国後のディーゼル発電施設不正入札=三井物産が計画立案、外務省に根回し、受注
国後(くなしり)島のディーゼル発電施設をめぐる不正入札事件で、同施設を含む北方3島への発電施設設置事業そのものが、受注した三井物産によって立案されていた疑いの強いことが7日までに、関係者の話で分かりました。同社営業部長飯野政秀容疑者が、外務省前国際情報局主任分析官佐藤優容疑者を通じて根回しをしたとみられ、東京地検特捜部も、立案段階から同社が関与した可能性もあるとみて、調べているもようです。
同事業は1998年の日ロ首脳会談で発表され、約41億円が予算化されたもの。同事業をすべて落札した同社が、スタート時点から一貫して主導していた疑いが浮上しました。
関係者によると、同事業は飯野容疑者の部下だった島崎雄介容疑者が発案。「外務省に事業計画を持ち込み、(発注元である同省関連の国際機関の)支援委員会を使って実現させる絵をかいた」(同社元幹部)といいます。
飯野容疑者は、以前から親密な関係にあった佐藤容疑者に話を持ち掛け、外務省幹部に根回し。国後など北方3島にディーゼル発電施設を供与する具体的な計画策定に向け、働き掛けを行っていました。
その後、支援委による事業として実現する方針が決まり、1998年4月の日ロ首脳会談で正式発表。橋本龍太郎首相がエリツィン大統領(ともに当時)に対し「電力供給に支障が生じていることを踏まえ、ディーゼル発電機供与の協力の可能性を検討する」などと積極的に提案されました。
同事業は、首脳会談の8カ月後に成立した補正予算に「ディーゼル発電機の供与」として約41億円を計上。翌年2月から2000年3月にかけて3島を対象に入札が実施されましたが、同社が事前に見積価格を入手したり、談合するなどして3件とも不正に落札した疑いが持たれています。
三井物産の元幹部は「外務省に仕込み(持ち込み)、入札までこぎつければ受注できる状態だった」と証言。別の幹部も「(同事業は)島崎容疑者が作ったもの」と話しています。