<参考リンク>佐々木憲昭議員の予算委員会での質問(全文)
佐々木議員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
これまでの予算委員会でさまざまな質疑が行われてまいりましたが、とりわけ鈴木宗男議員に関連する外務省の疑惑、鈴木議員自身の疑惑、あるいは国土交通省にかかわる予算ねじ曲げ疑惑、こういうものがありまして、いずれも重大であります。
きょう、私は、防衛庁と鈴木宗男議員の癒着問題を取り上げたいと思います。資料を配ってください。
配付した資料をぜひ見ていただきたいのですけれども、一つは、平成10年、1998年9月2日付の鈴木宗男事務所とのやりとりの記録でございます。時間は11時35分というふうになっておりまして、札幌施設局長が鈴木宗男議員の地元秘書に説明をしたものであります。
資料が添付されておりますね。この説明資料、一番上の書式ですけれども、左上に「札幌防衛施設局書式 12」、こういうふうになっております。
まず確認をしたいのですけれども、これは本物でありますが、防衛庁長官、こういう書類というのは使われていますね。
中谷防衛庁長官 今初めて資料を見させていただきました。
これによりますと、いわゆるレポート用紙にその書式が印字されておりますけれども、これが正式なものかどうか、これは承知をいたしておりません、現在は。
佐々木議員 では、それ、具体的に調べていただきたいと思います。我々は、これは本物であるという確証を持っております。
<トイレットペーパーやゴミ箱も=受注業者を鈴木議員側が了解>
そこで、もう一つ資料を、これは7ページのところにございますけれども、この7ページのところには「案」というのがあります。これは、全く同じ日に防衛施設庁の本庁から鈴木議員に説明した内容でございます。これは、鈴木官房副長官に防衛庁の本庁が説明するためにつくつたものだということでございます。
そこで、もとに戻りまして、何が書かれているかということでありますが、あいさつがあつて、局長、これは米海兵隊実弾射撃訓練の現地対策本部の説明をまずやって、宮野秘書、これは鈴木宗男識員の現地秘者でありますけれども、現地にはどのぐらいの人数が入っているのか、これに対して、90人程度であると。局長は、そこで、局職員の宿泊施設を別紙二で説明をした。その別紙は5ページのところにあります。「宿泊関係資料」五つのホテルがありまして、ここに宿泊をいたしますと、それで、宮野秘書、わかりました、つまり了解しましたと。
局長はさらに、「現地調達の内容を別紙三で説明」をした、「地元で調達できるものは地元で調達している。」と。その資料が6ページのところにございます。現地の調達関係一覧表、仮設トイレ、燃料、ごみ箱、トイレットペーパー、ありとあらゆる細かなことまでここに書いてありまして、数量、業者名、所在地、連絡先、こういうものが書かれたものを持って説明をしているわけでございます。
しかも、御丁寧に最後のところに、「今ご説明した内容は、本日15時30分に施設庁本庁から鈴木副長官にご説明することになっております。」と。その説明が、先ほど「案」というもので示されているものでありまして、その「案」の最後のところを見ますと、これは、直接鈴木官房副長官に説明をした最後にこういうふうに言っている。 「今日、局から地元の宮野秘書に現地対策本部の開設のご挨拶と、この件につきましての状況をお知らせに行っております。」と。
このようにして、つまり防衛庁は、演習の宿泊について、あるいは現地調達について、具体的な説明を現地の秘書、並びに、本庁から官房副長官に説明を行っている、こういう文書であります。
異様なのは、この札幌施設局長がみずから鈴木宗男議員の地元に行って、地元秘書のところに平身低頭で説明に行っていることであります。鈴木宗男秘書がどの業者に行くのかまでしっかりチェックしている。
防衛庁長官にお聞きしますけれども、防衛庁というのは、演習が行われるたびに、宿泊ホテルや発注の内容について関係議員にこういう説明をやるんですか。
中谷防衛庁長官 米軍の転地訓練というか、全国で年に4ヵ所やっておりますけれども、これは地元との条件、約束がありまして、極力地元を使うという上において演習の受け入れをしていただいております。
