奮戦記
【04.12.30】津波への対応――情報伝達のシステム整備と心構え
スマトラ島沖の巨大地震で発生した津波は、インド洋沿岸諸国に甚大な被害をもたらし、世界に衝撃を与えました。
7万人以上もの死者が出たことは、ほんとうに胸が痛みます。なぜ、こんなに多数の犠牲者が出たのでしょうか。
ここにきて明らかになったのは、震源から遠く離れた国々では、津波襲来の事前の情報が無かったことです。それが被害を大きくしました。
太平洋での津波の場合は、26の国・地域が参加する太平洋津波警報組織(ITSU)があって、太平洋で大きな地震が発生したときは、ハワイにある米国の太平洋津波警報センターが、津波に関する情報を発することになっています(今日の「しんぶん赤旗」による)。
しかし、今度の地震では地域が違うため機能しませんでした。地震がインド洋で起きたためです。そのため何の情報も発信されなかったのです。
もし、インド洋でも太平洋津波警報組織(ITSU)のような体制がとられていれば、今回のような大惨事は避けられたにちがいありません。
1933年の三陸津波を経験し、津波災害史を研究してきた『哀史・三陸大津波』の著者、山下文男さん(岩手県大船渡市在住)は、「しんぶん赤旗」につぎのように話しているのが印象的です。
――「死者が多かったのは、地震と津波の規模が大きかったことに加え、地震の揺れを感じても、津波災害の経験がない地域だったので、津波を警戒しなかったし、インドやスリランカなどの国々は地震を感じずに津波の不意打ちを受けてしまいました。……
地震があったら、警報をまたずに海岸からはなれるという日ごろからの心構えをもっていなければ、と思います」。
――「津波はとくに災害と災害の間隔が長いので、風化しやすい特徴もあります。小学校からの義務教育で災害教育をぜひおこなってほしいと思っています。
もうひとつ感じるのは、日本の役割として、災害の多いアジア・インド洋沿岸諸国への援助・協力にあたっては、防災についてのシステムづくりなども考慮すべきです。とくにハワイの太平洋津波警報センターのような機関をつくって、津波警戒態勢をインド洋でも実現していくべきでしょう」。