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佐々木憲昭議員の小泉首相に対する質問(大要)

2002年2月20日・衆院予算委員会

佐々木憲昭議員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 私は、13日の予算委員会で、鈴木議員の対外援助への関与、すなわち北方四島人道援助あるいはアフリカのケニアODAなどに関与し、その事業を受注した企業から政治献金を受けていた、こういう問題について質問をいたしました。

 また、きようの午前中の質疑で、鈴木議員の入札にかかわる疑惑を取り上げました。ここでも、外務省が鈴木議員の介入によって意思決定をねじ曲げられたということが明らかであります。まさに人道援助というものを私物化していると言わざるを得ない、極めて重大な問題だと思うわけです。

<「ムネオ・ハウス」の受注先=鈴木議員が「根室管内に限定しては」>

 午前中に紹介をいたしましたのは、今配付をされている資料でございます。ここには、日付が1999年5月28日、「国後島緊急避難所兼宿泊施設(メモ)」「秘 無期限」となっておりまして「国後島緊急避難所兼宿泊施設の入札公示の内容に関し、鈴木官房副長官を○○が往訪したところ概要次の通り。」こうなっているわけであります。
 この施設は、いわゆるムネオハウスでございます。この内容は大変重大でございまして、「当方」と書いているのは、これは外務省のことでありますが、「六月初頭に道新(※北海道新聞)等に入札説明会の案内を掲載するべく、現在、その内容を詰めているところであるが、一番頭を痛めているのは、入札参加資格のところである。」こうなっているんですね。「とりあえずの支援委員会事務局の考えとしては、道開発局基準でBランク以上という基準を設定すれば道内で約200社が対象企業になることがわかっている」

 こういうふうに言って、こういう考えでおりますよということを鈴木宗男議員に説明をした。

 「先方」というのは、これは鈴木宗男さんのことでございます。何を言っているかというと、「道開発局基準のBランクで該当企業が二百社程度というのは知っている。そもそも二百社もいらないだろう。多すぎる。根室管内には旧島民が多数居住している。いっそのこと地域を北海道内ではなく根室管内に限定してどうか。根室管内にはB以上は何社か?」こういうふうに聞いているわけであります。

 これについて外務省は、「持ちかえって検討させて頂きたい」ということでありますが、「それはやはり根室管内だろう。」ということで、強引な形で根室管内というものを強調されているわけであります。

 二枚目を見ていただければ、外務省当局が非常に困り果てておりまして、「何故、参加資格自体を「根室管内」に限定するのかと詰問された場合等々、事務局としてとても持ちこたえられない」、こういうふうに書かれているわけです。

 「そこで、」ということで、結論として、「以下の案で上げてみることを事務局と共に検討中である。この案のポイントは、入札参加資格は「北海道内」としつつも、施工実績のところで「根室管内において施工実績を十分有する者」として、入札資格審査の段階で実質的に地元の業者が有利なように配慮することである。」こういうふうになっているわけですね。

 結局、こういう計画でいかがでしょうかと鈴木宗男さんのところに案を持っていった。それに対して鈴木宗男さんは、こんなBランクだと二百社もあるから多過ぎる、根室の方に持ってこなきやいけない、地域的に根室管内としろと。しかし、説明がなかなか難しいと、外務省としては。そこで、いろいろな理屈をつくりまして、「施工実績を十分有する者」というようなことで書き入れて、実質的に鈴木宗男さんの言うとおりの公募形態をとる、こういうことがここに書かれているわけであります。この内容は、私は非常に重大だと思うんです。

 外務省が人道支援の入札公示というこんな重大なことを、特定の議員、鈴木宗男議員にわざわざ説明に行っていること、しかも結果が鈴木宗男議員の注文どおりになつていること、特定の議員を交えたそういう会合に外務省が出て、それで、その議員の主張に唯々諾々と外務省が従っている。私は、こんなことは絶対に許されないと思うんですが、総理自身の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 この今の文書を初めて拝見しましたけれども、言われている問題が事実かどうか、よく確認したいと思います。

佐々木議員 これは極めて明確な事実でございますが、午前中の質疑で私は鈴木議員にこの点をお聞きしましたら、鈴木議員はこのようにお答えになりました。

 私は外務省のラインに沿ってやりとりをしていると思っています、私の方から物を言うよりも、外務省の方がこういう基準だとかこういうフレームでいきたいだとかという説明があったやの記憶はありますが、というふうにおっしゃっているんですね。

