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佐々木憲昭議員の総括質疑(大要)

衆院予算委員会〔2002年2月13日〕

■アフガン復興支援会議NGO排除問題

〔佐々木憲昭議員〕まず、アフガン復興支援会議から二つのNGO(非政府組織)が排除された問題について聞きたいと思います。

 その前に、NGOに対する総理の認識を確かめたいと思うわけです。

 NGOは、貧困、飢餓、難民、地球環境の悪化、さまざまな問題に対して、その解決に向けて、市民の立場で国境を超えた活動をしている非政府組織です。政府にできないことを、政府と協力しながら対等の立場で活動している。ですから、国際機関やあるいは欧米の政府のパートナーとしての役割を果たしていると高く評価をされているわけですけれども、総理は、NGOについてどのような認識をお持ちか、まず聞きたいと思います。

〔小泉純一郎首相〕政府の組織でもない、企業でもない、そういう中で、いろいろな地域の発展のために力をかそうという意欲にあふれた方々が各分野で活躍されるということは大変頼もしいことでありまして、これからも、いろいろなNGOがあると思います。そういう有益ないいNGOだったならば、日本政府としてもどんどん協力していくべき一つの団体ではないかなと思っております。

<なぜ外務省の言い分しか聞かないのか>

〔佐々木〕そのNGOを一月のアフガン復興支援会議に正式に招待していながら、二つの団体を直前になって排除したということで重大な問題が起こったわけです。

 この過程で(自民党の)鈴木宗男議員の関与があったのかどうかというのが問題となったわけです。先週末、予算委員会の理事会に私も出席しておりましたけれども、この調査結果という文書が発表されました。

 これを見ますと、外務省の言い分を調べたものです。結論は、鈴木議員に言われたり圧力を受けたりしたことはないということでありました。しかし、政府が1月28日の夜、政府見解というものを出しましたけれども、これには、「1月24日の予算委員会における田中外務大臣の答弁と外務省事務当局の答弁との間に相違があるが、政府としては、引き続き関係者の申述等を聴取し、事実関係の確認に努める」、このように書かれているわけです。

 福田官房長官にお聞きしますけれども、片方の当事者である外務省の言い分は確かにお聞きになって、このような調査結果を発表されました。それでは、もう一方の当事者であります田中前外務大臣や、排除された側の大西さんの申述は、いつ聴取されるんでしょうか。

〔福田康夫官房長官〕大臣の方は(調べたか)とおっしゃいますが、これは、国会で答弁されていらっしゃいますので、その答弁が、これは公のものでございますから、これでもって大臣の答えというように理解しております。

 大西氏のことにつきましては、政府の関係ではございませんし、そういうふうな、調べる権限と申しますか、また、大西氏がおしゃべりになったことが真実かどうかということを確認する方法もないということもございますから、私どもは調べておりません。

<国会の答弁の食い違いがあるから究明が必要に>

〔佐々木〕 前外務大臣は国会で答弁をしているから調べる必要はないと(いう)。外務省当局も国会で答弁したじゃないですか。国会で答弁をした二つの見解が全く違った。答弁が違った。だから、その違いについて真実を調べていく。政府見解では、「事実関係の確認に努める」と書いてあるんですよ。外務省の言い分しか聞いていないじゃないですか。

 一方の関係者の田中外務大臣、あるいは大西さんまで調べるのはいいかどうかという問題はあるのかもしれませんけれども、ここで答弁が食い違ったわけですから、もう一人の当事者の田中外務大臣の意見を調べる、聞く。事実関係を究明するというのは当たり前なのです。大体、政府見解で述べたことさえやらない。政府が聞こうとしないわけですから、これはどうにもならぬわけであります。

 委員長、そういう状況ですから、やはりこの委員会で話を聞いて、具体的な事実関係を究明する必要がある。田中前大臣は、呼ばれればいつでも出て真実を述べます、鈴木議員も、自分も話をしたいんだ、こうおっしゃっているわけですから、この問題の究明のために田中前外務大臣、鈴木宗男議員、野上事務次官を参考人として呼んでいただきたい。

