奮戦記
【06.06.01】改憲手続法案の質疑が衆院本会議で行われました
今日の衆院本会議で、改憲手続法案について自公与党案と民主党案それぞれの提案理由の説明があり、各党代表からの質問がおこなわれました。
会期末近くになって、戦後初めて、憲法に直接かかわるこんな重大な法案を出してくること自体、論外だと言わなければなりません。
両提案者は、さかんに「憲法改正とは切り離して、この法案の審議を」といいます。
しかし、自民党は新憲法草案を出し、民主党は憲法提言を出し、公明党も秋には改憲案を発表する予定で、改憲と手続き整備が完全につながっていることは明らかです。
日本共産党からは、笠井亮が質問に立ちました。――その内容は、別添の通りです。→このページのいちばん下
岐阜県と愛知県の「きょうされん」の代表から実情を聞き懇談しました
岐阜県と愛知県の「きょうされん」の代表が国会の私の事務所に来られ「小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願書」を受けとりました。
昨年、強行された障害者「自立」支援法によって、この4月からどんなにひどい実態になっているか、訴えをお聞きしました。
障害者自立支援法についての緊急対応策の要請を受けました
参加者から日本共産党国会議員団にたいして、訴えがありました。――「私の施設では応益負担になって、いままでがんばってこれた方たちが給料よりも多くの負担をとられます。そのため、やめたいという人がでています。応益負担はやめてほしい。皆が平等に仕事が出来るようにして下さい」。
小池晃参議院議員、穀田恵二衆議院議員、赤嶺政賢衆議院議員などが参加してお話をお聞きするとともに連帯のあいさつをしました。
憲法改正手続法案についての笠井亮議員の本会議質問
私は、日本共産党を代表して、憲法改正手続法案について、提案者の自民、公明両党ならびに民主党に質問いたします。
今回の憲法改正の手続を定める法案の国会提出は、現憲法制定後、初めてのことであります。これは、憲法第九条を変えて、日本を「海外で戦争をする国」につくりかえる改憲の動きをさらに一歩進める、きわめて重大なものだといわなければなりません。しかも、国の最高法規である憲法にかかわる重要な法案を、会期末に、駆け込みで提出し、審議を推し進めようとするなど論外です。両案ともに、ただちに撤回するよう強く求めるものであります。
いまなぜ、提案者は改憲手続法をつくろうというのでしょうか。
「憲法九六条に改正規定があるのにその手続法がないことは、国民主権をないがしろにするものだ」などといいますが、この六十年、改憲手続法がつくられてこなかったのは、国民が改憲を具体的に必要としてこなかったからであります。手続法がないことで、国民の権利が侵害された事実はどこにもないではありませんか。
この間の世論調査でも、国民は、改憲手続法の制定を国政の重要課題とはみておりません。改憲の焦点となっている九条は、「変えるべきではない」という声が多数です。その九条改憲のための手続法をつくることは、国民の要求に反するものにほかなりません。
「具体的な改憲構想とは切り離して、中立、公正な制度をつくる」といっても、自民党はすでに昨年十一月、「新憲法草案」を正式に決定し、憲法調査会長も、改憲手続法は、「改憲の準備に直結する」と明言しています。民主党は、来年、独自の改憲案をつくると幹事長が発言し、公明党も、加憲案を今年秋に出すとしています。
まさに今回の法案提出は、単なる形式的な手続法づくりではなく、現に進行している改憲案づくりと密接不離に結びついていることは、まぎれもない事実ではありませんか。各党の提案者の見解を求めます。
そこで問題は、各党が、どんな憲法改定をめざそうとしているかであります。
自民党の「新憲法草案」は、戦力不保持、交戦権否認を定めた九条二項を削除し、「自衛軍」の保持と海外での武力行使を可能にする規定を盛り込んでいます。これは、集団的自衛権の行使ができるようにし、アメリカがおこす戦争に参戦し、武力行使を可能にしようということではありませんか。また、「新憲法草案」は、国民に国や社会を守るなど、新たな義務や責務を強要することを盛り込んでいます。これは、国民が国家権力を縛るという人類が到達した立憲主義を否定するものではありませんか。これがどうして、新しい時代の憲法といえるのですか。