その際に、いろいろと訓練をしたりする際には、期間中の物資の調達は可能な限り地元で行うことを踏まえて、可能な限り、札幌の防衛施設局及び米軍において、地元演習場の周辺の業者から調達をしているところでございまして、この調達に当たりまして、地元事情に精通している地元自治体の情報を参考にしつつ、局の職員また米軍の責任において業者の選定等を行い、契約をしているわけでございます。
佐々木議員 質問に答えていないじゃないですか。私が聞いているのは、こういうことについて議員に、あるいは、この場合は鈴木官房副長官ですが、一々こういうことを説明に行くんですかということを聞いているんですよ。
中谷防衛庁長官 通常はやらないというふうに思います。
佐々木議員 つまり、通常はやらない異常なことをやっていたということであります。
札幌施設局長は、このホテルの説明だけで不十分と思ったのか、ごみ箱だとかトイレットペーパーについてまで、どの会社に発注するのか、どの業者に発注するか、こういうことまで説明しているんですよ。
説明に対して宮野秘書は、「これらは分っています。」業者は知っているものですと書いてあるじゃないですか。そういうふうに答えている。2ページのところ。つまり、全部関係する業者だということであります。
そして「注」として、「ホテル及び調達協力の説明に対して、注文や意見は秘書からは全くなかった。」と書かれている。全部知っている業者だから、特に意見はないよと。これも重大で、注文や意見があれば聞きましょう、こういう姿勢が極めてはっきり出ているじやありませんか。
総理にひとつお聞きします。
鈴木宗男議員は、参考人質疑のときでも、その後でもそうですけれども、自分は個別業者の選定にかかわったことはないと言ってまいりましたね。しかし、個別業者の選定にこれほど深く、直接かかわっている証拠はないんじゃありませんか。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 いずれ証人喚問が行われると思います。そのとき御本人に聞いていただきたいと思います。
佐々木議員 総理の見解をお聞きしているんですけれども。直接かかわっているということをお認めになりませんか。
小泉内閣総理大臣 私は、本人から聞いていませんし、聞いたこともありませんし、わかりません。
<鈴木議員の側から「ホテルはどうなっている」とアクション>
佐々木議員 それじゃ、この証拠書類で言いましょう。
本庁から鈴木宗男副長官に説明に行ったのは、前の日に、つまり、この「案」を見ていただきたい。この「案」によりますと、「本日お伺いしました用件は、昨日、地引首席と先生の処にお伺いしました際、地元でのホテルの話がありましたので、我々も詳しく承知していなかったため、調べて参りました。また、その他の物品の調達についても状況をお話するためにお伺いに参りました。」こういうふうに説明をされているわけですね。
つまり、これは、一方的に防衛施設庁の側から説明に行ったんじゃないんです。鈴木宗男さんは、その前の日に、ホテルはどうなっているんだ、どこに宿泊するんだ、こういうことを聞かれたので、これは説明に行かなきゃいけないと。つまり、みずからアクションを起こしているわけです。鈴木さん自身が、説明してほしい、ホテルについてはどうなっているんだと、個別案件についてはっきりと鈴木宗男さんからのアクションがあつた。極めて明確であります。
この点はこの資料によっても明らかだと思いますが、それでも総理は、これは鈴木さんとは関係ないという立場ですか。
小泉内閣総理大臣 私は関係ないなんて一言も言ってないでしょう。聞いてくださいと言ったわけですよ。
佐々木議員 それは証人喚問その他の機会もあるでしょうから、本人に聞く機会もあるでしょう。じゃあ証人喚問の範囲に入れるということでやりましょう。
それで、この米海兵隊実弾演習というのは、実は、沖縄で県道百四号線越えの実弾演習の本土への移転、これに関連した大きな問題でありまして、北海道の矢臼別演習場に移転をした、それに関連をした事業であります。
<受注業者から鈴木氏に献金>
