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通用しない「ムネオ型」=起訴・再逮捕がつきつけたもの

2002年8月5日・「しんぶん赤旗」報道

 「薄利多売のスーパーマーケットのような政治家」。あっせん収賄罪での起訴に続き、受託収賄容疑で再逮捕された衆院議員(自民党離党)の鈴木宗男容疑者(54)を評する言葉の一つです。「私は絶対大丈夫だ」といってきた同容疑者が汚職事件の当事者になった「ムネオ型献金」とは、いったいどんなもので、その起訴・再逮捕は、どういう意味をもつのか――。

広く薄く金集め、口利き=ワイロと認定された手口

 鈴木容疑者のわいろ額は、いまのところ、国有林違法伐採の「やまりん」からの500万円と、北海道開発局発注の公共工事に絡む「島田建設」からの600万円です。ロッキード事件の田中角栄元首相の5億円はじめ、リクルート疑惑(藤波孝生元官房長官約4200万円)、ゼネコン汚職(中村喜四郎元建設相1000万円)などと比べても、そのわいろ額は小さく、贈賄企業もいかにもローカルです。

 ここに、ムネオ疑惑のいままでの汚職事件と違う特徴の1つがあります。

 鈴木容疑者が集めた政治資金は、2000年だけで4億4000万円余り。千数百もの会員企業から原則1口12万円(年間)の政治献金をまさに「薄く、広く」集めていました。そして、「あの事業はどうなっている」などと、直接、官僚に電話をかけるなどして、圧力をかけて公共事業に介入し、献金企業に受注させていたのです。

 こうした「口利き」行為は、鈴木容疑者にとっては選挙での集票目的と一体となった日常的なものでした。口利きし、見返りに献金をもらうという収賄行為にひたりきっていた同容疑者には、わいろも特別のことではなく、「献金を届け出ているから大丈夫」という感覚だったのでしょう。

 実際、1999年2月の衆院予算委員会で、当時、国有林の違法伐採の疑いで摘発を受けていた「やまりん」からの献金を追及されたとき、「私が正直に(政治資金を)申告しているから、こういった問題も出てくる。私は、はっきり言って政治家のなかでも政治資金は多いほうだ。それは私がすべからくオープンにしているからだ」と開き直ったものです。

 しかし、鈴木容疑者が「政治資金として届け出をしているから、きれいなカネ」と、いくら主張しても、検察当局が現金授受を「わいろ」とみなしたことの意味は大きなものがあります。このことは、鈴木容疑者同様、合法性を装い「薄く、広く」カネを集め、口利きを日常的にしている政治家たちにも、あらゆる受注企業からの献金がわいろになると、直接つきつけているからです。

公共事業受注企業の献金=「待ったなし」税金還流ストップ

 加藤紘一元自民党幹事長や井上裕前参院議長の秘書らも、公共事業の受・発注に絡む口利きで利益を得ており、鈴木容疑者の再逮捕は、公共事業受注企業の献金禁止の緊急性を改めて浮き彫りにしました。公共事業にかかわる企業からの献金は、いわば税金の還流だからです。

 「政治とカネ」をめぐる批判をかわそうと、小泉首相は、この問題の検討を自民党執行部に指示しました。ところが、同党の「政治資金に関する有識者懇談会」の提言(7月17日)は、公共事業の受注が売り上げの50%を超える企業の政治献金限度額を半減する措置などにトーンダウンし、公共事業受注企業からの献金禁止には程遠いものとなりました。

 しかも、受注率が50%を超す企業は例外中の例外のうえ、寄付の限度額というのはべらぼうに高く、これを半分にしても献金を受け取る側には、ほとんど影響がありません。逆に「限度額まで出せ」という献金奨励策になりかねません。

 もともと、公共事業受注企業の献金禁止に、与党幹部は「日本の企業の9割9分が献金禁止になってしまう」(自民党・町村信孝幹事長代理、5月31日)、「企業献金は是か非かに等しい議論になる」(公明党・太田昭宏幹事長代行、6月23日のNHK「日曜討論」)などと、背を向けてきました。

 しかし、公共事業は国民の血税です。もともと、営利を追求する企業がなんの見返りも期待せず、献金することはありえません。事実上のわいろである企業献金の禁止そのものが求められていますが、少なくとも税金を吸い上げるような公共事業受注企業からの献金はただちに禁止することこそ「政治とカネ」の問題に厳しい目を向けている国民への最低限の回答です。

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