企業名も公表せず巨額助成金・国のBSE対策牛肉買い上げ事業=宗男容疑者と親密・大阪ハンナングループが関係
BSE対策の国産牛肉買い上げ事業で、買い取り申請した企業名は公表せず、まともな検査もせずに巨額な助成金が既に支払われた――。日本共産党の富樫練三議員が10日、参院予算委員会で同事業の不透明な実態を追及しました。
富樫氏によると、「日本食品」(福岡市)の食肉偽装事件を隠ぺいしていた全国食肉事業協同組合連合会(全肉連)は、国の買い上げ総量1万2626トンのうち約半分の6170トンを占めます。買い取り事業実施主体である全国6団体のうち、買い取り申請した企業名を公表していないのは同団体だけです。しかもすでに76億円もの助成金が支払われています。
全肉連加盟のなかでも大阪での買い上げ量(39億5000万円)は、大阪府同和食肉事業協同組合連合会(府同食)が1145トン、大阪府食肉事業協同組合連合会(府肉連)が573トンと2つの団体で1718トンと全国最大量。富樫氏は、独自に入手した農水省の内部資料を示して、その全量の約1718トンが、「大阪食品流通センター」(堺市)に保管・保有されていたことを指摘しました。
同センターは、大阪の大手食肉業者「ハンナン」グループ“総帥”の浅田満氏が取締役を務めている関連会社。富樫氏は、同センターの取引先の中心が「ロイヤルハンナンミートパッキング」「ハンナン」という同グループ系列の会社であり、浅田氏は府同食会長と府肉連副会長に就任している――など、肉の売り手も買い手もハンナングループという異常な関係を明らかにしました。同グループは鈴木宗男容疑者に高級車を提供するなど親密な関係でも知られています。
富樫氏は、同センターに保管された肉が現在どうなっているかを追及。武部農水相は、「すべて焼却が終わっている」と、全箱検査もせずに焼却処分にしてしまったことを認めました。また、「日本食品」のように輸入肉が混入されるなどの不正について、「絶対(に不正が)ないということは、全箱検品がおこなわれていないのでいえない」と可能性を否定しませんでした。
富樫氏は、大阪の買い上げ分約40億円もの税金が、不透明なやり方で「食い物」にされたと批判し、買い取り事業の実態を徹底究明すべきだと要求。小泉首相は、「税金が適正に使われているかどうか、ご指摘の疑惑にたいして、しっかりした対応・調査がされるように指示をしたい」と約束しました。
(2002年7月11日付「しんぶん赤旗」より)