奮戦記
【07.06.29】内閣不信任案―国会最終盤の攻防が続いています
今日も、国会内では、与野党の激しい攻防が続いています。
衆議院本会議では、17時半に内閣不信任案が提出されました。しかし、自民・公明の与党多数によって否決されました。……賛成130票、反対330票でした。
22時30分現在、参議院の本会議が再開されようとしており、参議院の本会議は、明け方まで続くことになるでしょう。
日本共産党石井郁子副委員長の内閣不信任案にたいする賛成討論は、以下の通りです。
私は、日本共産党を代表して安倍内閣不信任決議案に賛成の討論をおこないます。
まず、安倍内閣と自民・公明の与党が、昨日、参院厚生労働委員会において一方的に審議をうちきり、社会保険庁解体・民営化法案と年金特例法案の採決を強行したうえ、本日の参院本会議で強行成立させようとしていることに、断固として抗議するものです。
「消えた年金」問題の実態解明は緒についたばかりではありませんか。一人の被害者もださないための解決策の議論はようやく深まりはじめたばかりです。それなのに、肝心の社会保険庁を解体する法案を強行してしまって、国民の年金受給権を保障するという国の責任をどうして果すのですか。国民の年金不安を助長するだけであります。
さらに、参院内閣委員会で審議中の国家公務員法案について、本会議への「中間報告」をもとめる異例の手法を使って本会議の採決を強行し、与党の数を頼んで、いっきょに成立させようとしています。これは、まさに議会制民主主義破壊の暴挙であり、絶対に許せません。
安倍内閣が成立して九ヶ月、昨年の臨時国会における教育基本法改悪、防衛省・自衛隊法改悪法案の強行採決をはじめ、その国会運営は、横暴きわまるものです。この国会では、補正予算や総予算、さらには国税・地方税法を強行採決し、そのうえ、改憲手続法、米軍再編特措法、教育関連3法、イラク派兵特措法など、いずれも憲法原則にかかわる重大な法案をことごとく、問答無用とばかりに強行採決を繰り返してきました。
これは、わが国の議会政治史上に重大な汚点をのこすものです。国会を、政府の「悪法追認機関」におとしめた安倍内閣は、もはや不信任しかありません。
加えて、政治とカネの問題では、真相解明に背を向け、疑惑にフタをする無責任な態度をとりつづけたことも許されません。
また、女性は子どもを産む機会などと女性蔑視の発言をした柳澤厚生労働大臣をかばいつづけたことも重大です。
今回の「消えた年金」をめぐる問題は、安倍内閣に国政を運営する能力がまったくないことを示したものです。
厚生労働省は、すでに一九九七年「基礎年金番号」制度を導入する過程で、膨大な年金記録が誰のものかわからなくなっていることを具体的に把握していたのであります。にもかかわらず、そのことを国民に知らせず放置し、深刻な事態をまねいたのです。
安倍総理は、すでに昨年末、このことを知っていたのです。それを、今年の2月に公表しながら、何ら手だてをとらず、問題の解決を先送りし、社会保険庁を解体する法案を提出したのであります。さらに、国民的な大問題になってからも、その場限りの後手後手の対応に終始してきたのです。
安倍総理は「一年以内にすべて解決する」「最後の一人まできちんと払う」と強調しますが、これまで管理してきた組織の解体を最優先し人員を削減してしまって、どうして国が責任をもてるのでしょうか。しかも今回の法案は、保険料の流用を恒久化し、国保証をとりあげてまで保険料の徴収を強化することを盛り込んでいるのです。徴収することばかりで、年金の管理運営をどうするのか、どういう業務をどういう形態で民間に委託するのか、肝心なことは、すべて今後の検討に白紙委任しているのであります。これほど無責任なことはありません。
年金問題だけではありません。いま国民は、定率減税の廃止による住民税増税に怒りの声をあげています。九七年の消費税率引き上げ以来の大規模な増税によって、ほとんどの人がこれまでの二倍の負担、高齢者の中には昨年の三倍、四倍もの負担増になる人もいるのです。「暮らしが大変なもとで、これ以上の負担増は中止してほしい」という庶民の悲痛な声が、安倍総理には聞こえませんか。
空前の利益をあげている大企業や大資産家への減税などの優遇をやめ、応分の負担をもとめるべきではありませんか。
また、「再チャレンジ」を掲げながら、低賃金、長時間労働、不安定雇用の拡大という雇用の深刻な事態にはいっさい手をつけず、さらなる雇用の流動化、非正規労働の拡大をすすめ、「ネットカフェ難民」を生み出しています。医師政策の失敗によって全国で地域医療が崩壊の危機におかれ、「医療難民」や「介護難民」など、きわめて深刻です。こうした貧困と格差の拡大に、安倍内閣は何らの具体的手だてもとっていないのであります。
社会的弱者に冷たい政治を続ける安倍内閣は、不信任に値します。
外交政策でも失政はあきらかです。
米国の下院外交委員会が、従軍慰安婦問題で日本政府に公式の謝罪をもとめる決議を採択したことは、安倍外交の深刻な破たんを示すものです。
安倍総理は就任直後に、侵略戦争と植民地支配を反省した村山談話と、従軍慰安婦問題での河野談話の「継承」を内外に表明しました。ところが3月、慰安婦問題で「強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実だ」と答弁し、国際社会からきびしい批判をあびました。
安倍総理の無責任な態度は、侵略戦争を正当化する「靖国派」の本質を露呈したものにほかなりません。この問題についての日本の歴史的責任を明確な形で内外に示せない安倍総理に、日本外交の舵取りは、まかせられません。
さらに重大な問題は、安倍内閣が、閣僚の憲法遵守義務をふみにじり、政権の課題として公然と憲法改悪をすすめる内閣だということです。
この間、海外での米軍戦争支援活動を自衛隊の本来任務に位置づけ、米軍再編によって司令部機能から配置、装備、訓練にいたるすべてで米軍と自衛隊を一体化する日米同盟の強化をおしすすめています。またイラク戦争支持をいまだに反省することなく自衛隊のイラク派兵の2年延長を強行しました。自衛隊の調査保全部隊による違憲違法の国民監視活動も看過することはできません。
安倍総理は、自ら強力な指示をだして、改憲手続法を成立させ、3年後に「改憲の発議」をめざすことを参院選挙公約にかかげました。憲法9条を変えて日本を「海外で戦争する国」につくりかえようとしています。
改憲へとひた走る安倍内閣は、即刻退陣すべきです。
また、「戦後レジームからの脱却」をかかげ、戦後日本が培ってきた国民主権と民主主義、個人の尊厳などを全面否定しようとしていることは重大です。そのもとで改悪教育基本法と教育三法によって、国による管理と統制を強化しようとしています。安倍総理が主導する「教育再生会議」は、教育の現場に混乱を持ち込んでいます。国を愛する態度や規範意識などの徳目を法律に書き込み、学校教育を通じて押し付けるものです。こうした安倍内閣に子どもたちと日本の未来を任せることは到底できません。
以上、安倍内閣不信任に賛成の討論をおわります。
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