 つまり、こういうことがあった、そういう記憶があつたと。事実、認めているというふうに私は思うわけであります。

 しかも、もう一つの文書を見ていただきたいんですが、平成十一年一月のロシア支援室の文書でございます。

 この文書は、「平成11年度北方四島住民支援(集会所兼宿泊施設の設置) 設計・施工監理業者(コンサルタント)及び施工業者の選定について」。

 私、重大だと思うのは、この経緯が書かれておりますが、(二)のところで、「右施設の建設に携わる業者について、これまで、鈴木官房副長官より、本件支援の趣旨にも鑑み地元企業を使うことが重要であるとの示唆があり、」こういぅふうに書かれているわけであります。

 つまり、もう既にこういうことが、はっきりと鈴木さんが示唆をしていた、つまり、介入をしていたということがこれで明確になるわけでございます。

 私は、この文書は極めて正確な文書だと思いますけれども、介入があったという事実、これは明白だと思いますが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 ただいま総理もおっしやられましたように、この文書がどういう種類のどういう性格の文書であるかということも含めまして、精査をさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、四島支援問題について、もしも入札の点その他について不適切な点があるということであれば問題だと思いますので、この点につきましては、園部参与にお願いをして、検討を、調査をしていただくということで考えております。

 それから、こういった点について、国民の方の不要な疑惑をお招きすることがないように、透明性を入れていくということは非常に大事なことだと考えております。

<入札・落札したのは一社だけ=極めて異例な公募>

佐々木議員 具体的にお聞きしますけれども、いわゆる国後島の友好の家、通称ムネオ・ハウスでありますが、入札したのはどこでしょうか。落札したのはどこでしょうか。

杉浦副大臣 事務方が参考人として呼ばれておりませんので、私から…(佐々木議員「呼んでいますよ、新事務次官は」と呼ぶ)

津島委員長 杉浦君、答弁してください。

杉浦副大臣 国後島緊急避難所兼宿泊施設、友好の家でございますが、受注者は渡辺建設・犬飼工務店ジョイントベンチャー、JVでございます。(佐々木議員「入札は」と呼ぶ)

 一般競争入札・・・(佐々木委員「いや、入札した会社」と呼ぶ)受注者ですから、ここが受注したんだと。(発言する者あり)入札した会社は、ここには記載されてございません。

佐々木議員 つまり、結局は、北海道全体に新聞に公募をするという形をとった。しかし、実際上、根室管内の、その地域の会社しか受注できないという限定をつけた。

 これは、鈴木宗男さんがそうしなさいと、外務省の案になかったんだけれども、鈴木宗男さんが指示をした結果、そういう形の、先ほども、午前中紹介をしましたけれども、北海道内に本社を有する者であって、気象条件が国後島に近似する根室管内において類似施設の建設工事の施工実績を十分に有する者である、つまり、外務省のこの内部文書で書かれているとおりの公募が、限定的な、極めて異例な公募が行われた。

 何も北海道全体に公募したって、受注できるのは根室しかないんですから、根室管内しか。そういう形で、しかも応募したのはたった一社であります。落札したのも一社であります。

 皆さんにお配りしたこの資料の一番最後を見ていただければわかりますように、根室管内にBランクの会社というのは一社しかないんです。渡辺建設工業。

 ちなみに、下に何か手書きでありますが、根釧地区、根室、釧路地区ということであれば、Bランクだと三社ある。道東ということであれば、Bランクは四社になる。ところが、こういう限定をすると、これは一社しか落ちないということになるわけでありまして、何の競争にもなっていない。これが一般競争入札と言えるんですか。川口大臣、いかがですか。

杉浦副大臣 入札説明会には、落札いたしました渡辺建設、犬飼工務店を含め六社が参加しましたが、結局、入札に参加したのは、渡辺建設・犬飼工務店JVのみでございました。

佐々木議員 ですから、説明会には来ても資格がないんですよ。一社しか資格がなかったということになるわけです。

 ですから、鈴木宗男議員が何をねらって根室管内にしたか、そういぅところに限定したか、Bランクに限定したかといえば、一社しかないから、そこに落ちるように仕掛けをつくったんじやありませんか。もう明らかじゃありませんか。

 それから、もう一つ外務省にお聞きしたいのは鈴木宗男議員がこういう介入をしたことは極めて重大な問題であって、鈴木さんが悪いのは明らかですけれども、それに、つまり、変な人の変な声を、それに唯々諾々と従っている、こういう外務省も問題ですよ。