民主党は、「党としては改憲するかしないかの決定はしていない」といいますが、昨年十月に発表した「憲法提言」は、「制約された自衛権」、武力行使を含む国連多国籍軍への参加などに触れています。これは結局、党として九条改憲を方向づけているということではありませんか。
公明党も、「一項、二項は残すから九条改憲ではない」と主張していますが、三項を加えて自衛隊の存在と国際貢献のあり方を明記するということは、結局、九条を改憲することになるのではありませんか。以上、各党の答弁を求めます。
憲法九条は、日本が侵略戦争の反省にたって、世界に発した「不戦の宣言」であり、二十一世紀に日本がアジアや世界の諸国とともに平和を築いていくための貴重な指針であります。その九条を改変し、アメリカの先制攻撃の戦争に参戦するために、自衛隊を「戦争のできる軍隊」にし、日本を「戦争をする国」につくりかえるような危険な道を決してとるべきではありません。日本共産党は、憲法を守り、いまこそ、日本の国づくりと平和のために生かすことを強く主張するものであります。
わが党は、憲法改正手続き法をつくること自体に反対ですが、両法案の内容についていえば、最大の問題は、改憲推進勢力にとって改憲案を通しやすい可能なあらゆる仕組みとなっていることであります。加えて、改憲案を議論する常設機関として「憲法審査会」を設置し、この法案と連続的に改憲の流れを推し進めようとするものであります。具体的に三点を質したい。
第一に、国民の自由な意見表明、憲法にかかわる運動を制限している問題です。
与党案は、「公務員及び教育者がその地位を利用して国民投票運動をしてはならない」とし、「買収罪」などの罰則も設けています。規制対象は、全国で約四百万人もの公務員、約百三十万人もの教育者に及びます。これだけ多数の国民、しかも憲法遵守義務を負い、それを宣誓して働いている人々が、憲法改正についての言論・表現活動を萎縮させられるのは異常なことであります。なぜ、このような規制や罰則をかけるのか、明確な答弁を求めます。
民主党案は、国家公務員法などの「政治活動の制限」規定で対処するとしていますが、そもそもこれは、憲法違反の規定であり、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」にも反する規定であります。憲法改正という場面で、なぜ、この規定を適用するのか、お答えいただきたい。
第二は、改憲推進の大キャンペーンができる仕組みの問題です。
国会に設置するとしている広報機関は、改憲に賛成した議員が圧倒的にしめる構成であり、その運営、パンフレット作成など、改憲に賛成した議員が有利に進めることが可能な仕組みです。
また、政党等による無料のテレビ、ラジオのCMや新聞広告は、所属国会議員数を踏まえて配分されるため、改憲に賛成した政党が圧倒的に利用できるものになります。さらにテレビ・ラジオの有料CMも、改憲を推進している資金力のある財界団体などが、買い占めることができる一方、資金力のない国民はメディアから締め出されることになりかねません。
メディア規制は削除したといいますが、これでは、逆にマスメディアを改憲キャンペーンに協力させる仕組みではありませんか。これでどうして、公正・中立な制度といえるのか、両提案者の明確な答弁を求めます。
第三に、改憲案の国民の承認に関する「過半数」の意味についてであります。
与党案は、なぜ、有効投票総数の過半数としたのですか。民主党案は、なぜ、投票総数の過半数としたのですか。また、それぞれ最低投票率を設けなかったのはなぜですか。その根拠について、明確に答えられたい。
与党案では、例えば投票率が五割だった場合、二割台の賛成で改憲案が承認されることにもなりかねません。民主案も同様です。今年三月の岩国市での米艦載機移転の賛否を問う住民投票では、有権者の過半数で反対の意思を形成しました。憲法改正国民投票で、一つの政治問題の賛否を問う住民投票よりハードルを低く設定しているはなぜなのか、これで、国民の意思を汲み尽くすといえるのか。最低限の国民の賛成で、改憲案を通そうという意図があるからではありませんか。
いま、全国では、五千に迫る「九条の会」をはじめ、憲法九条の改悪に反対する広範な運動が、党派を超えて広がっています。いま国会がやるべきは、この願いを踏み躙って改憲をおしすすめることではありません。重ねて、改憲手続き法案の撤回を求めて、質問を終わります。