〔津島雄二予算委員長〕参考人の問題については、協議をいたしております。

〔福田官房長官〕外務大臣と外務省事務当局との答弁の違いということでありますけれども、その違いというのは、1月24日のやりとりのことなんです。

 特に、1月24日の朝の外務省における田中外務大臣と、外務省の職員との間のやりとりでありますので、その職員、全部で八人、九人だったと思いますけれども、この九人について事情聴取をした。ただ、野上事務次官については国会でも答弁いたしておりますので、これはいたしておりません。この残りの外務省職員についてはすべて申述調書をとっておるわけであります。

<圧力があったのかどうかを明らかにすることが大事>

〔佐々木〕全然説明になっていないじゃないですか。24日の問題ももちろんありますよ。24日だって一方しか聞いていないんだから、これ自体だって問題じゃないですか。しかし、真実は何か、圧力があったのかどうかというのを明らかにすることが大事なんです。


■鈴木宗男議員の海外支援をめぐる疑惑:その1=ロシア・北方四島支援

〔佐々木〕鈴木さんはいろいろ問題がありまして、ロシアとの関係の深さというのはもう周知の事実でございます。実際、先日イワノフ・ロシア外相が来日したときに、森前総理と一緒に、議運委員長をやめたばかりの鈴木宗男議員が同席しております。総理は「今後鈴木議員の影響力は格段に少なくなるでしょう」、こういうふうに答弁をされました。相変わらず、ロシアに対する影響力を持っているということじゃありませんか。

 そこで、外務大臣に(海外)経済援助の手続きの問題についてお聞きをしますが、通常、国と国の間の援助の場合は、相手国政府から正式の要請があって、例えば国際協力事業団(JICA)が事前に調査団を派遣して調査をして、外務省に調査報告書を提出する。それを検討して、閣議決定を行って、相手国政府との交換公文に署名をする。その上で業者の入札が行われるという手続きになると思うんですが、そういう流れだというふうに理解してよろしいですね。

〔川口順子外相〕概略、そういうことかと存じます。

〔佐々木〕1992年(平成四年)から「北方四島」への人道援助という名目の援助が始まっております。これは、これまで総額でいくらの援助が行われましたか。また、この「北方四島」支援というのはどういう手続きを踏んで行われているか、お答えいただきたいと思います。

〔川口外相〕総額でございますけれども、まず、ソ連邦崩壊後、旧ソ連諸国を支援するための国際機関として支援委員会が設立されまして、わが国がその委員会を通じまして平成十三年(2001年)9月までに実施した人道支援でございますが、これが約135億6000万円でございます。

 また、支援委員会以外にも、赤十字国際委員会等を通じまして、平成13年末までの10年間で約75億9000万円の支援を実施いたしております。

 それから、「北方四島」の住民に対しまして、実績値が確定しているところでは、平成十二年度(2000年度)までに約87億8000万円の人道支援を実施いたしております。

〔佐々木〕今私がお聞きしたもう一つは、どういう手続きを踏んでこの支援が行われるかという点であります。

 私が聞いたところ、まず四島住民の代表から支援要請が来る、それが日本政府に伝えられて、その内容を外務省のロシア支援室を中心に検討して、その上で、住民の皆さんにこういうものを贈ります、「贈与証明」というものがつくられる。そして四島住民に渡される。こういうやり方をしていると思うんですが、まずそこを確認しておきたいと思います。

〔斎藤泰雄・外務省欧州局長〕「北方四島」住民支援につきましては、「北方四島」住民から直接外務省のロシア支援室に対しまして支援要請がなされます。これを受けまして、ロシア支援室が要請を検討いたしまして、支援内容を決定しております。

 また、島側に対しまして支援内容を記した「贈与目録」を送付する、また、外務省より在京ロシア大使館に対しまして支援団派遣を口上書にて通報し、在京ロシア大使館から受け入れ回答を得ることでございます。

<「友好丸」はなぜ5カ月間放置されたか>

〔佐々木〕つまり、通常のODA(政府開発援助)と違う形式をとっているわけですね。こういう流れですと、特定の議員の関与の余地というのは非常に大きいわけであります。

 具体的に聞きたいと思います。
 昨年の六月初めに進水式をしました「友好丸」という船があります。これは「北方四島」支援のためにつくられたものでありますが、(下図に写真)この船ですけれども、ところが、これは五カ月間引き取られずに造船会社にいわば放置されていた。
 なぜ五カ月間もこれが放置されたままになっていたんでしょうか。

