外務省改革・「変える会」が最終報告書
川口順子外相の私的諮問機関「変える会」(座長・宮内義彦オリックス会長)は22日夕、外務省改革の最終報告書を提出しました。外相は8月中に策定する行動計画に反映させる方針を示しました。報告書は国民の税金を党略的・私的に流用した機密費疑惑や、ムネオ疑惑で明らかになった政治家による介入・圧力の問題について、国民の批判に対し、必ずしもこたえたものになっていません。
報告書は「不当な圧力の排除」「人事制度の再構築」「政府開発援助(ODA)の効率化・透明化」「危機管理体制の整備」など12分野で改革案を提示しています。
このうち私的流用が問題となった外交機密費については、「20年経過後」の使途概略公表の検討を求めるにとどまり、官邸への「上納」などの重大問題にはまったくふれていません。
在外公館での機密費をめぐる“不祥事”が相次いだことには、「社会的常識から乖離(かいり)した慣行の是正」というだけで具体的処方せんはありません。その一方、民間や他省庁からの大使の任用や「大使の勤務評定」などの導入を掲げました。
鈴木宗男議員と外務省との異常な関係をめぐっては、国会議員との「接触ルールの明確化」や「ODAの選定・実施過程の透明性を確保する」ことを明記しただけでした。
このほか報告書は、(1)中国・瀋陽の日本総領事館事件を踏まえ、領事業務の強化を図るための「領事局」創設、(2)有識者による外相補佐官制度の導入――を打ち出しました。