奮戦記
【09.11.17】中小企業金融円滑化法案について本会議質問。財金委で質問、議運委で意見表明
衆議院本会議で、中小企業金融円滑化法案について代表質問。財金委で大臣所信に対する質問、議運委で人事官任命につて意見表明をおこないました。
本会議での代表質問の内容は、以下の通りです。────
日本共産党を代表し、議題となりました「中小企業金融円滑化臨時措置法案」について質問します。
中小企業・業者の営業は、年末に向けきわめて深刻な事態となりつつあります。最近の統計では、大企業・中堅企業の倒産は減少基調にありますが、負債5000万円未満の小規模企業の倒産は、なお増加を続けており、「このままでは年を越せない」という悲痛な声があがっています。まず、この現状をどのように受け止めているか、伺いたい。
中小零細業者にとって「資金繰り支援」は、年末を控え、経営の破綻を回避し営業を改善するために、緊急に必要となっています。とりわけ、返済の展望が無いため、新たな融資よりも、返済猶予などの条件変更は、中小零細企業にきわめて有効な支援策となります。
法案の具体的な内容に即して質問します。
まず、「努力義務」だけで改善されるのか、ということであります。
法案では、中小企業および住宅ローンの借り手が、貸し付け条件の変更を申請した場合、金融機関にはできるだけ要請に応じるように努力することが課されております。
法律上「できるだけ」「努める」と、努力義務が設けられたことは一歩前進でありますが、問題はこれだけで金融機関の不誠実な対応が一掃されるかどうかです。このような「努力」規定では強制力が働かないのではありませんか。
10年前の金融危機のさい、公的資金を受けた銀行に対し中小企業向け貸出残高の目標値を定めさせたことがあります。
しかし、実際には大きく目標値を下回る金融機関が続出し、大手行をはじめ一部の銀行に対し行政処分もおこなわれましたが、大きな改善は見られませんでした。この教訓から学ぶなら、少なくとも銀行ごとに数値目標を出させ、改善結果の報告義務を課すべきではありませんか。
また、金融庁は、金融機関が不誠実・不透明な対応した事実を把握した場合、当然、検査・監督において銀行に是正を求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
次に、体制整備と開示義務についてです。
法案では、金融機関に責務を遂行するための体制整備や、実施状況と体制整備状況等の開示を義務化しています。しかし、実効性を持たせるためには、その開示内容や基準、適切な罰則による監督が必要となります。
例えば、条件変更の実施状況だけでなく貸出残高についても開示させ、政府・金融庁が報告事項を公表する際にも、金融機関ごとの実施状況が一見して比較できる形で行うべきであります。金融庁はどのような開示基準を設けるのか、お答えいただきたい。
本法案と同時に予定される検査マニュアル、監督指針の改定の内容も重要です。昨年、緊急保証制度など中小企業向け金融対策が実施されたときも、検査マニュアル等が緩和されました。今回は、具体的にはどのような内容となるのでしょうか。
また、「条件変更対応保証(仮称)」というものが新たに設けられますが、これは、「公的金融機関」を利用していない債務者、つまり銀行からの融資しかない中小企業のみを対象としています。しかし、多くの中小企業、とりわけ零細企業は、公的制度をすでに利用しているため、新しい保証制度の対象になりません。対象とならない事業者こそ、返済猶予の支援を受けたいと考えているのではないでしょうか。なぜ、それを外すのか、説明を求めます。
次に、条件変更を受けた中小企業・業者が、新たな貸し渋りを受けないような対策をとるのかどうかです。
返済猶予などの条件変更をすれば、金融機関は追加融資を避けるようになり、貸し渋りが発生するとの懸念があります。貸付条件の変更が実現したとしても、それを理由に金融機関が貸し渋るようなことはあってはなりません。
そのようなことがあっては、中小企業は積極的に条件変更の要請をできません。一部の優良企業には新しい保証制度で対策がとられますが、多くの中小零細業者にはなんら対策が施されないまま放置されることになります。
亀井金融担当大臣は、ことあるごとに「新たに融資が受けられないようではだめだ」と言われていましたが、今回の制度で、新規融資・追加融資の貸し渋りが起こらぬよう、どのような対策がなされているのか。お答えいただきたい。
民主党は、総選挙の「民主党政策集INDEX2009」で「「特別保証制度」を復活させ保証制度をより使いやすくします」と公約しました。本法案に留まらず、公約どおり「特別保証制度」を復活させれば、追加融資の懸念もなくなるのであります。なぜ、特別保証制度の復活を行わないのでしょうか。
これまで自民党が推し進めてきた構造改革路線は、不良債権の早期処理をテコに、金融機関を統廃合させ、多くの店舗や職員の大胆なリストラを促進させました。
その結果、地方銀行や信金信組などは、中小企業を支えてきた“目利き”の能力が大きく損なわれたといわれています。
また、市場原理主義を中小企業金融にも持ち込む金融検査マニュアルやスコアリングモデルの導入で、中小企業の評価を収益性により判断することが求められました。そのため、地域社会に貢献し雇用を維持してきた中小企業であっても、一時の経営難を理由に倒産・廃業に追い込まれたのであります。
市場原理を持ち込んだ構造改革が、金融機能を弱体化させ、そのうえに、今回の新たな金融危機が中小零細企業を襲ったのであります。もはや、小手先のやり方では金融システムの本来の機能は回復しません。──小泉・竹中「構造改革」路線を転換することが、金融政策にとっても必要だと考えますが、亀井大臣の見解を求め、質問を終わります。
人事官任命についての意見表明については、別の機会にあらためて紹介することにしましょう。
所得税法の消費税増税規定──財務大臣「修正がスジ」と答弁
衆院財務金融委員会で、2011年度からの消費税増税にレールを敷く所得税法の付則104条への認識をただしました。藤井裕久財務相は「修正するのがスジだと思っている」と表明しました。
私は、鳩山由紀夫首相が消費税について、総選挙中「4年間はあげる必要はない」と述べ、3党合意も「(政権担当期間中に)税率引き上げは行わない」としていることを指摘。3月に成立した所得税法付則104条に2年後までに消費税増税法案を国会に提案することが規定されているとして、「4年間は上げないという立場とは矛盾する。修正を考えないのか」と質問しました。
藤井財務大臣の答弁を受けて私は、「(付則に規定された)期限が来る前に、修正を内閣として行うべきだ」と求めました。
また私は、04年に改正(06年4月施行)された保険業法によって自主的な互助会・共済の維持が困難になっている問題について、鳩山首相が「民間の助け合い、互助の精神はなくてはならない」などと述べてきたことを示し、政府の認識をただしました。
亀井静香金融担当相は「問題点を精査して法改正を含めて検討したい」と表明しました。
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