〔欧州局長〕「友好丸」を受け取ります島側の手続きが遅延したためにおくれたというふうに承知しております。

〔佐々木〕手続きというのは何ですか。まず初めに住民の側から直接要請があるとおっしゃいましたよね。つまり、このように使いたい、このためにこの船が必要ですからよろしくお願いします、こういう要請が来ますよね。それなら、何も調整は必要ないじゃないですか。できたら、「よかった」といって引き取っていけば、すぐそれで使えるじゃないですか。何の調整をやるんですか。おかしいじゃないですか。

〔欧州局長〕私どもといたしましては、迅速な手続きを求めてきておりましたけれども、島側におきまして、免税手続き等の所要の手続きに時間がかかったというふうに承知しております。

〔佐々木〕全然事実と違いますね。
 これは、新聞報道ですけれども、日本側は、(四島)返還に向けた環境整備として、「友好丸」を色丹島(しこたんとう)の港とその沖合の船との連絡手段、はしけとして想定していた。しかし、ロシア側は、色丹―国後島(くなしりとう)間の定期便として活用する、こういう予定であった。

 要するに、ロシア側は定期便として使いたい。しかし、この定期便というのは、こういうものをつくりますと「社会基盤の整備」という範ちゅうに入るために、人道支援から枠の外に出てしまう。だから、日本は、人道支援にするためには、この船ははしけとして使わないと枠に入らない、そういう違いがあったんじゃないですか。

〔欧州局長〕はしけの件でございますが、われわれとしては、島側に対しまして、はしけとして使うという確約をとりまして供与したものです。

<たった2社で競争入札とは−−受注業者は鈴木氏の後援会幹部>

〔佐々木〕だから、確約をとって供給したんでしょう。それまでは食い違っていたんですよ。だから、こういう援助というのはそもそも税金を使うわけですから、最初から何に使うかという目的を明確にして、その上で入札が行われて船が発注される、こういうのが順序でしょう(「逆だって」の声)。この「北方四島」支援というのはそうなっていないじゃないですか。

 平成九年度(1997年度)にも「希望丸」という船がつくられていますが、これも国後島のはしけで、1億395万円の工事費がかかっております。一体、この「友好丸」と「希望丸」、この二つはどこが受注しましたか。どんな入札をやりましたか。

〔欧州局長〕一般競争入札に基づきまして、根室造船という会社が受注してございます。

〔佐々木〕根室造船。しかし、一般競争入札といいますけれども、たった2社しか入札していないんですよ。何が競争ですか。これは随意契約と変わらないじゃないですか、ほとんど。

 問題は、根室造船の社長の河原勝治さんという方がどんな人物かという点でありますが、この人は、鈴木宗男議員の政治活動を支えている「21世紀政策研究会」根室支部の代表であります。ここに選管に出した書類があります。これがその書類ですけれども、根室市の鈴木宗男後援会のこれは幹部なんです。(「なるほど」)

 鈴木宗男議員の後援会の幹部がつくった船じゃないですか。最初から目的がはっきりしていないのに、船だけは先につくる(「とんでもない」)。おかしいじゃないですか。(「自民党いい加減にしろよ」)

 重大なのは、この会社から鈴木宗男議員に献金が行われている。「希望丸」が発注されたのが九七年でありますけれども、ちょうどその前の年の九六年、その後毎年献金が行われて、合わせて240万円。船の発注とこれは密接な関係と言わざるを得ませんね。
 総理に聞きますけれども、こんなことが許されていいのでしょうか。

〔小泉首相〕今突然聞かれて、事実関係、よくわかっていないのですから、それは、今聞かれて、本人にも確かめないでどうだと言うのは、これまた失礼でしょう。

 よく調べて、確かに、今言っているのは初めて聞きましたし、よく調べているなという、感心しながら聞いていましたけれども、疑いのないような、疑念を抱かれないようなODAなり、目的に沿った使われ方をすべきだなと思いながらうかがっていました。

