奮戦記
【12.05.11】衆議院本会議で代表質問――消費税法案を撤回せよ
今日の衆議院本会議で、消費税増税関連法案の趣旨説明が行われ、私が日本共産党を代表して質問を行いました。その全文は、以下の通りです。
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日本共産党を代表し、消費税増税法案について質問します。
野田総理が、「政治生命をかける」と言って打ち出した消費税増税に、多くの国民が反対しております。
長引く景気低迷や雇用不安、所得の減少などで、生活苦が広がり、「これ以上の消費税増税に耐えられない」というのが庶民の切実な声です。
以下、具体的にお聞きします。
第一は、選挙公約との関係です。
2009年の総選挙で、民主党が掲げたマニフェスト「政権構想5原則5策」および「マニフェスト政策各論55項目」、これらのどこを探しても、「消費税を引き上げる」という公約もありませんし、「消費税増税法案を提出する」という方針も、ありませんでした。
そればかりか民主党は、選挙期間中「消費税は4年間引き上げない」と、繰り返し発言していたのであります。
ところが、民主党が政権について1年以上経過してから、突然、消費税増税法案を提案すると言い始めたのであります。「生活第一」の公約を投げ捨て、法案の成立をはかろうとするのは、明らかに国民に対する裏切り行為でありませんか。答弁を求めます。
連立を組んでいる国民新党はどうか。マニフェストに「消費税は上げない」と、はっきり書いていたのです。ところが自見大臣は、消費税増税法案の閣議決定に署名し、公約を破りました。国民にどう説明するのか、答弁を求めます。
第二は、消費税はもともと最悪の欠陥税制だという点です。
そのひとつは、「逆進性」の問題です。
消費税は、原則としてすべての消費に課税され、食料品などにも例外なく課税されます。そのため、低所得者ほど負担率が高くなる不公平な税制であります。
これは、「生活費に課税しない」という税制の原則を、真っ向から否定する税制だと言わなければなりません。
野田内閣は、「逆進性対策」として、給付付き税額控除や軽減税率の導入を検討しているようですが、一年以上検討しても何も決めることができないのは、逆進性を克服する有効な手段が見あたらないことを示しているのではありませんか。
仮に、これらの対策を実行するにも、大規模な財源が必要となります。それはどこから捻出するのでしょうか。その財源を確保するため、さらに消費税率を引上げるのでしょうか。お答えください。
ふたつ目は、消費税が「転嫁できない」という問題です。
消費税は、最終消費者に負担を求めていますが、事業者に納税義務が課されております。そのため、転嫁できなければ、事業者が自ら身銭を切って負担せざるをえません。
政府が依頼して行った中小企業団体のアンケート調査では、売上の低い中小業者ほど、消費税を転嫁できない実態を浮き彫りにしております。売上高3000万円以下で、7割以上の事業者が「消費税の転嫁が困難になる」と回答しているのです。
はじめのうちは、貯蓄を取り崩して消費税を納税するが、その資金が無くなれば消費税を滞納せざるを得ず、最後には廃業に追い込まれる。これが実態であります。
消費税導入当時も、独禁法などのガイドラインや監視体制の強化に取り組むと言われました。しかし、何も解決しておりません。
野田総理は、「安心して消費税を払っていただく仕組み」を作ると言いますが、安心どころか不安はつのる一方であります。実際に国民の所得と消費は低下し、消費税を転嫁できない事業者は、ますます増え続けているではありませんか。
その影響は、地方の公共交通機関にも及んでおります。国土交通省の資料によれば、消費税増税分を料金に上乗せすれば、乗り合いバスやタクシーなどで乗客が減少し、経営に重大な影響があるとの調査結果が出ているのであります。
地域でただひとつの足となっている公共交通機関が廃止に追い込まれるなら、地域社会が存続の危機に直面するのであります。いったい、どうするつもりでしょうか。
第三に、消費税の大増税が、日本経済を重大な危機に突き落とすという問題です。
消費税10%への大増税で、新たな国民負担が13兆円を超えます。そのうえ政府は、老齢年金・障害者年金の給付削減などを皮切りに、年金の支給開始を68歳、70歳に先延ばしすることも検討しています。
また、医療費の窓口負担を増やしたり、保育への公的責任を放棄する「新システム」を導入するなど、社会保障のあらゆる分野で、高齢者にも、現役世代にも、子どもにも、負担増と給付削減という連続改悪のオンパレードであります。
消費税増税と、年金削減などを含めると年間16兆円、さらに、すでに決められた制度改悪による年金、医療などの保険料引き上げによる負担増を合わせると、年間20兆円もの大負担増になるのであります。
冷え込んだ家計から、これだけ大規模に購買力を奪うのですから、1997年の9兆円負担増と比べても、はるかに大きな衝撃を国民生活と日本経済に及ぼすことは、明らかではありませんか。
政府は、「消費の落ち込みは一時的ですぐに回復する」といいます。
しかし、増税と負担増によって所得と消費を「恒常的に奪う」事実を、なぜ無視するのでしょうか。民間の研究機関も、駆け込み需要と反動減だけではなく、「恒常的な所得の減少を見るべきだ」と指摘しているのです。
消費が冷え込めば、税収全体も落ち込みます。97年に消費税率が5%に引き上げられたとき、景気の冷え込みによって法人税収や所得税収が大きく落ち込みました。国と地方の税収総額は、1996年の90兆円から2010年の76兆円へ、実に14兆円も減ったのであります。
野田総理、あなたは2005年2月の衆院財務金融委員会でこう述べました。「一挙に増税路線に、政府がシフトした後の惨たんたる日本の経済の状況を私も肌をもって感じた」と。そういいながら、なぜ同じ過ちを繰り返すのでしょうか。
消費税増税が引き起こす問題は、枚挙にいとまがありません。これらの問題を放置し、対策も取らず、ただただ増税法案成立にまい進する。こんなことは、政府のすべきことではありません。法案はただちに撤回すべきであります。
その一方で野田内閣は、法人税を国・地方あわせて1兆4000億円も減税するのであります。
いま、中小企業の7割が赤字ですから、その法人税減税の大部分は大企業向けとなります。しかし、大企業に減税しても内部留保が増えるだけで、内需拡大につながらないことは明らかです。
日本共産党は、「社会保障充実と財政危機打開の提言」を発表しました。
ムダ遣いを「聖域」なく一掃する、そのうえで富裕層と大企業に応分の負担をもとめる、これこそが問題解決への道であります。
政府も財界も、日本の法人税率は高いと言いますが、大企業の実際の法人税負担率は、表面税率40%を大幅に下回っており、上位300社の平均をとっても、33%程度にすぎません。なかには、わずか12%、13%、という低い負担率の大企業もあるのです。
それは、大企業にしか使えない優遇税制の仕組みがあるからであります。このさい、研究開発減税や連結納税制度など、大企業向けの優遇税制を見直すべきであります。
政治の姿勢を変えれば、消費税に頼らなくても、社会保障拡充と財政再建への道は開かれるのであります。このことを強調し質問を終わります。
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