問題は、鈴木宗男官房副長官に言われて、一々説明に行っただけではないんです。鈴木さんは、地元の業者に仕事を受注させた上、その業者から献金を受け取っている、これが二番最後の表であります。ここにありますように、品目、業者それから献金、こういうものがここにございます。
つまり、地元の業者に仕事を発注しなさい、調達しなさい、こういうことを個別案件について介入して、その上で、これらの業者からも献金を受け取っている。
だから宮野秘書は、ああ、業者は知っている業者ですよと。こういうふうに答えるのは、防衛庁の予算で仕事をした業者から献金を受けている、そういうことをよく知っているからそういう答えをしているんじゃないか。
防衛庁長官、国民の税金がこういう形で鈴木宗男さんに還流をするという同じような構図がここでも起こっているわけですが、この点についてどのようにお感じでしょうか。
中谷防衛庁長官 個別の物品の納入とか、そういう細々としたところを議員に説明するということは通常ないことでありまして、好ましいことではないというふうに思います。
佐々木議員 極めて異例なことであり、好ましいものでないことはだれが見ても明らかです。税金を食い物にしていると言わざるを得ない。
私、きょう明らかにした文書というのは、防衛庁にこれは当然ある文書だと思うのですね。鈴木さんの関与について、これはこのホテルだとか調達品だけじやない、例えば輸送も含めて関与を示す文書を調査して、これを明らかにしていただきたい。いかがですか。
中谷防衛庁長官 この事実関係も初めて伺いました。また、この文書自体も初めて見る文書でありまして、この文書の真偽、存在も含めましてよく調べてみたいというふうに思います。
<外務省だけでない鈴木氏の関与=全省庁の調査を>
佐々木議員 調べた上でその資料を公表していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
総理にお聞きしますけれども、既に鈴木宗男議員にかかわる疑惑というのは、この外務省だけではありません。国土交通省の問題、あるいは今私が指摘をした防衛庁、防衛施設庁の問題、非常に大きく広がっていると思うのです。全省庁が汚染されているという可能性さえある、こういうことを見ると。これは政府全体の問題でもありますし、また、献金が絡んでいる。つまり、献金が絡んでいるということは、国の予算でいろいろなことが行われる、その行われた結果、仕事をした業界からその税金が一部還流している、こういう構図であります。
献金の問題というのは、直接は総務省の問題でもありますし、こういうことが次々と明らかになっている以上、総理、総理自身の責任で、鈴木さん自身が各省庁にどういうかかわりを持ってきたのか、これをやはり直接調査をし、各省庁が具体的に鈴木さんの関与によってどういうことが、どういう政策がゆがめられたか、あるいはどういうふうに行政がゆがめられたか、こういう点を調査するのは、これは当然だと思うのです。
そういう点で、総理自身が直接指揮をして、総理の責任でやはり全貌を報告させるということが必要だと思います。丸投げで、これはこの省庁に任せるというふうにやるのではなくて、総理自身がやはり調査をし、報告書を出す、そういう姿勢に立つことが大事だと思いますけれども、総理の御見解を伺いたいと思います。
小泉内閣総理大臣 国政にかかわることで問題があるという御指摘があれば、その件について各省庁は必要な資料を提供して、今後の改革に生かすべきだと思います。
佐々木議員 必要な資料を点検し、調査し、それを公表し、そして二度とこういうようなことが起こらないような体制をつくる、これが私は非常に大事だと思います。とりわけ重要なのは、国の予算を使って仕事をした業者から政治献金を受ける、こういう構図が、法的にはさまざまな贈収賄などの疑惑も生み出す構造になっていると思います。
そういう点で、献金のあり方、業界から受け取る、こういうことについては例えば規制をする、やはりそういう点まで踏み込むべきだと思いますが、最後に伺っておきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 献金のあり方、政治資金の調達方法、あるいは公共工事に関する適正な執行の面について、いろいろこれからの改革に生かしていきたいと思います。
佐々木議員 終わります。ありがとうございました。