<税金援助の施設が「宗男ハウス」「鈴木宗男診療所」−−行政の私物化だ>

〔佐々木〕この支援そのものが極めて不透明な面が多いのですね。そこに鈴木氏の後援会の会社がかかわって、そこから献金が流れる。人道支援あるいは税金が食い物にされるということじゃないですか、これは。(「そうだ」)

 しかも、やっていることはこれだけじゃありません。国後島に、日本政府4億1685万円を拠出して、「友好の家」というのがつくられているのです。わが党もこれは調査しましたし、国後に行った人からも話を聞きました。この「友好の家」は「ムネオ・ハウス」と呼ばれております(爆笑)。“この家はムネオという有力政治家がつくってくれたんだ”、現地ではそう言っているのですよ。鈴木議員がいかに深く関与しているか、明らかであります。

 この「ムネオ・ハウス」の工事受注者は犬飼工務店、この社長犬飼勝氏は、鈴木宗男中標津(なかしべつ)後援会の会計責任者でございます。ここにその証拠が、選管に出された書類がございます。この後援会幹部からも82万4000円の献金が行われております。

 この「ムネオ・ハウス」には何が書かれているかというと、「鈴木さん、あなたは私たちの友達です」

 (写真を示す、閣僚席も含め場内爆笑、他党議員から「外務大臣笑いごとじゃないぞ」「よくやるな本当に」の声)

 こういうものが書かれております。「ムネオ・ハウス」という家に行くと、こんな横断幕があって、しかも食堂の壁には鈴木宗男議員の写真が飾られている。極めてこれ、異常ですよ。(「何なんだ」「私物化だ」)

 それだけじゃありません。色丹の診療所の所長にお聞きしますと―これは道議会議員がたずねたそうです―“ここは「鈴木宗男診療所」と言われているんだ”、堂々とそうおっしゃっている。94年に贈られた十人乗りの四輪駆動車は「ムネオ号」と言われている。マイクロバスにも、「鈴木さんは友達です」という横断幕が張られている。

 すべて国民の税金でこのような援助が行われているにもかかわらず、何で個人の名前がこんなに出てくるのですか(「そうだ」「はっきりしろ」)。税金の私物化、援助の私物化としか言いようがありませんね。(「税金払え」「そうだ」)

 鈴木宗男議員の関係者が「北方四島」人道支援の仕事を受注して、受注した企業から鈴木宗男議員に献金が行われる、資金が還流する。この六年間で鈴木議員に1882万、大変な金額の献金が流れている。おかしいと思いませんか、これ。これは直ちに調査をして事実を究明して、改める点は改める。当然やるべきだと思いますが、総理、いかがですか。

〔小泉首相〕個人のお金で寄付したならともかく、ODA資金で、そのような、今言われているような形で使われているようだったら、これはよく調査しなきゃいかぬと思っております。

■鈴木宗男議員の海外支援をめぐる疑惑:その2=アフリカODA事業

<アフリカへも大変な関与>

〔佐々木〕鈴木議員は、ロシアだけじゃないんです。アフリカへの関与も大変なものでございまして、ケニアのソンドゥ・ミリウ水力発電所、水力発電事業というのがあります。日本の経済援助の対象となっているようですけれども、この第二期工事は、いまだに円借款、つまりお金のめどが立っておりません。しかも、政府の間で交換公文という契約書も結ばれておりません。ところが、奇妙なことに、工事の入札、発注だけは早々と行われている。

 参議院でわが党の富樫(練三)議員がこの点をただしたところ、川口外務大臣は「入札に関しては、ケニア側が自らの責任において手続きを進めた」という答弁をされましたが、とんでもない答弁だと思うのです。ケニアが単独でやれるような事業ではございません。日本の円借款がなければ、こんな事業はできません。

 なぜ入札と発注のその前にきちんとした手続きを踏まないのか。最初のODAの手続きと全然違う、逆のことをやっているのですから、この点をはっきり答えてください。

〔西田恒夫・外務省経済協力局長〕ケニアのソンドゥ・ミリウの事業につきましては、現在まだ、引き続き政府部内でこの案件を採択するかどうかは検討中でございます。
 それから、ケニア側における入札につきましては、政府としまして正式に本件を取り上げることを決定した上で、JBICのガイドラインに従って改めて審査するということでございます。

