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「牛肉不正」=政官業の癒着が腐らせた

2002年8月19日・「しんぶん赤旗」・「主張」

 BSE(牛海綿状脳症)対策として政府が買い上げ事業を進めている国産牛肉に、対象にならない輸入肉を混入させたとして、食肉業界トップの日本ハムグループの責任が追及されています。すでに刑事事件としても立件された雪印食品などにつぐ牛肉不正です。

 偽装にかかわった企業と関係者の責任が厳しく追及されなければならないのはいうまでもありません。同時にこの機会に、不正を生んだ政官業の癒着の構造に、根本的にメスが入れられるべきです。

なぜ悪用許したのか

 偽装の舞台となった牛肉の買い上げ制度は、食肉用にと畜された牛の全頭検査が始まった昨年10月18日より前に解体処理されていた国産肉を政府が買い上げ、最終的には焼却処分する制度です。実際には業界団体が窓口となり食肉会社などから購入して保管、政府が買い上げ肉を検査したうえ、買い上げと焼却に要した資金を負担しています。

 本来、BSEの危険から国民を守るための制度がなぜ偽装事件に悪用されたのか、しかも、ことしはじめには雪印食品の偽装事件も表面化していたのに、なぜ日本ハムの偽装は見破れなかったのか――今度の事件をつうじて解明されなければならない問題はたくさんあります。

 当初、買い上げの対象となる肉には「国産」であることを示す証明書の添付が必要だといわれていたのに、実行されませんでした。買い上げ肉の検査も、雪印食品の偽装が重大化する今年四月下旬までは、全部が対象ではありませんでした。だいたい買い上げを業界団体に任せるというのは、不正の温床になるといわれても仕方がないでしょう。

 武部農水相は最近になって「拙速だった」と語っていますが、偽装しやすい制度をつくった責任は厳しく問われなければなりません。農水省が「だまされた」などと、一方的な被害者を装うのは論外です。

 もともとこの買い上げ制度には、BSEの感染を防止できなかった農水省の弱みにつけこみ、「200億もあればいいから」と、鈴木宗男議員ら自民党農水族議員が、国民の不安を逆手に、食肉業界などの要求に応えるためにつくらせたという疑惑が終始付きまとってきました。文字通り政官業の癒着です。

 雪印食品や日本ハムの偽装だけではありません。買い上げ制度をめぐっては、食肉卸最大手で、自民党農水族や「解同」(部落解放同盟)とも結びつく「ハンナン」などの一部業者が、莫大な利益を手にした疑惑も指摘されています。

 BSE問題では、武部農水相がみずから責任を明らかにせず、辞任した次官が退職金を満額受け取り食肉関連団体に天下ろうとしたことでも国民の批判をあびました。政官業の癒着が、制度を腐らせ、悪用を許したのではないかとの疑惑は、徹底して糾明されなければなりません。

調査し全容公開を

 ことは、国民の命と安全にかかわる問題です。牛肉の買い上げに使われるのは国民の税金でもあります。

 先週発表された農水省の調査報告は、日本ハム側のいいぶんを並べるだけで、偽装の疑惑を一切解明しませんでした。これも官業の癒着のためとなれば、ことは深刻です。

 農水省は、買い上げ制度にかかわる疑惑を徹底して調査し、すべての情報を国民の前に明らかにすべきです。BSE感染を防止できなかった重大な責任に照らせば、偽装など疑惑解明は、農水省の最優先課題のはずです。

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