発電所工事で裏金・北海電工幹部が下請けに要求=400万円「上手に頼む」・本紙に業者証言
あっせん収賄の罪で起訴された衆院議員鈴木宗男被告の関与が指摘される色丹、択捉、国後3島のディーゼル発電施設建設で、少なくとも400万円の裏金がつくられていたことが21日までに工事関係者の証言や資料で明らかになりました。不正入札で摘発されたこの工事にからむ裏金が明るみに出たのは初めて。裏金づくりをもちかけた元請け企業幹部は鈴木宗男被告の名前も持ち出しているだけに、裏金の行方が注目されます。
3島のディーゼル発電施設は事業総額約41億円の北方支援事業最大のプロジェクト。三井物産、北海電気工事、ダイハツディーゼルのグループが独占受注。色丹、択捉は1999年、国後は2000年にそれぞれ完成しました。
裏金づくりを本紙に証言したのは、北海電気工事の下請けにはいった業者。北海電気工事は、三井物産にかわって工事を実際に仕切った企業です。業者は、北海電気工事とディーゼル発電施設工事に関して99年、2000年の2年間で数千万円の工事契約を締結。そのさい、契約額は支払われましたが、「契約金額から400万円をキックバックする約束を北海電気工事の担当幹部とした」と証言します。この約束にもとづき、業者は、1999年から2000年にかけて、北洋銀行菊水支店にある担当幹部の個人口座に送金したり、喫茶店で現金を手渡すなどのやりかたで400万円を提供しました。
裏金を要求するさい、北海電気工事担当幹部は「鈴木議員との関係があるからバックしてくれ」「鈴木議員に出すカネだから上手に頼む」と説明したといいます。
この業者は、「担当幹部にはこれまでも数十万程度の裏金は渡していた。今回の工事では要求された金額のケタが違うのでびっくりした。実際に鈴木議員に流れたかどうかわからないが、いつもと違うなと思った。裏金づくりは他の業者もやっていたようだ」と話しています。
この工事では、偽計業務妨害容疑で逮捕された鈴木議員側近の前外務省主任分析官、佐藤優容疑者が「三井物産の受注は鈴木議員の意向」と話しており、三井物産や北海電気工事本社は捜査当局の家宅捜索を受けています。
北海電気工事総務部は「当時の関係者に話を聞いたが裏金を要求したり、受け取った事実はない」としています。