〔佐々木〕入札と発注の前に手続きが行われていないのです。その上で、入札だけが、発注だけが進んでいる。私は、これは極めて異常な状態だと思う。ここにも鈴木宗男議員の関与がある。

 鈴木議員は、小渕内閣の官房副長官をしていた当時、平成11年(1999年)8月にケニアを訪問しておりますが、そのときの状況を報告した外務省の公電がここにあります。ここに記録されているのは、鈴木宗男議員の発言なんですね。

 「自分が帰国次第、関係省庁に連絡・指示を行ない、本件プロジェクトへの円借款供与への迅速な検討を進めることを約束する」、こう述べたと書いてあるのです。これは、平成11年8月18日21時10分ケニア発。
 ですから、入札、発注が行われたのは、こういうことがあったから行われたのじゃないですか。この会談の後、外務省は鈴木議員から指示を受けたのじゃありませんか。

〔経済協力局長〕ご質問のとおり、当時、鈴木宗男官房副長官は、政府を代表しましてケニアを訪問し、政府の意見としてただいまの発言をされたということです。したがいまして、戻られてから政府関係機関に検討するようにと言われたことは当然のことと考えております。

〔佐々木〕会談の後、外務省は鈴木議員から指示を受けた、そういうふうに今、事実上おっしゃいましたね。
 このソンドゥ・ミリウ発電所の土木工事を受注した日本企業はどこですか。

〔経済協力局長〕これは国際入札を行いまして、日本の企業が入った国際的な企業連合であったというふうに承知をしております。日本側の企業は鴻池組でございます。

<鈴木議員に唯々諾々と従う外務省>

〔佐々木〕鴻池組の名前が出ましたが、事業を受注したゼネコンのこの鴻池組から鈴木議員に献金が渡っているんですよ。

 アフリカのODA事業受注者から鈴木議員への献金は、鴻池組は4年間で180万円。アフリカのODA事業の受注業者から鈴木議員への献金はこれだけじゃありません。この六年間で、実に11社、696万円が渡っております。これはもう「北方四島」支援と全く同じ構造でありまして、鈴木宗男議員は、この業者の利益を図り、ODAを食い物にしているとしか言いようがありません。

 ここにパネル(上の表)がありますが、これは鈴木議員が議連会長を務めているものであります。16の議連の会長を務めております。これは鈴木議員が自分で走り回って、三年ほど前に一斉に立ち上げたんですよ。ちょうどソンドゥ・ミリウのこの公電の事件のあたりであります。鈴木議員が自分で走って歩いて、結局、20数人がそれぞれ重複して名前を連ねたと言われているんですね。「自民党きってのアフリカ通」だとか「ロシア通」などと言われているけれども、利権まみれじゃないですか。自分がすべての決定権を握っているように圧力をかけて介入し、外務省が唯々諾々と従っている。常識では考えられない、あまりにもこれは異常な世界であります。

 総理、このアフリカ問題についてもきちっとメスを入れるということが大事だと思いますけれども、いかがですか。

〔小泉首相〕そのとおりだと思います。今ご指摘の点を外務省もよく調査して、疑念の持たれないようなODA、それを考えるべきだと思います。

〔佐々木〕私は、これらの疑惑の真相を解明するために、鈴木宗男議員を当委員会で証人喚問するように求めたいと思います。

〔予算委員長〕委員長として、理事会で協議をいたします。

■小泉「構造改革」と不良債権処理

<日本経済は「最悪の状態に悪化」――米マスコミが特集>

〔佐々木〕次に、経済問題についてお聞きをしたい。
 日本経済は大変な事態となっております。もうつるべ落としのように深刻な状況が進んでおりまして、失業も倒産も最悪であります。成長率もマイナス。