 大体、自分たちでこんなことを鈴木議員の方に説明に行く、これ自体が重大な問題であります。

 新事務次官にお聞きしますけれども、外務省というのは、入札をやるたびに関係議員に説明に行くんですか。

竹内参考人 私の今まで承知する限りにおいては、そのようなことが通例行われているということはございません。

佐々木議員 じや、この事例というのは極めて異例な事例なんでしょうか。鈴木さんについては特別。なぜ鈴木さんだけに説明に行かれたんでしょうか。

竹内参考人 私はその当時の事情についてつまびらかにしているわけではございません。ただ、その書類を精査するということが必要でございますので、先ほど大臣が申しましたように、いろいろな観点から精査が行われるべきであるというふうに思います。

佐々木議員 これは本当に重大な問題なんですよ。総理は、私の前回の質問に対しまして、個人のお金で寄附したならともかく、対外援助の資金で、そのような、今言われているような形で使われているようだったら、これはよく調査しなきやならぬと。

 つまり、ムネオ・ハウスだとかムネオ号だとかムネオ診療所だとか、国民の税金で、政府のお金で人道支援をやっているのに、俗称とはいいながら、そんな個人名があちこちから出てくるなんというのはおかしいと。しかもその受注した業者から献金がまた回っている。こういう問題について、これはよく調査しなきやならぬというふうにお答えになりました。

 あれから一週間たちましたけれども、どういう調査をされていますでしょうか。

川口国務大臣 園部外務省参与、この方は監察査察の御担当の参与でいらっしゃいますけれども、この方にこの件についての調査をお願いするように指示をいたしまして、そのように伝わっているというふうに理解しています。

佐々木議員 その調査で具体的にどういう問題が発見されましたか。

川口国務大臣 その私が申しました時点で、園部参与は外国にいらっしゃいまして、お帰りになったばかりでいらっしゃるということですので、むしろ、今のところ事務当局でやっていますけれども、園部参与に関係をしていただくのはこれからということになります。

佐々木議員 全然具体的にやっていないじゃないですか。やる気にかれば、外務省にこういう記録があるわけですから、この記録をすぐ調べれば、もうこんなのは一日ですぐできますよ。これに関連するいろいろなやりとりも記録がある。総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 既にこの前の質問におきましても調査するよう指示を出しております。今御指摘の点も含めまして、しっかり調査するように指示を出しておりますので、できるだけ早く結果を御報告できるような体制を整えていきたいと思います。この文書の事実確認も含めて調査をしたいと思います。

<首相のリーダーシップで外務省を調査すべき>

佐々木議員 つまり、外務省というのは、鈴木義員と一体となってこういうことをやっているわけなんですよ。ですから、外務省に対して何とか調査をしなさいと言っても、これは本人なんですから、こういうことをやってきた。その本人が自分の悪い過去の事実を表に出すというのは、これはなかなかやらぬですよ。

 ですから、外務省の中で調査をしても、外務省が調査をしてもだめなんです。外務省を調査しなきやいかぬのです。

 外務省を調査するためには、これはやはり官邸、総理自身がしっかりと指示をして、総理自身がリーダーシップを発揮して、一体どうなっているんだということを究明する。

 今は何かその担当者は外国に行っていてまだ連絡もついてないと、そんなんじゃだめですよ。総理、どうですか。

小泉内閣総理大臣 既に私は外務省に対して、この案件の選定理由、確認する、そして入札が適正であったかどうか、この確認、そして支払いも、これは適正だったか、こういう点を重点的に調査するように指示を出しております。

佐々木議員 日本の外交、あるいは日本の対外援助が一政治家によってゆがめられる、あるいは私物化するということは、私は絶対にあってはならないことだと思うんです。総理がやはり責任を持って調査をするということが必要でもありますし、また同時に、この予算委員会としてもしっかりとした調査をやる必要があるというふうに思います。

 委員長にお願いをしますが、鈴木宗男議員を当委員会の証人として喚問していただきますように要請したいと思います。

津島委員長 理事会で協議をいたします。

佐々木議員 鈴木議員の関与というのは、対外媛助、ODAあるいは人道援助、こういうものに対する介入だけではない。まさにNGOの排除の問題にしても、鈴木議員が関与していたということは、いろいろな形で質疑の中でも明らかになってきたと思うんです。
 これだけ事実が明らかになって、いわば外務省への関与、ODAへの関与、NGOへの関与、関与だらけですよ。

