鈴木議員を偽証で検察に告発=全会一致で議決
衆院予算委員会は9月5日、受託収賄罪で逮捕・起訴された鈴木宗男衆院議員が3月11日の証人喚問で行った証言内容について、同議員を議院証言法違反(偽証)容疑で最高検察庁に告発することを全会一致で議決しました。最高検は同日、告発状を受理しました。
予算委員会が議決した告発状は、証人喚問で鈴木議員がいずれも否定した(1)有力後援企業の島田建設(北海道網走市)からの献金の違法性、(2)同社による私設秘書給与肩代わりの関知、(3)モザンビーク水害の緊急援助隊派遣が延期されたことへの関与――の3点について、「偽証の疑いが極めて濃厚と認められる」としています。
鈴木議員の偽証告発をめぐっては、日本共産党など野党4党が「ムネオハウス」建設工事入札に関する偽証の疑いで、5月10日の予算委に告発を求める動議を提出しましたが、自民、公明、保守の与党3党が「偽証となる判断材料はない。何ももっていない」(自民党)などと述べ、否決していました。また野党4党は、7月22日の予算委員会でも偽証罪の告発を求める緊急動議を提出しましたが、与党3党によって黙殺されています。
今回の偽証告発は、検察からの提起を待っておこなわれたものです。
非公開の秘密会として行われた4日の理事会では、法務省の樋渡利秋刑事局長が、東京地検特捜部の捜査で判明した3点の偽証内容を説明しました。これを受け野党側は、鈴木議員の偽証は指摘の3点にとどまらず、国後島の「ムネオハウス」入札疑惑やディーゼル発電施設建設問題など多くの点で偽証の疑いがあると指摘。これらに対し樋渡局長は、「最高裁の判例では、何か一点について告発があれば証言全体が対象になる」と答え、野党側が指摘してきた偽証内容にも偽証罪が及ぶ可能性があるとの考えを示しました。
理事会には鈴木議員の代理人弁護士が偽証の疑いに反論する上申書を提出しましたが、法務省側は「鈴木議員の関与は明らかであり、立件できる」と説明しました。
これらの結果、予算委員会理事会は、証人喚問の際の証言が偽証である疑いが極めて濃厚になったとして、全会一致で告発することを決定し、翌5日の委員会で議決が行われました。
証人喚問での偽証は「3月以上10年以下の懲役」(議院証言法第6条)になり、鈴木議員が起訴された受託収賄罪(7年以下の懲役)に比べて重いものです。与党のたび重なる妨害によって遅れ、検察の提起を受けて告発にいたったことは、国会の自浄能力の発揮という点で問題を残しましたが、今回の偽証告発を受けて、司法による真相解明は、新たな段階に進むことになります。