奮戦記
【14.10.18】「カジノ賭博」解禁よりギャンブル依存症対策こそ必要
安倍内閣は「カジノ賭博解禁」に熱心ですが、博打(バクチ)で経済が成長するはずがありません。それよりも、厚労省の調査でも540万人と推計されている「ギャンブル依存症」対策こそ急がなければなりません。
ギャンブル依存症の実態がどれほど深刻なものか。その影響は、政府のなかにも現れています。ひとつの例を挙げましょう。
昨年6月20日、在コンゴ民主共和国日本大使館事務所で放火事件がありました。
衝撃的なのは、外務省の職員が犯人だったということです。外務省は、在コンゴ日本大使館三等書記官を放火と公金横領で告発しました。
先日の内閣委員の質問(10月15日)で、私が「横領した公金はいくらか」と外務省に聞くと、外務省の上月豊久官房長は「25万8,637ドル、および21万600コンゴフラン」で「日本円にして約2200万円」と答えました。
「そのカネを何に使ったのか、外務省は把握しているか」と聞くと、この職員が「カジノ通いのために公金を横領し、これを隠ぺいするために放火したと認識している」と答えました。
この外務省職員は、「現地のカジノで遊ぶ姿が同僚らに目撃されるなど金遣いの荒さが目立っていた」(「産経」13年12月3日付)とも報道されています。
被害は、2200万円を横領しただけではありません。放火で焼けた大使館の部屋や机など物的損害もあります。その他、事務所全体の損害賠償金が請求される可能性がある。いったい総額いくらの損失になるのでしょうか。
外務省は、部屋や机などの物的損害は約500万円としていますが、損害賠償金がいくらか確定していないので「今の段階では言えない」としています。しかし、志水在外大使館課長は、総額で億単位の可能性も否定できないと発言しています。(2013年12月2日記者会見)
なぜ、こんなことになったのでしょうか。精神科医で作家の帚木蓬生(ははきぎほうせい)氏は、こう言っています。
「病的ギャンブラーは、ギャンブルでつくった借金はギャンブルで勝って返すという、妄想じみた不合理思考に支配されています。…本人は、「今度こそ」と思い続けて、いよいよ深みに落ちていきます。そして、どうにもならなくなったとき、一挙に逆転の決意で犯罪に手を出します。そのとき、善悪の判断基準は二の次になり、目の前の金策が優先されます」と指摘しています。
この外務省職員の放火・横領事件も、その典型的なケースだったのではないでしょうか。
外務省だけでは、ありません。ギャンブルがらみの横領・詐欺・殺人事件は、枚挙にいとまがないのです。
報道されたものの見出しだけを紹介すると、「陸自一佐収賄、借金が数百万円 返済に困り業者に現金要求」。陸上自衛隊の装備品の発注を巡る汚職事件で逮捕された一等陸佐は、パチンコなどのギャンブルでつくった消費者金融への借金が数百万円にのぼっていたと報道されています。
また、「現職警官強盗未遂、懲役7年を求刑」「賭けごと過熱」公金に。「職場に広がる動揺 国保料10億円着服容疑」などなど、ギャンブル依存症は社会に深刻な影響を与えています。
安倍内閣は、このような実態があるにもかかわらず、その対策をまともに行わないまま、ギャンブル依存症をさらに拡大する「カジノ賭博解禁法案」を推進しようとしているのです。こんなことは、絶対に認められません。