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>鈴木被告初公判=「小遣いです」「すまんね」・地位利用、行政ねじ曲げ

2002年11月12日・「しんぶん赤旗」報道

 「多めに契約が取れるように、色をつけられないか」「(小遣いを渡され)すまんね」――。11日、受託収賄罪など4つの事件に問われた衆院議員鈴木宗男被告(54)の初公判。東京地検は冒頭陳述で、鈴木被告が地位や権威をかさにきて行政や人事をねじ曲げる一方、平然とわいろを受け取ってきた姿を浮き彫りにしました。

面倒みてやれ=あっせん収賄

 有力後援企業の製材会社「やまりん」(北海道帯広市)の依頼をうけ、林野庁に口利きし、その見返りとして500万円を受け取ったあっせん収賄事件では、鈴木被告が再三にわたって林野庁幹部に圧力をかけていました。

 違法伐採により7カ月の入札参加資格停止処分を受けていたやまりん幹部は1998年8月4日、官房副長官室に鈴木被告を訪問。行政処分中に受注できなかった分の契約額を処分後に回復してもらうよう「林野庁を動かしてもらいたい」と依頼しました。

 鈴木被告は「難しい問題だが何とか(実績を)ばん回できるよう林野庁の方に話してみましょう」と、官邸から林野庁幹部に電話。ところが、不在だったため「この国難の折、幹部がどこにいっているかもわからないなんていったいどういうことなんだ。すぐ私の所へ電話するようにいっておけ」と対応した秘書を怒鳴りつけました。

 同日夕、電話をしてきた林野庁幹部に「明日、やまりんの会長たちが林野庁に行くから、よく話を聞いてやってくれ。反省しているんだから面倒みてやれよ。処分の喪が明けたら四月にさかのぼって一年分売ってやればいいじゃないか」と一方的に要求。行政処分の実質的な骨抜きを求めました。

 林野庁は不正な措置に応じることはできないと判断。やまりんとの交渉では要望を拒絶します。これを聞いた鈴木被告はさらに「ちゃんと面倒みてやれよ」と林野庁幹部を怒鳴りつけ、林野庁は法的範囲内での回復措置を検討。鈴木被告はこれにたいしても「たった12分の4なのか。全量回復できねえのか」「何とか停止期間の分を上乗せして、多めに契約を取れるよう色をつけられないか」と再三にわたって、行政のねじ曲げを要求しました。

力貸してやれ=受託収賄

 北海道開発庁長官だった鈴木被告は、島田建設(北海道・網走市)の工事受注のため、北海道開発庁幹部に口利きし、そのたびにわいろを受け取り、受託収賄に問われました。

 後援企業の島田建設は96年度、開発建設部からの公共事業の受注が激減。これに危機感をもった島田建設は「北海道開発局の人事にも影響力を持つ」鈴木被告に、受注の口利きを依頼します。

 同社は、受注希望の工事を発注する開発建設部名や港湾名を記載した「受注希望工事メモ」を作成し、97年10月に200百万円を持参して長官室を訪問。メモを手渡しながら、「どうしてもとりたいのでよろしくお願いします」と請託。鈴木被告はその場で港湾部長に電話、不在だったものの「ちゃんとしておくから」と答え、依頼を引き受けました。島田建設社長らは「お礼といってはなんだけど、小遣いを持ってきたから」と200万円を提供。鈴木被告は「すまんね」といって「(秘書の)多田に渡しておいてくれ」と現金を受け取りました。

 98年1月には、長官室に港湾部長を呼びつけ工事メモを見せながら、「島田建設社長が来てこれを頼みたいといっているんだ。ひとつ力を貸してやってください」と、港湾工事を受注させるよう要請しました。

 島田建設は、鈴木被告の口利きで希望工事を次々と受注。同社社長らは上京のたびに、鈴木被告をおとずれ、「小遣いをもってきたので使ってください」などと現金を提供。その金額は100万円単位で4回、計600万円にのぼりました。

絶対認めない=モザンビーク派遣

 鈴木被告が起訴された偽証罪では、2000年にアフリカ・モザンビークで発生した水害に国際緊急援助隊を派遣しようとした外務省にたいし、鈴木被告が「おれは絶対認めない」などと妨害しました。鈴木被告は、援助隊が出発する予定の日の前日に報告にきた外務省担当課長をどう喝。

 「なんだそれは。おれは聞いてない。おれがこれまでどれだけアフリカに尽力しているかわかっているか。それがわかっているなら、明日派遣する話を直前になって話しにくることはしないはずだろう。そんなやり方は問題だ。おれは絶対認めない」と怒鳴ったといいます。

 「もう派遣の準備をしていますので、できれば出したいんですが」という外務省にたいし、「だめだ。局長はいったいどうしてんだ」と怒り、ついに出発をやめさせました。

 しかし、鈴木被告は衆院予算委員会でこの問題を質問されると、「私が反対するだとか、どうのこうの言うことは考えられない」などと偽証しました。

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