 アメリカの『フォーブス』2月18日号ですけれども、「タイムズ・アップ、ジャパン」、「時間切れの日本」という大変ショッキングなタイトルの特集を組んでおります。「日本経済は十二年間の低迷を経て最悪の状態にまで悪化した」、「各種経済指標の落ち込みは、1930年代の世界恐慌を引き起こしたアメリカの状況とよく似ている」と。「構造改革」を掲げる小泉内閣に対してはこう言っている。「内閣発足以来9カ月たっても、彼はレトリック以外にはほとんど実行してこなかった」と断言しております。

 実際、小泉内閣になってから、もうほとんどすべての指標が悪くなりました。国際的にも批判を浴びておりますが、総理に聞きますけれども、こういう批判というのは、今の日本の実態から見て当然の批判だと思うのですけれども、どのようにお考えですか。

〔小泉首相〕私は、その批判には同意できません。着実に「構造改革」が進んでいる。そういう中で、1、2年の低成長は覚悟しながらやっているわけです。確かに、不良債権(処理)を進めろという声と、まあもっと緩やかにしようという声もありますけれども、私は、不良債権処理を進めていかない限りは、日本の経済の再生は成り立ち得ないと。そういう中で、企業の倒産も起こり得ます。失業者の方々も困難に直面しています。

 しかし、この「構造改革」を進めることなくして、私は日本国経済の再生はないと思っていますから、「構造改革」を進めるためのデフレ阻止あるいは金融不安を起こさせないための措置はあわせてしていかなくてはならない。非常に狭い道でありますけれども、この道は、進めていかざるを得ない道だと思っております。

<小泉「改革」で100万人以上の失業者増える>

〔佐々木〕不良債権早期最終処理というのは、小泉内閣が掲げる「構造改革」の中でも中心的なスローガンになっておりますが、こんなことをやりますと大変な失業と倒産が生まれる、デフレを加速するということをわれわれは前から指摘してまいりましたけれども、本当に、現実的に大変な事態になったなというのが実感であります。しかし、総理は、これはあくまでもやるんだと(いう)。

 政府の甘い試算によっても、このことによって新たに60万人の失業者が発生する、政府自身が、失業者がふえるんだと言っているんです。民間の研究所の研究によりますと、この不良債権処理によって新たに100万人以上の失業者が生まれる。われわれの試算でも、20万、30万の倒産が生まれて、100万人以上の失業者が生まれるということになるんです。
 今、2、3年とおっしゃいましたけれども、先がどうなるかわかりませんよ。このまま、どんどんどんどん不況が深刻化しても、総理はあくまでも、それでもやる、こうおっしゃるんですか。

〔小泉首相〕私は、今の状況において、より成長の可能性の高い分野に、また生産性の高い分野に早く必要な資金が回るような改革をする中でのいろいろな痛みでありますので、こういう段階というのは、将来の発展を考えると必要なことではないかと。

 それで、不良債権処理を進めませんと、金融機関においても、あるいは、これから、不良債権が足を引っ張る形になって、元気の出る企業に働いてもらおうという融資ができなくなる、そういう面も考えなきゃいかぬ。確かに失業者はふえています。しかし、そういう中にあっても、今、雇用対策を打っておりますし、なおかつ、新しい雇用も生まれている産業もあります。

 こういう点をよく注視しながら、私は、この改革を進めるための諸施策を講じていく責任があると思っております。

〔佐々木〕新しい分野に資金が回る、そのことが必要だからやるんだ、こうおっしゃいましたけれども、これは全然事実と違うと思うんです。

 資金が回らないのは、金融の機能が低下しているからではありませんよ。今は超金融緩和じゃないですか。ゼロ金利ですよ、ほとんど。じゃぶじゃぶ供給が行われている。しかし、銀行から先に資金が回らない。

 なぜかといえば、政府だって言っているでしょう。内閣府の「経済財政白書」、この中で、「景気悪化は不良債権が減らない理由の一つ」だ、「債務者区分や貸出資産等の査定を厳格化」しているからだ。つまり、銀行から先に回らないのは、景気が悪いから資金需要が減っている、銀行が貸し渋りやっている、貸しはがしやっている、資産査定を厳しくやっているからそうなるんですよ。そこを直さないで、不良債権だからどんどんつぶしてもいいんだ、こんなことで日本経済がよくなるはずありませんよ。

