのです。
 それだけにとどまりません。これから年金の負担増と給付減の法案も出されます。

 ところが、もうけている大企業にたいしては、さらに大幅な減税がおこなわれるのです。たとえば、欠損金の繰越期間を、現行の5年から7年に延ばされることで、1270億円もの減税、連結付加税が期限どおり廃止されることで650億円の減税です。昨年からの大企業向け先行減税分をあわせると、大企業にたいしては、ほんとうにいたれりつくせりです。
 苦しんでいるお年寄りには増税、利益を増やしている大企業には減税をおこなう。
 ――こんなやり方は、根本的に間違っていると思いませんか。

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