 こういう事実が次々と明らかになっているわけですから、私は、例えばNGOを一つとりましても、この事実経過で、田中前外務大臣の答弁でも極めて見解が、政府の見解と事実関係あるいは田中前大臣の御答弁が全くこれは食い違っております。

 ですから、この政府見解自身も、こういう立場でもう一度見直すというようなことがどうしても必要になってくると思いますけれども、総理の御見解をお聞かせいただきたい。

小泉内閲総理大臣 この政府見解は、当時の大臣であつた田中さんも了解していることでありますので、私は変更する必要はないと思っております。

佐々木議員 田中大臣は、午前中の質疑で、意に沿わないが棒をのむような気持ちで了解したとおっしやっているんです。

 しかも、午前中の質疑でも全く事実が、外務省の見解と田中前大臣の見解は違っている。これはやはり明確にしていかなければならぬというふうに思います。引き続き、当委員会でもその点は明らかにするための対応を求めていきたいと思っております。

<国後島の桟橋改修などでも受注企業が献金>

 私は、13日の委員会で、北方四島人道支援の問題というのを、希望丸、友好丸、これは、はしけとして利用するというものでありました。あるいは、先ほど申しましたように、国後島の友好の家、あるいは三島のプレハブ倉庫、そういう問題を取り上げましたけれども、実はそれにとどまらないんです。

 例えば1998年に行われました国後島の桟橋改修工事というのがございます。

 これを受注した三社のうちの一つの網走の島田建設、この社長は、鈴木議員の政治活動を支援する団体、二十一世紀政策研究会オホーツク支部の代表であります。

 この桟橋修理の受注額は4億5500万円でありますが、これを受注した島田建設、真壁建設、濱谷建設の三社から、鈴木さんは合計3338万4000円の献金を受けております。

 かなりこれは、今いろいろと私は指摘してまいりましたけれども、一番これは金額が大きいんです。

 それだけじやないんです。1999年、平成11年度に色丹島、択捉島、2000年度に国後島に建設されたディーゼル発電施設というのがありますね。これは、施設だけではなく、燃料の供給、これも人道援助で行われました。鈴木議員は、この燃料を供給しているヒシサンという会社から献金を受け取つております。

 結局、こういうことを、事実関係を調べてみますと、やはり、国民の税金で行われる北方四島への人道支援、これを、事業を受注した会社から、鈴木議員に資金が還流している。まさに税金の還流、援助の私物化、こう言う以外にはございません。

 やはりこういう点もきちっとさせていかないと、これは、このままいいかげんな形で、外務省の内部調査で、外務省の中では余りよくわかりませんでしたなんという報告で終わる、こういうわけにはいかない。

 やはり国民監視の中で、一体実態は何だったのか、すべて資料を明らかにして、その責任、そこをはっきりと国民の前に明らかにしていく、これが政府の役割だと思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか。

小泉内閣総理大臣 これは、政治資金等、疑念を持たれないような対策というものもしつかりやっていかなきやならない。また、ODAあるいは政府関係の援助、そういう問題に対して、不正が行われないような監視とか、あるいは評価とか、調査というものをしっかりやっていかなきやならないなと痛感しております。

佐々木議員 私は、この事実解明と同時に大事なことは、国民の税金を使って、例えば公共事業やさまざまな施策が国によって行われますけれども、その事業を受注した企業が特定の政治家に献金をする、こういうシステム自体がやはり問題だったんじやないだろうか。

 やはり我々は、企業・団体献金の全面的な禁止というのを主張しておりますけれども、少なくとも、税金を使って仕事をしている会社からは資金は受け取らない、献金は受け取らない、この程度のことはまずはやるべきじやないでしょうか。総理、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 今回、政治と金の結びつきにいろいろ国民から疑惑を持たれている。そのための防止措置というものをどうしたらいいかということを、今各党それぞれ議論をしていただいているところであります。公共工事に関しましても、こういう不正が行われることがないように、また、政治資金の調達方法に対しましてもどういう方法が適正であるべきかという点を含めまして、この国会で何とか実効性のある対応ができるように懸命に努力をしていきたいと思います。

佐々木議員 以上で、時間が参りましたので私の質問を紛わらせていただきます。ありがとうございました。

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