 では、不良債権を処理したら、本当に不良債権が減っているんですか。(大手銀行の)不良債権が、昨年三月、11.7兆円。ではこの9月に減りましたか、いくらになりましたか。数字だけ言ってください。

〔柳沢伯夫金融担当相〕「破たん懸念先」以下の(不良)債権だけ、今、おっしゃられました。それだけで申し上げても、今回、五千億ふえて12兆2千億になっているわけですけれども、これは、オフバランス化(不良債権をバランスシートからはずすこと)をした後ということでございまして、大体5千億ぐらいの増加です。

〔佐々木〕結局、処理をしたのが2.5兆円で、新しく3兆円ふえているんですよ、新規に不良債権が。

 それで、金融庁が出した資料を見てもはっきりしていますね。破たん懸念先以下債権の債務者の業況悪化等による新規発生です。つまり、どんどん実体経済が悪くなっているから不良債権がふえているということなんです。不良債権の早期最終処理ということで処理をどんどんやればやるほど倒産がふえ、失業がふえ、業況が悪くなって、ますます不良債権がふえている。

 悪くなった原因は、政府が不良債権処理を強行して、倒産や失業をふやしたからじゃないですか。この政策によって、どれほど国民が深刻な痛みを押しつけられてきたか。かつてない倒産と失業、ホームレス……。多重債務がふえ、自殺者がふえている。これが今までの小泉内閣がやってきた政策の結果ですよ。

 一方で、銀行にはどんなことをやったか。70兆円の税金投入の枠組みをつくって、30兆円も投入した。10兆円はもう返ってこない。超低金利政策で、銀行に預けたって利子がつかない。国民の懐から10兆円あるいは20兆円、これを取り上げた。大企業の債務を免除した銀行に対しては減税措置を行う。

 こういうことで、大銀行にはもうこれ以上やりようがないほど至れり尽くせりの応援をやっている。それでも不良債権は減らない、景気はますます悪くなる。だから、小泉内閣の政策はもう既に破たんしているんですよ。それにもかかわらず、まだやるんだと、破たんした政策をますます大がかりに広げる。

 ブッシュ大統領が来日するということなんですけれども、公的資金をまた新たに10兆円も15兆円も投入するなんという話がありますけれども、本当にそんな約束するんでしょうか。この点だけお聞きしておきます。

〔柳澤金融担当相〕10兆円はほぼ返ってこないというようなお話をなさいましたけれども、これは銀行にやったものじゃないですね。預金の全額保護のために、預金者にその全額保護をして、ペイオフしないで、預金者の預金を確実に返す、返還する、こういうことのためにやったんです。誤解を生むような表現は、おっしゃらないでいただきたい。それは訂正してください。

〔佐々木〕訂正する必要はありません。
 公的資金を30兆円、29兆円ぐらい投入しました。返ってこないのが10兆円、これは事実ですよ。それがどのように使われたかというのは、それは私は今問題にしているんじゃないんです。税金をそんなに使って不良債権はふえる、国民の懐から利子は取り上げる、こんなやり方をして果たして日本の経済はよくなるのかということを聞いているんですよ。
 総理、新たにまた10兆円、15兆円の公的資金投入という話がありますが、そういう約束はされないんでしょうね。

〔小泉首相〕現時点でそのようなことは必要ないと思っています。デフレ阻止のためには、あらゆる手だてを大胆かつ柔軟に講ずる。金融不安を起こさせない。金融危機を起こさせない。

〔佐々木〕金融不安を起こさせない、そのためには何が必要か。経済全体を活性化させる、そのためには実体経済をしっかりと立て直さなきゃならぬのです。実体経済の半分以上の六割が家計消費、個人消費で支えられているんですから、その部分をどう支援するか、これが今われわれに課された課題であります。

 私どもは、社会保障の充実あるいは雇用不安の解消、消費税の減税、こういうことによって家計をしっかりと応援するという政治こそ日本経済を活性化させる最大の道だ、また、金融不安を起こさせないというようなそういう方向に転換することこそ今求められているんだ、このことを申し上げまして、中林議員に交代をいたします。

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